月日 会議名 発言者など |
傍聴記(傍聴者)
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11月13日
札幌・地方公聴会 |
A 陳述人の発言 進行<鈴木恒夫・自民・派遣団団長>
(T)西田豊(札幌国際大学教授・06年3月末まで札幌南高校校長)「政府案」賛成
国を作りたてていくのは人であり、人を作りはぐくむのは教育。従って国の存立は教育にある。政府案を良しとするのは以下の3点。
1・家庭教育が教育の原点であることを銘打ったこと。
2・我が国や郷土を愛することが入ったこと。日本国民として大変嬉しく感謝したい
3・人を育む教員にその仕事を崇高な使命と深く自覚することを促すこと。その職務に誇りを持った人材を確保し、適正な待遇をすることが大切だ。
(U)加藤義勝(元高校校長)「政府案」賛成
現行法成立から60年がたち、その間、社会が変化した。新たな状況に対応するために改正は必要。前国会でも50時間費やしているので、議論は充分つくされた。以下、良しとする点。
1・「人格の完成」という目的が堅持されている。
2・職業と生活の関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うというのは、ニートやフリーターに自らの行き方について自覚を深め、望ましい職業観や生活観を育み、キャリア教育の推進に大きな役割をもつ。
3・愛国心はごく自然な気持ちだ。統治機構が入らないのだから、過去のプロパガンダとは違う。我が国とともに他国を尊重しが入ることで国家主義につながることは払拭されている。
4・機会均等で障害者に言及していることは、今日的な教育の課題を明確に位置づけ方向性をはっきりさせている。
5・信頼される教員たれというのには、教員にゆとりが必要。重要なのは教師、行政、家庭、地域が連携し教育改革を進め、教育のための社会にすることが重要。
(V)岩本一郎(北星学園大学経済学部教授)「改正」反対
1・基本的立場
現行の基本法を起草した教育刷新委員会の委員の一人が、所属する北星学園の前身スミス女学校第1期生の河井道さん。彼女たちが基本法にこめた理念は、今こそ生かし実現しなければならないと考える。
2・憲法と教育基本法・憲法と基本法は分かちがたく結びついている。
(@)憲法の基本理念〜「個人尊重の理念」と「生存権の理念」を教育において実現することを意図したのが基本法の前文の「憲法の精神」である。
(A)まっとうな教育なくして憲法の理想の実現は不可能。そのためには「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」が不可欠で、それゆえに「この理想の実現は、根本において教育の力をまつべきものである」とする。
(B)基本法を制定した「我ら」とは「憲法を確定した」主権者としての我らと同じ。従って、基本法も憲法と同様、国の権力を縛る権力制限的な規範である。
以上3点から基本法は「準−憲法的法律」と位置づけられる。故に、憲法同様、軽々に変更されるべき法律ではない。
3・個人尊重の理念と生存権の理念
(@)個人尊重の理念〜基本法の目的の第1「人格の完成」は憲法が理想とする「個人の自律の力」を育てることを意味する。「自律」とは他者から強制されることなく自分らしい善き生き方を自ら見つけ出し、その生き方を実践する力のこと。失敗や挫折を繰り返しながらそれぞれの人生の目標に向かって懸命に生きる生き方。個々のその生き方に優劣はなく、だから憲法は、国に対してすべての国民を「個人として尊重」するように求める。
従って国は(1)「個人が生きる人生を格付け、優劣をつけてはならない」(2)「社会の多数者が望むことであったとしても、特定の生き方を個人に押し付けたり国の定める『大義』や『国益』のために個人を犠牲にしてはならない」(3)「多様な生き方の実践を許す寛容な社会を実現するための条件を整備しなければならない」 基本法は、この理念と原則を忠実に反映している。
(A)生存権の理念
人権保障の内容が「自由」から「生存」へ重点を移したことが憲法の最大の特徴だと制定当時、我妻栄が述べている。自由の権利は、その自由を享受してこそ価値がある。故に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障し、教育を受ける権利、労働基本権といった社会権の規定を置いた。基本法は憲法の「生存権の理念」を受け、教育の機会均等を確保し、子どもたちの「人格の完成」に欠かすことのできない教育の条件整備を国に求めている。
(B)自尊感情の涵養〜「自律の力」は前述のように「自分の人生に希望を持つ力」を育むことであり、その基礎にあるのが「自尊感情=自分には生きる理由があり、生きるに値する人生がある」という自分に対する肯定的な感情。子どもたちに「あなたには生きる理由があり、生きるに値する人生がある」という自尊感情を育むことが何より大切だ。学校と言う教育の場が、子どもたちの自尊感情をすり減らし、奪い取る場であってはならない。
4・「改正」案の問題点
現在提起されている様々な問題点は、基本法が生み出したものではない。基本法の基礎である先述の二つの理念が、現実の学校制度に充分に浸透していない、むしろ最近のこの理念に反するような国による政治介入に起因している。
(@)教育の基本を「わが国の未来を切り開く」に置いている。これは子どもを「わが国の未来を切り開く」道具にし、個人尊重の理念の第二の要請に反する。
(A)目標として具体的な徳目を上げ、その観点から子どもの「態度」を評価しようとする。国が特定の道徳観や価値観を尺度にして子どもを格付けることは個人尊重の第一の要請に反する。
(B)愛国心を法定することは、国と個人との特定の関係のみを「愛国的」とする危険を常にはらみ、個人に特定の生き方を押し付ける。これは子どもの内心の自由を侵害するだけでなく、個人尊重の第3の要請に反する。
(C)義務教育9年の削除は、「飛び級」制を拡大し、エリート主義的な教育を推し進め、つねに子どもたちを差別と選別の対象とし、それは子どもたちの自尊感情を著しく損なう。
(D)子どもたちの自律の力を養うためには、人種、信条、性別、ハンディキャップの有無など多様な子どもたちが学校と言う学びの場にいることが大切だ。学校こそ、多様な生き方の「実験室」であるべき。男女共学は、男女の平等と教育における多様性の理念を具体化する重要な規定であり、その規定を削除すべきではない。
(E)「能力に応じた教育」と定めることは、能力別の複線的な教育に道を開く。ある特定の時点の「能力」を前提に教育の内容に違いを設けることは「生存権の理念」と相容れない。教育を受ける権利は「結果の平等」の要請を含むものであり、機会均等は子どもたちに能力に応じて登る「山」に違いを設けることではなく、同じ「山」ではあるが、それぞれの子どもの能力に応じた多様なルートを用意することを国に求める。
(F)現行10条の規定の改変は、「法律」に基づく国の政治介入を「不当な支配」の埒外に置こうとするものだ。真理とはなにか、その真理をどう子どもたちに伝えるか、この教育の核心にある問題は、決して多数決になじむものではない。真理は、自由で開かれた議論と実践が保障された空間でしか息づくことはできない。
国による政治介入を今以上に「強化」する「改正」案は、教育の本質を見誤っているものだ。
B 陳述に対する質疑
<やまぎわ大志郎・自民>現行法の理念を否定していない。改正案に「人格の完成」が入っているではないか?
