徹底監視!教育基本法「改正」法案審議
衆議院・文部科学委員会、予算委員会など


■参議院・教育基本法に関する特別委員会

■衆議院・教育基本法に関する特別委員会

月日 会議名 発言者など 監視員名 監視コメント
11月8日
衆議院文部科学委員会
馳浩(自民)
遠藤乙彦(公明)
笠浩史(民主党)
11月8日の文部科学委員会はいじめ問題、高校未履修問題についての集中審議。

伊吹文科相は、センター試験を高校卒業資格認定試験に性格を変えること、国の地方教育行政への関与を強めることを明言。その一方で高校未履修問題では学校現場は厳しく処分する一方で、文科省の役人が県教委に多数出向していたこともあり教委の責任問題は当面、追求しないと答弁。

*馳 浩(自民党)
最初はいじめの「定義」を見直せと質問。伊吹文科相は行政を行う上では「定義」をつくる必要がある。見直してもまた問題が出てくるだろうと答弁。「自殺予告」の手紙について、伊吹文科相は、「使われている文句や、教育行政についてよく知っていることから、いろいろな可能性がある」と大人が偽装したかもしれないという趣旨の発言をした後で、教育委員会などの行政に「隠すな」といっているので公表したと答弁。いじめは社会現象、自民党の中にもあるなどとも発言。文科相が問題を深刻に受け止めているかどうか疑問に思った。

馳委員は、教員経験から、「どの学校にもあの先生には任せられないという教員がいる。問題を抱えている子どもは一生懸命指導する先生のクラスに入れる」、教職員の評価にあたっては数字だけではなく、子どもとコミュニケーションをとってがんばっている人を評価してほしいと発言。ただし、教員評価そのものの是非にはふれていない。数値以外でどのように評価するのかを深めた議論はなし。

高校での未履修問題に関して、学習指導要領の法的拘束力とは何なのか、守らなくても罰則はないのかと質問。伊吹文科相は、学校教育法、政令(ママ)、それに基づく告示で指導要領は定めている。しかし学校教育法にはその法の性格からして罰則を設けることは難しい、指導要領を守らなかった場合のペナルティーは人事権、管理権で行う、しかし私には(地方の教員への)人事権、管理権はない、いずれ教育委員会と話し合うと答弁。しかし当面は今の混乱している問題の解決が先決と述べる。また、入試にあわせて指導要領を変えるという意見があるが、私はとらないと明言。センター試験では、必須科目で一定の点数があるか確認すべき、センター試験のあり方も変えなければならない、高校での習熟度のチェックが必要、高校長の認定には任せていくわけにはいかない、官僚に検討するよう指示したと答弁。これはセンター試験を高校卒業資格認定試験に変えようとするもの。重大な制度変更で高校教育全体に関わる問題である。

馳委員は私学を管轄する知事部局は私学助成で手がいっぱいで、私学の管理が出来ない、府県教育委員会が私学を所管するように要望。伊吹文科相は、私学行政のあり方は問題である、だから教基法改正案に私学の条文を設けたのだと答弁。今回、私学が行ったことは法律違反。しかし私学の人事権は私にはないと答弁。

・・・伊吹文科相はしきりに「私には権限がない」と発言している。地方で生じた「不祥事」を口実に国・文科省の権限を強めようとする意図が明確に見て取れた。

*遠藤乙彦(公明党)
遠藤委員は、いじめ防止対策の法的基礎について詳しく質問。スウェーデンのいじめ対策を例にだし、「いじめ対策防止基本法」の成立を求める。例によって、法律・制度を作ることによって公明党の業績にしようとする考えか。公明党は教基法改正が教育問題の解決につながると主張しているようだが、今日の質問では教基法改正案との関連での発言はない。教基法を政府案のように改正してもなんら問題解決に結びつかないことを暴露した。

遠藤委員は、いじめ問題に関してはスウェーデンの例を紹介することが中心で一夜漬けの学習をしての質問かと感じた。

高校未履修問題では、責任の所在、処分はと質問。伊吹文科相は、未履修問題での通知の時に、「私信」として、教職員をきちんと指導してほしいと書いた、軽微な処分でお茶を濁さないようにということを伝えてあると紹介。それへの反応を確かめたいと答弁。

*笠 浩史(民主党)

青森でのタウンミーティングでのやらせ質問について質問。責任は文科省にある、処分はと質問。伊吹文科相は、やらせがあってはいけないが今回の事例は特別なものだという趣旨の発言。 

いじめによる自殺の発生件数で、文科省の調査と警察庁の調査とでは大きな違いがあることを追求。つづいて、高校未履修問題で、文科省の役人が「報道されたから全国調査をした」と発言したと紹介し、文科省の体質改善が必要なこと、文科省も規範意識が低下していることを問題にし、さらに形骸化した教育委員会は廃止をと主張。

伊吹文科相は、県教委に権限があっても問題が生じている、知事部局に与えて良くなるのか、どのような権限を与えるかが問題。携わるものの規範意識がないとだめだ。県教委と、市町村教委、国の関係は今のままではいけない、もう少し国の関与を強くすると発言。地方分権法のあり方がよかったか疑問に思うとも発言。

未履修問題を利用して、国の権限を強くすること、地方分権を見直すことまで答弁。

笠委員は、未履修をわかっていた教委の数を質問。伊吹文科相は、現場は混乱している、これが終わらないと調査にも取りかかれないと答弁。

・・・伊吹文科相は未履修問題については府県教委(さらにはそこに出向していた文科省の出身者の責任)の詳細な調査を行うことを拒否。
10月30日
参議院行政監視委員会

質問者
櫻井 充(民主)
10月30日開催の参議院行政監視委員会で,民主党の櫻井充議員が質問しました.

経済財政諮問委員会と教育再生会議の違いは?
 前者は内閣府設置法で設置が決まっており,後者は閣議決定
 緊急性と幅広い人材を集めるという点から閣議決定で設置した.
 前者の議長は首相であり,後者は首相は構成メンバーではあるが,座長は野依氏(補佐官は事務局長)
 前者は諮問に対して答申するが,後者はそのような役割はない.

中教審と教育再生会議との関係は
 教育再生会議で扱う問題で文科省の所掌する問題について,
 より具体的な施策を審議する必要があれば中教審で審議する.

教育再生会議の担当補佐官と文部科学大臣の関係は?
 補佐官の職務は,首相の命を受けて首相に意見を具申したりすること

(従来重要な案件については,特命大臣をおいていたが,今回の教育再生担当の補佐官には,特命大臣のような行政的な責務は負っていないと解釈できる?逆に言うと,櫻井氏は,教育再生会議の決定事項には,法的な拘束力はないことを確認したと述べた.)

