教育基本法、「今国会で成立を」=歴代文相らが小泉首相に申し入れへ
森喜朗前首相ら歴代の文相・文部科学相らは31日夕、衆院議員会館で会合を開き、教育基本法改正案について、今国会中に成立させるよう求めることで一致した。町村信孝元文科相は記者団に、「会期を延長してでも成立させたい。われわれの思いをしっかり総理と幹事長に伝える」と話し、歴代文相・文科相で6月1日に、「延長しない」と表明している小泉純一郎首相らに申し入れる方針を明らかにした。
(時事通信) - 5月31日23時1分更新
教育基本法に関する特別委員会(案)
5月31日(水)
理事会 8:40 委員長控室
委員会 9:00 第1委員室
(案件)
◎教育基本法案(内閣提出第89号)
◎日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外6名提出、衆法第28号)
○質疑(7時間)
質疑者 会派 時 間 時間帯 末松 義規 君 民主 1.00 9:00〜10:00 西村智奈美 君 0.45 10:00〜10:45 鷲尾栄一郎 君 0.45 10:45〜11:30 石井 郁子 君 共産 0.30 11:30〜12:00
下村 博文 君 自民 0.30 13:00〜13:30 やまぎわ大志郎 君 0.30 13:30〜14:00 土屋 正忠 君 0.30 14:00〜14:30 斉藤 鉄夫 君 公明 0.30 14:30〜15:00 糸川 正晃 君 国民 0.30 15:00〜15:30 奥村 展三 君 民主 1.00 15:30〜16:30 保坂 展人 君 社民 0.30 16:30〜17:00
参考人質疑の発言要旨/衆院教基法特別委
30日の衆院教育基本法特別委員会での参考人の発言要旨は次の通り。
▽鳥居泰彦・中教審会長 (現行法の制定が)占領軍の影響下にあったことは否めず、できるだけ早く見直した方がいい。(民主案に対し)いくつかの点で検討の余地があるが、教育の目的の実現のために達成すべき重要な事項は前文ではなく、本則に規定する方がいい。政府案にはたくさんの重要な新しい条項が盛り込まれている。できるだけ早く法案を通し、教育改革を推し進めてほしい。愛国心を含めた教育目標が、思想やイデオロギーの強制につながるという理解はできない。特定の思想信条を学校教育で押し付けるための道具と理解するのは間違いだ。
▽門川大作・京都市教育長 地域の子どもは地域で育てる精神が大事。政府案で学校、家庭、地域の連携協力が明確にされ、心強い。(市民へのアンケートで)「生きていく上で何が一番大事か」と聞くと「自分の国を愛する」を7割の人が肯定した。道徳や家庭教育など教育に対する目標、理念を国民が共有して法改正することは、大きな励みになる。現場は多くの深刻な問題に悩んでおり、国家政策として教育にお金を掛けることが大事。教育振興基本計画に期待している。(学校現場で)愛国心を単純に3段階で評価するのは適切でない。
▽ジャーナリスト・桜井よしこ氏 戦後60年、あまりにも個人に傾き、家庭やふるさと、国を無視してきた教育の積み重ねがあるからこそ、祖国愛や国を愛する心を決意して書き込まなければならない。(政府案の愛国心表記について)なんといじいじした表現か。それに対して民主案には非常に感銘を受けた。「日本」が日本文明全体を含むということなので素晴らしい表現だ。家庭の役割もしっかり書き込んでいる。「生の意義と死の意味を考察」も素晴らしい。自民、公明の心ある人は、できるだけよい新たな教育基本法をつくるため、ぜひ民主案に歩み寄ってはいかがか。
▽市川昭午・国立大学財務・経営センター名誉教授 (現行法を)改正するには及ばない。神聖不可侵な不磨の大典で、絶対に改正してはならないとは思わないが、改正する理由が見いだせない。時代の進展や社会の変化に対応して教育の進展も必要だが、基本法以外の法令の改正や教育関係の施策によって可能だ。あえて改正するなら、現行法より長い文章にするのではなく、より簡潔にすべきだ。
共同通信 2005年5月30日
櫻井よしこ氏らが改正を主張 教育基本法参考人質疑
