2006年9〜10月 165国会・衆議院(2006年11月) 参議院(2006年11月)
教育基本法に関する特別委員会名簿(10月25日現在)
衆議院強行採決・参議院強行審議についての見解
政党/全国紙/地方紙/団体
日付 | 国会動向 | 報道 |
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■11月17日 | ||
■11月16日 | 本会議 | 参院17日審議入り 教育基本法改正案 教育基本法改正:与党単独可決 混乱覚悟で正面突破 先送り方針転換、首相の意向強く 教育基本法:単独可決に、首相の「意向」強く働く |
■11月15日 | 教育基本法に関する特別委員会 中央公聴会 公述人 1 鹿野 利春 石川県立泉丘高校教諭 2 出口 治男 弁護士・日弁連教育基本法改正対策協議会会長 3 松下 倶子 独法国立青少年教育振興機構理事長 4 西原 博史 早大社会科学総合学術院教授 5 広田 照幸 日大文理学部教授 (順不同・応募時の肩書き) |
教育基本法改正案、衆院特別委で可決 参院特別委員長に中曽根弘文氏 教育基本法で自民内定 教育基本法改正案を単独採決 衆院特別委 教育基本法改正案を可決 与党単独で衆院特別委 農水副大臣が自民入党勧誘=国民新党反発、衆参で審議拒否 教基法で与党、採決強行の構え=野党は全委員会で審議拒否 <教育基本法改正>強行採決なら全委員会の審議拒否へ 野党 教育基本法改正案 参院で与野党修正も 与党、あす衆院通過方針 国民新党議員に「教育基本法協力で自民へ」 自民は否定 |
■11月14日 | 衆議院教基法に関する特別委員会 理事会 8:30 委員会 9:00 質問者 会派 時間 時間帯 松原仁 君 民主 1.00 9:00-10:00 前原誠司 君 民主 1.00 10:00-11:00 藤村修 君 民主 1.00 11:00-12:00 休憩 鳩山邦夫 君 自民 0.30 14:30-15:00 赤羽一嘉 君 公明 0.30 15:00-15:30 古賀一成 君 民主 1.10 15:30-16:40 石井郁子 君 共産 0.40 16:40-17:20 保坂展人 君 社民 0.40 17:20-18:00 教育基本法特別委員会の状況 今日、与党側から明日15日午後、4時間の総理出席の締めくくり総括質疑、採決の提案があった。野党側は、中央公聴会前に採決の日程を決めるのは論外であり、絶対に認められないと反対。各党に持ち帰って議論することとした。 理事会は明日朝、午前8時30分から。また、明日午後1時から、委員長職権で教育基本法特別委員会を開会。 |
教育基本法改正:賛否両論 地方公聴会、3人意見陳述 <教育基本法>沖縄県知事選前の強行採決が焦点に <教育基本法>札幌市と大分市で地方公聴会 やらせ批判も |
■11月13日 | 地方公聴会 第1班 大分 13:30〜15:20 会場:大分東洋ホテル 意見陳述者 高橋正夫氏(大分県高等学校PTA連合会会長) 清原今朝勝氏(元大分市立中島小学校長) 井手口良一氏(大分市議会議員) 質疑する国会議員 自民・稲葉大和議員・井脇ノブ子、民主・中井洽議員、 公明・斉藤鉄夫議員、社民・保坂展人議員、国民・糸川正晃議員 第2班 北海道 13:30〜14:35 会場:札幌全日空ホテル 意見陳述者 西田豊氏(札幌国際大学教授) 加藤義勝氏(元高校教諭) 岩本一郎氏(北星学園大学教授) 質疑する国会議員 自民・やまぎわ大志郎議員、民主・牧義夫議員・横山北斗議員、 公明・西博議員、共産・石井郁子議員 |
教基法採決、協議持ち越し=自・民国対会談 |
■11月11日 | 教育基本法改正案の与党単独採決も 二階国対委員長 タウンミーティングやらせ質問案、文科省元室長が作成 <やらせ質問>参加拒否もあった?青森タウンミーティングで |
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■11月10日 | 教育基本法に関する特別委員会 理事会 8:30 委員会 9:00 質問者 松本大輔 君 民主 09:00-10:00 田嶋要 君 民主 10:00-11:00 川内博史 君 民主 11:00-12:00 市村浩一郎 君 民主 13:00-13:30 笠井亮 君 共産 13:30-14:00 保坂展人 君 社民 14:00-14:30 糸川正晃 君 国民 14:30-15:00 |
教基法、与党単独採決も=やらせ質問「つまらぬこと」−自民・二階氏 教基法改正案、早期成立図る=「やらせ質問」とは別−安倍首相 やらせ問題、教育基本法巡り野党攻勢 <教育基本法>中央公聴会15日開催で合意 自民、民主両党 教基法、15日に中央公聴会=採決日程は持ち越し−自・民協議 文科省の出向者ら関与、処分検討 教育改革TMやらせ |
■11月9日 | 教育基本法に関する特別委員会理事会 次回委員会は、10日(金) 午前9時から5時間、政府案・民主党案にたいする質疑をおこなう。 13日(月)は北海道・札幌、大分・大分の2ヶ所で地方公聴会をおこなう。 教育基本法に関する特別委員会 理事会 08:40 委員会 09:00 参考人意見陳述 教育再生会議座長代理 資生堂相談役 池田守男 9:00-9:15 品川区教育長 若月秀夫 9:15-9:30 法政大学教授 尾木直樹 9:30-9:45 ICU教授 藤田英典 9:45-10:00 質問 町村信孝 自民 10:00-10:20 西博義 公明 10:20-10:40 高井美穂 民主 10:40-11:10 塩川鉄也 共産 11:10-11:30 阿部知子 社民 11:30-11:45 糸川正晃 国民 11:45-12:00 |
やらせ質問は「遺憾」=自身の責任は否定−安倍首相 必修漏れ、文科省が4年前把握 委託の研究会から報告 教基法採決に反対=「やらせ質問」を批判−野党 岐阜など4カ所でも質問依頼=過去の教育タウンミーティングを調査−内閣府 <やらせ質問>青森以外の4会場でも 教育改革ミーティング 「教育」タウンミーティング、岐阜などでも質問依頼 必修逃れ、文科省は4年前に把握…研究会の報告受け 教育基本法改正案 賛成派、反対派が特別委で質疑 教育基本法改正、衆院委が4都市で地方公聴会 名古屋などで地方公聴会 教育基本法改正で |
■11月8日 | 地方公聴会 詳しくはこちら 文教科学委員会 理事会 9:30 委員会 9:40 質問者 会派 時間 時間帯 馳浩 君 自民 0.30 9:40-10:10 遠藤乙彦 君 公明 0.30 10:10-10:40 笠浩史 君 民主 0.40 10:40-11:20 休憩 11:20-13:00 寺田学 君 民主 0.40 13:00-13:40 吉井英勝 君 共産 0.20 13:40-14:00 日森文尋. 君 社民 0.20 14:00-14:20 |
<やらせ質問>タウンミーティングの半数弱で疑い 教育基本法改正案、9日の参考人質疑など追加 文科省案をそのまま送付 教育基本法改正賛成依頼 「行きすぎ」認め、TM運営見直し表明 塩崎官房長官 「やらせ質問」常態化?八戸では10人中6人に依頼 |
■11月7日 | 衆院教育基本法に関する特別委員会理事会 本日の理事会・委員会で9日(木)参考人質疑、13日(月)地方公聴会を開催することを決定した。 理事会協議で、与党は当初、10日に地方公聴会、13日委員会での締めくくり質疑・採決、14日本会議での採決を主張。野党は中央公聴会の開催も行うべきであり、到底受け入れられないとし、断続的に協議した結果、上記のようになった。 |
履修不足 文科省出向者が黙認 伊吹文科相が認める 市教委経由でも政府寄り質問依頼 教育改革ミーティング <やらせ質問>内閣府 関与認める調査結果を報告、陳謝 「やらせ質問」認め陳謝=衆院特別委に調査報告−内閣府 「やらせ」タウンミーティング、内閣府が依頼認め陳謝 内閣府、質問依頼認め陳謝 <教育基本法>採決日程で攻防 衆院特別委 教基法、来週衆院通過の見通し=野党の引き延ばし戦術も限界 教育基本法改正案、今国会成立強まる 衆院委が来週可決へ |
■11月6日 | 教育基本法に関する特別委員会 理事会 9時45分 委員会 10時 案件 ◎教育基本法(内閣提出、第164国会閣法第89号) ◎日本国教育基本法案(鳩山由紀夫外6名提出、第164国会衆法28号) ○質疑 (6時間) 質問者 会派 時間 時間帯 井脇ノブ子 君 自民 0.40 10:00-10:40 坂口 力 君 公明 0.20 10:40-11:00 古本伸一郎 君 民主 1.00 11:00-12:00 休憩 野田佳彦 君 民主 0.55 13:00-13:55 武正公一 君 民主 0:55 13:55-14:50 西村智奈美 君 民主 0:55 14:50-15:45 石井郁子 君 共産 0.25 15:45-16:10 重野正安 君 社民 0.25 16:10-16:35 糸川正晃 君 国民 0.25 16:35-17:00 |
教育基本法「参院で議論の時間必要」 二階氏が野党牽制 教育基本法改正案、14日衆院通過めざす 与党、教基法10日採決を提案=衆院特別委 教育基本法案 与党が採決提案、野党は拒否 衆院特別委 |
■11月3日 | タウンミーティング“やらせ” 野党が政府追及へ | |
■11月2日 | 教育基本法に関する特別委員会 委員会 10時 案件 ◎教育基本法(内閣提出、第164国会閣法第89号) ◎日本国教育基本法案(鳩山由紀夫外6名提出、第164国会衆法28号) ○質疑 (2時間) 質問者 会派 時間 時間帯 松本剛明 君 民主 1.00 10:00-11:00 岩国哲人 君 民主 1.00 11:00-12:00 教育基本法に関する特別委員会理事会 朝、開かれた理事会では2日の委員会の日程について確認し、あわせて次回委員会の日程も決めた。 次回委員会は、11月6日(月)午前10時から6時間の質疑をおこなう。 なお、8日開催の地方公聴会は宮城・仙台市、栃木・宇都宮市、三重・津市、愛知・名古屋市の以上4ヵ所と決まった。 |
教育基本法審議、来週最終局面に 衆院 資料は内閣府が作成/八戸タウンM 教育改革タウンミーティングでやらせ質問、内閣府作成 内閣府が賛成発言誘導 八戸・タウンミーティング 教育基本法見直し発言誘導 政府が「やらせ」 タウンミーティング青森県に依頼文書 内閣府認める 石井議員が追及 |