岩本・憲法13条(個人の尊重。生命・自由・幸福追求の権利の尊重)をふまえなければならない。理念と条文との整合性がない。
加藤・文言がすばらしくても、人間を作ることに重点が置かれなければだめ。
西田・教師は崇高な使命を持つ。そういう教師を集め、一生懸命まい進できる環境を整えるべき先生の努力は評価すべきで、全国統一でなくても、地域独自にきちんと評価すべきだ。
<やまぎわ大志郎・自民>個人の尊重は否定していない。自由には責任が、権利には義務がともなうそのバランスをとるものだ。家庭教育は大切ではないのか?
岩本・憲法13条の幸福追求は、自分のためだけでなく、他人のためになにかをすることが自分に返ってくることを意味する。個人主義ではない。親の教育権は自己決定の一つとして、自由であり、それを支援するのが国家だ。
<牧義男・民主>民主党案はどうか?
西田・よくできている
加藤・見ていない
(岩本・反対でしょうからと問わず)
<牧義男・民主>愛国心について「心を涵養する」との表現で前文に入れたことは?
加藤・「他国を尊重し」があれば国家主義にはならない。あらためて入れなくてもいいのでないか。
西田・それぞれの表現なのでどちらでもよい。「心」でも「態度」でも現場では同じ。
<横山北斗・民主>政府案が優位なのはどこか?
西田・違いは、現場ではあまりない。
<横山北斗・民主>日本独自の法案が必要と文科大臣が言う。独自の箇所とは?
加藤・そこまで深く考えていない。
<西博・公明>家庭教育について、具体的にそれを実現する施策は?
西田・家庭の問題は教育の問題ではない。社会問題だ。まず親育ての施策をすべきで、隣近所で互いに声を掛け、みんなで育てる地域にする。
<西博・公明>教育委員会の位置づけは?
西田・民主党案の知事部局に置くのは反対。第三者機関で独自性を持つべきだ。首長が代るたびに変わるようでは駄目。
<西博・公明>勤労意欲の大切さをあげたが、教育と職業については?
加藤・子離れができていないことが問題だ。
<西博・公明>学校・地域・家庭の連携について?
加藤・共働きが多く、父母との連携はうまくいかない。教師の方が家に出向く余裕がある教育が必要。
<石井郁子・共産>いじめ、未履修など、現場が抱える問題について政府案はどういう点で有効なのか?
西田・学校は社会性を育成する機関で、二人以上いたらいじめはあると考えたほうがよい。弱い心のときに、暖かい心を持って母親とともにアンテナを張って見守るのが資質の高い先生が必要。そのために、やる気が出る評価が必要。
加藤・未履修問題で、校長が謝る必要はない。学習時間が少ない中で、生徒のためにやったことだから。
<石井郁子・共産>政府案第2条目標で態度を養うをと義務付けることは法律になじむのか?
岩本・法律と道徳は分離すべきだ。法に道徳を組み込むとすれば最低限の道徳(殺すな)。政府案の徳目は国民のコンセンサスを得た最低限の道徳ではない。そもそも法になじむものではない。
<石井郁子・共産>教育行政のあり方は?
岩本・教育行政も、自由と参加を踏まえ、子どもの意見をきちんと聴くことを行政が保証しなければならない。
C 公聴会を巡って少し
1・札幌での傍聴は可能かと衆議院に電話したら、基本法特別委員会の事務方の札幌班につないでくれた。担当が、開催の日、場所、進め方などはすべて理事会が決める。事務方はそれを受けて具体的な会場を見つけ、それを理事会に報告する。傍聴の数は最近になって50席だったのが60席になった(と、進んだでしょうといわんばかり)。券は政党に割り当てと、これも理事会での決定。全日空ホテルの3階が会場。三階には関係者以外行かれない。様子を知りたくて行こうとする人に「借り切っているのだから権限はこちらにある」と、これは事務方の人か、威張って通さない。
2・開催が9日に決まり、10日に陳述人の決定連絡とか。「見ていない」という陳述人がいても無理ないか。
3・傍聴券を手に入れようとあれこれ試した人の話から。「政党配布」というので「自民党」に電話したら、身元の確かな人ということで「つくる会」や「日本会議」の人たちに配布済でもうないという返事。
4・ピースネットの呼びかけに応じてくれた人たち、12時から、20人ほどで、ホテルとは一区画はなれた東急デパート前で「街頭公聴会」と称して、入れ替わり立ち代りマイクを使う。少ししてデパートの人が出てきて「ジャマするわけではないのですが、歩道でお願いします」と、慇懃無礼?に。他には、1・フォーラム車が一回り。2・全日空玄関前で横断幕を掲げたグループ。そこには公安関係7,8人が「道交法違反だ」「公安条例違反だ」としつこく迫っていた。押し問答しながら、それでも始まるまでい続けていた。3・30人ほどのデモ隊がホテル周りを一周して、道庁北門に向かっていった。そこには警察車が2台。4・3階の様子を見に行こうとして、果たせなかった人たちも。
5・傍聴の注意事項には「議場における言論に対して賛否を表明し、または拍手をしないこと」というのがある。でも、「岩本さんの陳述には拍手をしたよ」とは、傍聴参加者。それが「嵐のような拍手」になると係員が引き抜きに来るらしい。尚、陳述人は質疑に応じるだけで、質疑者である議員には質問はできないそう。
6・一体、公聴会って何なんでしょう?
因みに、「国会議事録検索システム」に、よくある質問として以下がありました。
●「地方公聴会の会議録は検索できますか?」
●「地方公聴会」という名称は正式な会議名ではありません。検索条件の会議名欄に「地方公聴会」と入力しても検索できません。地方公聴会の内容は、派遣委員が戻ってから派遣元の会議に報告されます。そして、その報告があった会議の日の会議録に、地方公聴会の記録が「参照掲載」されます。
●今回の「公聴会」の記録は来週になると読めるそうです。(複数の方のメモをもとに札幌のKさんがまとめてくれた記録を転載させていただきました。お礼申し上げます。(教育基本法「改正」情報センター)) |
11月10日
衆議院教特法特別委員会
質問者 松本大輔(民主)
田嶋 要(民主)
川内博史(民主)
市村浩一郎(民主)
笠井 亮(共産)
保坂展人(社民)
糸川正晃(国民) |
民主党3名(松本大輔、田嶋要、川内博史)
八戸市のタウンミーティングに政府が積極的に加担したことについて。
塩川官房長官
・遺憾なことが起きた。反省し経緯を明らかにして、不信感をいだかれないように、外の目を入れながら報告し、今後のタウンミーティングやっていく(新しいルールの上で)。
・教育基本法に触れる発言がなかったので、現場が行き過ぎた。
・できるだけ早く人材を投入して急いで調査する。
松本委員が期限を切ることを要求し、発信者が墨塗りになっていると質したことについて。
山本官房長
・文科省から内閣府に出向している人が発信した。
・発案者が文科省か内閣府の職員か確認せずに発信した。
伊吹文科相
・事実関係を調べる。また省内で依頼したか調べる。つくった者は一切読まずに提出した。
・振り付けを送ったことは判断に誤りがあるといけないので、どこまで了解をとったか否かなど。私が処分については判断する。
・内閣府に指示して振り付けをしたとはいっていない。内閣府に文科省が依頼した。
山本官房長
・文科省が項目案を作ってきて送ってきた。
・受け取った内閣府の職員がはっきり確認しないで振り付けした。そして八戸市に依頼した。
伊吹文科相
・責任の一端はあるので私がその時は判断する。
・やらせで(意見を)収集するのは不適当である。
・最後は選挙で民意を問えばいい。
・美しい日本語で正確に。
・いろいろな民意の反映の仕方がある。
・色々な場面でタウンミーティングを使うことはあるだろうが、国会の議論こそ民意の最後だ。
・あやまちは遺憾だといった。色々な世論がある。
・適切でなかった。教育基本法をどうするかについて、国会に判断を委ねるべきだ。
民主党・田嶋委員の政府の規範意識についての質問に対して。
伊吹文科相
・美しい日本語にならないが規範意識として適当でない。
・議院内閣制を信用してもらわなかったら議院内閣制は崩壊する。
・質問を創ったのは文科省だから責任があるので私が判断する。
