2006年9〜11月 市民・識者の声(2006年12月)


教育基本法「改正」反対講師マニュアル(リンク)


教育基本法『改正』案を問う。―愛国心は必要か!

この度、明治大学軍縮平和研究所では、教育基本法「改正」案が今臨時国会において成立する見込みとの報道に接し、何らかの行動を起こす
必要があると考えました。私どもは、先の通常国会で法案の採決が叫ば れた際、急遽季刊『軍縮地球市民』臨時増刊「教育基本法改正案を問
う。愛国心は必要か!」を刊行し、事の本質を世に問いました。しか し、その後も、国会において法案の本質的な問題が問われることなく、
今日に至っております。

そこで、当研究所ではこれまでの経緯も踏まえ、改めて法案の問題点 を指摘すべく、シンポジウムの開催を企画しました。奮ってご参加ください。

■日 時:12月13日(水)18時より21時20分

■会 場:明治大学駿河台校舎リバティータワ−1階リバティーホール
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■講師:市川須美子(獨協大学教員)、尾山宏(弁護士)、なだいなだ(作家)、森達也(映像作家/ノンフィクション作家)、他1名を予定。

■当日スケジュール:
 開場:18時00分
 開演:18時30分
 講演:18時30分〜20時20分
 講演者5人による討論:20時30分〜21時00分
 会場からの質疑応答:21時00分〜21時20分
*当日のスケジュールは前後することがあります。

■入場無料
■問合せ先
 明治大学軍縮平和研究所
 電話 03-5875-0850
 FAX 03-3239-8146
 Mail muidps@gunsyuku.org

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教育基本法「改正」に反対する歴史関係者緊急集会

日 時 2006年12月12日(火) 午後6時〜午後8時30分
会 場 たかつガーデン(大阪府教育会館)
06-6768-3911 地下鉄谷町9丁目・近鉄上本町駅下車
講 演 中塚 明氏「〈日常を生きる〉歴史認識」
意見発表

呼びかけ人
浅井義弘 家長 隆 猪飼隆明 井口和起 上野輝将 倉持祐二 小林啓治 小牧 薫 鈴木 良 塚田 孝 中塚 明 広川禎秀 藤井譲治

集会の呼びかけの文・講師略歴などについては「「9条の会」に賛同する関西歴史研究者の会」がブログ内に掲載していただきました。

以下、集会の呼びかけ文です。
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教育基本法「改正」に反対する歴史関係者緊急集会

 教育基本法「改正」案が、教育の最高法規にふさわしい十分な審議もないまま、衆議院で強行採決され、参議院で審議中です。「改正」案は、憲法の外堀ばかりか内堀まで埋める暴挙であり、5年をめどに改憲を公言する安倍内閣のおそろしさを示すものです。

 悲惨な戦争体験と「教育勅語」への反省からうまれた現行教育基本法は、人間の普遍的価値を擁護し、戦後のこどもの発達や民主主義の深い拠り所となってきました。世界が資本の暴走と偏狭なナショナリズムに苦しんでいるいま、教育基本法はますます輝きをましているのではないでしょうか。いっぽう「改正」案は、教育の機軸を国家へ移すもので、いま教育現場でおこっている深刻な問題も「改正」案で解決されるどころか、いっそう学校や地域の矛盾を深めるのではないでしょうか。

 何より問題なのはさまざまな疑問がなんら解明されないまま、力づくで教育の最高法規の「改正」が強行されようとしていることです。私たちは歴史の研究、教育にたずさわるものとして、教育基本法「改正」に強く反対し、徹底した審議を要求し、緊急集会への参加を呼びかけます。

呼びかけ人
 浅井義弘 家長 隆 猪飼隆明 井口和起 上野輝将 倉持祐二 小林啓治
 小牧 薫 鈴木 良 塚田 孝 中塚 明 広川禎秀 藤井譲治

日 時 2006年12月12日(火) 午後6時〜8時30分
会 場 たかつガーデン(大阪府教育会館)
     06-6768-3911 地下鉄谷町9丁目・近鉄上本町駅下車
講 演 中塚 明氏「〈日常を生きる〉歴史認識」
意見発表

中塚氏略歴 1929年生まれ。専攻は日本近代史。主な著書に『日清戦争の研究』、『近代日本と朝鮮』、『「蹇蹇録」の世界』、『近代日本の朝鮮認識』、『歴史の偽造をただす』ほか。奈良女子大学名誉教授。元日本学術会議会員、前奈良県歴史教育者協議会会長。

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ストップ 石原都政の教育破壊!教育基本法改悪 NO! 12・10集会

日 時 12月10日(日)   開場13:00 13:30〜17:00

講 演 尾山 宏(「日の丸・君が代」強制反対裁判弁護団長)
    「予防訴訟の意義」
    世取山 洋介(日本教育法学会教育基本法研究特別委員会事務局長)
    「教育基本法『改正』と東京の教育行政」
演 劇 「教育基本法なんて知らないよ」
     (若ぞう劇団“ででっぽこぞう”)
報告・討論 小学校から大学まで石原教育行政との対決点
      「日の丸・君が代」強制反対のとりくみ
      教育基本法改悪のとりくみ
資料代 500円
会 場 ラポール日教済(地下鉄東西線神楽坂駅下車徒歩5分、有楽町線江戸川橋駅下車徒歩6分)