教育再生会議は,従来の内閣府の重要政策会議とはかなり性格が異なるようです.櫻井氏は,この点について,性格の異なる会議をいくつも設置することは行政の性格をゆがめると批判していました.(F・K)
10月26日
参議院文教科学委員会

佐藤泰介(民主)
蓮舫(民主)
山本かなえ(公明)
鰐淵洋子(公明)
井上哲(共産)
午後は参議院で文教科学委員会が開催されました。

佐藤泰介(民主)はいじめ問題や教員評価問題、国立大学運営交付金問題について、蓮舫(民主)・山本かなえ(公明)はいずれもいじめ問題を中心的に取り上げた。佐藤議員は日教組出身にふさわしく、教員免許更新制度への反対、バウチャー制度・学力テスト問題への危惧などを訴えていた。また、佐藤議員は自分の出身大学である愛知教育大学が、運営交付金の削減のために教育・研究が非常に困難になっている、と指摘した。山本議員は、その他に奨学金の充実を訴え、答弁にたった池坊文科副大臣とともにいつものように自党の宣伝に終始した。鰐淵洋子(公明)は読書推進を訴えたが、見るべきものはなし。

井上哲(共産)は、来年4月に実施される学力テストの結果の公表の仕方について質問し、梅宮初等中等教育局長は「個別学校ごとの公表は、過度な競争・序列化を助長しかねないので控えるよう自治体に要請している」と答弁した。さらに伊吹文科大臣は、「すべての学校がうまくいっているという前提であればいいが、そうでない場合には(学力テストや評価、学校選択制度の導入などの)痛い手術も必要」と強弁した。
10月26日
参議院文教科学委員会

中川義雄(自民)
大仁田厚(自民)
伊吹文明文科相

26日午前は、参議院文教委員会が行われた。質問者は中川義雄(自民)および大仁田厚(自民)の二人で、滝川市で発生したいじめ自殺の調査についての質問が行われた。調査の方法および信頼性をめぐっての質疑に終始し、市教育委員会の隠蔽が行われたのであって、その後の文科省が行った調査のありようを問題とした。

その答弁の中で、伊吹文科相は、どこに調査権があるのかについて、選挙で選ばれた者(国会議員、首長、地方議員)は、一定の政治的信念を持って活動をしており、そのようなものが教育に介入することは好ましいことではないし、地教行法が教育委員会の権限を定め、文科省の役割もそこで限定されているのであって、法治国家の日本ではそれに従って調査を行っているとの発言があった。この確認は重要であるが、他方、法律が変われば国や政治による介入の余地があるとも受け取れなくもない(すこし穿ちすぎかもしれない)。

他方、大仁田議員は、学校、教育委員会の調査については信用できないと強調し(過ぎて他の議員から落ち着くように諭される場面も)、国による介入権を広げることを求めている、あるいは教育委員会の廃止を求めているとも言えるような発言をエキサイティングに繰り返していた。

いすれにせよ、これらの問題で教基法との関係は全く現れてこなかった。
10月23日
参議院本会議

塩崎恭久国務大臣(北朝鮮による拉致問題担当)
福島啓史郎(自民)
犬塚直史(民主)
阿部晋三首相ほか
テロ特措法の一部改正(現行法の期限を1年間延長)について、塩崎国務大臣から趣旨説明があった後、福島啓史郎議員、犬塚直史議員がそれぞれ質疑をした。犬塚氏に対する答弁の中で、安倍首相は、憲法制定の過程の問題について触れ、占領軍の影響下にあったことは事実であり、自主憲法制定の必要があるとの持論をくりかえしました。

教育基本法「改正」に関連する質疑、答弁はありませんでした。
10月20日
衆議院文部科学委員会

鈴木恒夫(自民)
遠藤乙彦(公明)
藤村修(民主)
伊吹文明文科相
池坊保子副大臣
自民党鈴木恒夫と公明党遠藤乙彦と民主党藤村修が質問。伊吹文相がほとんど答弁。1回だけ池坊副大臣が答弁。いじめ関連の質問・答弁が多かった。これに関わって、大臣は、報告、連絡、相談、確認の4つを徹底するとし、国、教委、学校との関係では、現在、省が学校に直接調査に入れず、教委と一緒でなければできないことについて検討するとしている。

教育再生会議、中教審、文科省との関係については、免許更新制など中教審で結論が出ているものについては、再生会議を待たずに進めていくべきだというようなことを言っていた。再生会議は、労働、福祉、社会など、総合的に議論が必要なものに力を発揮するようなことを期待しているとしていた。

教育や福祉、医療などは、競争はいいが、市場原理を持ち込むべきではないと述べていた。ただし、効率化が怠られてきており、効率的運営が行われているかを学も含めて検討する必要がある。特に義務教育は、日本人として生きていくための最低限の学力と、ルール、規範意識を育成するために国が関与する。

民主党とのやり取りは、文相就任時に、大臣がこの程度のボリュームの法案では、70から80時間で十分だと言ったことについてが中心。大臣は、行政改革法案に比べて、関連する分野が少なく、ボリュームが少ないこと、これまでの50時間の議事録では、同じ質問が何度も繰り返されていることを理由として挙げていた。藤村議員は憲法との対比、国旗国歌法との対比で、十分な審議がもっと必要であることを主張。藤村議員から、大臣が考える教育の目的は何かと問われて、現行教基法の、人格の完成と、国家社会の形成者と挙げていた。

大臣の公務の都合があったらしく、早めに休憩に入った。
10月19日
衆議院青少年問題特別委員会

高市国務大臣
福岡資磨(自民)
井脇ノブ子(自民)太田和美(民主)高井美穂(民主)伊藤渉(公明)
石井郁子(共産)保坂展人(社民)
午前は、衆議院青少年問題特別委員会が開催されました。

今国会初会合であるため、冒頭、高市国務大臣ほかのあいさつがあり、引き続き、福岡資磨、井脇ノブ子(自民)、太田和美、高井美穂(民主)、伊藤渉(公明)、石井郁子(共産)、保坂展人(社民)による総括質問が行われました。自・公・民の各委員は、滝川と福岡のいじめ自殺の問題を中心に取り上げ、それに引きつけ、特に井脇委員は、自らが学校経営していることをふまえ、「いじめ」の対応の現役教員のまずさから、教員の資質向上の観点から、教育実習の6週間への拡大、海外協力隊などでのインターンシップ、免許更新制を主張していました。また、「不適格教員を辞めさせるのは難しい」との発言まで登場しています。