林副大臣
・組織的にやっていたら止められたが、逸脱なので情けない。
・調査は内閣府でやる。
民主党・田嶋委員の質問「最終責任は誰か」
山本官房長
・内閣府である。
未履修問題についての回答はのらりくらりでした。
民主党の要請した証人2人を採用していない。(H・T) |
11月9日
衆議院教基法特別委員会
参考人意見陳述
教育再生会議座長代理・資生堂相談役 池田守男
品川区教育長 若月秀夫
法政大学教授 尾木直樹
ICU教授 藤田英典
質問
町村信孝(自民)
西 博義(公明)
高井美穂(民主)
塩川鉄也(共産)
阿部知子(社民)
糸川正晃(国民) |
11月9日の参考人意見陳述を傍聴しました。9時から始まっていたので途中からの傍聴です。印象的なことだけ記します。
与党側の参考人の話はもうあきあきした与党間の質疑をまた聞かされるようなものでした。その中でも特にひどいと思うのは若月(品川区教育長)参考人の意見です。
学校現場でこどもたち自身が問題解決の力をつけるように話合いなどをさせることを全面否定するかのような「誤まった児童生徒中心主義」と言う表現での教師批判です。教育長と言うなら教育学をちょっとで良いから勉強して欲しいものです。
いっぽう、藤田参考人と尾木参考人の意見は教育基本法改正は要らないという立場に立ったものでした。
藤田参考人の、教委の公選制が任命制になったときから、「改革」とは常に実害があったが、「反対」は実害の無いものだった、と言う意見は、教育基本法も然りということなのだと思います。
尾木参考人の陳述は現場を熟知した説得力に満ちたものです。現場での教委の威力は神様のようなもので、現場はその評価を非常に恐れるが教委事態は誰からも評価されないことを指摘。近年現場を支配するようになった数値主義の実態も披露されました。また徳目をあげて態度を養う、と言うのは現場の習いとして評価を伴う、ということは表向きの態度と内面が別々になることを指摘されました。最近の「あんなに良い子がどうして?」と言う現象はそうした日本の教育の長年の欠陥から出たことではないかと得心が行きます。
教育問題の根本的な解明と解決に向かうためにはこのような国民的な議論こそされるべきではないでしょうか。
こうした論議ができない前の国会から続く延々何十時間はなんだったのか、主権者としてとても悔しく思いました。本質的な議論のないままの採決などとても許されないと思います。(I・T)
A.参考人陳述 藤田英典国際基督教大学教授
@まずなぜ変えるのか。A問題点は何か。
今おこっており問題は、教育基本法が原因でおこっているのではない。改正しても解決しない。
自民党案は、国民に対して命令規範になって、態度を律すれば強制法になる。また、政治行政による不当な支配がはずされている。政治行政をはずすことは著しく民主主義に反なする。必要であるなら改革はできる。
格差能力が協調されている競争が差別化を進めていく。教育は未完なものであり、支えつづけることで開けていく。日本の知性がためされている。
どういう問題が具体的におこっているか、何も触れられていない。無責任な決定をすべきでない。国民の理解が得られていない。
B.参考人に対する質疑の中の回答、発言
@町村信孝委員のスケジュールについての質問に対して、池田守男氏(教育再生会議座長代理)
来年の1月までに学校の問題と教育委員会の問題を討議する。5月を目安に規範意識や家庭と地域との連携について討議する。教育再生の大きな意味での討議は1年くらいを目安にしている。
A若月秀夫氏(品川区教育長)の発言内容
・児童中心性の弊害が出ている。教育委員会について論議すべきである。教育委員会は権限がないので権限を与えてほしい。
・子どものために改革している。又、情報公開をして地域と学校の連携、議論があっても最終的には管理職(校長)の権限になる改正教育基本法が心強い。
・具体的な権限を与えよ。評価されていない。
・数値目標を学校の中につくることが必要。
B藤田英典氏 民主党・高井美穂委員の質問に対して
児童中心主義と法律上とは異なる。
学ぶ側にある子どもたちが、学校での日常的に実践している。伝えるべきことはきちんと伝える。これを混同することは極めて危険である。
C藤田英典氏 共産党・塩川鉄也委員のいじめ問題についての質問に対して
・実際的なしぐさでいじめを考えていくこと。
・仲良しグループの中に起る。欧米は個人化されている。
・日本の政府やマスコミは教育全体の問題に一般化した。
・原因は成果主義にある。2000年以降より数値目標が浸透した。数値目標の解りやすさのところが教育をだめにする。そして一番大切な個性の多様さが後に回されている。
D藤田英典氏 競争について
政府や行政は数値目標を出すことで、本来、地域や学校、子どもたちの自然な競い合いをおしつぶして、官製の競い合いをさせている。
本来、競争は悪いことではないが、行政が変質させている。(H・S)
池田守男氏(資生堂相談役、教育再生会議座長代理)、若月秀夫氏(品川区教育長)、尾木直樹氏(教育評論家、法政大学教授)、藤田英典氏(国際基督教大学教授)の4人の参考人を迎えて、9時から委員会が開始したとのこと。
参考人の意見陳述が15分ずつ、1時間行われた後、参考人に対して自民(町村信孝議員)、公明(西博義議員)、民主(高井美穂議員)、共産(塩川鉄也議員)、社民(阿部知子議員)、国民新党(糸川正晃議員)の6人から質疑がありました。
私が傍聴席に着いたときは、3人目の参考人・尾木直樹さんの意見陳述が終わり、4人目の藤田英典参考人の意見陳述が始まるところでした。藤田さんは公共心・愛国心は必要であることは否定はしないが、現行法を変える必要は全くないこと、現行法の卓越性について、また民主党案にも徳目が書かれているが、政府案以上に配慮されていることや政府案の特徴についてとても分かりやすく話されました。
自民党以外の5人から尾木さん、藤田さんに質疑がありましたが、お二人ともどの質問にも的確に応答され、傍聴していて気持ちよかったです。とりわけ、中学校教師であった尾木さんの「いじめゼロの報告」の背景などの学校現場の実態発言は説得力がありました。
しかし、自民党の町村信孝議員は、自分の質疑が終わると他の議員の質疑が行われているにもかかわらず、与党議員3〜4人と何やら話しをしたり、委員会室から出たり入ったりしていました。そして、与党の質疑が済むと退席する人が続出し、結局委員会は委員の2/3程になっていました。
特別委員会・理事会で呼んだ参考人質疑を聞こうとする姿勢もない町村自民党理事他与党議員は、「規範意識」など論ずる資格無し! |
11月8日
名古屋・地方公聴会 |
名古屋・地方公聴会(11/8 13:00〜15:00 国際ホテル) 傍聴報告
◆最初に意見陳述人が順に陳述(10分ずつ)
1.北俊夫・岐阜大教授
昭和22年生まれ、教育基本法といっしょである。教育基本法のもとで、ずっと学校教育を受けてきた。
この歳になって、外国の人と話して、気が付いたことがある。自分が、日本という国、郷土について、伝統と文化について、知識がないことに気づいた。能や歌舞伎について、
説明することができなかった。考えてみると、伝統文化について、体系的、継続的に教育を受けたことがない。この歳になり、関心を持ち、触れる機会を持つようになった。伝統や文化について、学校や地域、家庭教育で学ぶことが、外国人と交流するために必要である。
教育の目標が5項目にわたって書かれてあるが、「愛国心」にしぼって私見を述べる。
「愛国心」とは、生まれ育った国を好きになることだ。「我が国と郷土を愛する」とは、豊かな自然環境を理解し、先人の業績や努力を知り、帰属している国をより良くしたいと思うことだ。「国」とは、日本という国家、国土であり、公とか、統治機構ではない。
今まで、個人としての人格形成に比重がかかりすぎ、国家を意識した教育がなされなかったことが問題だ。戦後教育のツケが問題となっている。帰属している国を尊敬しなければ、他国からは尊敬されない。
戦前の良さを継承しようとする意欲、努力が寸断されてしまった。伝統、文化の継承が必要だ。
