■井上委員(共産)の質問は大きく二つ
@2005年3月、東京・町田市教委が、君が代を卒業式や入学式において校歌と同じ声量で歌えるようにという通達を出したことから、君が代の歴史を知り、こんな歌は歌いたくないと考えていた6年生のある女の子(父親は在日外国人、おじいさんは朝鮮から強制連行された、本人は三世)が連日、君が代を歌わせる指導を受け、多大な精神的苦痛を受けたという例を挙げ、こんなことは異常ではないか。
これに対して、伊吹文科大臣は、類似のことが司法で争われているから、事実関係を確認しない限りコメントを差し控えたい、と答弁を逃げた。(これでは審議にならない。委員はただちに事実関係を確認することを確約させるべきだろう。)
A文科省は2005年の義務教育の構造改革によって、到達目標を明確化するといっている。各教科の到達目標を明確化するといって、各教科の指導要領の見直しが進められている。9月21日の中教審の教育課程部会での配付資料によれば、小学校修了段階において、国歌君が代についての理解と歌唱の技能を生かす力とした上で、日本の伝統的な旋法にある君が代の美しさや、自国を尊重する心を持つなど、となっている。ここでは君が代と児童生徒の心を結びつけている。君が代を歌わせることによって、美しいと感じなさい、自国を愛する心を持ちなさいということになる。それができない場合は評価が低いことになる。これは思想信条、内心の自由を侵害するものではないか。
これに対して、政府側は、資料は審議の過程のものであり、子どもたちに力を身につけさせるための施策の整理をしたものであり、このことが即、学習の成果の評価を示したものではない(銭屋政府委員)、審議の途中の資料であり、これで行くかどうかは最終的に文科大臣が告示する段階で判断させてもらいたい(伊吹文科大臣)、という答弁に終始した。
■近藤委員(社民)は、8カ所の教育改革TMにおける内閣府の動員の状況について質問した。
内閣府からは、8回中6回、地方自治体に参加者のとりまとめをお願いした。 人数は、岐阜県133名、山形県180名、愛媛県135名、和歌山県65名、大分県は確認できていない。青森県279名、静岡県では内閣府から要請はしなかったが、自治体側が自発的にまとめたものが74名といった数字が公表された。
これだけ動員があれば、一般の参加者が排除されていたのではないか、という近藤委員の追及に対して、山本大臣官房長は、大分では抽選があったが、残りの7回では応募した方全員が会場に入ったと述べた。近藤委員は、当日参加者が入れなかったという声があるので、ひきつづき調査をするよう依頼した。
このあと、スタッフも含めて動員や関係者が多く、会場では「改正」賛成の雰囲気が醸成されていたのではないかという質問に対して、塩崎官房長官は、衆議院で松本大輔委員が出された賛否の数(岐阜では賛成1、反対2、山形では反対のみ4、松山では賛成1、反対4)を挙げ、賛成者で埋め尽くされていたわけではない。圧倒的に反対の方が多い、と述べた。(そうであるなら、国民世論は「改正」に反対を示したというべきだろう。)
近藤委員はまた、青森県教委がやらせ発言に関与した6人を訓告処分にしたことを挙げ、末端の公務員が訓告処分を受けているのだから、これを行わせた方の責任はさらに重いとした。塩崎官房長官は、内閣府等の関与者の処分については調査結果を待ちたいとした。
最後に、近藤委員は、問題があった6回のTMの競争入札の落札率について質問した。山本大臣官房長は、他の契約の予定価格を類推させる可能性があることを理由に回答を避けた。
■亀井委員(国民)は、いわゆる三点セット(国を愛する「態度」ではなく「心」とすべき、宗教的情操について盛り込むべき、「不当な支配に服することなく」という文言をなくすべき)について、それぞれ政府案がつくられた理由を質問し、同じ内容を西岡議員にも質問するかたちで民主案の方が優れているという持論を展開した。
|