その他、犯罪特にネット犯罪から子どもを守る施策について(高井委員)、社会全体の教育力(伊藤委員)、若年無業者の問題(石井委員)、児童養護施設での問題(保坂委員)などについて質疑がなされました。

現在の青少年の諸問題についての質問に対して、文科相初等中等局長等が出席して応答し、さまざまな施策を講じるとは述べるものの、教育基本法にまで言及するものはなく、改めて教基法と教育現場での問題とは結びつかないことを自ら示している。

午後の本会議では教育基本法「改正」に関する議事、発言はありませんでした。
10月18日
国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)


安倍晋三首相
小沢一郎(民主)
小沢民主党党首と安倍総理大臣との党首討論

民主党党首の小沢氏は、最初に「憲法改正の問題、時間があれば教育の問題、北朝鮮問題での総理の認識をお尋ねしたい」と述べて、討論を始めている。しかし、時間切れのため、小沢氏は用意した「教育の問題」での質問をまったく行っていない。そのため党首討論は、「憲法改正」問題と「北朝鮮問題(周辺事態)」が主要な内容となった。

「教育基本法改正」問題と関係しているのは、安倍首相の憲法改正論である。安倍首相は、小沢氏からの「なぜ、憲法を改正するのか」という質問に答え、持論の「憲法改正の3つの理由」を述べている(安倍氏は、教育基本法改正の理由についても著作の中で、まったく同じ3つの理由をあげている)。「首相として憲法擁護尊重義務があるが、私は従来から、憲法の改正を主張してきた」と語った安倍首相は、「@憲法の制定過程の問題、占領軍の影響を受けて制定された問題。A半世紀以上たっており、時代にそぐわない条文があるし、新しい時代にふさわしいものにしていくべき、B国の形や理想を、自らの力で書き上げていくべき」と答弁。この答弁に対し、「@点以外については、他の法律の場合にも当てはまるのではないか」と指摘した小沢氏は、「@の点が最大の改憲理由ではないか」と指摘。歴史の転換点における歴史認識や他国の事例との比較を問うている(ドイツやフランスの憲法制定過程。ハーグ陸戦法規など、占領下の改憲問題)。このやりとりは、簡単にまとめることができないような煩雑なものなので割愛する。ただし、小沢氏の質問は、「安倍さんの理屈は、『占領下の憲法制定は無効』としたほうがいいのではないか」というもの。しかし、安倍首相は、「占領下の憲法制定は無効と考えていない」と答弁。保守系の論客の多くは、ハーグ陸戦法規に基づき「占領下の憲法制定は無効」を力説しながら改憲論を主張しているが、小沢氏は、その問題点を突いたと言える。

衆議院文教科学委員会について

10月18日、衆議院・文教科学委員会が開催された。伊吹文部科学大臣の所信表明演説のような、教育政策全般に関わる演説があった。そののち、副大臣(池坊保子、遠藤利明)と政務官(小渕優子、水落敏栄)が短い挨拶を行った。伊吹文科省の演説内容は、「教育基本法に関する特別委員会」における質疑においても繰り返されるフレーズで充ちていると思われる。伊吹文科省は、「心豊かでたくましく、創造性に充ちた優位な人材の育成」という万国共通の、普遍的な教育理念だけではなく、「日本が伝統的に大切にしてきた規範を大事にすべき」と強調、「教育基本法改正案の早期成立についての協力」を訴えた。伊吹文科省は「制定以来半世紀が過ぎ、冷戦構造の終結、長寿社会の到来、共生社会や地球環境の保全(の必要性)など、我が国をめぐる状況が大きく変化するなかで、道徳心や自律心、公共の精神、国際社会への寄与などをより一層重視することが求められており、教育の根本を定めた教育基本法を改正し、新しい時代に求められる教育理念を明確にしつつ、教育改革を進めていくことが必要」と強調、「その上で、安倍内閣が進める公教育の再生に取り組んでいく」と述べた。伊吹文科省は、安倍首相と少し異なり、「基礎的な学力と日本人としての規範意識」といういい方をし、道徳教育や奉仕活動についても言及。また、全国学テの実施、第3者評価の導入、優秀教員への表彰やメリハリのある教員給与体系の導入などなど、教育施策全般について言及した。
10月13日
参議院予算委員会

魚住裕一郎(公明)
山本保(公明)
市田忠義(共産)
福島みずほ(社民)

山本議員の子育てをしている女性の社会参加、そのための子育て支援に関する質問があり、伊吹文科大臣は、「子育てする女性が社会参加することは大事な権利。学校・教育を受ける権利も保障されている。そのためのメニューとしては通信教育があるが、学んでいる女性のために子育て施設を充実しなければならない」、池坊文科副大臣は、「奨学金は公明党の尽力によって拡大している」「再チャレンジのためには教育が大事」と答弁し、公明党の政策宣伝に終始した。

市田議員は、ワーキング・プア問題、派遣・請負問題で追求した。教育問題・教育基本法問題には触れなかった。

福島議員は、「愛は強制できるものか?」「教育基本法改正で国を愛することを強制するものになるのでしょうか?国を愛する態度を評価し、強制することになるのでしょうか?」と質問した。伊吹文科省は「国の愛し方は一人ひとり異なっているので、これを国が押し付けることはしない」と答弁し、安倍首相は「愛は強制できない」「小泉前首相が述べたように、学校で通知表を用いて評価することはしない」と答えた。さらに福島議員は「一人一人異なるものを教育できるのか?」「愛国心を強制することは、戦争に反対する自由を奪うこと。これは歴史が示していることではないか」と迫り、これに対して、首相は「私たちの教育基本法改正案とは関係のないこと。国や郷土を愛することと、時の内閣・政府を愛することは違う」と答弁した。福島議員は最後に、「それではなぜ、教育基本法にわざわざ書き込むのか、改正の理由がない」と指摘した。
10月12日
参議院予算委員会

吉村剛太郎(自民)
金田勝年(自民)
愛知治郎(自民)
山下英利(自民)