今の教育基本法と学校現場が乖離している。新しい時代に合わせる必要がある。新しい「愛国心」を育てる教育が必要だ。
2.馬居政幸・静岡大教授
教育基本法は、きわめて大きな役割を果たしてきた。しかし、成立当時と状況が変わっている。廃止するか、変えるしかない。また、私自身は、理念法はあるべきではないとの立場である。
第2条については、自公が与党の責任を果たそうと、条文を考えた努力に敬意を表する。
第5条について、初めて家庭の責任について書かれたことが大切。厚生労働白書によると(たくさんの資料が用意してあるらしく、それに触れながら説明)人口が減少している。教育基本法は生まれる子供の数が増えるときの基本法であり、今、日本の社会は変わった。
未婚率が上昇している。7割近い男女が大学に行く。女性が仕事を持つ。学校教育がこのような時代に対応して、男性を教育してこなかった。(早口で、訳のわからない展開で、うまく書けない)家庭をつくる技能を教える教育が必要。子どもを産んで、家族をつくる社会になるような教育をしなければならない。
第11条幼児期の教育については、幼稚園と保育園を分ける必要はない。
子どもの増えている沖縄についての資料も用意したので、見ておいていただきたい。
3.伊豆原充・愛知県三好町青少年健全育成推進協議会委員
青少年健全育成推進協議会は、地域で子どもたちの成長を応援する役割を担っている。
名古屋市の小中の校長や、社会教育施設や市教委で仕事をしていた。今はボランティアで相談員もしている。
子どもたちのさまざまな問題は、教えることに力点がおかれ、育てることが軽く見られたことにある。育てることは時間がかかる。教育政策において、時間をかけることを軽んじ、結果や成果ばかりが求められる。できないままにして先に進んでいかなくてはいけないことが、子どもや教師を苦しめている。
子どもは、自分で育つ力を持っている。育っていくことを待つという視点が教育行政に欠けている。自ら育つ力をどのように支え、伸ばしていくかが教育の根幹である。
理想を掲げた現行の教育基本法は、社会の変化、多様化に応じきれないでいる。子どもの学ぶ意欲が低下している現状はたしかにあるが、それを作っているのは大人社会である。
自ら学ぶことを生涯にわたって保障されることが必要である。
教員の使命や身分の保障については、述べられているとおりである。自分は、昭和35年に教員になった。1人前の教師になりたいと思った。書物を読み、周りの人の支援で成長できた。また、教え子が私を育ててくれた。
義務教育の子は、教員を選べない。今の教員は、教師になっていくための研修、勉強に思いがいかない。これではいけない。
家庭教育においても、子どもを育てることにより、親が育つ。情報社会になって、ケータイ、パソコンによるいじめがある。家庭教育や情報教育の大切さを訴えたい。
教育振興計画について、国が基本法を作る。国から県教委、県教委から学校という上意下達の関係では、現場が受け止める状況がない。逆の流れも必要。
状況が変化していることから、慎重な審議をお願いしたい。
4.高橋哲哉・東京大学教授
教育基本法改正に反対する立場から発言する。今なぜ改正しなければならないか、説得力のある理由が示されていない。教育現場からの要望もない。東大の調査によると(校長に対する調査結果の説明)教育理由でなく、政治的意図からの改悪とさえ思える。
安倍首相は、戦後体制からの脱却と言い、憲法・教基法を占領時代の残滓と言う。根拠のない偏見である。南原繁の「日本における教育改革」を、改正に賛成の立場の人によく読んでほしい。教育がめざすものは、自律、自由の主体としての人格の完成と述べている。「品格のある国家」と比べてほしい。
また、教育基本法は、行政の役割を教育条件の整備に限定している。これを政府案では、10条を国と地方公共団体との適切な役割分担となっている。教育の主体を国民から国家に変えるものである。国家による国家のための教育に変えてしまうものだ。
2条に教育の目標をつくり、「愛国心」を入れた。命を捧げる人がいなければこの国はなりたっていかないということに、何を意味するかが示されている。これは53年の池田・ロバートソン会談で、教育と広報によって愛国心を養う必要があると言ったことに通じる。教育基本法の理念こそ、真の愛国心とよべるものである。
(このあとも、南原繁さんのことばを多数引用してみえました)
◆意見陳述のあと、4人の議員が順に質問
1.自民・猪口議員
Q(猪口)
「我が国の伝統・文化の尊重について、お聞きしたい。自分を構成しているものをよく知ることにより自信を持ち、より良くしていくことができると考える。『愛国心』を21世紀の文脈で語っていただき、ありがたい」
「少子化の時代である。2条3項に、正義と責任の次に男女の平等が、明確に書かれてあるところが良い」
「最近の青少年をとりまく状況について、認識を伺いたい。道徳心や公共の精神を、今後、教育においてどのようにしていったら良いかを考える必要がある」
「高橋先生については、意見が異なる。2条は当然の教育の目的であり、ご理解いただきたい」
A(馬居)
「すでに学校では国際理解教育などが行われている。すぐれた実践を評価して広げることが大切」
「国がどんな意味を持つのかを教えていない。男女共同参画については、1つの分野だけでなく、すべての分野でやる必要がある」
A(伊豆原)
「電話相談員や防犯パトロールを行っている。子どもたちの道徳心が失われてきている状況があるが、子どもたちは道徳心を持ってはいる。どのように発揮したらいいのかをわからない。子どもたちに道徳的な自立心を育てることを学校だけでやるのは難しい」
2.民主・牧議員
Q(牧)
「80数時間審議した。与党は、議論し尽くしたと言っているが、まだまだ掘り下げるところがある。70回の協議会の議論の内容が見えない。きちんと明らかにしてもらわなくてはいけない。国民的議論をする必要がある」
A(北)
「届いた資料が分厚くて驚いた。今の教育基本法のどこに問題があるか、これまでも十分に審議されたと実感された」
A(馬居)
「出てほしいと言われたのが金曜日。分厚い資料も読めない。準備する時間が全くない中で、実施するのはどうか。しかし、今回の法案を見て、なんとかなると思った。早く処理をして、次に進んでほしい。この先にある問題に対応したい」
A(伊豆原)
「資料を全部見るのはたいへんだったが、なんとか読んだ。ここに書かれてある審議の様子を読んで、子どもたちの実態をご存知ないと思った。まだ審議をする時間が必要。専門家の意見を聞いてそれでいいんだではなく、何が変わったかをもっと案内する必要がある」
A(高橋)
「東大調査で、小中の校長で、66%の校長が改正に賛成できない、85%が教育改革が早すぎてついていけない、と言っている。また世論調査でも、賛成の人は多いが、今国会での成立は拙速であると言っている。さらに、教育基本法の条文を知らない人が多数である。国民的な議論になっていない。現在の学校教育に問題があることに不安があり、教育基本法を改正するとどうかなると思っている人もいる。もっと国民的なレベルの議論が必要」
Q(牧)
「高橋先生とは考え方が違うが、国民的な議論が高まっていないことについては共通な認識。公聴会など、数回にわたってやる必要がある」
「民主党案は、国を愛する心を涵養するとしている。国を愛する態度との違いについて、どう思うか」
A(北)
「愛国心について、前文にあるか1条にあるかはあまり違いはない。2つの法案の違いはあまりない」
A(馬居)
「心は書くべきでない。心は入ってはいけない領域」
A(伊豆原)
「態度が形として求められることは、教育現場ではあたりまえのこと。心は、変える方向で努力しても、変えたかどうか結果を求めることは、現場にはなじまない。記述をどうするかについては、審議を重ねていかなくてはならない」
Q(牧)
「宗教教育について。民主党案には祖先を敬いときちんと書いてある。これは誰にも共通する部分である」
A(馬居)
「私立学校では優先するが、公教育には(聞き取れず)。今後一神教の人が入ってくる。そのとき、現場は触れたくないと言うだろう」???