■11月1日 | 教育基本法に関する特別委員会 委員会 10時 案件 ◎教育基本法(内閣提出、第164国会閣法第89号) ◎日本国教育基本法案(鳩山由紀夫外6名提出、第164国会衆法28号) ○質疑 (6時間) 質問者 会派 時間 時間帯 保利耕輔 君 無所属1.00 10:00-11:00 田島一成 君 民主 4.00 (1.00) 11:00-12:00 休憩 福田昭夫 君 (1.00) 13:00-14:00 土肥隆一 君 (1:00) 14:00-15:00 末松隆一 君 (1:00) 15:00-16:00 糸川正晃 君 国民 0.20 16:00-16:20 菅野哲雄 君 社民 0.20 16:20-16:40 石井郁子 君 共産 0.20 16:40-17:00 教育基本法に関する特別委員会理事会 朝の理事会では、1日の委員会の日程を確認。 昼の休憩時間に再開された理事会では、次回委員会を2日午前中のみ(質疑は民主のみ)開くことを決めた。 また、与党側から11月8日(水)に地方公聴会を開催、その議決を明日の委員会でおこないたいとの提案があった。共産党は、8日だけで終わらせることなく地方公聴会を開催すること、この地方公聴会が採決に向けたものではないことを確認。野党側は、地方公聴会を再度開催することを条件に、詳細について協議することとした。 1日の委員会終了後、理事会を再開し地方公聴会について話し合う。 8日地方公聴会を開催宮城、栃木、三重、愛知の4カ所 本日(1日)の特別委員会理事会で、8日に地方公聴会を開催することが決まりました。与党は6日の開催を繰り返し提案していました。法案審議が全く不十分な中で、「出口を想定した」審議日程提案はするべきでないとする野党と激しく対立していました。8日の開催は、第一回目の地方公聴会として野党が受け入れたもの。開催場所は、宮城県、栃木県、三重県、愛知県の4カ所です。 明日、2日の特別委員会は、午前中の2時間のみ開催されることも決まっています。 |
国旗・国歌尊重は教職員の職務義務 伊吹文科相「指導要領は法律」 教育基本法の賛成質問依頼か タウンミーティングで |
11月17日
11月16日
参院17日審議入り 教育基本法改正案
自民、公明両党は17日午前の参院本会議で、政府、与党が今国会の最重要法案と位置付ける教育基本法改正案の趣旨説明と質疑を行う方針を固めた。参院の市川一朗議院運営委員長が16日夕の理事会で、本会議開催を職権で決定した。民主、共産、社民、国民新の野党4党は改正案成立阻止に向けて審議拒否などで徹底抗戦の構えだが、与党は野党が本会議を欠席しても参院で審議入りする考え。来週からは特別委員会で質疑を行う構えだ。
政府、与党は12月15日までの国会会期内での成立に全力を挙げる。しかし、野党の審議拒否が長引き国会が混迷すれば、成立を確実にするため1週間程度の延長論が出てくる可能性がある。
野党4党の参院国対委員長は16日午後、扇千景参院議長に対し、与党が単独で教基法改正案の審議に入らないよう調整を行うことを文書で申し入れた。
安倍晋三首相は同日夜、改正案の衆院通過に関し「参院に論戦の場を移して、さらに広く深く議論し、速やかな成立を目指してほしい」と記者団に強調。与党単独での採決となったことについては「野党が出席しなかったのは大変残念だが、100時間を超える議論をし、衆院の段階では十分に議論が深まった」と述べた。
教基法改正案は16日午後の衆院本会議で野党欠席のまま与党などの賛成多数で可決、参院へ送付された。
共同通信 2006年11月16日
教育基本法改正:与党単独可決 混乱覚悟で正面突破 先送り方針転換、首相の意向強く
教育基本法改正案の衆院審議で自民・公明両党が与党単独で沖縄知事選前の特別委員会採決に踏み切ったのは、安倍晋三首相の意向が強く働いた結果だった。仮にこのまま採決を持ち越せば国会全般が野党ペースとなり法案の成立が危うくなりかねない、との危機感から採決先送り方針を転換。当面の混乱覚悟で正面突破に動いた。【高山祐、西田進一郎】
◆APEC前に◆
「機は熟した。その方針でやってください」。14日夜、首相は中川秀直幹事長、二階俊博国対委員長と電話し、単独採決に踏み切るよう、強く指示した。
採決をめぐる動きには、二つの流れがあった。沖縄知事選が大接戦との情勢から公明党と参院自民党は、強行採決で混乱した場合の影響を懸念。与党は「16日に委員会採決を行う代わりに衆院本会議の採決は週明けの21日に先送りする」との案を非公式に民主党に打診するなどして軟着陸を探った。民主党との妥協が不発に終わり、いったん採決先送りに傾いた。
しかし、早期採決を探る動きが底流にあった。14日、自民、公明の与党幹事長会談の席上「教育基本法案を15日委員会採決し、16日本会議採決する正当性」と題するペーパーがひそかに配られた。作成者は特別委の与党筆頭理事を務める町村信孝・町村派会長。「会期があと1カ月の状況で何のめどもなく審議を続ければ、参院の質疑時間を制約する」と単独採決を強く促す内容だった。
明けて15日朝、国会近くのホテルで行われた与党幹事長、国対委員長、政調会長会談で、中川氏は「15日委員会採決、16日本会議採決」を出席者に強く要請した。17日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のためベトナムへ出発する首相から「APECまでに何とかしてほしい」とそれまでも繰り返し言われていたためだった。公明党や参院自民党幹部は15日になっても慎重姿勢を崩さず、公明党の草川昭三参院会長が午前中に自民党の片山虎之助参院幹事長と会った際、片山氏は知事選後の採決日程を説明していた。
◆野党欠席も影響◆
一方、民主党内では採決を実力阻止するため野党議員を動員する案も検討された。鳩山由紀夫幹事長ら党幹部と特別委メンバーが15日朝、国会内で対応を協議した席では野党筆頭理事を務める中井洽氏が「教育の問題で怒号が飛び交うようなことをすれば与党が喜ぶ」と反論し、欠席方針が固まった。
与党側は強行採決シーンがテレビ放映されるのを恐れていた。採決直前に町村氏が中井氏に電話し、実力阻止しないことを確認。中川氏ら与党首脳部は「15日採決」に最終的なゴーサインを出した。首相は採決後、記者団に「私はどこかの時点で採決をしなければいけないと考えていた」と説明、「それが今日だったのか」と問われ「そういうことですね」と答えた。
◇「3点セット」で忙殺
教育基本法改正案を審議した衆院教育基本法特別委員会は、履修単位不足問題やいじめ自殺、教育改革タウンミーティングの「やらせ質問」という「3点セット」の集中審議の場と化した。「愛国心」表記や国の関与など、改正案の論点が十分に深まったとは言えず、一連の問題への文部科学省の責任も不明確なまま。参院も波乱の審議が続きそうだ。
「小泉改革だけでは経済の話にとどまる。小泉内閣と安倍内閣を合わせて、人間と経済の改革が完成する」
伊吹文明文科相は13日の日本記者クラブでの会見で、安倍晋三首相が最重要課題に掲げた基本法改正と教育改革の意義をこう強調した。自民党文教族にも基本法改正は長年の悲願で、学校教育法など関連法の改正作業が加速しそうだ。
ただ、約106時間の審議は文教行政の制度疲労も露呈した。履修不足では、学ぶべき内容を定めた学習指導要領が約1割の高校で骨抜きになっている実態が発覚。与党は補習を上限70コマとする文科省の救済策の緩和に動いたが、私立高を中心に問題は拡大している。伊吹文科相は大学入試センター試験の全教科の受験義務付けなどで履修不足を防ぐ方針を示したが、野党は「構造的な問題」(松本剛明民主党政調会長)として、徹底追及する構えだ。
この問題で、政府・与党は「一義的には学校の責任が一番大きい」(塩崎恭久官房長官)という立場だ。北海道滝川市でのいじめを苦にした女児の自殺で、同市教育委員会がいじめ認定を避けた問題をきっかけに教委制度の改革論が浮上。首相は国の関与を強化する意向を示し、伊吹文科相も同調した。これに対し、民主党は自治体の首長の権限を強めることを提唱しているが、与党は「政治的中立性から疑問がある」と応酬し、議論は深まらなかった。
文科省は「やらせ質問」の作成と履修不足について実態調査を続けており、参院審議でもこの問題で対応を迫られる。【竹島一登】
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■教育基本法改正を巡る主な動き
9月26日 臨時国会開会
10月13日 福岡県で中学2年男子生徒がいじめを苦に自殺していたことが発覚
18日 政府の教育改革を検討する教育再生会議が初会合
24日 富山県の県立高校で必修科目の履修不足が発覚。全国に広がる
25日 衆院教育基本法特別委員会で教育基本法改正案の審議再開
30日 茨城県の県立高校長が履修不足問題で自殺
31日 政府タウンミーティング(TM)で「やらせ質問」疑惑浮上
11月 2日 履修不足問題で文部科学省、与党が救済策をまとめる
6日 文科省にいじめを苦にした自殺予告。その後、自殺予告相次ぐ
7日 内閣府がTMでのやらせ質問を認める
8日 特別委が仙台などで地方公聴会(13日に大分などで2回目)
15日 TM問題で内閣府が調査委員会を設置
特別委で改正案を与党単独採決
毎日新聞東京版 2006年11月16日
教育基本法:単独可決に、首相の「意向」強く働く
教育基本法改正案の衆院審議で自民・公明両党が与党単独で沖縄知事選前の特別委員会採決に踏み切ったのは、安倍晋三首相の意向が強く働いた結果だった。仮にこのまま採決を持ち越せば国会全般が野党ペースとなり法案の成立が危うくなりかねない、との危機感から、採決先送り方針を転換。当面の混乱覚悟で正面突破に動いたとみられる。【高山祐、西田進一郎】
「機は熟した。その方針でやってください」。14日夜、特別委の与党筆頭理事を務める町村信孝・町村派会長が首相との電話で15日の委員会採決をもちかけると、首相は単独採決を強く支持したという。
採決をめぐる動きには、ニつの流れがあった。沖縄知事選が大接戦との情勢から公明党と参院自民党は、強行採決で混乱した場合の悪影響を懸念。与党は「16日に委員会採決を行う代わりに衆院本会議の採決は週明けの21日に先送りする」との案を非公式に民主党に打診するなどして軟着陸を探るなどした。民主党との妥協が不発に終わり、いったんは採決先送りに傾いた。
しかし、早期採決を探る動きも根強く続いていた。14日、国会内で開かれた自民、公明の与党幹事長会談の席上「教育基本法案を15日委員会採決し、16日本会議採決する正当性」と題する4枚つづりのペーパーがひそかに配られた。作成者は町村氏。「会期があと1カ月の状況で何のめどもなく審議を続ければ、参院の質疑時間を制約する」と単独採決を強く促す内容だった。