主 催 ストップ石原都政の教育破壊!教育基本法改悪NO!12・10集会実行委員会

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市民とジャーナリストを結ぶ12・8の集い

日 時 12月8日(金)   18:30〜

講 演 高橋 哲哉(東京大学教授)
    「教育基本法改正の先にあるものー
     『美しい国』づくりが目指す危険な企て」
参加費 1000円(予約者・JCJ会員800円、学生500円)
会 場 岩波セミナールーム
    (地下鉄神保町駅A1出口下車徒歩1分)
主 催 日本ジャーナリスト会議(JCJ)
      連絡先:03―3291−6475

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教育基本法「改正」に対する北海道大学総合博物館からのアッピール

我々北海道大学総合博物館教員一同は、札幌農学校以来の北海道大学130年の歴史を振り返り、我が国の教育における民主主義の源流を形成したと評される輝かしい伝統と、先人の教え、そして、再び歩んではならない過ちの全てを俯瞰し、自由で民主的な社会の構築と、次代を担う若者の教育、学問研究の発展に資することを教員の使命と認識し、学問の自由、教育の独立など教育における重要理念を法制化した現行教育基本法の精神を尊重し、この精神に反する「改正」案には反対することを表明する。

本学は1876年に我が国最初で唯一の学位を授与する大学として発足し、自由な学風と、自主独立の精神を涵養する、極めて民主的な、人格の完成を目指す人間育成を教育の基本として我が国の大学教育の源流の一つを築いた。一方、我が国の官学教育においては、本学の自由な人間を造る民主主義的教育は時の政権に支持されるには至らず、むしろ政権によって教育が支配され、逆らうものには弾圧が加えられた。札幌農学校に対しても、その自由な教育精神と、権力に対しても堂々と正義を主張する卒業生を輩出したが故に、時の政府からの圧力をうけ、幾度となく存立の危機に瀕してきた。国家主義教育が大学をはじめ初等中等教育をも支配し、教育が我が国を戦争へと導く精神的支柱の形成手段として使用されてしまったのである。

戦後、国家権力による教育への干渉がもたらす弊害への反省から、憲法で「学問の自由」が保証され、また、本学の教育精神を強く引き継ぐ、新渡戸稲造と内村鑑三の教え子たちを中心に草起された教育基本法には、学問の自由に加え、「教育の独立」の精神が唱われている。教育基本法第10条「教育は、不当な支配に服することなく…」は新渡戸稲造がその著作『札幌農学校』(英文 新渡戸稲造全集第23巻)に述べている言葉:「政治は決して教育機関に干渉してはならない」と同じ精神に由来する。これらの精神に基づけば、大学における教育研究は、大学の良心に基づき、国民に対し直接に責任を負うものであり、普遍的真理の探究と教育と言うその使命から、その時々の政権に支配されてしかるべき性質のものでは無い。

我らは、教育の崇高な目的を達成するために、そして、再び教育が国を戦争に導く思想形成の手段として使用されると言う過ちをくり返さないために、学問教育の基本理念を宣言するものとして現行教育基本法を強く支持し、教育に対する政治的介入を可能にする教育基本法「改正」案に反対する。

北海道大学総合博物館教員一同 (館長・藤田正一)

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教育基本法改正:元小中校長56人、廃案求める声明 /岩手

参院で教育基本法の改正法案の審議が進む中、小中学校の校長を経験した56人が6日、改正案の廃案を求める声明を発表した。「国民のための教育」のはずが、改正法案によって「国家のための教育」に変えられようとしている。声明は「現行の教育基本法の理念に沿った教育改革を行うことが大切だ」と主張している。校長経験者の7人が先月下旬、県内の元校長に呼びかけたところ、数日間で賛同者が集まったという。【念佛明奈】

毎日新聞岩手版 2006年12月7日

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人間の鎖:教育基本法改正に反対し3500人が国会前を

キャンドルを手に教育基本法改正反対の声を上げる人たち=東京・永田町で6日午後5時24分、須賀川理写す 教育基本法改正に反対する市民団体の呼びかけで市民ら約3500人が6日夕、東京都千代田区の国会前で「ヒューマンチェーン」(人間の鎖)に参加した。ろうそくを持った参加者が歩道を埋め、「愛国心の押し付けノー」「教育格差を広げるな」とシュプレヒコールを上げた。

この場に登場したコント集団「ザ・ニュースペーパー」のメンバーは、安倍晋三首相のモノマネで「こんなに集まっていて『やらせ』ではないと聞いて驚いている。与党の集会なら3万円もらえる」と、タウンミーティングでのやらせ問題をやゆして沸かせた。また、社民党の福島瑞穂党首は「主権者は国民で、社会のあり方を決めるのも国民。今国会で成立させないよう頑張りましょう」と訴えた。【高山純二】

毎日新聞 2006年12月7日

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声明 私たちは教育基本法「改正」案に反対します

群馬大学教職員 九条・平和の会/教職員有志

教育基本法「改正」案の審議が今,国会で最終段階に入っています。政府・与党は11月16日,野党4党欠席のまま単独で衆議院での採決を強行し,審議は参議院に移されました。法案成立の危険が目前に迫っています。しかし,日本国憲法とともに誕生し,民主主義と平和を教育の理念として掲げてきた教育基本法が,国民の理解を欠いたままこのような暴力的な手法で「改正」されてよいはずはありません。タウンミーティングでの「やらせ質問」も含めて民主主義をわきまえない「改正」強行の動きに,
「改正」案の危険な本質がすでに露呈しているのを感じます。国会の審議を尽くすこともなく,広範な国民の意思形成を図ることもなく,憲法に準じる教育の根本法が数をたのみとして「改正」されることを,私たちは認めることはできません。