安倍晋三首相

10月12日午後、参議院予算委員会では、吉村剛太郎(自民)、金田勝年(自民)、愛知治郎(自民)、山下英利(自民)が質問に立った。北朝鮮の核実験問題の質疑の応答の中では、国連の安保理常任入りをめざすことが強調された。教育問題については、愛知議員が「“子どもは大人社会を映し出す鏡”だと考えるが、どう思うか」と質問。安倍首相は「歴史に謙虚に学び、私たちの歩んできた歴史に誇りを持つことが大事」と答弁した。さらに愛知議員は、環境問題について質問し、安倍首相は「美しい国。自然との調和を求めてきた我が国の伝統文化がある」と答弁した。愛知議員はこの問題の最後に、社会全体で子育ての環境を整えるために、里親制度の充実を訴えた。
10月12日
参議院予算委員会

高橋千秋(民主)
浅尾慶一郎(民主)
吉村剛太郎(自民)

10月12日午前に開かれた参議院予算委員会では、高橋千秋(民主)、浅尾慶一郎(民主)、吉村剛太郎(自民)が質問者であった。

民主の二人は、定率減税の廃止、郵政民営化などを中心とした質疑であった。定率減税の廃止は、「増税ではなく元に戻しただけ」と受け取れる認識を財務相は示した。

吉村委員は、新憲法によって初めて自主独立が達成できるとする「押し付け憲法論」と、安保条約について、総理の祖父である岸信介を取り上げながらその積極的意義を述べていた。

教育については、話題とならなかった。
10月11日
参議院予算委員会

西岡武夫(民主)
広野ただし(民主)
福島みずほ(社民)

安倍晋三首相
伊吹文明文科相

前半の審議は、外交問題をテーマにした集中審議であったため、教育基本法問題に少しふれたのは、社民党の福島議員のみ。同議員は、質問のまとめの中で「愛国心を入れた教育基本法に改悪して、国のために命を投げ出すことを美しいとした、戦前のような教育にすることは許せない」と訴えた。

後半の審議において、民主党の西岡武夫議員と広野ただし議員が、「教育再生」問題に関する重要な論点で、安倍総理や伊吹文科相とやりとりをおこなった。西岡議員は、持ち時間切れで用意していた教育問題での質問を十分できず、「それは別の機会
に回す」としながらも、以下の論点で安倍総理を追及。

@「教育再生会議」の位置づけ問題。教育再生会議で全て決めるのか。官邸機能の強化ということには賛成であり、有識者委員には敬愛申し上げている方もいて質問しづらい面はあるが、この会議は、最終的に誰が責任を負っている会議なのか。教育問題では与党の文教部会があり、文科省もある。教育再生会議とそれらとの関係や調整問題はどうなるのか。

A「教育行政の責任」問題。学校教育行政の最終責任はどこにあるのか。

安倍総理は、@の質問に対して「再生会議で全てを決めるのではなくこの会議は英知を結集する場」と答弁。責任問題では「私の教育再生策を実行するための会議であり、当然、私が責任者。与党も責任をもってまとめていく」と答弁。伊吹文科相は「教育の関係省庁は文科省だけではないし、文科省だけで教育を再生することはできない。再生会議で総合的に検討してもらうという趣旨だ」と答弁。Aに関する質問に対して、安倍総理は「最終責任は、私と文科大臣にある」と答弁。安倍氏が「地方の場合は、その自治体の長に責任がある」等と答弁したため、西岡氏は「総理は教育行政の現状や仕組みについて余りご存知ない。文科相に聞く等、教育行政の実態を自ら調べてほしい」と要望した。

広野ただし議員(民主党)は、いじめ、不登校、中退などの実態について数字をあげつつ、「安倍首相はどのように教育再生していくのか」と質問。安倍総理が「子ども達に規範意識を身につけさせる」等と答弁したため、広野議員は「規範意識だけでいいのか」と再質問。安倍総理は、「個別的な対応(カウンセラーの配置)や地域が一体となった総合的な取組みが必要」と答弁した。

「少し気になった点」=民主党の広野議員が「英語教育」問題を質問した際、伊吹文科相が、日本語教育を重視する視点から「英語教育への慎重」論を力説したのに対し、安倍総理は、文科相の答弁に配慮しつつも「その問題は専門家によって検討してもらい、学習指導要領をつくっていく」と答弁。総理大臣と文部科学大臣がニュアンスの異なる答弁をおこなった点。(T・K)
10月11日
参議院予算委員会

舛添要一(自民)
柳田稔(民主)
森ゆうこ(民主)
今日は外交問題特別審議のため教育問題は論議されませんでした。

以下、印象に残った発言。
舛添委員は集団的自衛権を行使できるように求め、久間防衛庁長官が、個別的自衛権と集団的自衛権を峻別することが問題だとし、その中間の部分が大事だと発言。

舛添委員は個別的、集団的自衛権を峻別する意味はなくなっていると主張。新しい時代に新しい憲法をと発言。

安倍首相も、21世紀にふさわしい国づくりをするために憲法を私たち自身の手でつくることが必要、自民党総裁として政治スケジュールにのせたいと発言。

北朝鮮のミサイル問題を憲法改正の必要に結びつけようとする意図が明確に示されていた。

松田稔委員は、北朝鮮が核実験を行ったときに久間防衛庁長官が衆院補欠選挙の応援のため大阪にいっており、核実験時に連絡が取れなかったことを問題に。内閣の危機管理体制の不備を追求。

新潟出身の森委員は拉致問題を取り上げた。
10月10日
衆議院予算委員会

杉浦正健(自民)
東順治(公明)
前原誠司(民主)
中川正春(民主)
笠井亮(共産)
保坂展人(社民)
糸川正晃(国民)


安倍晋三首相
K・H(教育基本法「改正」情報センター)

@ほとんど、核実験問題、中・韓訪問問題に終始。
A杉浦正健(自由民主党)質問に対する阿部首相答弁において、日韓の共通基盤として、これまで指摘されていたように“法の支配”ではなく“「法律」の支配”の語が使われていた。
B前原誠司(民主党・無所属クラブ)質問:歴史認識に関わって、首相になってから「村山談話」を「受け入れる」、「河野談話」(従軍慰安婦問題)を「継承する」としたことは、前に言っていたことと異なる。説明すべき。
 ⇒阿部首相答弁:「大局的に判断」「ご批判は甘んじて受ける。」
C前原誠司(民主党・無所属クラブ)質問:「靖国神社参拝しないと明言すべき。」
 ⇒阿部首相答弁:「政治問題化・外交問題化を避けるために、行く行かないは、言及すべきではない。敢えて宣言しない。」
D笠井亮(日本共産党)質問:「年内に有識者の歴史共同研究を立ち上げる」とされているが、何を目的に、どのように進めるのか?
 ⇒阿部首相答弁:「双方の歴史家がアカデミックな議論を重ねることを期待する。枠組み・課題も、専門家に検討してもらう。」
10月10日
衆議院予算委員会