明けて15日朝、国会近くのホテルで行われた与党幹事長、国対委員長、政調会長会談で、自民党の中川秀直幹事長は「15日委員会採決、16日本会議採決」を出席者に強く要請した。17日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のためベトナムへ出発する首相から「APECまでに何とかしてほしい」と繰り返し言われていたためだった。公明党や参院自民党の幹部は15日になっても慎重な姿勢を崩さず、公明党の草川昭三参院会長が同日午前、自民党の片山虎之助参院幹事長と会った際、片山氏は知事選後の採決日程を説明していたほどだった。しかし、野党が採決を前に欠席戦術を取ったことから「仮に採決に踏み切っても議場混乱などでのイメージダウンは免れる」(自民党幹部)と判断。中川氏ら与党首脳部は「15日採決」に最終的なゴーサインを出した。
毎日新聞 2006年11月16日 03:14
11月15日
教育基本法改正案、衆院特別委で可決
政府・与党が今国会の最重要法案と位置づける教育基本法改正案は15日の衆院教育基本法特別委員会で、自民、公明の与党などの賛成多数で可決された。
民主、共産、社民、国民新の野党4党は採決に反対し、特別委を欠席した。
与党は16日午後の衆院本会議で改正案を可決し、参院に送付する予定で、あくまで今国会での成立を図る方針だ。野党側は、激しく反発し、衆参両院での審議を全面的に拒否することを確認した。
特別委は15日午前の中央公聴会の後、午後1時から安倍首相が出席して締めくくり総括質疑を開催。野党側は「採決が前提の質疑には応じられない」として午後の審議を欠席した。与党側は出席を呼びかけたが、野党側が応じなかったたため、午後5時すぎ、与党と無所属議員だけで採決に踏み切った。
安倍首相は15日夜、「教育再生は内閣の最重要課題だ。十分審議をした上で、どこかの時点で採決しなければ、と考えていた」と記者団に語った。
一方、野党4党は15日午後、国会内で幹事長・書記局長会談を開き、衆院での全面的な審議拒否を確認した。4党の参院国会対策委員長も同夕、参考人質疑などを除く参院での審議拒否を決めた。
民主党の鳩山幹事長は、「いじめや未履修、『やらせ質問』などの問題がある中で、議論を打ち切って採決するのは断じて許せない」と強調した。
与党は17日に、野党が欠席しても、参院本会議を開き、改正案の審議に入る構えだ。
野党の審議拒否は1週間以上続くとの見方が強く、与党内では、12月15日までの会期の延長が必要だとの声が出ている。
讀賣新聞 2006年11月15日 22:37
参院特別委員長に中曽根弘文氏 教育基本法で自民内定
自民党参院執行部は15日、参院で教育基本法改正案を集中的に審議する特別委員会の委員長に中曽根弘文元文相の起用を内定した。与党側は同日の衆院教育基本法特別委員会での法案可決を受け、17日にも参院本会議を開いて特別委を設置し、週明けから審議を本格化させたい考えだ。
中曽根氏は昨年の通常国会で郵政民営化関連法案に反対を表明し、法案否決の流れをつくったとして、参院執行部に促される形で参院予算委員長を辞任。その後の特別国会での採決で賛成に転じた。
産経新聞 2006年11月15日 21:29
教育基本法改正案を単独採決 衆院特別委
安倍政権がこの臨時国会の最重要法案と位置づける教育基本法改正案が15日夕、衆院の同法特別委員会で自民、公明両党などの賛成で可決された。民主、共産、社民、国民新の野党4党は「審議は尽くされていない」として採決を欠席、国会の全審議を拒否する方針を確認した。与党は16日の衆院本会議で可決し、参院に送付する構え。ただ、会期末まで1カ月しかなく、成立には1週間程度の会期延長が不可避だとの見方が与党内で強まっている。
衆院特別委は15日午後、野党欠席の中で安倍首相が出席して締めくくりの総括質疑を開始。1時間の質疑後、野党の出席を待ったが野党は応じず、同日夕に与党単独で採決した。
単独採決について首相は官邸で記者団に対し「教育の再生は私の内閣で最も重要な課題だ。その課題に向かってしっかりと政策を作っていくために教育基本法の改正は重要だ」と語り、成立に強い意欲を示した。
与党内には、採決を強行した場合に19日投開票の沖縄県知事選に影響するとの考えから、来週に先送りすべきだとの声もあった。だが、(1)審議時間が105時間に達した(2)野党が要求した公聴会やいじめ問題などの集中審議、参考人質疑などをすべて行った(3)採決を先送りしても、野党が円満に採決に応じる可能性は薄い――などの理由で採決を決断した。
河野洋平議長は単独採決について「円満ではなかったが運営に瑕疵(かし)があったとは思わない」との見解を示した。これを受け、与党は野党が欠席しても16日の衆院本会議で可決する方針。17日には参院本会議で教育基本法特別委員会設置を議決し、法案の趣旨説明や質疑を行う方向だ。
一方、野党4党は15日夕、国会内で幹事長・書記局長らが会談し、あらかじめ予定されている参考人質疑以外、すべての審議を拒否することを決めた。参院での特別委設置や審議入りに強く抵抗することは確実だ。
慣例的に参院の審議時間は衆院の7、8割は必要とされ、順調に審議入りしても12月15日の会期末までに成立させることはぎりぎりの日程となっている。こうした状況を踏まえ、自民党の参院国対幹部は15日、「参院は不正常な状態から始まる。少なくとも1週間の延長は必要だ」と会期延長を検討する考えを示した。
教育基本法改正案は今年4月に政府が国会提出し、先の通常国会で継続審議となった。現行法にはない「公共の精神」や「国を愛する態度」などを教育の目標に盛り込んでいる。「教育の憲法」とされる同法案が成立すれば、学習指導要領の根拠となる学校教育法など多くの関連法の改正が予定されている。
朝日新聞 2006年11月15日 21:03
教育基本法改正案を可決 与党単独で衆院特別委
衆院教育基本法特別委で与党が教育基本法改正案を単独で可決、記者の質問に答える伊吹文科相=15日午後、国会
政府、与党が今国会の最重要法案と位置付けている教育基本法改正案が15日夕の衆院教育基本法特別委員会(森山真弓委員長)で自民、公明の与党単独で採決され、可決した。野党は採決に反発し欠席した。与党は16日の衆院本会議でも可決し参院へ送付、12月15日までの今国会会期内の成立に全力を挙げる方針。
教育基本法改正案は、「愛国心」をめぐる表現について「我が国と郷土を愛する態度を養う」とし、「公共の精神」などの新しい理念を盛り込んだ。1947年の制定以来、約60年ぶりに全面改定した内容。政府は同改正案を前通常国会に提出したが、継続審議となっていた。
審議継続を訴えてきた民主、共産、社民、国民新の野党4党は、開会合意しているものを除いたすべての衆院の委員会と本会議への出席を拒否。核保有論議容認発言の麻生太郎外相の不信任決議案提出も検討するなど政府、与党との対決姿勢を強めている。
安倍晋三首相は15日午後の委員会総括質疑で、いじめや高校生の必修科目未履修問題に関連して、学校や教育委員会の規範意識が欠けているとした上で「改正案を成立させた上で、教育再生会議で今の状況に応えられる対策の中身を議論したい」と答弁。
伊吹文明文部科学相は「愛国心」教育の在り方に関し「心と態度は一体で涵養される。日本の国土と文化、伝統に対する尊敬(の態度)をつくり上げる学習指導要領にしたい」と述べた。
与党は「審議時間が100時間を超えた」として採決に踏み切ったが、野党側は、政府の教育改革タウンミーティングでの「やらせ質問」問題などに関する審議が必要として反対していた。
共同通信 2006年11月15日 20:28
国民新党議員に「教育基本法協力で自民へ」 自民は否定
「教育基本法改正案の審議に協力すれば、見返りに自民党へ入党を」。国民新党は15日、糸川正晃衆院議員に対し、自民党の山本拓・農水副大臣からこんな働きかけがあった、と発表した。糸川氏は国民新党の衆院教育基本法特別委員。山本氏は協力を求めたことは認めたが、入党働きかけは否定している。
国民新党の亀井久興幹事長が記者会見で明らかにした。亀井氏によると、山本氏が15日朝、議員会館の部屋で糸川氏に会い、「個人的に」と前置きしたうえで協力を要請。「自民党に入らないか。今のまま国民新党で議員活動を続けても次の選挙は厳しいだろう」と次期衆院選での処遇を示唆して入党を持ちかけたという。
国民新党は反発し、衆参両院での審議拒否を決めた。山本氏は「(糸川氏とは)同じ北陸地方選出だから、いろんな話をするなかで『ぜひとも頼む』と言ったが、私の立場で入党とか(言えない)。いちゃもんだ」と反論した。
朝日新聞 2006年11月15日 19:40
農水副大臣が自民入党勧誘=国民新党反発、衆参で審議拒否
国民新党の亀井久興幹事長は15日午前、国会内で記者会見し、山本拓農水副大臣が同党の糸川正晃衆院議員に教育基本法改正案の採決に協力を要請し、見返りとして自民党入党を持ち掛けたとして、強く抗議するとともに衆参両院で審議拒否すると発表した。同党は野党各党に事情を伝え、連携して対応するよう求める。
亀井幹事長は「わが党の存立の基盤を揺るがすような重要な問題だ。山本氏は政府の要職にあり、許し難い」と強調した。亀井静香代表代行もこの後会見し「安倍晋三首相は直ちに罷免したらいい」と求めた。
時事通信 2006年11月15日 15:00
教基法で与党、採決強行の構え=野党は全委員会で審議拒否
衆院教育基本法特別委員会は15日午前の理事会で、教育基本法改正案の採決日程について協議したが物別れに終わった。このため午後1時すぎ、森山真弓委員長の職権で、安倍晋三首相が出席して締めくくりの質疑に入った。これに対し野党はさらに反発し衆院の全委員会での審議拒否を決めた。与党側は同特別委での与党質疑終了後も、なお野党側に出席を呼び掛けるが、「応じない場合は同日中に採決する」(自民党理事)との構えを強めている。
時事通信 2006年11月15日 15:00
<教育基本法改正>強行採決なら全委員会の審議拒否へ 野党
教育基本法改正案をめぐり、民主、共産、社民、国民新の野党4党は15日午前、国会内で国対委員長会談を開き、与党が強行採決すれば全委員会の審議を拒否する方針を決めた。一方、与党は東京都内で開いた幹事長・政調会長・国対委員長会談で、同日午後に特別委で締めくくり総括質疑と採決を行う姿勢で臨むことを確認。午後1時から与党だけで質疑を始めた。
これに先立ち、与党は特別委での採決を16日に行い、衆院本会議での採決は週明けの21日に先送りする案を非公式に野党に打診した。19日の沖縄県知事選に悪影響を与えかねないとの懸念からだが、野党が拒否したため、幹事長らがこの日改めて日程を協議した。