「改正」案の最大の問題は,自立的な個人の育成を目的として教育の自由を保障してきた現行法を否定し,国家のために国民を育成する教育の国家統制へと道を開いていることです。「改正」に見せかけながら,法の基本精神が180度転換されています。なかでも「改正」案第2条では,「我が国と郷土を愛する」態度を養うことをはじめとして,多くの徳目が「教育の目標」として列挙されています。国家が国民一人ひとりの心の内面にまで介入し,国家の定めた「目標」に従う国民の道徳的育成の場へと公教育を変質させる危険を,そこに指摘しないわけにはゆきません。第6条では,このような「教育の目標」を組織的に達成することが学校教育に義務づけられ,第9条では教員にその「崇高な使命」を深く自覚して,職責を遂行することを求めています。教員を「全体の奉仕者」と定めた現行法の文言が削られ,教員は国家への奉仕者とされかねません。学校教育から自由闊達さが失われ,子どもや教員,国民にとって学校が息苦しい内面的強制の場に変容することを,私たちは認めることはできません。

「改正」案における教育の国家統制は,徳目の教育だけにとどまりません。「改正」案第16条では,教育は「不当な支配に服することなく,国民全体に対し直接に責任を負って」行われるべきという現行法第10条の表現が,「不当な支配に服することなく,この法律及び他の法律の定めるところにより」行われるべきと改められています。国家による教育内容への介入を厳しくいましめてきた現行法の「不当な支配」という言葉を巧妙に使いながら,ここでも法の基本精神が180度転換され,国家が法律を通じて教育を統制する趣旨が織り込まれています。しかも続く第17条では,政府に「教育振興基本計画」の策定・実施を義務づけ,これを国会での審議の対象から外しています。つまり教育は,政府が思いのままに策定する「基本計画」に基づいて振興が図られるべきものとなり,もし教育行政に異を唱えるならば,直ちにそれは「不当な支配」になりかねないのです。言うまでもなく現行法は,国家が教育内容を全面的に統制した戦前の苦い過ちをふまえて制定されたものです。国家の定めた「目標」の達成に向
けて,政府が教育の営みを包括的かつ一元的に統制することを可能とする「改正」を,私たちは認めることはできません。

「改正」案のもとで大学もまた国家の統制を免れません。そもそも「教育の目標」の達成は大学にも義務づけられるものですが,加えて「改正」案第7条では,大学は「成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与するものとする」,と定められています。もとより「社会の発展に寄与する」ことは大学の使命ですが,政府が「教育振興基本計画」によって「社会の発展」の方向を策定し,大学の「寄与」を判別して財政誘導を行うとなれば,もはや大学における教育と研究の自由は存続しがたいものとなります。学問の自由を危うくし,大学における教育と研究を国家の「目標」の下に誘導しようとする「改正」を,私たちは認めることはできません。

以上のように教育基本法「改正」案は,民主主義と平和の実現をめざす現行法の理念を根本からくつがえし,教育の国家統制を正当化し,個人の精神の自由,教育・研究の自由を脅かす重大な危険を内包するものです。私たちは,群馬大学において教育・研究に携わるものとして,このような教育基本法「改正」案に強い不安と憤りを覚えます。現行教育基本法を堅持しその理念を実現させることこそが,教育本来のあるべき姿であり,日本の教育の未来を切り開くものであると,私たちは確信します。

ここに私たちは,教育基本法「改正」案に反対する強い意思を表明し,同法案を廃案にすることを求めます。

2006年12月6日
群馬大学教職員 九条・平和の会/教職員有志

新井哲夫,石川真一,伊藤賢一,犬塚 元,今村元義,岩永健司,上里京子,狩野源三,黒須俊夫,小泉一太郎,小暮公孝,近藤義臣,斎藤 周,齊藤隆夫,清水武雄,下田博次,砂川裕一,菅原英直,瀬山士郎,高橋久仁子,高林圭子,高山利弘,滝沢俊治,田崎篤郎,團名保紀,豊泉周治,長津美代子,松永友有,三上紘一,中田吉郎,中野尚彦,西薗大実,久田信行,福地豊樹,堀内雅子,松本富子,三田村道子,山田博文,山崎雄介,山西哲郎,渡邊彩子ほか15名,計56名

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教育基本法を批判 近大で徐龍達氏講演

【大阪】徐龍達桃山学院大学名誉教授は11月29日、近畿大学で開かれた「人権に関する研修講演会」で講演し、教育基本法改定案の強行採決に反対するべきだと述べた。講演会は経営学部と経済学部の人権委員会が教授陣を対象に主催した。

徐名誉教授は「日本政府は徹底的に平和に生きるという敗戦後の決意を忘れ、イラク戦争参加などを合理化する憲法9条の改定を目的とする教育基本法改定案の強行採決を目指しているが、大学教授として絶対反対するべきである」と呼びかけた。さらに定住外国人の市民権を認めるべきだとも強調した。