A(伊豆原)
「子どもにとって、生きる死ぬのということが希薄である。根源にかかわることである」
3.公明・坂口議員
Q(坂口)
「愛国心について、国土、人を愛することは統治機構も入ってくる可能性がある。教える時にどんな方法をとると良いか」
A(北)
「我が国と郷土を知らせることが、理解の土台」
A(馬居)
「少子化の原因は教育である。子の幸せを思い、より高い学力と考え、都会に出て行く。男女が同じ基準で働くようになる。しかし、社会は変わらず、女が家事・育児を行う。人格の完成を目指す教育が、パートナーはいるが、人の世話はしないという女性を作り、男性はおいていかれた。子どもを産み育てる教育になっていない」
Q(坂口)
「育てることは大事で、その通りである。
伊豆原先生に、文科省から学校に下りる方向しかないのがいけないのかをお聞きしたい。また、高橋先生とは意見を異にするが、参考になる。教育基本法は現状のままで良いのか、将来もずっとこのままで良いのかについて、お聞きしたい」
A(伊豆原)
「変える機能、エネルギーが弱い。今の仕組みでは、現場の状況を聞く機能がない」
A(高橋)
「国家の理念を定める法律については、なければない方が良いとは考える。
今の教育基本法を変える理由は見出せない」
4.社民・保坂議員
Q(保坂)
「国とは何か」
A(高橋)
「英訳できないことに問題があらわれている。2条5項で、国は統治機構を含まないものとすると言われているが、法律で国という言葉を使うときは、統治機構をいう。法案の他の部分でも、国が出てくるが、それは統治機構のことである。統治機構が愛国心というときは、祖国を愛せと言う言い方をする。統治機構を含まないと言っても、歯止めにはならない。また、他国を愛するを入れても歯止めにはならない」
Q(保坂)
「いじめ、未履修、教育再生について」
A(北)
「教育再生会議は、当面の課題について審議する。教育基本法の審議とは違う」
A(馬居)
「現実の問題とは違う。現実はもっと早く変わっている」
A(伊豆原)
「現実にどう対応するかが、教育再生会議。教育基本法の審議とは一体でない」
A(高橋)
「含めてやることが必要」
◆感想
ホテルの広い部屋。ロの字に委員や陳述者が座り、1辺は、報道関係。報道関係は3列で50席以上あり、机つき。その後ろに椅子だけの傍聴席が50。
さて、感想です。
◇「地方公聴会」と言うからには、誰でも傍聴できるようにするべきです。傍聴したい人が申込みをして、人数が多いときは抽選するとかにするべき。少なくとも、そのような自由枠を作るべき。また、傍聴席は200とか300とか用意すべきです。及び、一般参加者が発言できる会にしてほしい。
以上の3点、@誰でも傍聴A多くの傍聴B一般発言 がないと、とても「地方公聴会」などとは言えません。
こんな「公聴会」をやって、審議は十分などとは許せない!
◇馬居氏は、少子化の観点から家庭教育の必要性を述べていました。戦後の教育が悪いから、女性が子どもを産まなくなった、家庭の大切さを教育で教えなくてはいけないとのことでした。
◇北氏は、伝統と文化の教育が大切と述べていました。新しい「愛国心」の教育が必要とのことでした。
◇伊豆原氏は、元教員であり、子どもたちに実際に接している人ならではの発言でした。教育についての考えは一致する点が多いのにもかかわらず、結論は、慎重審議、そして教育基本法は変える必要があるとなることに疑問を感じました。
◇高橋氏は、11月18日のあいち県民集会の講演者です。南原繁さんのことばを多く引用して、教育基本法の理念を格調高く述べました。保坂議員以外の議員が、質問のたびに「高橋先生とは意見を異にする」と発言するのが耳障りでした。(教育基本法「改正」情報センター・愛知特派員) |
11月6日
衆議院教基法特別委員会
井脇ノブ子(自民)
坂口 力(公明)
古本伸一郎(民主)
野田佳彦(民主)
武正公一(民主)
西村智奈美(民主)
石井郁子(共産)
重野正安(社民)
糸川正晃(国民)※質疑なし
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自民党の質問者は二人とも、「戦後教育の成果があった」と意見を述べていましたが、現行教育基本法の普遍的な格調高さを証明しているのではないでしょうか。
なぜ、改正しなければいけないのかの説明に、伊吹文科相は「現在に合わない」という回答ですが、改正しても又合わなくなるのではないでしょうか。素朴な疑問です。(H・K) |
11月2日
衆議院教基法特別委員会
松本剛明(民主)
岩國哲人(民主)
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11月1日
衆議院教基法特別委員会
保利耕輔(無所属)
田島一成(民主)
福田昭夫(民主)
土肥隆一(民主)
末松隆一(民主)
糸川正晃(国民)
菅野哲雄(社民)
石井郁子(共産)
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質問のやりとりを聞いて、これは、教育基本法を変えなくても現行法の運用の仕方で、話し合ってよりよい教育をすればいいのではないでしょうか。
切実な改正の意味はないと思いました。(H・S)
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10月31日
衆議院教基法特別委員会
稲田朋美(自民)
斉藤鉄夫(公明)
北神圭朗(民主)
西村智奈美(民主)
松本大輔(民主)
横山北斗(民主)
高橋千鶴子(共産)
保坂展人(社民)
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国連規約との関係について
通常国会の5月24日、26日に続いて10月31日午後、特別委員会を傍聴しました。
前回も感じたのですが、変える必要のない教育基本法を何とか変えようと、屁理屈を、膨大な時間と労力(国会議員様の)を使って議論しているのを見て、この国は狂っていると改めて思いました。
いろいろと感じたことはあるのですが、国連規約との関係で、(中)高等教育の無償化について、前回も議論され、この日も話題になりました。(民主党松本大輔委員)
この問題については、全日本学生自治会総連合(全学連)の代表2名が今年8月ジュネーブの国連人権擁護・促進小委員会で訴えました.僕も国際人権活動日本委員会として同行しましたので、少し詳しく書かせていただきます。