一方、塩崎恭久官房長官は同日昼、野党の麻生太郎外相罷免要求に対し、安倍首相からの拒否回答を民主党の高木義明国対委員長に口頭で伝えた。
毎日新聞 11月15日13時6分更新
教育基本法改正案 参院で与野党修正も 与党、あす衆院通過方針
政府・与党は今国会の最重要法案と位置付ける教育基本法改正案について、15日にも衆院教育基本法特別委員会で採決し、16日に衆院を通過させる方針だ。会期内成立のため、単独採決も辞さない構えだが、教基法は「教育の憲法」とされるだけに「本当は与野党の歩み寄りが望ましい」(自民党幹部)と、参院での与野党共同修正を模索する動きも出ている。
民主、共産、社民、国民新の野党4党の幹事長らは14日、国会内で塩崎恭久官房長官と会い、核論議をした麻生太郎外相の罷免を求める安倍晋三首相あての文書を再度、手渡した。民主党には、この問題を盾に、党内で温度差が大きい教基法改正案などの国会審議の先送りを狙う目的もある。高木義明国対委員長は14日の党国対役員会で、「無礼な回答があれば、(国会対応で)重大な決意で対応をとらないといけない」と強調してみせた。
これに対し、自民党は14日の役員連絡会で、16日の衆院通過を目指す方針を確認。首相は12月15日までの会期延長について、「考えていない」と述べた。また、教基法特別委の森山真弓委員長は14日夜、採決の前提となる締めくくり総括質疑を15日に開催することを委員長職権で決めた。
一方、与野党の対決ムードが高まる中、歩み寄りを模索する動きもあり、水面下の駆け引きもぎりぎりまで続けられている。
衆院通過後、参院で修正協議をまとめれば、最終的な改正教基法の成立段階での与野党激突を回避できる。公明党も、小規模の修正ならば受け入れるとみられている。
14日の特別委では、自民党の鳩山邦夫氏が民主党の改正案について「前文から随所でいいなと思う」と褒め上げた。伊吹文明文部科学相も「双方の案の中でいいものを作っていただければ一番ありがたい」と強調。伊吹文科相は10日にも「政府案がすべていいとは思っていない。自民党は喜んで応じるだろう」と民主党との修正協議に向け“ラブコール”を送った。
10月下旬には、自民党の二階俊博国対委員長と民主党の改正案をとりまとめた西岡武夫元文相が会談。今月に入ってさらに「ハイレベル」での非公式協議も行われた経緯もある。
産経新聞 2006年11月15日 08:01
11月14日
教育基本法改正:賛否両論 地方公聴会、3人意見陳述
今国会で最大の焦点になっている教育基本法改正で、衆院特別委員会の地方公聴会が13日、大分市であり、自民、民主、公明各党が推薦した3人が意見陳述した。井手口良一・大分市議が「拙速な改正論議に反対」との立場から発言する一方、県高校PTA連合会の高橋正夫会長と元小学校長の清原今朝勝さんは家庭教育の重要性などから教育基本法改正案を前向きに評価した。
衆院での審議が緊迫化する中、特別委の委員8人(自民3人、民主2人、公明、社民、国民新党各1人)がこの日出席、約50人が傍聴した。委員による質疑応答もあった。
井手口市議は「基本法は継続することが重要で、基本法を改正しなくても(他の)法律改正で多くの問題に対応できる」と主張。清原さんは「教育基本法で変えていけないものと変えるものとを分けないといけない」とし、「虐待やいじめは家庭に大きな問題があり、家庭教育が位置付けられたことに安どした」と政府案を評価。高橋会長は「(改正案に)家庭教育が書き込まれ、地域や家庭が教育に取り組むバックボーンになる」と期待した。
特別委は意見を整理し、15日の中央公聴会に臨む。中央公聴会後の衆院日程は13日夕の段階では白紙だが、終了後の記者会見で稲葉大和委員(自民)は「16日が衆院審議の出口だとか、強行採決するつもりはない」と話した。(地方公聴会の概要は15日、大分面に掲載します)【藤原弘】
◇横断幕掲げ廃案訴える−−大分で県労連
地方公聴会開催に合わせ、県労連のメンバーら約10人が13日、大分市中心部の街頭に立ち、「教育基本法を変えないで」「改悪は許さない」などとする横断幕を掲げ、法案の廃案を訴えた。
児玉圭史・県労連事務局長は「いじめを苦にした自殺や、タウンミーティングの『やらせ質問』など、これだけの教育問題がある中で、慎重審議を求める声が圧倒的だと思う。採決を前提にした地方公聴会には反対だ」と話した。
毎日新聞大分版 2006年11月14日
<教育基本法>沖縄県知事選前の強行採決が焦点に
自民党の二階、民主党の高木両国対委は13日、教育基本法改正案の審議を協議した。自民党は15日の衆院教育基本法特別委と16日の本会議で採決する方針を伝えた。野党4党は同委での一般質疑と中央公聴会は出席するが、採決には応じない方針。与党側が審議拒否覚悟で沖縄県知事選前の強行採決に踏み切るかが焦点に。
毎日新聞 2006年11月14日
<教育基本法>札幌市と大分市で地方公聴会 やらせ批判も
衆院教育基本法特別委員会は13日、2回目となる地方公聴会を札幌市と大分市で開いた。大分市では政府の教育改革に関するタウンミーティングで「やらせ質問」があった問題で、意見陳述者から「非常にふがいない思いがする」など、政府をただす意見が相次いだ。一方、札幌市では「愛国心」表記をめぐる議論があった。
毎日新聞 2006年11月14日
11月13日
教基法採決、協議持ち越し=自・民国対会談
自民党の二階俊博、民主党の高木義明両国対委員長は13日午後、教育基本法改正案の採決日程について国会内で協議した。しかし、両党の主張には依然隔たりが大きく、いじめ、高校必修科目の履修漏れ、やらせ質問問題をテーマに14日に行われる集中審議を見た上で、再協議することになった。
時事通信 2006年11月13日
11月12日
11月11日
教育基本法改正案の与党単独採決も 二階国対委員長
自民党の二階俊博国対委員長は11日午前、福岡市内の会合であいさつし、教育基本法改正案などの審議に応じない構えをみせている民主党の姿勢について「いざとなると引き延ばしをする」と批判したうえで、「(衆院の議席数は)自民、公明両党で民主党の約3倍ある」と述べ、同法案を16日までに衆院通過させるために与党単独採決に持ち込む可能性を示唆した。
また、防衛庁の「省」昇格関連法案についても「約10年かけて論議してきた。今国会で必ず解決する」と、成立に自信を示した。
産経新聞 2006年11月11日
タウンミーティングやらせ質問案、文科省元室長が作成
文部科学省の田中壮一郎生涯学習政策局長は10日の衆院教育基本法特別委員会で、青森県八戸市で9月に行われた教育改革に関するタウンミーティングで「やらせ質問」の文案を作成した責任者が当時の文科省広報室長だったことを明らかにした。
この室長は、岐阜市(2003年12月)と松山市(04年5月)でのタウンミーティングで「やらせ質問」の文案を作成した当時の教育改革官室で主任教育改革官を務めていた。5回の「やらせ質問」のうち、文科省が質問を作成したことが判明している3回全部に関与していたことになる。
室長は安倍内閣発足後、首相官邸強化のための官邸スタッフ公募に応募し、現在は教育担当の山谷えり子首相補佐官付の内閣官房内閣参事官として、教育再生会議などに携わっている。
田中局長は特別委で、八戸市での質問案作成について、「調査の結果、広報室担当者が質問項目案を作り、広報室長に上げて、内閣府に提出したと確認した」と述べた。
さらに、「上司(広報室長)も議論が活性化し、役立てば(いい)、と承認した」と語った。
読売新聞 2006年11月11日
<やらせ質問>参加拒否もあった?青森タウンミーティングで
社民党の保坂展人氏は10日の衆院教育基本法特別委員会で、「やらせ質問」が問題になっている青森県八戸市での教育改革に関するタウンミーティングで、参加者を教育基本法改正案に対する賛否で選別したのではないかと指摘した。塩崎恭久官房長官は事実関係を調査する考えを示した。
毎日新聞 2006年10月11日
11月10日
教基法、与党単独採決も=やらせ質問「つまらぬこと」−自民・二階氏
自民党の二階俊博国対委員長は10日夜、那覇市で講演し、教育基本法改正案について「国会の会期もある。いつまでも慎重審議で(野党に)引きずられていたら、政治の生産性が上がらない」と述べ、与党単独での採決も辞さない考えを示した。
また、二階氏は、野党がタウンミーティングでの「やらせ質問」などの真相解明が先決としていることに対し「教育基本法を60年ぶりに改定しようとしている。それに比べたらやらせがあったなんてつまらないことだ」と語った。
時事通信 2006年11月10日
教基法改正案、早期成立図る=「やらせ質問」とは別−安倍首相
安倍晋三首相は10日夜、教育改革タウンミーティングでの「やらせ質問」問題が教育基本法改正案の審議に与える影響について「教育基本法とタウンミーティングは別の問題だ。教育改革を進めていく上でも、速やかに同法改正案の成立を図りたい」と述べ、早期成立を目指す方針を強調した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
これに関連し、塩崎恭久官房長官は記者会見で、調査が終わった教育改革以外のタウンミーティングについて「謙虚な気持ちで調査し、おかしなものは指摘してオープンにしたい。どういう経緯で(事前に)質問を渡したか当然調べる」と述べ、上司からの指示があったかなども含めて詳しく調査する方針を示した。
時事通信 2006年11月10日
やらせ問題、教育基本法巡り野党攻勢
タウンミーティングのやらせ問題が、国会で追及されています。政府は、「このタウンミーティングで、教育基本法改正の国民的な理解が深まった」としてきたため、野党側は法案の撤回を求めるなど攻勢を強めています。
「タウンミーティングをこれから新たにやり直して、その中で審議を続けていくべきではないですか」(民主党・松本大輔議員)
「私は、そうは思いません。一番の民意は何でしょうか。それは日本国憲法によれば、国会の議論こそ民意の最大の集積の場所です」(伊吹文明文科相)
「決めるのはやっぱり、国民の代弁者である政治家なんだと。なら聞きおくだけですよと。(タウンミーティングは)アリバイ作りだと私は聞こえました」(民主党・松本大輔議員)
「『官から民へ』というのはこういうことじゃないでしょ。『官の言葉を民が読む』という、こんなあべこべなことになってはいませんか」(社民党・保坂展人議員)
「行き過ぎがあったことは、率直に認めているところであります」(塩崎恭久官房長官)
タウンミーティングで教育基本法改正の国民的理解を深めてきたと改正の正当性を説明してきた政府に対し、野党側は「やらせ」によって改正の根拠は失われたと追及し、政府側は防戦を強いられました。