保坂展人(社民)

衆議院予算委員会は外交問題が中心で、教育問題は保坂議員が取り上げたのみ。その内容は概略以下の通り。

児童養護施設の子どもの大学進学率、生活保護世帯の子どもの大学進学率を問いた だす。厚生労働大臣は、前者について、平成16年度19,1%)、後者について(新規高卒者の10.3%)と解答。保坂議員は、この数字が専門学校を含む高等教育進学率であることを指摘し、大学進学率は前者については、1231人中97人、8%に満たないと指摘。安倍は格差の再生産を行なってはならないといっているが、高等教育無償化条項(A規約)の留保の撤回をしない理由を伊吹文科大臣に聞く。伊吹文科大臣は、「日本の場合は、最小限の学力と日本人としての規範を身につける義務教育は中学校まで。中学校卒業後、働いている人との公平観を考えて、無償化しない」と解答。(Z・Z)
10月5日
衆議院予算委員会

中川昭一(自民)
斉藤斗志二(自民)
森英介(自民)
(教育基本法「改正」情報センター)

中川委員は全般的な質問のため、教育に関連する事項についてはほとんど質問できなかったが、日本人としての誇りを持つために必要なものはambition, brand, educationあわせてABEと言って、「美しい国」は中身を伴うためには人間づくりが必要でABEをもった「心の美しさ」を求めているんだとまとめていました。

教育問題については斉藤委員が質問をしましたが、「学力、体力、社会規範の低下」「ゆとりがゆるみを生み」「自主性が責任放棄となり」「個性尊重が放任になった」これらの教育課題を解決するために教育改革が必要である。それに対して伊吹文科相は、「諸々の教育不信、不安」を除去し、「活力ある経済」を目指した教育が必要であり、「戦後60年たって、生活様式が変わったので教育理念が上手く機能しているのかという反省」が必要といって、やはり教育基本法の何が問題なのかは、一切触れることがなかった。また、免許の更新制について、教基法の審議の結果を受けて来春には議論したい、と述べ、今臨時国会で教基法、次期通常国会で学校教育法などの法改正を行う意思を明らかにした。
10月5日
衆議院予算委員会

石原伸晃(自民)
赤松正雄(公明)
菅直人(民主)
印象に残った点
(1)教育改革については、斉藤鉄夫議員(公明党)の質問の中で、やや具体的なやり取りがありました。「政治からの中立性や継続性・安定性の観点から教育委員会は大事」と答弁していました。教育基本法改正は、今国会で成立させるよう全力を尽くす、と語っていたことも印象的でした。
(2)教育再生会議がどういう問題について議論をするのかは、さっぱりわからない答弁でした。
(3)菅直人議員(民主党)の質問は、中心的には「安倍首相の歴史認識について」がテーマでしたが、歴史教科書問題にも若干触れられていました。とにかく「外交問題になるので、歴史評価は控えたい」の一点張りでした。

-------以下、主な質問のやり取りです-------------

石原伸晃(自民党)
・年金問題について、安倍首相「年金制度は信頼が大事」、石原議員「改革を進めてなおお金が必要であれば歳入を増やすこと(消費税UP?)も国民は納得するだろう」・外交問題について、麻生外務大臣「いちばん危険なのは日本」・教育改革について、伊吹文科大臣「安部首相が言うような、この国の形、『規律を守り、凛とした、心やさしい』国をつくるための教育をやりたい」・石原議員「最後に若者たちへのメッセージを」にこたえて、安倍首相「この国の未来を信じ、自ら動いていってほしい」

北側一雄(公明党)
・日韓関係、日中関係について、北側「いっそうの交流促進を。「ビジット・ジャパン」を継続して、中国・韓国からの観光客を1000万人に」
斉藤鉄夫(公明党)
・教育改革について、斎藤議員「教育の党、公明党」と宣伝して、「現行教育基本法はたいへんすぐれているが、家庭教育や生涯学習の理念が触れられていない。自然を大事にすること、郷土を愛する心を書き込むなど、偏狭なナショナリズムではない、すばらしい改正案になっている。ぜひ今国会で成立させたい」。「教育再生会議は何をめざすのか」。
・安倍首相「教育基本法改正案を成立させるよう、全力を尽くしたい」。「公教育が今のままでいいと考えている人は一人もいないだろう。だから英知を結集させて改革に取り組むために、教育再生会議を設置した。教育現場の創意工夫を支援するために、できるだけ教育現場の意見を踏まえたい」・斎藤議員「教育行政について伺いたい。規制改革会議が教育行政の廃止を言っているが、教育行政の独立性は必要だ。教育委員会が問題をたくさん抱えているのは事実だが、」
・安倍首相「『政治的な中立性』は大事な問題。教育委員会は中立性や継続性、安定性、さらに多様な民意を反映させているシステム。ただ、実験的な取り組みは行ってみよう、ということになった。」
・斎藤議員「格差があってはならないと考えるが、義務教育費、さらには幼児教育の無償化をめざしたい。高等教育費は奨学金の拡充で」・安倍首相「奨学金については努力をしたい」
・斎藤議員「公立学校の再生を」
・安倍首相「誰でもいけるのが公教育。公教育が不十分になれば私立や塾に流れてしまう。公教育の再生が大事」
・伊吹文科省「核家族化、共働き化がすすんでいる。両親が勤めている場合、放課後子どもの行き場がない。この問題については138億円の概算要求をしている。安心して両親が働けるようにすることが、少子化対策にもなる」
・斎藤議員「文化予算が世界と比較しても低い水準に止まっている」
・安倍首相「我が国の優れた伝統文化の継承発展のために、文化振興に取り組みたい。豊かな人間性を育むことにもつながる」・斎藤議員「構造改革で格差社会になった、という指摘がある。構造改革は必要な改
革だったが、この指摘を謙虚に受け止めなければならない」
・安倍首相「構造改革で長い停滞から脱却してきた。社会的弱者に光をあてていくことも政治の役割。がんばる地方を応援するフォーラムを開催していきたい」
・斎藤議員「団塊ジュニアの世代に、90年代から後半の時期、『就職氷河期』の時期があった。個人の努力の問題ではなく、正規雇用の道を開く努力をすべきで、政治のリーダーシップが必要」
・安倍首相「就職の機会を逸して、年長のフリーターが増えているのは確か。中途採用の機会を増やすことが大事なので、企業側に要請した。企業側も眠っている人材を掘り起こすというメリットがある」
・斎藤議員「フリーターの増加の問題の裏側で、正社員の長時間労働、メンタルな病気も増えている。ワークバランス、ワークシェアリングのインフラ整備を。」
・安倍首相「仕事と生活の調和に関する立法をつめていきたい」