終盤国会の焦点である教育基本法改正案を審議している衆院特別委員会は30日、学識経験者ら4人を招いて参考人質疑を行った。
参考人4人中、中央教育審議会会長の鳥居泰彦氏とジャーナリストの櫻井よしこ氏、京都市教育長の門川大作氏の3氏が改正の必要性を強調したが、国立大学財務・経営センター名誉教授の市川昭午氏は現行基本法の維持を主張した。
鳥居氏は、現行基本法について「連合国軍総司令部(GHQ)のお墨付きのもとにつくられたもので、占領軍の影響下にあったことは否めない事実だ」と指摘。政府の改正案について「5つの全く新しい条項を書き加え、国と地方公共団体の責務についても明記した」と評価した。
櫻井氏も「現行憲法も、教育基本法も根本から作り直すべきだ」と、早期改正を主張。民主党案が家庭の役割について踏み込んだことに「感銘を受けた」と語り、自民、公明両党に対し「できるだけ民主党案に歩み寄ってよいものにしてほしい」と促した。
門川氏は「市民参加のもとに改革を進めてきた京都市と同じ理念、目標が政府の改正案には掲げられている。教育改革を(国と地方が)共有していくという意味でも良いと思う」と述べた。
一方、市川氏は「改正しなくても困ることはない。学習指導要領は戦後何度も改定されていて、いくらでも解釈で可能であり、指導要領改正で弾力的に対応できる」と述べた。
Sankei Web (05/30 18:35)
国会会期延長せず 首相が自民に指示
政府、与党は30日、6月18日までの今国会会期を延長しない方針を固めた。小泉純一郎首相が30日午前、自民党の細田博之国対委員長と終盤国会の対応について官邸で協議し「会期は延長しない」と指示した。社会保険庁改革関連法案や教育基本法改正案などの重要法案は今国会での成立を断念、継続審議とする。会期延長の見送りで、9月の自民党総裁選に向けた動きがさらに本格化する。
「共謀罪」新設の組織犯罪処罰法などの改正案も、民主党と修正合意に至る可能性は極めて低く、今国会での成立は見送られる方向。憲法改正手続きを定める国民投票法案も継続審議となるのは確実だ。
終盤国会 “大渋滞”の様相
今国会の最重要課題とされた行政改革推進法が26日、成立し、国会の焦点はその他の法案の扱いに移った。残された多くの重要法案の中には、今国会成立は念頭に置かず「継続扱い狙い」の法案も少なくない。不透明感が漂う終盤国会の展開を予測した。 (政治部・国会取材班)
■教育基本法
六月十八日の会期末まで一カ月を切った段階で、始まった教育基本法改正案の実質審議。だが、対決姿勢を強める民主党が審議に協力的でないのに加え、小泉純一郎首相も、この法案への熱意はない。会期を延長してでも今国会で成立させたい自民党文教族の神経を、逆なでしている。
ただ、与党にとって明るい材料もある。これまで、今国会成立に対する悲観論の中に「参院に、同法案審議のための特別委員会をつくると、院の構成上の問題で、委員長が野党に回るので、迅速な審議が期待できない」という問題があった。しかし、行革推進法が成立、同法案を審議していた特別委が消滅することになったため、新たに特別委を設置しても与党が委員長を取ることが可能になった。
自民党の閣僚経験者は「委員長が与党なら、小幅延長でも成立は可能だ」と計算しているが…。
■共謀罪
共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案は、大幅な会期延長にならない限り、今国会での成立は微妙な情勢だ。
与党は十九日の衆院法務委員会で、強行採決も辞さない構えを見せていた。しかし、首相サイドが他法案の審議への影響を懸念。与党は結局、河野洋平衆院議長のあっせんを受け入れる形で採決を見送った。このため今国会での強行採決はやりにくい状況になっている。
そうなると、一度はあきらめた民主党との共同修正を再び模索するしかないが、双方の主張の隔たりは、まだ大きい。衆院法務委は二十六日の理事会で、与野党六人による実務者協議機関の設置を決めたものの、合意点を見いだすのは難しい。
■医療・社保庁
厚生労働省関連では、医療制度改革関連法案は、衆院段階で与党が委員会採決を強行した「後遺症」が心配されたが、参院で審議が続いており今国会で成立する見込み。