野党側からは、法案の撤回要求の声も出るなど、来週中の衆議院通過を目指す与党側に徹底抗戦する構えです。
TBSニュース 2006年11月10日
<教育基本法>中央公聴会15日開催で合意 自民、民主両党
自民、民主両党は10日午前の国対委員長会談で、衆院教育基本法特別委の中央公聴会の15日開催で合意した。自民党は同法改正案の特別委と本会議の採決を16日までに行いたいと求めたが、民主党は受け入れなかった。安倍首相から13日までに麻生外相の罷免回答がなければ民主党などはすべての国会審議を拒否する構え。
毎日新聞 2006年11月10日
教基法、15日に中央公聴会=採決日程は持ち越し−自・民協議
自民党の二階俊博、民主党の高木義明両国対委員長は10日午前、国会内で協議し、教育基本法改正案の審議日程について、15日に中央公聴会を開催することで合意した。14日には、いじめ自殺や高校必修科目の履修漏れ問題で集中審議を行う。
二階氏は15日か16日の衆院特別委員会で同改正案を採決し、16日中に衆院通過させるよう提案したが、高木氏は拒否。採決日程の協議は来週に持ち越された。
時事通信 2006 11月10日
文科省の出向者ら関与、処分検討 教育改革TMやらせ
03年から今年にかけて8回開かれた、政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)のうち、5回で「やらせ質問」が判明した問題で、教育基本法の所管官庁である文部科学省が質問案を作成するなど、積極的に関与していたことが明確になった。政府は9日、やらせに関与した担当者を処分するとともに、小泉内閣で実施された計174回のTMのうち教育改革の8回を除く166回についても、同様の問題がないか調査し、終了するまではTMを開かない方針を決めた。
内閣府によると、教育改革TMはすべて、文部科学省から内閣府へ出向していた3人が交代で担当し、文科省と運営全般について相談していた。文科省の結城章夫事務次官は9日の会見で、文科省側の関係者の処分について、「検討したい」と述べた。
文科省をめぐっては、高校必修科目の履修漏れ問題で、4年前に調査報告を入手しながら対応を怠った事実が表面化したばかり。国の政策への理解を深める場を「世論誘導」に利用しようとした同省の責任があらためて問われそうだ。
安倍首相は9日夜、記者団に「国民との信頼関係を危うくしてしまったことは大変残念であり、遺憾だ。二度と起こらないように徹底し、タウンミーティングを大切な対話の場として生かしていきたい」と語った。
塩崎官房長官は記者会見で、世論誘導ではないかとの質問に対し「(青森の場合も)結果として確か反対意見が2人いたので決して(賛否)どちらか一方の方向にもっていこうというわけではない」と否定したが、「結果として行きすぎがあったのはたいへん残念だ」と語った。
野党は「自由に発言するからこそ意味がある。きちんとした責任を明確にすべきだ」(菅直人民主党代表代行)、「小泉政権下のタウンミーティングが政府誘導型だったことの証明だ」(又市征治社民党幹事長)など、政府と文科省の責任を追及していく構えだ。
朝日新聞 2006年11月10日
11月9日
やらせ質問は「遺憾」=自身の責任は否定−安倍首相
安倍晋三首相は9日夜、教育改革タウンミーティングで「やらせ質問」が行われていた問題について「国民との信頼関係を危うくしてしまうことがあったのは大変残念で遺憾だ」と述べ、事実上陳謝した。ただ、小泉内閣で官房長官などを務めた自らの責任は否定した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
必修漏れ、文科省が4年前把握 委託の研究会から報告
高校必修科目の履修漏れ問題をめぐり、文部科学省が4年前、全国の大学生の16%が世界史を履修していないとする調査報告を、専門家から受けていたことがわかった。同省はこれまで「個別の県での問題だったので、全国調査をしなかった」としており、全国規模での広がりを見過ごしていたことになる。
銭谷真美・初等中等教育局長は9日の参院文教科学委員会で「担当していた高等教育局の問題意識が至らずに見逃し、高校を担当する初中局に連絡されていなかった。きちんと連絡態勢が取られていなかったことを反省している」と説明。全国調査をしなかったことについて「感度があまりよくなかった。責任を感じている」と述べた。
この調査報告は、文科省が大学生の学習意欲を調べるために、高等教育学力調査研究会(代表=柳井晴夫・聖路加看護大教授)に委託。01年11月〜02年2月にかけて、国公私立の408大学に依頼し、当時の1〜4年生約3万3000人から回答を得た。同省には02年6月に届けられた。
柳井教授によると、94年度から必修科目の世界史を履修しなかったと答えたのは、全体の16%にあたる約5400人。歯学部が31%、医学部が26%と理系が高いが、文学部も10%だった。
履修漏れは99〜02年に熊本、長崎、広島、兵庫で発覚。文科省は02、03年に各教委の担当者に指導したとしていた。
朝日新聞 2006年11月9日
教基法採決に反対=「やらせ質問」を批判−野党
野党各党の幹部は9日、教育改革に関するタウンミーティングで、青森県八戸市以外にも4カ所で参加者に質問依頼していたとする調査結果がまとまったことに反発を強め、政府提出の教育基本法改正案の採決に反対する考えを示した。
時事通信 2006年11月9日
岐阜など4カ所でも質問依頼=過去の教育タウンミーティングを調査−内閣府
内閣府は9日午前、今年9月に青森県八戸市で開かれた教育改革タウンミーティングで政府が参加者に質問依頼していた問題で、過去7回開催されたタウンミーティングのうち、岐阜市など計4カ所でも政府が発言依頼していたとする内部調査結果をまとめ、衆院教育基本法特別委員会の野党理事に配布した。
時事通信 2006年11月9日
<やらせ質問>青森以外の4会場でも 教育改革ミーティング
政府が教育改革に関するタウンミーティングで教育基本法改正に賛成する質問などを参加者に依頼していた問題で、内閣府は9日、青森県八戸市以外でも4回のタウンミーティングで、政府が「やらせ質問」に関与していたと認める調査結果を衆院教育基本法特別委員会に提出した。教育関連のタウンミーティングは八戸市を含め計8回開いたが、半数以上の5カ所で「やらせ質問」が行われたことになる。
「教育改革タウンミーティング」は03年12月〜05年6月に実施された。うち、(1)岐阜市(03年12月)(2)松山市(04年5月)(3)和歌山市(04年10月)(4)大分県別府市(04年11月)――の4カ所で、文部科学省か内閣府が事前に県教育委員会に質問者の推薦を依頼し、質問案や質問のために必要な資料を渡していた。質問を依頼されたのは20人に上り、実際に要請通り質問したのは13人だった。会場で座席を指定して質問させていたケースもあった。【平元英治】
毎日新聞 2006年11月9日
「教育」タウンミーティング、岐阜などでも質問依頼
内閣府は9日、政府のタウンミーティングでの質問依頼問題で、新たに4回分の教育改革に関するタウンミーティングでも、質問を事前に依頼したり、事前に質問案を作成したりしたとする調査結果を明らかにした。
今年9月の青森県八戸市におけるタウンミーティングで質問依頼が発覚したことを受け、教育改革に関する過去7回分について調査を進めていた。
内閣府が衆院教育基本法特別委員会理事に示した調査結果によると、2003年12月(岐阜市)と04年5月(松山市)のタウンミーティングでは、文部科学省が開催県の県教育委員会に質問者の推薦を依頼し、同省が事前に作成した質問案を送付。当日は事前に把握していた質問者が発言した例があった。04年10月(和歌山市)と同年11月(大分県別府市)では、内閣府が質問者の推薦を地元に依頼し、質問候補者の事前意見を参考に、文科省と協議の上、発言資料を地元県教委に送付していた。
このほかの3回については、質問者の事前依頼などの事実は確認されなかったとしている。
讀賣新聞 2006年11月9日
必修逃れ、文科省は4年前に把握…研究会の報告受け
文部科学省の委託を受けた大学教授らによる研究会が2002年、全国の大学生を対象にした調査で、16%の学生が高校時代に必修科目の世界史を履修していなかったとする結果をまとめ、同省に報告していたことが8日、わかった。
この調査は、高等教育学力調査研究会が01年11月〜02年2月にかけて、大学生の学習意欲について調べるために実施。その結果、回答のあった全国の335大学の約3万3400人のうち、約5400人が世界史を履修していなかった。理系学部ほど未履修だった割合が高く、歯学部の31%、医学部の26%に上った。文学部は10%、外国語学部は9%だった。この結果は報告書としてまとめられ、02年6月、同省にも30部が届けられていた。
讀賣新聞 2006年11月9日
教育基本法改正案 賛成派、反対派が特別委で質疑
審議が大詰めを迎えている衆院の教育基本法特別委は9日、4人の参考人を招き、教育基本法に関する意見を聞いた。
安倍政権で設置された教育再生会議の座長代理の池田守男・資生堂相談役は「社会が大きく変化し、物質的な豊かさが達成される一方、日本人の美徳が失われていると感じる。教育の再生は喫緊の課題で、教育の理念を定めた基本法の改正は当然、必要と考える」と陳述。若月秀夫・東京都品川区教育長も「戦後の学校教育が克服すべき課題として、児童生徒中心主義がある。改正案は戦後日本教育の足らざる部分がきちんと明記されている」と、改正案に賛成の立場から話した。
一方、尾木直樹・法政大教授は「改正案は教育の目標で『態度を養う』としているが、態度というと、現場は評価項目を決めてしまい、形式的な形を決めていく。人格、感性の形成から離れ、逆に心が育たない」と指摘。
朝日新聞 2006年11月9日
教育基本法改正、衆院委が4都市で地方公聴会
衆院の教育基本法特別委は8日、仙台、宇都宮、名古屋、津の4カ所で地方公聴会を開いた。
宇都宮では、宇都宮市議の杵渕広氏=自民推薦=が、愛国心について「法案の中に規定するのはどうなのか」と発言。保護司の渋井休耕氏=民主推薦=も、教育委員会に代わって首長が教育行政の責任を持つ民主提出の法案について「首長の(政治的)意向が及ぶのでは」などと述べ、共に審議中の法案に懐疑的な意見を述べた。
津では、3人が陳述。学習塾長の福士英実氏=自民推薦=は「愛国心を諸外国並みにすることができる」と政府案への賛成を訴えた。一方、元三重県教委教育長の宮本長和氏=民主推薦=は「現場の混乱に拍車をかけ、マイナスになる」と拙速な改正に反対した。