赤松正雄(公明党)
・赤松議員「ガン対策について」
・赤松議員「憲法について。昨日の代表質問で、全面改正を答弁した。憲法調査会では、憲法の点検を行っただけ。全面改正は必ずしも多数ではなかった。」
・安倍首相「現行憲法が占領時代に作られたものであることは事実。我々の手で憲法を書き上げることが大事。今後、与野党の間で議論が深められていくことになる」

菅直人(民主党)
・菅議員「危うい時代に入っている。社会全体が何か不安。国家主義・国粋主義的な主張が耳に入りやすくなっている。従軍慰安婦問題についての河野官房長官(当時)談話について」
・安倍首相「これは現在の政府としても受け継いでいる。私自身が内閣総理大臣として、当然受け継いでいる。」
・菅議員「考え方を変えたのか。総理大臣になれば、考え方が変わるのか」
・安倍首相「強制性に関するさまざまな議論があった。河野談話は閣議決定されたものなので、政府としても個人としても当然引き継ぐものであり、新たな談話を発表する考えもない。村山談話も認識は同じ」
・菅議員「かつて植民地支配があったことを認めるのですね」
・菅議員「岸元総理が日中会戦に署名をしたことについて、どう考えるか」
・安倍首相「会戦の結果として、多くの命を奪ったことについては、当時の為政者たちの責任がある。だから安保条約にも署名した」「歴史認識について政治家は謙虚であるべきで、歴史家に任せるべきだ」
・菅議員「歴所教科書について熱心だったのに、おかしいではないか」
・菅議員「靖国神社に参拝したか?」
・安倍首相「外交問題に関わるので、それは言わない。そのことも含めて国民の判断を仰ぎたい」
10月4日
参議院本会議

浜四津敏子(公明)
安倍晋三首相
☆浜四津敏子議員(公明党)
 冒頭、国立医療センターなどの医療機関が独立法人化で予算が削減され深刻な問題が起きていると指摘。それは法案審議のときにわかっていたことではないのかと思った。公明党は法人化に反対したのか。質問では憲法改正問題については触れず。安倍内閣の2大公約の一つを質問しないことが大きな問題。
 教育問題では公明党の「実績」を色々と指摘。これからの教育のありかたについて述べたが、そこからいきなり教育基本法の改正に飛躍。浜四津氏がのべた教育のあり方からは教育基本法を改正する理由は導かれない。むしろ政府の改正案の内容を批判する質問。
 安倍答弁では「規律ある人間」という言葉が乱発された。安倍答弁でも教育基本法を改正する理由は示されなかった。教育の目的を述べたが、「人格の完成と同時に志ある国民を育て、ひいては品格ある国家、社会をつくること。」と国家に奉仕する人間をつくることが教育の目的であると明言。これが改正の真のねらいの一つであろう。
 「現場からの教育改革」と「教育改革への決意」についての質問への答弁はほとんど同じことを述べていた。

 以下、その詳細。
☆浜四津質問
 不登校、校内暴力、学級崩壊、切れる子どもなど子どもの心をめぐる問題が指摘されている。公明党は子どもたちの心を豊かに、生きる力を育むための政策を数多く提案し実現してきた。
 具体的には、
1.子どもの読書活動
2.自然体験、職業体験、ボランティア体験などの体験学習
3.舞台芸術、伝統・文化を学ぶ機会の提供
4.食育の推進
 教育改革で大事な視点は、学校、地域、家庭という教育の最前線で教員、保護者、子どもなどが実際に抱えている悩みを直視し、それらの問題解決に具体的な有効な手をきめ細かく行うこと。すなわち現場からの教育改革が必要である。
 国、社会のその質を決めるのは構成員一人一人の人間にほかならない。豊かな心や人への思いやりをもち、生きるたくましさを培い、他の人々や社会に貢献する子どもたちを育てる真の人間教育を実現することにより、その結果として日本を真の平和国家、人道国家として実現出来ることは間違いないと確信する。
 私たちの世代は未来への世代への責任としてよい教育を実現していく義務がある。かつての日本の教育はまず国ありきであり、その視点から行われたと言っても過言ではない。
 戦前は軍国主義教育、戦後は経済大国に資する人材を育成する教育だった。
 しかし本来、教育は国にとって都合のよい人材を育成するためにあるわけではない。
 子どもたちが一人の人間として人間性豊かに、力強く、幸福な人生を送り、人々や社会にも貢献できる真の人間力を育むことが教育の目的だ。
 3年間の議論の末まとめた与党の教育基本法改正案もそうした理念、目的に立っている。
 子どものための教育という視点にたって教育の再構築に国を挙げて取り組む必要がある。

☆安倍答弁
 私のめざす「美しい国、日本。」を実現するために次代を背負う子どもや若者の育成が不可欠である。教育再生を国政上の最重要課題の一つとして位置づけ取り組む。
 まずは今国会における教育基本法案の早期成立を期すとともにすべての子どもに高い学力と規範意識を身につける機会を保障するために公教育を再生する。
 学校、家庭、地域社会の教育現場の目線に立ち、学校運営協議会の設置の推進、やる気と能力のある教員が教育に専念できる環境の整備など、教育現場の創意工夫が十分に生かされる環境を整えたい。
 教育の目的について、教育の本質は、教えるものと学ぶものとの人格的ふれあいの中で一人一人の能力を最大限伸ばし、その可能性を開花させ、自立した個人として人格の完成と同時に志ある国民を育て、ひいては品格ある国家、社会をつくることにある。豊かな人間性と創造力をそなえた規律ある人間の育成に向け教育の再生を図る。
 「美しい国、日本。」を実現するためには次代を背負って立つ子ども・若者の育成が不可欠である。教育力の低下が指摘されている。規律ある人間の育成に向けて教育再生を国政の最重要課題として位置づけ、まずは教育基本法案の成立に向けてしっかりと取り組み、公教育の再生のために内閣に教育再生会議を早急に発足させる。

☆平田健二議員(民主党)
 教育問題に言及なし。
10月4日
参議院本会議

有村治子(自民・前文科大臣政務官)
安倍晋三首相
伊吹文明文科相
教育問題にふれた有村氏は、「総理は、教育基本法改正を今国会の最大の課題としているが、教育基本法改正は、一刻の猶予のない課題」と力説。