民主党案の第八条3に「高等教育については、無償教育の漸進的な導入及び奨学制度の充実等により、能力に応じ、すべての者ものに対してこれを利用する機会が与えられるものとする」と書かれています。
この点について、経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約又はA規約と略称)は、第十三条2(C)で「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者ものに対して均等に機会が与えられるものとすること」と書かれています。(B)では中等教育について同趣旨のことがかかれています。
日本政府は社会権規約を1979年に批准しましたが、(B)と(C)の「無償教育の漸進的導入」については留保しました.社会権規約委員会は2001年日本政府定期報告書の審査でこの「留保の撤廃を検討することを要請する」と勧告しています。勧告をどう実施しているかを含め、定期報告書は5年毎に提出するもので、今年6月30日がその期限でしたが日本政府は提出していません。
松本委員は「無償教育導入を批准していないのは153ヶ国の中で、マダガスタル、ルアンダ、日本の3カ国だけだ(アメリカはA規約そのものを批准していない)。報告書はいつ出すのか」と質問し、麻生外務大臣は「作業が膨大なので」と言い訳にならない意味不明の応えをしていました。日本政府は他の自由権規約の報告書も4年以上期限を過ぎていますが提出していません。
全学連は日本の学費の高さを資料も使って訴えました。公立大学で年間約80万円、私立大学約130万円、アメリカは50万円程、フィンランドはゼロ、ドイツ・フランスは1〜2万円だと。この訴えは、ジュネーブの日本人、踏めて外国人に好評でした。
日本での「無償教育の漸進的導入」の闘いは必要です。
しかし、民主党さんよ、この闘いは教育基本法を変えなくてもできるのです。日本政府に批准させればいいのです。民主党は教育基本法改悪案を撤回すべきです。そして野党が団結して、自・公案を廃案にするために頑張ってください。(Y・K)
本31日、10時から5時まで衆議院「教育基本法特別委員会」を傍聴しました。直接肌で感じたことを、簡単に報告させていただきます。NHKの実況がなかったせいか、本音がチラチラでていました。
稲田(自民):
★いくら良いものでも、占領下はダメ
のっけから、「戦後レジームからの脱却が大事。占領下で出来た憲法や教育基本法を『良いものは良い』などと言ってはダメ、戦前の良き伝統を取り戻す」の強調。”なぜ教育基本法の「改正」が必要なのか”という問にはまともに答えられない。
★行政の不当な支配と言われないように、『法律の定めるところにより行う』という呪文をいれた。
;「東京都の行為は教育基本法10条に違反、不当な支配にあたるなどという地裁の判決が出た。16条に、『不当な支配』という言葉が残っているが、大丈夫か」との問に、文科省の田中局長答えていわく、「『教育は、不当な支配に服することなく、法律の定めるところにより行う』と入れてある。これによって、行政が法律に則って行う全ての行為は不当な支配とはみなされなくなる」と、胸を張って答弁していた。→なるほど、そういうカラクリになっているのか。
★民主党案の前文は素晴らしい!
「前文に愛国心がしっかり、入っている」、「本来、自民党と、民主党は変わらない」・・・と随所で誉め、民主党を何とか引き込もうという、魂胆がミエミエ。逆に公明党が、民主党との違いを強調するという変な構図も。
高橋(共産):
★タウンミーティングには、裏でちゃんとシナリオが?
政府が全国各地で、国民の声を直接聞くといって開いているタウンミーティグ。だが、開催前に裏でこんな秘密文書が。
県の教育事務所から学校長宛にあらかじめの具体的な発言依頼や、「頼まれたと分からないように」という注意書きなどの資料を、文科大臣に手渡したところで、あわてた自民党から「そんな予定は聞いていない」とつぶしがかかり、理事会で協議に。
保坂(社民):
★安倍さんはイギリスの教育改革を絶賛するけれど、現地ではその見直しが!
「『美しい国へ』の中で、安倍さんが絶賛するイギリスのサッチャーが計画・ブレアが実施したという「教育改革」も、バウチャー制度で地域間格差が拡大するなど、色々と大変な歪みが出てきて、イギリスでは見直しに入っているが」と聞いたところ、文科大臣は「我が国では、そこまで行っていない」→人間を相手にしている教育というのは、大きく間違ってから直したんでは取り返しがつかないんだよ!
◆明日も10時から特別委員会が終日開かれる予定。自民党は、連休明けの11/6(月)にも、地方公聴会を開いて、強引に衆議院突破を狙っているとか。
しかし、いじめ事件の続発や、高校の必修単位漏れの対応をきちんとやることの方が先、拙速をさけ、充分な審議を!という世論と、新聞の論調も大きくなってきています。(T・Y) |
10月30日(午後)
衆議院教基法特別委員会
質問者
大島理森(自民)
鈴木恒夫(自民)
西博義(公明)
鳩山由紀夫(民主)
野田佳彦(民主)
笠 浩史(民主)
牧 義夫(民主)
志位和夫(共産)
保坂展人(社民)
糸川正晃(国民) |
31日も傍聴者が多く、私は立ち席で記録を取ったり、30分ごとの傍聴者入れ替えで階段上り下り往復6回もやったり、待ち時間は控室でテレビを見て記録するハードな時間を過ごした。昼休みは衆院議員面会所での報告集会をしていた団体に合流して国会議員報告を聞いてしまったので昼食時間なし。外を見ると、通りはシュプレヒコール、デモ隊の旗、音楽などで騒然とし、まさに院外も院内も、、、といった一日だった。
▼自民、公明の質問や政府答弁は聞くのに相当の忍耐力を要するが、かれらの意図、世論操作の思惑など見え隠れして面白い。最後の共産党の秘密文書発言も、今度こそ政府はここまでやって教育基本法を通したい、「教育改革」を進めたいという黒いたくらみが国会で見え隠れする。今回に限らず世論操作はこれまでも当たり前で、公文書で指示やり取りが行われる大胆な内閣府、教育庁、各地教育委員会に善悪の区別を持つ人物はいないのか。
やり取りに危険な本音も、そこから私たちが洞察する危険を打開する方向も、生で見聞できる国会。その様子を帰ってみなさんに伝えられるチャンスを私は与えられたと思う。と、捉えれば長時間傍聴も楽しい。特にNHKが全部放映しない日の傍聴は値打ちがある。
これらの様子を部分的にしかマスコミが伝えないからこそ、傍聴者がリアルに全貌・真相を語れば基本法改悪をとめる材料の一端を得て伝えることができる。