仙台では4人が意見陳述。改正に3人が賛成したが、「広範な国民の意見をふまえるべきだ」と十分な審議時間を求める声もあった。名古屋では4人のうち東京大教授の高橋哲哉氏=社民推薦=だけが反対。「教育基本法は占領軍の押しつけだというのは根拠のない偏見だ」と批判した。
特別委は13日も札幌と大分で地方公聴会を開く。
朝日新聞 2006年11月9日
名古屋などで地方公聴会 教育基本法改正で
今国会最大の焦点となっている教育基本法改正案について、識者から意見を聞く衆院教育基本法特別委員会の地方公聴会が8日午後1時から、名古屋市中区のホテルで開かれた。「伝統と文化を大事にする新しい教育が必要」「なぜ今改正する必要があるのか」など賛否両論が展開された。
地方公聴会はこの日、名古屋市のほか仙台市、津市、宇都宮市の4カ所で開催。名古屋では岐阜大の北俊夫教授(自民推薦)、静岡大の馬居政幸教授(公明推薦)、愛知県三好町青少年健全育成推進協議会の伊豆原充委員(民主推薦)、東大の高橋哲哉教授(社民推薦)の4人が参加。町村信孝団長ら8人の委員を前に意見を述べた。
高橋教授は「現在の改正論議は教育的視点ではなく政治的意図から出てきた」と指摘し、「現場の多くは改正を望んでない」と政府の改正案に反対した。
中日新聞 2006年11月9日
11月8日
<やらせ質問>タウンミーティングの半数弱で疑い
塩崎恭久官房長官は7日の記者会見で、タウンミーティングの「やらせ質問」問題について「信頼感を損ないかねないことが起き、大変遺憾だ」と述べ、制度を抜本的に見直す意向を表明した。しかし、内閣府の担当者は小泉内閣で実施された174回の半数弱で「やらせ」があった疑いが強いとの認識をいったんは示しており、信頼回復には時間がかかりそうだ。
内閣府が調査結果を報告し陳謝したのを受け、塩崎氏は「明らかに行き過ぎがあった。工夫して国民の率直な意見が出やすい仕組みをすでに考え始めている」と述べた。タウンミーティングは小泉内閣が「国民との対話の場」と銘打って01年6月に開始。高支持率に一役買ったと見られており、政府は運営方法を見直して存続させたい考えだ。
一方、内閣府タウンミーティング担当室の幸田徳之参事官は7日、記者団に「174回のすべてで行われているわけではない。半分も行われていない感じだ」と語った。同担当室は同日夜、この発言について「何の根拠もなく申し上げたものであるため、訂正いたします」との文書を出したが、半分弱で「やらせ」があった可能性があることには変わりなさそうだ。【平元英治】
毎日新聞 2006年11月8日
教育基本法改正案、9日の参考人質疑など追加
衆院教育基本法特別委員会(森山真弓委員長)は7日の理事会で、教育基本法改正案をめぐり、8日の地方公聴会に加え、新たに9日に参考人質疑、13日に地方公聴会を再び開くことを決めた。
与党は十分な審議を確保したとして、来週中の衆院通過を図りたい考えだが、野党はなお採決反対の姿勢を崩していない。
7日午前の理事会で、与党は「9日に参考人質疑、10日に地方公聴会を開き、13日に総括質疑を行った上で法案の採決」との日程を提案したが、野党は拒否した。午後の理事会で、与党は地方公聴会は13日にずらして開催することを伝え、野党も受け入れた。しかし、野党はさらに15日に中央公聴会を開くよう要求し、折り合わなかった。
民主党の小沢代表は7日の役員会で、教育基本法改正案の扱いについて「もうひと踏ん張りしてほしい」と述べ、来週の採決阻止を要請した。
讀賣新聞 2006年11月8日
文科省案をそのまま送付 教育基本法改正賛成依頼
▽ 内閣府、全集会の調査検討
今年九月に青森県八戸市で開かれた政府主催の「教育改革タウンミーティング」の参加者に教育基本法改正案に賛成する発言をするよう文書で依頼した問題で、内閣府は七日午後、文部科学省作成の質問項目案の文言修正は一切せずに市教育委員会に送付していたことを明らかにした。
また、小泉内閣で実施された百七十四回のすべてのタウンミーティングについても、同様の質問依頼がなかったかについての調査を検討する方針を示した。
記者会見した内閣府の幸田徳之参事官によると、議論の口火を切るため、事前に市教委を通じて集めた四人の発言予定者の質問内容を文科省に伝えたところ、同法改正に関する内容が少なく、同省から「基本法改正についての議論があった方がよい」との要請を受けた。
内閣府は市教委に質問者を探すよう再度要請。別の三人に依頼し、二人が当日質問項目案に沿って賛成の発言をした。
幸田参事官は「『文科省が作成した内容を発言する人を探してくれ』と言って送った段階で(タウンミーティングの趣旨を)逸脱しているが、深く考えずにそのまま送ってしまった」と釈明した。
過去のタウンミーティングで発言内容は縛らずに事前に質問者を決めていた事例について、幸田参事官は「すべてのタウンミーティングで行われているわけではない。半分もないと思う」と述べた。
中国新聞 2006年11月8日
「行きすぎ」認め、TM運営見直し表明 塩崎官房長官
塩崎官房長官は7日の記者会見で、青森県で開かれた政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)で内閣府が教育基本法改正に賛成の立場からの発言を依頼していた問題について、「現場の行き過ぎがあった。TMに対する信頼感を損ないかねないようなことが起きてしまい、大変遺憾だ」と語った。今後は「誤解を招くようなことは一切やめる」とし、TMの運営を見直す方針を表明した。
塩崎氏は、事前に依頼した現場判断について「会の活性化のために良かれと思って動いた」「教育基本法についても反対意見も賛成意見も出てきて、それなりの活気のある会になった」と釈明した。
そのうえで「これからは事前に調べるとか、お願いするというようなことはやめる」と語り、「国民の率直な意見がストレートに出やすいような仕組みを考える」と理解を求めた。9月の安倍内閣発足後、TMはまだ開かれておらず、政府は今後、新しい形式のTMを計画する方針だ。
朝日新聞 2006年11月8日
「やらせ質問」常態化?八戸では10人中6人に依頼
内閣府は7日午後、9月に青森県八戸市で開かれた「教育改革タウンミーティング」での質問依頼問題で、当日の質問者10人中6人に質問を依頼していたと発表した。
小泉内閣で実施した174回のタウンミーティングでも同様のケースがあった可能性があるとしており、今後調査を検討する。教育改革に関する過去7回分に関しては、9日の衆院教育基本法特別委員会理事会に調査結果を報告する。
塩崎官房長官は7日夕の記者会見で、「大変遺憾だ。今後、誤解を招くようなことは一切やめる」と述べ、運営を一新する考えを示した。
内閣府の説明によると、タウンミーティングでの質問依頼は「円滑に対話を進める」などの名目でしばしば行われ、内部ではこうした質問者を「依頼発言者」と呼んでいた。
讀賣新聞 2006年11月8日
11月7日
履修不足 文科省出向者が黙認 伊吹文科相が認める
伊吹文明文部科学相は6日の衆院教育基本法特別委員会で、高校の履修単位不足問題に関連し、公立高校を管轄する都道府県教育委員会に文科省の出向者が多数いることについて「(出向者が)ある程度(必修科目外しの)実態を把握していたのかも分からない」と語り、同省が履修不足を黙認していた可能性があることを認めた。共産党の石井郁子氏の質問に答えた。
政府は「一義的な責任は学校」(塩崎恭久官房長官)と文科省に法的責任はないと強調している。仮に出向者が学校提出の教育課程が順守されていないと認識していたならば、政府の立場を覆す可能性があり、野党側は厳しく追及しそうだ。
伊吹氏は「断定的に言うことは、都道府県ごとに(実情が)違うと思うので(できない)」と言及。過去にさかのぼって履修不足の有無を調査するなど、詳しい状況把握に努める考えを示した。
共産党の調べでは、今年1月現在、都道府県教委に出向している文科省職員は24都道県で26人。このうち島根、高知、福岡の3県は、高校のカリキュラムを承認するなど学校運営に当たる高校教育課長だった。同省の全国調査で、島根では公立高19校、福岡で6校に履修不足があった。
また、都道府県の教育長が公立高の校長から直接就任したケースが少なくないことについて、伊吹氏は「その教委はだまされたふりをしていたと思う」と教委が実態を把握しながら是正を怠ったとの認識を示した。【竹島一登】
毎日新聞 2006年11月7日
市教委経由でも政府寄り質問依頼 教育改革ミーティング
青森県八戸市で9月2日にあった政府主催のタウンミーティングで内閣府が県教委を通じて教育基本法改正に賛同する質問を依頼していた問題で、内閣府は県教委とは別に、八戸市教委を通じても質問を依頼していたことが分かった。市教委は、PTAの連合組織を通じて中学校のPTA会長ら2人に質問を依頼していた。このうちの一人は朝日新聞の取材に対し「質問例にこだわらずに意見を述べた」と説明したが、内閣府の質問案と重なる部分もあった。
関係者によると、2人ともタウンミーティングの会場で発言したという。質問を依頼された中学校PTA会長によると、8月末ごろ、三つの質問が書かれた紙が自宅にファクスで送られてきた。そのうちの一つに丸がしてあり、それを質問するよう求める趣旨のメモがあったという。いずれの質問も教育基本法改正に賛同する趣旨だった。
その後、棒読みをしないことや、当日は係の者が席に案内することも文書で告げられた。
教育基本法の改正案では、新たに家庭教育を重視する規定が盛り込まれ、内閣府が用意した質問文にも「教育の原点はやはり家庭教育だと思います」とある。このPTA会長もタウンミーティングで、「教育の原点は家庭教育だと思うが……」と発言し、家庭教育の規定について「大変期待している」と語っていた。
このPTA会長は「発言の仕方まで強制するやり方に憤りに近いものを感じたが、一方で『こういうものなのかな』と思って特に文句は言わなかった。結果的に非教育的なことに加担してしまい、甘かったと反省している。大きな渦に巻き込まれた感じがする」と話した。
◇
この問題に関連して塩崎官房長官は6日夕の記者会見で「八戸の問題については理事会に結果を報告することになっている」と述べ、7日の衆院教育基本法特別委員会の理事会に調査結果を報告する考えを示した。
朝日新聞 2006年11月7日
<やらせ質問>内閣府 関与認める調査結果を報告、陳謝
政府が9月に開いた教育基本法改正に関するタウンミーティングで改正賛成の質問をするよう参加者に依頼していた問題で、内閣府は7日、「やらせ質問」への関与を認める調査結果を衆院教育基本法特別委員会の理事会に報告し、陳謝した。これを受け与党は13日に特別委で、14日に衆院本会議で同改正案を採決する日程を提示したが、野党は「調査が不十分」として受け入れなかった。