民団新聞 2006年12月6日

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教育基本法改悪 “教師の大学”も反対 学芸大217教職員が声明

東京学芸大学の教職員有志二百十七氏は、「教育の国家統制を強化する教育基本法改正案の廃案を求める声明」を、このほど発表しました。

教育に深くかかわる教職員として、(1)現行法を変更する理由が説明されていない(2)教育内容を統制するしくみが盛りこまれるなどの大きな問題点がある(3)徹底的な審議が行われていない(4)教育における問題は、教育行政が現行法の精神を軽んじていることから起きている、などの理由から廃案を求めています。

詩人が共同声明
詩人五十二氏が呼びかけ、二百四十二人が賛同を表明した「教育基本法改悪に反対する詩人の共同アピール」も、このほど発表されました。アピールは「『改正』によって教育現場に持ち込まれるのは競争の激化、格差の拡大、荒廃の蔓延(まんえん)」であり、「私たち詩人は見過ごすわけにはいきません」とのべ「改正」案の廃案を強く求めています。

各団体が意見書・要請
自由法曹団
自由法曹団(松井繁明団長)は四日、「教育基本法『改正』立法事実の再検証を求める」意見書を各党などへ送付しました。

意見書は「やらせ」タウンミーティングについて資料を示して実態を説明し、教育基本法「改正」法案について、世論調査の結果からも国会での慎重審議を求めていること、全国の弁護士会でも慎重審議を求めていると指摘。「真相の全面的解明の前に参議院の採決があってはならない」と述べ、「やらせ」タウンミーティングの問題は民主主義の問題であることを指摘し、国会における全容の解明を求めています。

青年法律家協会
青年法律家協会弁護士学者合同部会(井上聡議長)は四日、教育基本法改悪案の廃案を求める意見書を、首相や文部科学大臣らに送付しました。

意見書は、改悪案を「現行法の定める国民の教育権や教育の自主性・自立性を失わせ」るものだと指摘。「重大な問題点」として、「これまで教育環境の整備に限定されていた教育行政」が「教育内容に自由に介入できる」ようになることや、国家による「愛国心などの教育徳目を押しつけ」が可能になることをあげています。

この間の「『いじめ自殺』や『タウンミーティングやらせ問題』を通じて、改正の必要性はもちろん、提案者の資格自体が疑問視されている」として、「すみやかに廃案」するよう求めています。

保団連
全国保険医団体連合会(保団連・住江憲勇会長)は四日、参議院教育基本法に関する特別委員会委員に教育基本法「改正」法案に反対し、徹底的な審議をするよう要請しました。

保団連は「『いじめ』自殺、未履修、タウンミーティングの『やらせ』質問という政府・文部科学省の責任に関する問題についての審議をなおざりにしたままでの法案強行は許されない」と述べ、「子どもたちの未来にかかわる問題を与党による単独採決で決めれば将来に禍根を残すという国民多数の世論がある」と指摘し、「教育基本法改悪法案の成立を急ぐことなく、徹底した審議を強く要請します」と述べています。

しんぶん赤旗 2006年12月5日

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私の視点 公立小学校教員(愛知県) 岡崎 勝

◆教育基本法 現場は画一化を望まない

今、子どもたちは、「自分がどう見られているか」という評価をいつも気にしている。同時に、孤立することを極度に恐れ、どのように自分が他者と関係を結んだらいいのかと、大きな不安を抱えている。

だから私は、子どもを多面的に評価することに何よりも力を注いできた。学校は、たとえ勉強やスポーツが苦手でも毎日、仲間と一緒の時間、同じ空間で過ごせる場である。評価のものさしをたくさん持つことで子どもは、自分の良さをみんなに認めてもらえる機会を手にし、仲間と色々なかかわりを作っていく。

また親も、学校は仲間がいて集団のルールも学べる意義ある生活の場だと思うからこそ、たとえ自分の子が学力的に「できの悪い子」であっても、安心して預け、仕事もできた。

しかし学校は今、学力評価のものさし1本で子どもを序列化し、格差=差別社会を作る方向に向かっている。点数化できるものだけを極端に重視する、競争主義的な教育改革の影響である。テストの順位で学校を並べることは品のないことであり、子どもをバカにしていることだという矜持が、失われている。

政府が進める教育基本法の改正は、こうした傾向に拍車をかけるだろう。

現行の基本法第1条「教育の目的」にある「個人の価値をたつとび」が、改正案では削除されている。それに置き換えられているのは?家や社会の「形成者として必要な資質」であり、多様な個性ではない。改正案は全体として、子どもの個性を画一化しようとするものに見える。

学力という単一のものさしによる競争に今以上に子どもを駆り立てることは、冒頭に述べた子どもの不安を解決しないどころか、深刻化させるだろう。

また改正案第4条では、子どもの「能力に応ずる」のではなく、決められたものさしによる「能力に応じた」教育を推し進めるとしている。教育の結果を子どもたちの自己責任とみなすことになるだろう。

単一のものさしで序列化し、「負け組」になった子どもたちは、選別されたエリートの下、国家に服従し、寄りかかり、自律性を放棄した「分相応主義」で暮らせばよい、という思惑が透けて見える。