▼稲田(自民党)議員の質問に思うように政府が答えない時は自分勝手な断定の文言を、質問者の言葉で確認して議事録に残す強引手法。「無理が通れば道理ひっこむ」政権党の傲慢さを若い女性議員がやる怖さを見た。「教育基本法をなぜ改正するのか」質問し自ら「1.状況の変化、2.憂うべき子ども問題、3.制定過程に先の戦争への深い反省」と答えた。その3.をあえて取り上げた意図は、、。単純、飛躍、我田引水の理屈展開に唖然。曰く、敗戦、占領下の教育基本法や憲法は「すばらしい理念などと良ければ良いと言うのでなく、占領下という制定過程に問題ありだ。戦後レジームからの脱却が必要だ。占領政策によって無くされた日本の良き伝統を取り戻さなければならない。だから『改正』だ」と。 どこかで聞き、すでに教科書問題で聞き慣れた主張を繰り返す。
▼「基本法第10条の不当な支配めぐる混乱が戦後続き、教育行政も不当な支配だとされた。このようなことはいけない。この改正によって、教委の指導は不当な支配でない。一部の勢力が教育に介入することが不当な支配となる」と質問は続く。
質問で自民党議員は、「9.21東京地裁判決は東京都教委の通達を不当としたが、(通達を詳しすぎるというがここまでいちいち言われる混乱が現場にはあるからだ)都教委は控訴した、孤独にたたかう校長を守るのが政治に力だ、学習指導要領は国会で決めた学校教育法、政令に基づき文相の告示であり法の一部だ、(答弁に「義務」の言葉がないと)つまり教員には「義務」があるということですね」と確認して質問を終わった。「教育は不当な支配に服することなく、法律の定めるところにより行う」と、「国民全体に直接責任を負って行なわれる」を削除、「法律のさだめるところにより行う」とした。質問の焦点が政府案解説になっていて、それを議事録に残す。
▼「規範意識」、「自覚と責任」が、自民党質問者や伊吹文科相からたびたび発言された。これからは現場に押し付けられそう。いじめ問題や未履修問題を最大限利用して。
成果主義と格差、貧困について、厳しい現実のなかに生きる子どもたちにとっては辛いのに、その現実を逆手に取った自民党議員の質問と政府答弁が続く。「いじめの多発は学校の指導力低下だ。子どもにはいのちがかかっている。(「あなたにそれを言われたくない」と私の心が反発していた)文科省の指導力を強めよ。バウチャーなど市場競争原理を働かすべき」に文科相は「教育再生会議から義家委員など派遣し調査中だ。現実がうまくいかなくなった時こそ規範意識を大切にしたい。未履修問題は学校が規範意識を持っていたかどうかだ。公教育は10兆円の公費出費に似合う成果が挙げられなければならない」と。
▼教育再生会議と教育基本法「改正」は矛盾しない。改正内容は法律なので、再生会議が違うことを決めたらその内容を切り落とすと答弁した。
▼民主党議員から「あしなが育英会」の子どもたちの機会の平等がなくては結果の平等がないとの質問が現実を表す統計を駆使して行われる。高等教育を受ける権利について厳しく、格差の進行で、地域間格差、自由競争で同じスタートに立てない現実を是正せよと迫る。
▼高橋(共産党)議員は質問の最後に、通告なしに突然タウンミーティング裏工作(実際はサクラづくり)秘密文書を文科大臣に手渡した。驚いた自民党理事らが森山真弓委員長席に駆け寄り、発言中断、理事会預かりとなった。
翌日、石井(共産党)議員が正式に質問し、野党のとりくみに発展した。国民の声を直接聞くと称して始まったタウンミーティングが、実は内閣府、県教育庁が作成した文書で進められていることが判明した。
当日、高橋議員は青森県内の教育事務所と同県教育庁が地元中学校長あてに「タウンミーティングの質問のお願い」と三つの質問を提示し、そのひとつを質問するよう依頼した文書、そして「内閣府から棒読みは避け、自分の意見として言う」アドバイスまで書いた文書を示した。
教育基本法「改正」のための世論づくり、やらせ質問を内閣府、教育庁自らが画策する醜い事実が国会で明らかになった。(H・G)
▽11月中旬の山場に向け、国会内外、各地域で草の根から「拙速を避け、十分な審議を」「教育基本法の改悪でなく、いじめの問題、未履修の問題をはじめ子どもの苦しみ、心の叫びに耳を傾け真のとりくみを」の声をあげ続け、国会に届け続けましょう!
自民党の大島理森氏は、改正の必要を3点あげました。曰く立法時と日本の現状とが変化している。最近は生きるすべが外部化(ゼロ歳保育などを例に)がすすみ、家庭の教育力などが問題である。今起こっている問題との関係のなかで、条文を付け加えるべきものがある・・・。改めてなぜ「改正」の必要性を説き起こさざるを得ないのは、「朝日」などの社説も指摘しているように「改正」の理由がはっきりしていないからで、世論調査も慎重審議が多数だからです(伊吹文科大臣は、改正は必要との世論を高めたいと答弁する一幕もあるぐらい)。
次に、民主党に対して、自民党が執拗に迫ったのは、教育基本法の「改正」で一致している。議論の引き延ばしを図るのではなく、いいものを一致してつくろうとの誘いと牽制でした。現場から押されて出した、日教組の書記長談話(内心の問題を法律に書き込むことの批判、間接的な民主党案に対する疑問)をとりあげ、こうした支持団体を押さえて、民主党案でいけるのかとも。
民主党は、TVを意識しながら、いじめ問題や未履修等に対応できるのが民主党案と売り込みながら、愛国心の涵養なども態度の育成の政府案より優れているとの「右」からの揺さぶりをかけ、民主党案を飲むなら、明日にも採決できると発言。その上での徹底した審議を強調。議論の内容では、家庭の教育力、規範意識などしばしば政府、与党とダブル。民主党の笠(りゅう)議員は、安倍氏などと同様イギリス改革を礼賛、民主党をイギリスのブレア政権たらんとしていました。
未履修問題
伊吹文科大臣は、野党の意見も聞きながら、不公平感が無いよう、補習は受けてもらうが、生徒が途方に暮れることがないよう(負担を軽減する方向)救済策を今週末までに出すことを表明。また以下のような未履修の数字を明らかにしました。野党は、この問題といじめでの通常の文部科学委員会での集中審議を要求しています。
国立15校では無い。公立289校/4045校(7.1%)人数で47,09人[内訳:70時間以内、37,254人、70〜140時間、8,722人、140時間以上、1,118人]。私立高校は明日発表。
報道によれば、茨城県では校長がこの問題で自死?