次に、国旗・国旗問題にふれた有村氏は、「日の丸を背に国際舞台で活躍するスポーツ選手(荒川静香選手、イチロー、松井選手)に日本人が感動する気持ちを大事にすべき」と指摘。その上で、「子ども達が、日本の国柄を、ごく自然な環境の中で、日本に対する誇りを育んでいけるよう、『気がつけば国旗がはためいていた』と感じられるようにすべき」と強調し、「総理は、どのような施策で子ども達に日本への誇りを持たせるべきと考えているのか、お聞きしたい」と質問。また、有村氏は、教科書無償制度の意義を徹底してこなかった問題にふれ、この間、教科書会社各社への働きかけで、来年度以降、「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金でつくられています。大切に使いましょう」と全教科書に記載されることになったと語った。

〔安倍首相の答弁/伊吹文科相の答弁〕
(安倍)「国を愛する教育についての質問があった」と前置きした安倍総理は、「我が国には、美しい自然があり、長い時間をかけて紡いできた歴史や文化、伝統があり、それらへの理解を深め、尊重し、我が国を愛すると共に、他国を尊重する教育を推進してまいりたい」と答弁。(伊吹)「昭和38年の教科書無償制については、憲法の『教育を受ける権利』を守る立場から継続していきたい。教育は、国民の税金で支えられているが、その教育を受けるものが、将来、年金・医療・介護の世代を支える人間になってほしいと考えている」と答弁。

〔質疑の中で気になった点〕
有村氏は、冒頭から、「連綿と受け継がれるいのちと国柄」という言葉を使うなど、「国柄」という言葉を繰り返し、「家族の絆」とともに「国家の尊厳」を「かけがえのない価値」と明言。「安倍総理が、めざすべき国家理念として『美しい国』論を語りはじめたことは意義深い第一歩」とし、「美しい国づくり内閣」を絶賛。かなり保守色の強い質問であった。(T・K)
鈴木憲(民主)
安倍晋三首相
伊吹文明文科相
鈴木寛議員は、民主党のネクスト文部科学大臣として、「日本国教育基本法案」(民主党案)を対置させながら、代表質問をおこなった。

@「民主党案は『美しいものを美しいと感ずる心を育み』等と明記しており、安倍総理の『美しい国づくり』は結構だが、矛盾と欺瞞だらけ」と批判。

A「安倍総理は『基礎学力と規範意識を身につける機会の保障』を重視しているが、3年前から増えている、校内暴力、子どもの生命にかかわる犯罪の問題こそ深刻な問題。命の大切さの教育こそが重要であり、民主党案は『生命及び宗教に関する教育』の条文を入れているが、政府案は中教審答申からも後退している」と指摘。「インターネット教育もそうだ」と付け加えた。

B「安倍総理の教育改革論の最大の欠陥は教育予算について語っていないことだ」と批判。「教育予算を削減する自民党か、未来への投資として重視する民主党かが問われている」と強調。

C「安倍総理の教育改革の手法は、教育現場への圧力強化と、教師への『ひょうりょう攻め』のやり方だ。今、教師は疲れきり、疾患も多くなっている」とし、「金子郁容教授と私が7年前に提案した『コミュニティー・スクール』構想こそ、本来の教育改革論だ」と力説。

D「教育格差の解消が急務であり、再チャレンジを言う前に、人生の第一回目のチャレンジの機会を保障することが重要」と述べ、「それぞれの人が、それぞれに相応しい教育を受けられるようにすることが政治家の責務」と力説。

E「経済的格差の下におかれた子どもの底上げこそ重要であり、教育削減を法定化している行政改革推進法をかえなければならない」とし、「民主党案には、『高等教育については、無償教育の漸進的な導入』とあるが、奨学金制度を充実すべきだ」と強調。

F「外部評価による数字による評価では、数字によらない価値を現場が軽視することになってしまう」と指摘。「国の監察官による評価は信憑性がなく、『コミュニティーの評価』を普及すべき」であり、民主党案は「地域立学校化の全面的な推進を制度的に保障している」と言及。

G「教員免許を新制導入は慎重に」とした上で、「更新制を導入しても管理職の仕事が膨大になり増えるだけ」と批判。「京都市の指導力教員対策のようなものをひろげるべき」と指摘。

〔安倍首相の答弁〕
@「いのちを大切の教育については、一度失われたものは元にもどらないことをはじめ、自他の生命尊重を道徳教育の中で重視していく」「危険を察知し、自らの命を自分で守れるようにするための安全教育も推進していく」

A「政府提出の教育基本法案には、生命を尊ぶ態度や宗教に関する一般的教養について新たに盛り込んでいるが、基本的な理念や原則を定める性格の基本法案なので、インターネット問題など個別具体的なものは規定していない」

B「民主党案についての論評は控えさせていただくが、活発な議論は期待する」

C「教育予算は未来への先行投資であり、教育再生にとっても重要だが、一方厳しい国家財政の中、歳出歳入一体改革にとりくんでおり、効率化を徹底しつつ、必要な財政措置を講じていく」

D「教師の問題は、教育再生にとっても重要課題であり、教師が意欲をもち続け、その態度を高めつつ、最大限の力を発揮してもらうことが大切。そのためにも、体系的な研修の充実、優秀な成果をあげた教師に対する優秀教員表彰の実施、能力・実績に見合った教員給与体系の検討など、教員の資質向上のための取組を、積極的に講じていく」

E「経済的に余裕のない家庭の子どもに対する教育充実問題では、習熟度別少人数指導や授業時間数の確保などにより、基礎基本の定着を図るとともに、教育免許更新制や外部評価の導入を図る等、『公教育の再生』に取り組む」

F「簡素で筋肉質の国づくりのためには、教員も含めた行政改革(総人件費削減)の推進は必要。その際、公立学校の教員の質の低下をもたらさないために、習熟度などに必要な定員を確保するなどの措置をとる」

G「教育の機会均等のために奨学金制度は重要である」

H「学校の外部評価問題だが、学校が教育目標を設定し、評価を行い、改善を図る学校教育評価システムの導入は重要。この第三者評価は、客観性をもつた評価であり、地域住民の評価(『コミュニティーの評価』)にも役立つものであり、学校教育の質の向上のために必要」