しかし、そもそも義務教育学校は、子どもの成長を彼らの「自己責任」に帰することをしないという教育関係者のプライドで維持されてきた。改正は教員の誇りを見失わせ、異なる者同士が積極的な議論を通じて社会を作る「民主主義」の働きを弱らせるだろう。

現場で私が必要としているのは、個性を感じ取るための「子どもと語らう時間」「ゆっくり給食を食べる時間」である。教育基本法を改正することには、全く必要を感じない。

改正はむしろ、義務教育への国民の期待を裏切り、教育の問題を今まで以上に深刻化させるだろう。

◇52年生まれ。76年から小学校に勤務。著書に「学校再発見!」など。

朝日新聞 2006年12月4日

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私の視点 東京基督教大教授(哲学) 稲垣 久和

◆教育基本法 「公共」の意味 議論を

教育基本法改正案の大きな争点は「愛国心」の導入である。しかし「公共の精神」(前文、2条3項)の意味も問題だ。というのは「公共」の意味が改正案全体の中で整合的に吟味されていないからである。

「公共」とは、一口でいえば「特定の国民だけでなくすべての人に開かれている共通の関心事」で、「異質な他者と対話し、触れあいながら、協働で生活を築き上げる広場」を意味している。「市民社会」を形成するためのダイナミックな概念だ。

これに対し、「公」は従来の日本語では、国、官、政府、お上、天皇といった「おほやけ」の意味で使われてきており、両者はまったく違う。

改正案には「法律の定める学校は、公の性質を有する」(6条1項)、「私立学校の有する公の性質」(8条)と「公」の言葉も使われているが、文脈に沿って読む限り「公」と「公共」は何も区別されていない。

意味の違いを考えれば、私立学校が有する性質は「公」ではなく「公共」のはずだ。要するに今回の法案は、「公」や「公共」という日本語の言葉や概念の使い方がいいかげんで、まるで「伝統と文化を尊重」(2条5項)していない。こんなずさんな法案を「教育の憲法」として、確定していいのであろうか。

今回の法案に先立ち、文部科学省の中央教育審議会が02年11月、教育基本法改正についてまとめた中間報告では、「公共」は国境を越え、国際的に市民社会の成熟を目指す積極的な概念ととらえていた。

それは例えば、「地球環境問題など、国境を越えた人類共通の課題が顕在化し、国際的規模にまで拡大している現在、互恵の精神に基づきこうした課題の解決に積極的に貢献しようという、新しい『公共』の創造への参画もまた重要」といった表現に見てとることができる。

だが、03年3月の最終答申では、この一文はなくなり、中間報告で感じられた新たな市民的公共性の息吹は抑え込まれてしまった。

この方向は、国会で審議中の改正案でも踏襲されて強化され、「公共の精神」は「公の秩序」と同義語になってしまった。新しい「公共」と古い「公」(=お上)の違いはとてつもなく大きい。

前文などに「公共の精神」として盛り込まれている「精神」の意味も気になる。そもそも第2条で「教育の目標」と称し、法律文にくどくどと徳目や「精神」が説かれていることも問題だ。精神主義を鼓吹しているのではないか。

愛国心と同時に連想するのは戦前の民族精神である。この場合の「精神」は少し歴史を調べれば分かるように「滅私奉公の心」という内容をもっていた。

「公」にしろ、「公共」にしろ、国家や国民、市民社会の根幹にかかわる言葉だ。戦後60年を経てもなお、これらが十分に深められていない中で、教育基本法や憲法が改正されようとしている。仕切り直しをして国民的な議論をもっと深めることを提言したい。

◇47年生まれ。著書に「宗教と公共哲学」「靖国神社『解放』論」など。

朝日新聞 2006年12月4日

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指導要領、私学しばらぬ 東京私立中学高等学校協会長に聞く

公立高校に端を発した必修科目の履修漏れ問題は、私立高校も巻き込んで全国に広がった。公立と比べて自主性が尊重される私立は、文部科学省が定める学習指導要領にどこまで拘束されるのか。私立高校が全高校の半数以上を占める東京の私立中学高等学校協会長で、八雲学園中学高等学校(目黒区)校長の近藤彰郎氏に聞いた。

 (聞き手・根本理香)

授業の自主性、法に根拠

――学習指導要領は厳格に守るべきですか。

私立は公立とは違う。長い歴史の中で自分たちの教育観を持ち、建学の精神をもって教育している。私立が学習指導要領通りにやらなければいけないなら、存在意義はない。

学校教育法14条は、学校の授業や設備などで法令違反があった場合、都道府県教育委員会もしくは知事が変更を命じることができると定めている。ただ、私立については私立学校法5条で適用除外となっている。授業の根幹がカリキュラム。私立の自主性・独自性がここで法的にも守られている。

――高校の授業が受験対策中心になっているという批判があります。特に私立がそうだと。

受験を否定しても意味がない。多くの子どもたちは、一つの短期的・中期的な目標があるから勉強する。試験のための勉強ではないと言ったところで、それは理想論。今の受験制度のもとで、理想論を押しつけるのは受験生に対して失礼だ。受験勉強を否定して、その結果大学に受からなかったら、だれが責任を負うのか。

受験勉強したい人にはさせればいい。多くの私学は受験勉強だけを中心にすえているわけではない。建学の精神を大切にしながら、子どもたちの希望をかなえるために、発達段階にあわせて教育している。