いじめ
共産党と社民党が集中してとりあげる。共産党志位委員長は、TVで報道された、いじめ報告しようとしたら、校長からとめた事例をあげ、件数で学校や教員を評価する。だから隠蔽がおこるのではないかと追及。伊吹文科大臣は、教員に規範意識がないからも知れないなどとし、目標を立ててやることはやめられないと開き直る。
志位氏は、教育基本法が「改正」されたら、教育基本計画で目標達成が義務づけられ、いじめが増える恐れがある。計画に言及した中教審ではいじめについては、5年間で半減との数値目標だけしかあげられていない。それだけが義務づけれ、件数の削減だけが物差しとなり、教師と学校を追い込んでいる。文科省が先頃対策として出した文章では、いじめは早期発見とそれへの対応が大事といっているのに・・・。
安倍首相は、目標をもっていじめを減らすことと、隠蔽することは別である。工夫をたてることが大事、先生にすべてを担わせるのは大変かもしれないが、地域も含めてリーダーシップを発揮するのが学校と述べました。
さらに志位氏は、いじめの原因は、何なのか。生徒の道徳心の問題なのかと問いかけ、北大の調査(3000人以上)によれば、日本の生徒はストレス、抑圧感が高いことを示している。抑圧感。小学生7.8%、中学生22.8% 中三30% 欧米と比べて高いと資料を紹介したたみかけました。
社民党保坂氏は、99年以降いじめでの自殺は、ゼロとなっていることを取り上げ追及しました。
それにしても、民主党は3時間を使って、だらだら、共産党20分、社民党20分とは・・。改正反対の声を大きくし、世論を変えさせないことですね。ニューステーションによれば、47%が「改正」でよくなると思わないで、良くなるとおもうを10%上回っています。(S・T)
30日の傍聴希望者は150人近くいて、傍聴席は44人分しかないため、30分交替で傍聴した。迷路のようなところを通って狭苦しい傍聴席に入ると、この日は特別委員会の初日とあって、報道陣がカメラをずらっと並べていて、NHKテレビで中継されるとのこと。なんだ、無理して傍聴しなくても視聴者が見ているのか、とも思ったが、せっかく来たのだから最後まで傍聴しようと、1時から5時までの4時間、傍聴席と、すぐ下のテレビ画面の見られる待合室のような所と行ったり来たりして傍聴した。
特別委員会と言っても、特別委員でない議員でも質問できるらしく、民主党の鳩山由紀夫や笠浩史、共産党の志位和夫なども質問に立ったが、民主党は持ち時間を持て余しているかのように、山谷えり子首相補佐官をなぜ出席させないかなどのくだらない質問で時間を無駄にしていたので腹が立った。時間が要らないなら必要な人にゆずってほしいと思ったほどだ。野田佳彦、牧義夫などの民主党委員も「わが党の改正案の方が、教育を受ける対象を日本国民だけでなく何人(なんぴと)もと書いてあって、実態にあっている」「わが党の案と政府案とは共通点が多いけれど、政府案の『国を愛する態度を養う』では外形的なものに過ぎない。わが党の案では『国を愛する心を涵養する』と書かれていて、まさに心の教育であり、求められているものだ」などと主張して、民主党案の方がよいように思われて逆に恐いような気もしてくる。志位和夫の質問はいじめに悩んで自殺した子どもたちの問題を取り上げ、子どもたちが強度のストレスを抱えていることがいじめの背景にあることを指摘していた。「政府案のように教育基本法が変えられ、学力テストをすべての小中高等学校で実施して公表するなどしたら、ますます子どものストレスが強まり、いじめが減るどころか増えてしまう。いじめの件数の多少で学校や教員が評価されるからいじめ隠しが起こっている。どこの教育委員会の調査でもいじめの件数がゼロになっていることは、隠蔽が行なわれている証拠だ。いじめの件数を調べるよりも、いじめをどのようにして解決したかを問うアンケートを行った方がよい。『いじめを解決するには、担任任せにせず、教職員が一致団結して当たることが重要だ』と文科省の報告書にも書かれている。教員どうしが競争させられていたのでいじめは減らないと思うが、どうか」と首相に質問していたが、首相はのらりくらりとはぐらかしていた。いじめ問題だけでなく、もっと多くの問題に言及したかったのだろうが、与えられた時間が短くて残念だった。
明日以降はテレビ中継がされないから、野次や罵声が飛んだりして聞くに堪えないものになるかもしれない。強行採決もありうるだろう。傍聴行動が今日以上に重要である。ファクス攻勢も有効であるらしいから、諦めず、最後の一瞬まで努力しよう。(S・A)
民主党の憲法、教育基本法改悪することを前提とした議論にはただただ失望しました。民主党は4名で1人40分もとっていながら質問内容はひどく、彼らが紹介する民主党案の酷さに改めて怒りすら覚えました。教育委員会を廃止し市民オンブッド制度の採用や心の涵養を強調することで自民党案の「態度」との違いを明らかにしようとしていました。いじめで命を絶つ子どもが立て続けにでているなかで、この問題ときちんと向かいあって教育の議論がなされるべきだと思うのですが。それにしても民主党は、日教組の代表が議員でいるはずなのに、あんなに酷い案を作成してしまったのか疑問に思います。早速、民主党の今日の質問者及び民主党に抗議と質問書を送ることにします。
もうひとつ文部大臣の驚愕発言がありました。「民主党案のように教育を首長に任せたら、選挙で選ばれた人だからジェンダーのようなイズムに偏った教育になる」といったのです。これは言葉を正確に記録し抗議すべきだと考えています。(F・K)
10・30と31の両日、午前.午後の6時間、国会傍聴に出かけてきました。傍聴希望者が多いので、30分間の入れ替えで、出たり入ったり慌ただしいものでした。簡単な報告をします。
初日(30日)、安倍首相をはじめ自民党は「すでに通常国会で50時間の審議をやってきた。国民の前で論議をやり深まってきている。民主党とも教育基本法を変える事は一致し、類似点もある。70〜80時間で充分、残り20〜30時間で審議終了。」とさかんに民主党を揺さぶる。
昨日の昼の与野党理事会で自民は「公聴会開催」を提起し、野党4党は結束を固め拒否した。自民は来週早々にでも強行採決に持って行こうと虎視眈々と狙う。
イジメ自殺、未履修問題の新たな問題、「日の丸.君が代」強制に対する地裁判決など、新たに起こっている問題一つひとつを教育基本法改正との関係で、徹底した議論、審議の必要性がましています。絶対に拙速な採決を許してはなりません。
イジメ問題に関しては、安倍首相も伊吹文科相も盛んに教師の「規範意識」を強調している。野党からは「学校における競争が子どもに強いストレスある。そのはけ口にイジメの行動も調査結果で示さている。教育行政の調査をすればするほど、背景には過度の受験競争がある。」と指摘されても、安倍首相は「ストレスといじめの関係はなんとも申し上げられない。」と逃げ、伊吹文科相は「競争は必要」と答える。
未履修問題でも、昨日の野党から「解決法」を求められて、伊吹文科相は「競争原理否定は本末転倒、防止策はまず『自覚と責任』・『規範意識の欠如』と責任を教育委員会と校長に押し付ける。茨城県では履修不足が発覚した県立の校長が自殺したとの痛ましい報道も入る。センター入試制度の欠陥とともに、文科省の、ゆとり教育と称しての「週5日制」を始めとして、ころころと変わる教育行政の責任がいまこそ問われている。どの子も大切にする現行教育基本法の精神を一貫してないがしろにしてきた事を棚に上げて、今起きている問題のすべてを教育基本法になすりつける卑劣さを広く多くの人に知らせるチャンスです。声を出し続けましょう。
自民の超タカ派で占める国会の「教育特別委員会」の場は、世間と全く空気が漂います。一番後ろの席で、普段はほとんど居眠りしているチョンマゲノの「松浪」とプロレスラーの「馳」は野党質問には盛んに野次を飛ばす。今この国の未来が大きく変えられようとしている、しかし国会審議は余りにも緊張感がなさすぎます。持ち時間が少ない、共産・社民は教育現場の実情からの説得のある奮闘をしています。改正を許すか許さぬか今週、来週がまさに正念場です。国会の内と外との更なる運動の広がりが重要です。それぞれの持ち場で奮闘しましょう。(H・N) |
10月25日
衆議院教育基本法特別委員会
伊吹文明文科相
高井美穂(民主) |
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