調査によると、内閣府や開催地の青森県教委は「時代に対応すべく基本法を見直すべきだ」などの質問案3案を、あらかじめ決まっていた質問者に提示した。「対話のきっかけを作るため」(内閣府)だったという。やらせ質問が発覚した同県八戸市以外のタウンミーティングでも同様の働きかけがなかったか、9日に改めて報告する。
この問題は、先月31日の特別委で高橋千鶴子氏(共産党)が指摘。青森県教委が地元の中学校長らに対し賛成の立場から質問するよう文書で働きかけていたことが発覚した。【米村耕一、山田夢留】
毎日新聞 2006年11月7日
「やらせ質問」認め陳謝=衆院特別委に調査報告−内閣府
内閣府は7日午前の衆院教育基本法特別委員会の理事会で、青森県八戸市で教育改革に関する政府主催のタウンミーティングが今年9月に開かれた際、参加者に質問を依頼していた問題で調査結果を報告し、正式に事実と認め陳謝した。
調査結果によると、内閣府から八戸市教育委員会を通じて質問予定者に「教育の根本となる教育基本法は見直すべきだ」などとした質問案を送付し、発言を依頼。さらに「依頼されたことを言わないように」などの注意事項も伝えた。
内閣府はこれ以前に7回行われた教育改革タウンミーティングについても、9日をめどに調査結果を報告する方針を示した。
讀賣新聞 2006年11月7日
「やらせ」タウンミーティング、内閣府が依頼認め陳謝
内閣府は7日午前、青森県八戸市で9月に開かれた政府の「教育改革タウンミーティング」で教育基本法改正案に賛成の立場で質問するよう参加者に依頼していた問題の調査結果を、衆院教育基本法特別委員会の理事会に報告した。
内閣府側は、質問依頼をしていた事実を認め、陳謝した。
理事会に出席した内閣府の山本信一郎官房長は、「政府寄りの意見を参加者に押しつけるつもりはなかった」と説明した上で、「今後、こういうことのないようにしたい」と陳謝した。
内閣府の調査によると、タウンミーティングの発言希望者やその発言趣旨について、八戸市教委から内閣府経由で連絡を受けた文部科学省が「教育基本法改正案についての議論があった方がいい」と、質問項目案を作成。青森県教育庁が「教育基本法の改正を一つのきっかけとして、もう一度教育のあり方を見直すべきだ」などとする意見に賛同する3人を選び、質問項目案も事前に送付していた。
讀賣新聞 2006年11月7日
内閣府、質問依頼認め陳謝
内閣府は7日午前の衆院教育基本法特別委員会理事会で、青森県八戸市で9月2日に開いた政府主催の教育改革に関するタウンミーティングについての調査結果を報告、参加者に質問を依頼していた事実を正式に認め、「国民に不透明な印象を与え反省している」と陳謝した。
調査結果によると、内閣府は八戸市教育委員会を通じ、質問予定者に「教育の根本となる教育基本法は見直すべきだ」「教育の原点はやはり家庭教育だと思う」などの内容の質問事項を送付し、発言を依頼。さらに「棒読みにならないように」「意見発表を依頼されたことは言わないように」などと注意事項も伝えていた。
内閣府は、八戸以外で開いた計7回の教育改革に関するタウンミーティングについても参加者に対する依頼がなかったかを調査し、9日をめどに結果を報告する方針。
<教育基本法>採決日程で攻防 衆院特別委
衆院教育基本法特別委は7日、地方公聴会を8日に続き13日にも開くとともに、参考人質疑を9日に行うことを決めた。与党は教育基本法改正案採決の環境が整ったと判断、14日採決を提案した。民主党内では16日以降の採決を受け入れる意見が出ており、同改正案は来週中に衆院を通過する見通しが強まった。
毎日新聞 2006年11月7日
教基法、来週衆院通過の見通し=野党の引き延ばし戦術も限界
政府・与党が今国会の最重要法案と位置付ける教育基本法改正案が、来週中に衆院を通過する見通しとなった。与党側が7日の衆院特別委員会理事会で、地方公聴会開催など民主党の要求を一部受け入れたため、野党側もこれ以上の審議引き延ばしは困難と判断した。
7日の理事会で与党側は、当初目指していた10日採決を撤回し13日採決を提案。これにも野党側が難色を示したため、9日に参考人質疑を行い、2回目の地方公聴会を13日に開催することで与野党が折り合った。
一方、野党側は、与党が理事会で提案した14日の委員会採決と本会議への緊急上程については拒否したものの、来週中の委員会採決には応ぜざるを得ないとみている。民主党幹部は7日夜、「際限なく審議を続けることにはならない。ある程度のところで採決に応じる」と言明した。
時事通信 2006年11月7日
教育基本法改正案、今国会成立強まる 衆院委が来週可決へ
安倍政権が今臨時国会の最重要法案と位置づける教育基本法改正案が、来週中に衆院特別委員会で与党の賛成多数により政府案のまま可決される見通しとなった。与党が野党の審議要求に一部応じる形で週内をめどとしてきた採決を来週中に先送りする判断を固める一方、民主党など野党もそれ以上採決を遅らせる審議拒否など抵抗は困難との判断に傾いたためだ。このため今国会で成立する可能性は高まったが、12月15日の会期末まで約1カ月しかないうえ、会期の大幅延長は困難で、参院審議を含めて与野党攻防はなお続きそうだ。
特別委は8日に仙台市などで地方公聴会を開く。与党は「採決の環境が整った」として、6日の特別委理事会で9日に参考人質疑、10日に総括質疑をしたうえで採決することを提案した。これに対し野党は、地方公聴会の日程追加などを要求。「10日採決の前提では日程協議に応じられない」と与党提案を拒み、物別れに終わった。
これを受け与党は、野党が採決に応じることを条件に地方公聴会を追加するなど出来る限り野党の要求をくむ方針だ。10日の採決予定を先送りすれば、野党の抵抗姿勢も弱まると判断した。
野党の審議要求に柔軟に応じるのは参院でのスムーズな審議入りも計算に入れたものだ。野党が参院で審議拒否するような運びを避ければ、「来週中盤からの審議開始」(参院自民党幹部)でも成立させられるとの判断がある。
一方、民主党など野党4党は高校の必修科目履修漏れ問題やいじめの問題などの広がりも踏まえ、徹底審議を求めてきた。
だが、先の通常国会も含めると、審議は80時間程度になることは確実。さらに、履修漏れといじめ問題の集中審議も、衆院文部科学委員会で8日に行うことになった。民主党内では、さらに与党が審議日程で譲歩すれば、これ以上の採決先送りは難しいとの見方が広がっている。民主党の国対幹部は6日、「来週末の採決という流れだろう。審議拒否は難しくなった」と語った。
政府案は、焦点の「愛国心」の規定ではその用語は使わず、「我が国と郷土を愛する態度を養う」とする。他方、民主党案は「日本を愛する心を涵養(かんよう)する」との表現を盛り込んでいるが、民主党は修正協議には応じない構え。このため与党は政府案のまま採決に踏み切る方針だ。
朝日新聞 2006年11月7日
11月6日
教育基本法「参院で議論の時間必要」 二階氏が野党牽制
自民党の二階俊博国会対策委員長は5日のNHKの番組で、衆院の特別委員会で審議中の教育基本法改正案について「強行採決は絶対にしない。妥協できる点があれば話し合えばいい。ただ、土日を除く残り会期は1カ月を切った。参議院でも議論する時間が必要だ」と述べ、10日の衆院通過も念頭に早期の採決をめざす意向を示した。
これに対し野党側は、「国民的な議論を高め、少なくとも1年か2年かけて慎重審議をすることが必要だ」(民主党の高木義明国対委員長)などと反論した。
朝日新聞 2006年11月6日
教育基本法改正案、14日衆院通過めざす
臨時国会は安倍政権が最重要法案と位置づける教育基本法改正案を巡り、今週から大詰めの調整に入る。与党は強行採決は避け14日の衆院通過を目指す方針。一方、いわゆるグレーゾーン(灰色)金利を廃止する貸金業法案は民主党内で賛成論が広がっており、今国会で成立する公算だ。防衛庁の省昇格法案は19日の沖縄県知事選後の採決をにらむ。
衆院教育基本法特別委は8日に採決の前提となる地方公聴会を設定。10日の採決も可能な状況だが、自民党の二階俊博国会対策委員長は5日のNHK番組で「強行採決はしない」と述べ、野党が反対する10日の採決にはこだわらない考えを示した。ただ「参院でも1カ月程度は議論をしないといけない」とも語り、14日の採決は譲れないとの立場を強調した。
与党、教基法10日採決を提案=衆院特別委
衆院教育基本法特別委員会は6日昼の理事会で、教育基本法改正案の審議日程について協議した。与党は10日に締めくくり質疑と採決を行う日程を提案したのに対し、野党は「審議時間が不十分」と拒否。15日に2回目となる地方公聴会を、その後に中央公聴会をそれぞれ開催するよう要求した。
時事通信 2006年11月6日
教育基本法案 与党が採決提案、野党は拒否 衆院特別委
衆院教育基本法改正案について、与党は6日午後、同法案を審議する特別委員会の理事会で、9日に参考人招致、10日に締めくくりの総括質疑をしたうえ採決したいと提案した。野党は拒否した。与党は、審議時間が6日の質疑で70時間を超えたことなどから、遅くても14日の衆院本会議で可決したい考えだ。
与党は参院でも1カ月程度の審議期間が必要と見ており、12月15日の会期末までに法案を成立させようとすれば、待ったなしの状況だ。ただ、衆院で強行採決すれば、参院での野党の抵抗がさらに強まることが予想されるため、慎重審議を求める野党の同意をいかに得るかがカギとなる。
朝日新聞 2006年11月6日
11月3日
タウンミーティング“やらせ” 野党が政府追及へ
民主、共産、社民、国民新の野党4党は、青森県で9月に開かれた政府の「教育改革タウンミーティング」で内閣府などが教育基本法改正案に賛成の立場で質問するよう参加者に依頼していた問題について、政府の責任を追及する方針だ。
民主党の鳩山幹事長は2日の記者会見で、「やらせ質問などあってはならない。ほかでも同じことが起きているのではないか」と述べ、タウンミーティングの別の会場でも同様の問題がなかったか全容の解明が必要だと強調した。
共産党の志位委員長も記者会見で「すべてのタウンミーティングについて実態を調べるべきだ」と強調、社民党の又市幹事長も記者会見で「国民の声を聞いているかのような体裁を取った偽装タウンミーティングだ」と厳しく批判した。
讀賣新聞 2006年11月3日
11月2日
教育基本法審議、来週最終局面に 衆院