――私立の独自性と高校生として学ぶべき標準とのバランスをどうとっていきますか。

日本中の私立学校で、学習指導要領をまったく無視している学校は本当に少ないと思う。ほとんどの学校は指導要領の規定を自分の学校に当てはめてみて、時代の変化や子どもの発達段階にどうしても当てはまらない場合に、現場でアレンジしている。現場に柔軟性を幅広く持たせることが子どもたちを伸ばすことになる。

――公立はどうでしょう。私立とは事情が異なるんでしょうか。

公立の経営者は教育委員会だ。教育委員会が、指導要領を守るべきだとの立場から学校現場での履修漏れを知らなかったというなら、その学校が教委の業務命令に違反したことになる。私立の場合は理事会が経営者だが、カリキュラムについて知らないなんてことはありえない。

――未履修が発覚した私立への補助金の見直しに言及する知事もいます。

私学振興助成法の目的をよく読んでほしい。私立学校の教育条件の維持向上、父母の経済的負担軽減、学校経営の健全性の三つが柱だ。理由のいかんを問わず、補助金を減らすことは教育環境を悪くすることになる。その結果、困るのは子どもたちだ。

補助金カットには何があっても反対だ。今回の問題で子どもたちに不安を与えた上に、さらに負担をかけようというのか。私立が補助金をカットされるなら、公立の教育費も減らすのか。ばかげた考えをするべきではない。

――今回の未履修問題は、70コマを上限とする補習で収束させることになりました。

補習が必要ならするべきだが、センター試験も間近なこの時期に行うのは、一生懸命受験勉強をしている子どもたちに過酷な負担を与えると言わざるを得ない。06年度は来年の3月31日まである。補習は受験が終わってからでも遅くはない。卒業を延期させてもいい。子どもたちのことを1番に考えるのが教育行政ではないのか。

公立の2倍強、チェック及ばず

文科省の最新の集計によると、全国の5408高校のうち、必修科目の履修漏れがあったのは663校(12.3%)。公立校が4045校中371校(9.2%)なのに対し、私立校は1348校中292校(21.7%)で、履修漏れの割合は私立が公立の2倍強だ。

公立も私立も、学習指導要領に基づいて必修科目が決められている。ただ、公立は教育委員会に設置管理の権限があるのに対し、私立は都道府県が「監督」するだけで、チェックが及びにくいのが実情だ。私立では「独自性と自主性」も尊重され、一部の自治体は当初、私立への履修漏れ調査に慎重だった。

私立は生徒の集まり具合が経営を左右するだけに、募集に影響する大学受験での実績作りを公立より重視しがちだ。学校5日制が導入されても6日制を続けるなど、公立との違いを出そうと腐心する学校も多い。

履修漏れが70コマを超える生徒の数は、公立が約1万300人で、私立はそれを上回る1万5500人に達している。

朝日新聞 2006年12月4日

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教育基本法改悪に反対 むきだし国家統制 関連15学会シンポ

日本教育学会、教育史学会など教育学関連の十五学会が共同して三日、「教育基本法改正案と今求められる教育改革」と題して公開シンポジウムを、東京都内で開きました。

教育基本法「改正」問題での関連学会共同シンポジウムは二〇〇二年に第一回が開かれ、今回が五回目。与党が今週にも法案の成立を狙うという緊迫した情勢のもとでの開催となりました。

開会あいさつで佐藤学・日本教育学会会長は「『改正』案は個人の内面を法律で規定し、立憲主義に反する。国家が個人をコントロールすることをむきだしにしたものだ」と批判しました。

日本教育法学会の世取山洋介・新潟大助教授は、国会審議でも「(民主党も含め)教育の自由、子どもの成長発達権の保障という現行法の視点から『改正』案を批判する議論が行われるようになった」とし、「改正」案の“理念”と現行法の理念との違いや憲法との関係などが審議される必要があるとのべました。

日本教育学会の田中孝彦・都留文科大教授は、子どもをめぐるさまざまな事件は「競争」と「自己責任」を強調してきた日本社会の土壌のうえに発生していると指摘。「改正」案は、子どもたちを「学力低下」「モラル低下」と一方的に断定する子ども観に立っており、溝をいっそう深め、子どもの成長をさらに困難にすると批判しました。

日本教育行政学会の中嶋哲彦・名古屋大教授は「教育改革は子どもや地域の具体的な現実から出発する必要がある」と強調。「改正」案は、教育を受ける権利を保障する基本法から、国家戦略遂行手段としての教育制度・政策を推進するものへと変える―などの問題点を指摘しました。

児玉勇二弁護士がいじめ自殺問題について特別報告しました。

戦争から考える 教師の卵が集い
教員をめざす学生などでつくる「先生のたまごクラブ」は三日、都内で「戦争から教育基本法を考える」をテーマにした青年の集いを開きました。約八十人の青年たちが参加し、「戦争の反省の上につくられた憲法や教育基本法が変えられようとしているのは心配」「もっと勉強して政治や社会のことを知りたい」と話し合いました。

集いでは、ひめゆり学徒隊として沖縄戦を体験した上江田千代さん(77)が講演。捕虜になってはいけないと教えられ、手りゅう弾をもらって死のうとしていたことを語り、「それが教育の恐ろしさです」「憲法や教育基本法が変えられようとしているけど、みんなの力で防波堤をつくりましょう」と訴えました。