I「教員免許更新制の導入は、教員の意欲や質を向上させるために寄与するもの。内閣に『教育再生会議』を発足させ、推進していく」

[伊吹文科相の答弁]
「放課後支援について、核家族化、共働き、かぎっ子現象。学力、人格にとっても重要。受け皿少ない状態。放課後支援は、少子化対策としても必要」。

[問題点として感じた点]
@安部総理の答弁は、結局、「教育の再生」論を強調するものだが、安倍構想が「第三者評価」論であることが明確になった。A鈴木議員は、迫力ある質疑をしているものの、「コミュニティー・スクール」構想等の対置に終わっている。
(T・K)
市田忠義(共産)
安倍晋三首相
「学校選択制を全国に広げようとしている、安倍総理の教育論」を問うた市田氏は、「東京では、すでに23区中19区で選択制が導入され、その結果、入学者がゼロの小中学校まで生まれている」と指摘。また、「国が監察官を全国に配置して、学校、教師、子ども達を監視して、評価し、問題校は民間に移行させ、国家が問題だと判断した教師は辞めさせる。さらに学校を序列化した上で、国がいい学校と判断した学校には予算を配分し、悪い学校はつぶす。それでは、そこに通っていた子どもはどこにいったらよいのか」と、安倍氏の教育論の問題点を指摘。市田氏は「地域から学校をなくして、どうして義務教育が成り立つのか」と述べ、「国がやるべきことは、一つひとつの地域の学校の教育条件の充実であり、公立学校を競争させ、成果主義で淘汰する。これが、人として生きる基礎を身につける義務教育なのか」と追及。安倍氏の教育改革論は、「いまでも多くの弊害を生んでいる、管理と競争の教育に、一層の拍車をかけるものであり、教育内容に対する国家の無制限の介入を図るものだ」と批判した。

〔安倍首相の答弁〕
@「義務教育改革については、全国どこでも一定水準の教育を受けられるようにするため、その成果を把握、検証する仕組みが重要。全ての子どもに高い学力や規範意識を身につける機会を保障できるようにするため、教員の質の向上のための施策を行うと共に、学校同士が切磋琢磨して、質の高い教育を実現できるよう、外部評価を導入することが必要。その上で、問題のある教員や学校については、その再生を図ることが重要で、ご批判は当たらない」

A「教育に対する政治的責任の問題だが、近年、子どものモラルや学ぶ意欲が低下し、子どもをとりまく家庭や地域の教育力の低下も指摘されており、家族、地域、国、そして命を大切にする豊かな人間性と創造性を備えた、規律ある人間の育成に向け、公教育の再生に取り組む」

[問題点として感じた点]
安倍総理の答弁は、「義務教育の構造改革は全く正しい方向」という考え方のもの。質問者との間で、教育の根本的な把握で、大きな相違がある。
(T・K)
福島みずほ(社民) 教育について福島氏は、「安部総理はイギリスのサッチャー元首相による教育改革を絶賛しているが、今、イギリスの教育改革は見直されている。底辺校が廃校においやられる等、多くの子どもの心が傷ついている。そのことを総理はご存知か」と質問。福島氏は「安倍氏の教育改革論は、子ども達は切り捨てるものであり、公教育の破壊にほかならない」と批判。また、福島氏は「国家のために命を投げ出すことが美しいとされた戦前教育の反省から生まれたのが、教育基本法である」とし、「教育基本法は改憲すべきでない」と力説した。また、福島氏は、「日の丸・君が代予防裁判についての画期的な判決」についても、安倍首相の姿勢を問いただし、「戦後否定、憲法否定の安倍内閣と全面対決する姿勢」を強調した。(T・K)
10月3日
参議院本会議

太田昭宏(公明)
志位和夫(共産)
日森文尋(社民)
安倍晋三首相
今日、10月3日、衆議院本会議における代表質問をインターネットで傍聴した。

安倍新首相の答弁は、自説の復唱に留まり、質疑を通して、自己の施策を批判的に検討し、あるいは、その内容を対抗原理と調整して、より穏当なものにする、という
姿勢をまったく欠落させていた。

教育には直接関連しないが、集団的自衛権行使の研究を開始するとの方針に対する批判に、「憲法改正の目的が海外で戦争をできる国づくりとの批判はまったくあたらない。」と答弁されては、"居直り"としか言いようがない。

今日の質疑では、公明の太田昭宏氏、共産の志位和夫氏、社民の日森文尋氏が質問に立った。野党の安倍首相に対する教育に関わる質問は、新自由主義教育改革で強化される公教育の競争主義的性格、それによって生まれる格差の拡大に対する批判、東京地裁9・21判決を受け止めて、愛国心教育を見直すべきではないかとの追求、安倍がモデルとしているサッチャー教育改革がすでに失敗しているのではないかとの追求、
さらには、特攻攻撃に出撃した青年の苦悩を理解しているのかとの追及がなされていた。しかし安倍首相は、それらすべての質問に対して、"聞く耳持たず"との姿勢を示した。

東京都の日の丸・君が代強制については、学習指導要領の関連部分を読み上げて、東京都は「適切に判断し、対処していると考えている」と答弁し、それに続けて、国旗国歌に関する指導が「全国の学校において」行われるようしっかり指導すると断言していた。また、悉皆方式の学テ、学校選択、監査官による監査、懲罰的予算配分という自らの構想についても、すべての子どもにより高い学力と規範意識を身に付けさせるためには「学校同士の切磋琢磨」「外部評価」が必要という自説を強調していた。さらに、成績の低い学校に対する懲罰については、「教員、学校の再生を図るのでご指摘は当らない」とも答えていた。しかし、教員の再生は、教員の配置換えを、学校の再生は校長の首のすげ替えを意味しているのであり、これでは答えにならない。

安倍首相にとっては、内心の自由や、子どもの人間としての成長発達といったことは、考慮に値しないことなのだろう。

そして、焦点の教基法改正については、「今国会における早期の成立を図る」と、遂にはっきりと答弁したのである。

なお、太田氏への応答のなかで安倍首相は、教員給与制度の改革、すなわち、「優秀な教員の表彰」、「メリハリをつけた教員給与」制度の導入を指摘していた。また伊吹新文科省は、教育の目的が「日本人として生きていく基礎学力」「日本社会で生きて行くのに必要な社会規範」を身に付けさせると答弁していた。"良き国民形成""学テ体制""教員管理"という筋が示されていた。

議論の府である国会での論戦を、自己のプランの建設的な見直しにつなげない、という姿勢を首相が示して良いのだろうか?憲法的価値をまったく考慮しないという姿勢を首相が示して良いものなのだろうか?日本国憲法に規定された国会の国権の最高機関性と基本的人権の危機をひしひしと感じた。
(Z・Z)

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