教育基本法改正案を審議している衆院教育基本法特別委員会は1日の理事懇談会で、地方公聴会を8日に開くことで合意した。公聴会は採決の前提となるもので、開催決定を受け、与党は10日までの衆院通過をめざす。ただ、民主党は地方公聴会の追加や参考人質疑などを求め、早期採決は阻止する構え。衆院での審議は来週から最終局面を迎える。
同法改正案は先の通常国会で約50時間審議し、今国会でも1日までに18時間の審議を終えた。2日と6日にも審議を予定しており、8日の地方公聴会までに審議時間は計70時間を上回る見通し。このため、与党は「採決の環境は整う」として、9日以降の早い段階で、同特別委で採決したい意向だ。
これに対し民主党は、地方公聴会のほか、9日以降に中央公聴会の開催や参考人質疑を行うことも要求。政府の教育再生会議座長の野依良治氏やいじめ問題の専門家らを呼んで質疑する案も浮上している。
野党の反対を強引に押し切って採決に持ち込んだ場合、国会審議が空転する可能性もある。このため与党は、13日の週に先送りすることも視野に、慎重に採決のタイミングをはかる方針だ。
8日の地方公聴会は仙台、宇都宮、津、名古屋の4市で行われる。
朝日新聞 2006年11月2日
資料は内閣府が作成/八戸タウンM
九月二日に八戸市で開かれた「タウンミーティング」で、内閣府が教育基本法改正を誘導する質問を依頼した疑いがある−と、共産党の高橋千鶴子衆院議員が衆院教育基本法特別委員会で指摘した問題で、土肥原洋・内閣府大臣官房総括審議官は一日の同特別委で高橋議員が証拠として示した文書について「すべて内閣府が関与しているものではないが、参考資料は内閣府が作成したもの」と答弁した。
文書四枚は、高橋議員が三十一日の同特別委で示したが、取り扱いを一日の理事会で協議、同特別委への提出を認めた。
一日の同特別委では共産党の石井郁子衆院議員が、文書を基に内閣府の見解をただした。
土肥原総括審議官は「活発な意見を促すきっかけをつくる目的で、参加者の発言の参考となるような資料を作成する場合もあり、地元の関係者にそのような資料を提供する場合もある」などと述べた。
石井議員は「このほかにも今回のような事があったのではないか」との見方を示した。塩崎恭久官房長官は「調査をして報告したい」と答えた。
同特別委員会を傍聴した高橋議員は「内閣府が質問の案を作ったことを認めたため、事実上誘導を認めたことになる。官房長官が調査すると言ったので引き続いて追及したい」と語った。
東欧日報 2006年11月2日
教育改革タウンミーティングでやらせ質問、内閣府作成
今年9月2日に青森県八戸市で開かれた政府の「教育改革タウンミーティング」で、内閣府などが教育基本法改正案に賛成の立場で質問するよう参加者に依頼していたことが1日の衆院教育基本法特別委員会で明らかになった。
石井郁子議員(共産)が内閣府や青森県教育庁などが作成した文書を基に指摘し、政府もこれを認めた。
文書は、青森県内の教育事務所と同県教育庁が、地元の中学校長あてにファクスで送った2種類。一つは「タウンミーティングの質問のお願い」として、三つの質問案を示し、そのうちの一つを質問するよう依頼している。
もう一つの文書は「内閣府から以下のとおり発言の仕方について注意があった」として、<1>できるだけ趣旨を踏まえて自分の言葉(せりふの棒読みはさけてください)<2>「お願いされて」とか「依頼されて」と言わないで下さい(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)――などと、アドバイスしている。
内閣府が賛成発言誘導 八戸・タウンミーティング
9月2日に青森県八戸市内で開かれた小泉内閣の閣僚と国民の対話集会「教育改革タウンミーティング」について、青森県教組と県高教組は1日、内閣府が発言者をあらかじめ決め、教育基本法改正に賛成する発言を誘導した疑いがあると指摘した。
県教組などによると、内閣府は8月30日、県教育政策課に発言者の選定を依頼。三八地域の中学のPTA会長が選ばれ、同課は内閣府が作成した質問項目案を基に「教育基本法の改正を1つのきっかけとして、もう一度教育の在り方を見直すべきだ」とする発言を頼んだ。さらに「あくまで自分の意見を言っているという感じで」などと求めたという。このPTA会長は当日、駐車場に入れず欠席した。
県教育政策課は依頼の事実を認めた上で、「(内閣府からは)基本法改正の賛否は問わないとのことで、発言の口火を切ってもらう趣旨だった」と誘導の意図を否定している。タウンミーティングには小坂憲次文科相(当時)や県民約400人が参加した。
<内閣府は認める>
内閣府の文書をめぐっては1日の衆院教育基本法特別委員会で取り上げられた。同府の担当者は、教育基本法改正に賛成する発言をするよう参加者に依頼した文書の作成を認めた上で「会場からの活発な意見を促すきっかけをつくるのが目的だった」と釈明した。
質問した共産党の石井郁子氏は、ほかのタウンミーティングでも同様の行為がなかったか政府に実態調査を要請。塩崎恭久官房長官は「調査して報告したい」と答弁した。
河北新報 2006年11月2日
教育基本法見直し発言誘導 政府が「やらせ」
タウンミーティング青森県に依頼文書 内閣府認める 石井議員が追及
九月二日に青森県八戸市で行われた「教育改革タウンミーティング」で、内閣府が県教育委員会に依頼して教育基本法改悪法案に賛成するよう学校関係者に「やらせ質問」をさせていたことが一日の衆院教育基本法特別委員会で明らかになりました。
日本共産党の石井郁子議員が裏付ける文書を示したのに対し、内閣府の土肥原洋総括審議官は「内閣府が作成したもの」と認めました。石井氏は「教育基本法にかかわって世論誘導するのは重大だ」と批判。塩崎恭久官房長官は「調査して報告する」と約束しました。与野党議員から「とんでもない」「大問題だ」とのヤジが飛び、委員会室は一時紛糾しました。高橋千鶴子議員も十月三十一日の同委員会で指摘していたものです。
問題の文書は八月三十日に、青森県の三八教育事務所が、ある中学校の校長あてにファクスで送ったものです。「タウンミーティングの質問のお願い」と題し、二枚目に質問のひな型として、(1)時代に対応すべく、教育の基本となる教育基本法は見直すべきだと思います(2)改正案は「公共の精神」などの視点が重視されていて共感している。改正をきっかけに思いやりのある社会の実現を目指すべきだ(3)教育の原点はやはり家庭教育だと思います―の三つが書かれています。文書は、「誠に申し訳ありませんが、…当日に(2)の質問をお願いします」としています。
さらに九月一日には、今度は県教育庁教育政策課から同じ校長に対して、「『タウンミーティング』に係る依頼発言について」という文書が届きました。内閣府から発言の仕方への注意があったとして、「できるだけ自分の言葉で」「せりふの棒読みは避けてください」「自分の意見を言っているという感じで」などを、こと細かく指示しています。また、文科省の担当者が発言者の座席の位置を確認するということにも言及、「○○さんは『文科省依頼』に該当しています」としています。
複数の参加者から、(1)と(3)の趣旨の質問が会場から出されたことが指摘されており、県教委がほかの校長に依頼したとみられます。
委員会で、石井氏は「国民との対話を装いながら、発言者を組織し、政府の用意したものをしゃべらせるのは対話というより民主主義否定の世論操作だ」と批判。他の会場も含めこの間おこなわれてきたタウンミーティングでやらせ行為があったか調査を求めました。
(写真)ある中学校校長にあてた青森県教育庁教育政策課の依頼文書。「せりふの棒読みは避けてください」などと、タウンミーティングでの発言の仕方まで指示しています
しんぶん赤旗 2006年11月2日
11月1日
国旗・国歌尊重は教職員の職務義務 伊吹文科相「指導要領は法律」
伊吹文明文部科学相は31日の衆院教育基本法特別委員会で「学習指導要領は法律の一部だ。これに従って学校の管理・指導をしていただくのは当然のことだ」と述べ、教職員は入学式や卒業式で国旗・国歌を尊重する職務上の義務があると強調した。今年9月の東京地裁判決が、国旗掲揚の際の起立や国歌斉唱を求める東京都教育委員会の通達を憲法違反としたことに反論した形だ。民主党の藤村修氏も「公立学校の教職員は法律や告示に従い、義務を果たすことが求められている」と伊吹文科相に同調した。
東京地裁の判決は、教育基本法10条にある「教育は、不当な支配に服することなく」との規定を引き、都教委通達による学校長の職務命令を「不当な支配」に当たると認定した(都教委は控訴)。「不当な支配」の文言は、教職員組合が教委の指導・監督を拒否する理由に使っている。市民団体などによる国旗・国歌反対運動にも利用されてきたが、政府の教育基本法改正案16条は、現行法と同じ「不当な支配」の文言を残している。
これについて田中壮一郎・文科省生涯学習政策局長は「今までは一部教職員団体が、教育行政が教育内容・方法にかかわることは『不当な支配』だと主張を展開してきた」と指摘。その上で「政府案では『法の定める所により』と新たに規定した。法律に基づいて行われる教育委員会の命令や指導は、『不当な支配』でないことが明確になっている」と説明した。稲田朋美氏(自民)の質問に答えた。
産経新聞 2006年11月1日
教育基本法の賛成質問依頼か タウンミーティングで
9月に開かれた政府主催のタウンミーティングで、青森県教育委員会が内閣府の指示を受け、教育基本法改正案に賛成の立場の質問を地元の学校関係者に依頼した可能性があると、31日の衆院教育基本法特別委員会で高橋千鶴子議員(共産)が指摘した。高橋氏は、同県教委が作成したという文書を示して質問したが、事前に理事会に提出していなかったなどの理由から政府側は答弁しなかった。文書などの扱いは11月1日の理事会で協議する。
高橋氏が問題としたのは、9月2日に青森県八戸市で開かれた「教育改革タウンミーティング イン 八戸」。小坂憲次文科相(当時)らが出席した。
高橋氏は質問で二つの文書を読み上げた。いずれも青森県内の中学校校長にあてられた8月30日付と9月1日付のもので、それぞれ地元の教育事務所と教育政策課の作成という。「タウンミーティングの質問のお願い」と題した8月30日付の文書は「当日に(2)の質問をお願いします」などと書かれ、質問案として「時代に対応すべく、教育の根本となる教育基本法は見直すべきだと思います」などが挙げられていたという。
また、9月1日付の文書では「発言者を選んでいただき、誠にありがとうございます」としたうえで、内閣府から「お願いされてというのは言わないでください」などの注意がある、と書いてあったという。
朝日新聞 2006年11月1日