「たまごクラブ」のメンバーが戦前の「教育勅語」の内容を示し、教師が子どもを戦場に送る役割をさせられたこと、そうした戦前の教育への反省から現行の教育基本法では国家が教育内容に介入できないようにしていることを説明。「一人ひとりが自分らしく輝き、互いに認め合える教育をしていきたい」と語りました。

参加者は十人前後に分かれてグループ討論。「六十年前にこんなことがあったことに驚いた。世界のこと、政治のことをもっと知らなければと思った」「戦争の怖さをあらためて感じた。教育基本法のこととか考えると、また同じことが繰り返されるかもしれないと思う。いまがすごく大事なときになっている」と活発に話し合いました。

競争で苦しむのイヤ 青年がパレード
教育基本法改悪案を廃案にしようと、「12・3PEACE&FAIRパレード」が三日、東京都渋谷区内で開かれ、二十代、三十代の青年を中心に七十人が集まりました。参加者は宮下公園を出発し、教育基本法改悪反対を訴えながら渋谷の町を一周しました。

「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」が主催したもので、先頭の車からは軽快な音楽が流れ、音楽に合わせて踊る人、パレード参加を呼びかけながら手を振る人、「STOP教育基本法『改正』」と書かれたプラカードを持つ人などが参加。沿道の人に配布していたビラには教育基本法がどう変えられるのか、わかりやすい文章で説明されています。

兵庫県からパレードに参加するために夜行バスで上京し、終了後、夜行バスで帰る高校の臨時講師の男性(23)は「教育とは将来を形づくるもので、自分たちの手でつくるもの。変えられてしまったら、自分たちの手から離れてしまう。愛国心の押しつけも自分の良心に反します」と力をこめて話しました。

大学で教育学を学ぶ男性(23)=東京都=は「中学校のとき不登校だった。変えられてしまったら生徒への締め付けが厳しくなり、生徒を教育から排除する方向にいってしまうと思う。学校に行く行かないにかかわらず、誰でも教育を受ける権利を大切にしてほしい」と語りました。

パレードでも発言した女子学生(19)=奈良県=は「みんなが平等に教育を受けられるようにしたい。政府は競争原理を導入しようとしているけど、差別意識が生まれるだけです。いままで、競争教育の中で人をねたむなど、悲しい思いをしてきた。私みたいに競争で苦しんでほしくない」。

信号を待っているときにビラを受け取った男性(25)=会社員=は「最近、いじめが取り上げられているので、ニュースでは見ています。みんな頑張っていますね」と話していました。

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憲法と教育基本法のあり方軸に 上京で考える集い、大江健三郎さん講演

京都弁護士会主催の第36回「憲法と人権を考える集い」が3日、京都市上京区の同志社大寒梅館で開かれた。ノーベル賞作家大江健三郎さん(71)が、憲法と教育基本法のあり方を軸に講演した。

同弁護士会が、憲法公布から60年を記念し、「つなぐ−次世代へのメッセージ」と題して開催した。定員を超える約1000人が詰めかけた。

大江さんは、国会で審議中の教育基本法改正案は、愛国心の強制や家庭教育への介入の点で「非常に問題がある」と指摘した。現在の教基法を印刷して胸ポケットに入れ、記憶にとどめようと提案した。また、教基法が改正されると改憲への動きが強まるとして、「現在の教育基本法を失う後悔を未来に生かそう」と訴えた。講演後、大江さんは、中高生10人と座談会を行い、憲法や人権、差別について意見を交わした

京都新聞電子版 2006年12月3日

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教育学関連15学会共同公開シンポジウム(第5回) チラシ

教育基本法改正案と今求められる教育改革
―教育基本法改正問題を考える―

日時  2006年12月3日(日)14時00分〜17時30分
場所  立正大学大崎キャンパス11号館1151番教室
     (JR線「大崎駅」「五反田駅」下車・徒歩約7分)

開会挨拶  佐藤 学(日本教育学会・東京大学)

報告〈報告タイトルはいずれも仮題〉
@国会審議過程からみた教育基本法改正案の問題点 世取山洋介(日本教育法学会・新潟大学)
A教育基本法改正案と子ども観・教育観の問題   田中孝彦(日本教育学会・都留文科大学)
B教育基本法改正と子ども・地域からの教育改革  中嶋哲彦(日本教育行政学会・名古屋大学)

特別報告〈報告タイトルは仮題〉
  いじめ自殺問題と教育基本法改正問題 児玉勇二(弁護士)

閉会挨拶  門脇厚司(日本教師教育学会・筑波学院大学)

司会  三上昭彦(日本教育政策学会・明治大学)
    安達和志(日本教育法学会・神奈川大学)

参加費  資料代として500円

主催  教育学関連15学会  日本教育学会/教育史学会/大学教育学会/日本教育行政学会/日本教育経営学会/日本教育社会学会/日本教育政策学会/日本教育制度学会/日本教育法学会/日本教育方法学会/日本教師教育学会/日本社会教育学会/日本生活指導学会/日本道徳教育学会/日本比較教育学会

連絡先  日本教育学会事務局
       〒113-0033 東京都文京区本郷2-29-3-3F
       TEL:03-3818-2505/FAX:03-3816-6898/E-mail:jsse@oak.ocn.ne.jp

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教育基本法改正:改正に反対、市民の会発足 「国の道徳支配危ぐ」 /熊本

教育基本法改正に反対する県内の教育関係者や弁護士ら18人でつくる「教育基本法を考える市民の会・熊本」が1日、発足した。同会は10日、国会で審議中の改正案に反論し、現行法の重要性を訴える市民集会を熊本市の辛島公園で開く。

県庁で会見した同会代表の1人で熊本大名誉教授の海老原遥さん(73)は「政府が統制せずに支援するというのが、世界の教育界の常識。国が道徳教育をしようという動きに危ぐを覚える」と述べ、政府関与を強める内容の改正案を批判した。

同会は「いじめや不登校など教育の課題が『規律』『愛国心』で果たして解決できるのか。子どもや保護者の声を聞き、国会で徹底した審議をすることが必要」などとする緊急アピールを発表し、集会への参加を呼びかけた。【門田陽介】

毎日新聞 2006年12月2日

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教育基本法改悪法案廃案求め要望書 日本教育学会 歴代4会長

日本教育学会の歴代会長四氏が一日、教育基本法改悪法案の徹底審議と廃案を求める連名の要望書を発表し、参院教育基本法特別委員会の委員などに送付しました。

連名の要望書を出したのは大田堯、堀尾輝久、寺崎昌男の各元会長と佐藤学・現会長。四氏は廃案を求める見解を十月に衆議院特別委員会に提出していましたが、法案が衆院を通過し、参院での審議が始まったことを受けて改めて要望したものです。

要望書は衆院での与党単独による強行採決に抗議。世論調査でも慎重審議を求める声が多数であり、政府案は「全面改正であり現行法の廃止」であるにもかかわらず、その理由が不明確であるなど、重要な論点が十分審議されていないと指摘しています。「改正案」ではかえって「教育再生」を困難にするとし、学術研究機関・学界含む関係団体との協議の必要性を訴えています。

同日、記者会見した歴代会長は「教育基本法の問題には中国や韓国も関心を持っている。アジアの平和にかかわる問題だという認識を広げる必要がある」(大田氏)、「きちんと審議をすれば『改正』ではなく、教育基本法の精神を実現することこそ教育再生の道だということが明らかになると思う」(堀尾氏)、「二十九の教育関係学会の会長・元会長や政府の審議会に入っている人も賛同している。学界の目から見れば大変な問題を含んでいるということ」(寺崎氏)と語りました。

歴代会長の見解に対しては十一月二十九日現在で千八十五人の教育学研究者が賛同署名を寄せています。

しんぶん赤旗 2006年12月2日

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教育基本法改正:市民団体、県と県教委に申し入れ /広島

教育基本法改正を阻止しようと、広島市内の市民団体「教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会」(由木栄司実行委員長)らが30日、県と県教委に申し入れ書を提出した。

申し入れ書では、9月議会で小笠原道雄・県教委委員長が、同法は教育を受ける権利などを規定した憲法26条に基づき制定されたと答弁したことに言及。「憲法や教育基本法がアジア太平洋戦争の反省から再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意して制定されたことは明らか」などと批判し、「被爆地広島の教育は平和と民主主義にこそ関心が寄せられるべき」と指摘した。

また、県教委が国旗・国歌の強制を違憲とした東京地裁判決(9月21日)以降もこれまでどおりの指導を継続するとの見解を示したことについて、「思想良心の自由を侵害するなど、謝罪や反論も出来ないままにこれまでの見解を繰り返したにすぎない」などと批判した。【下原知広】

毎日新聞 2006年12月1日

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教基法改正案廃案求め 岩手大教職員有志

教育基本法改正案の廃案を求める岩手大教職員有志アピール(代表・横山英信人文社会科学部教授)は1日午前、県庁で記者会見した。

横山代表、田中稔教育学部教授ら6人が会見し、横山代表は「改正案の内容、審議過程には多くの重大な問題があり、大学教員として法案成立を見ているわけにはいかない。国会に対して廃案を強く求める」と述べた。

有志アピールは「法案が成立すれば、教育内容に対して国が強制力を持つ可能性がある」などと批判。国会や各政党に対し、同日付でアピール文を送付し、廃案を働き掛ける。

同アピールは11月21日に横山代表ら18人が学内に呼び掛けた。同大教職員の約2割に当たる153人が呼び掛け人、賛同人になっている。

岩手日報 2006年12月1日

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北星女子中高あて中傷メール相次ぐ 教基法改正案に反対「何教えてる」

在校生が、教育基本法改正案に反対する意見書を安倍晋三首相に送った北星学園女子中高(浅里慎也校長、札幌市中央区)に対し、同校や教諭を非難、中傷する複数のメールやファクスが届いていたことが30日、分かった。

同校によると、生徒たちの意見書送付が報道された11月17日からの数日間で、「おまえら何を教えてるんだ」「偏向教育だ」などと学校を非難するメールとファクスが計10通、電話が数件あった。

一方、「自主的な取り組みに感動した」など生徒の行動を支援する激励のメールや手紙も十数件あったという。

札幌弁護士会(藤本明会長)は30日、中傷メールの送り主らに「子供たちの成長発達する権利を奪うもので、強く非難されるべきだ」との声明を出し、法改正反対の声明とともに首相あてに1日に郵送する。

北海道新聞 2006年12月1日

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