一方、衆院で審議が始まったばかりの、社会保険庁改革関連法案の行方は、不透明だ。
与党側は、来週中に同法案の衆院通過を目指していたが、国民年金保険料の不正免除手続き問題が発覚。職員のモラルの低さが、あらためて問われ始めた。
野党側は「社保庁の名前を変えても、こんな体質のままでは改革にならない」(菅直人・民主党代表代行)と徹底追及の構え。法案は時間切れになる可能性もある。
■防衛省
防衛庁を「省」に昇格させるための関連法案は、まだ国会提出されていない。自民党は二十六日の内閣・安保合同部会で同法案を了承したが、公明党は党内手続きを始めたばかり。
今後、公明党の手続き終了、政府による閣議決定という手順が必要のため、法案提出は早くても六月九日にまでずれ込む見通し。今国会での成立は絶望的だ。
自民党内にも、今国会で成立を目指すより、提出するだけでいいという意見が多数派だ。
■国民投票
二十六日に国会提出されたばかりの国民投票法案は、今国会での成立は難しい。与党は自公民三党の賛成による成立を目指しているが、ここでも民主党が対決姿勢を強めているからだ。
自民党内には衆院側を中心に「与党だけで成立させてもいい」との意見がある。しかし、憲法改正の入り口となる法案だけに、多くの政党の賛成のもとで成立させたいという思いも強い。
民主党内の事情もある。衆院側は法案成立に前向きだが、参院側は旧社会党系議員が多く、法案審議に慎重なのだ。
仮に衆院を通過したとしても、参院には法案審議権のある委員会がないため、現在の憲法調査会を特別委員会に格上げする必要がある。時間はいくらあっても足りない。
東京新聞 2006年5月27日
国会「延長せず」で最終調整 教育基本法など継続審議へ
政府・与党は26日、最重要法案としてきた行政改革推進法の成立を受け、今国会は延長せず、6月18日の会期末で閉会する方向で最終調整に入った。会期延長に否定的な小泉首相の強い意向を受けたもので、残り会期では医療制度改革関連法案の成立に全力を挙げ、憲法改正の手続きを定める国民投票法案と教育基本法改正案は継続審議とする。防衛庁の省昇格法案は公明党の了承を受け提出されても、今国会での成立は見送る方針だ。
与党側は、共謀罪創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の成立の見通しが立てば、首相側と調整して短期間の延長に踏み切る余地をなお残している。ただ、7月15日からの主要国首脳会議(G8サミット)を越えるような大幅な会期延長はなく、7月に入れば自民党総裁選に向けた動きが加速することになりそうだ。
首相は26日、沖縄県名護市で記者団に「会期延長は考えていません」と重ねて表明。国民投票法案と教育基本法改正案について「会期内に十分審議を続けて、できれば成立に持っていければと思っている」と述べ、両法案のための会期延長はしないことを明確にした。6月29日のワシントンでの日米首脳会談やサミットなど外交日程を控えていることもある。
自民党は、こうした首相の意向を受け入れざるを得ないとの判断に傾いた。公明党は教育基本法改正案などは今国会成立が望ましいとの立場だったが、「秋の臨時国会までまたげばいい。防衛庁の省昇格法案も次の国会で優先的に審議すればいい」(幹部)と容認した。
ただ、19日に採決を見送った組織的犯罪処罰法改正案については、法務省や自民、公明両党内に今国会成立を探る動きがなお残っている。週明けから与野党が改めて修正協議に入るが、与党としては野党が審議拒否しない形で採決できるかどうか、会期末ぎりぎりまで折衝を続ける方針だ。
同法案成立の見通しが立てば、参院での審議時間確保に1週間から10日程度延長したい考えだが、民主党は社会保険庁の国民年金保険料の不正免除問題などで攻勢を強めており、妥協する可能性は極めて低い。
朝日新聞 2006年5月27日
5月26日(金) 教育基本法特別委員会理事会概要
次回の特別委員会は、30日(火)午後1時から4時まで参考人に対する質疑。参考人はまだ未定だが、与野党から2人づつ選出する。詳細は、29日(月)午後5時からの特別委員会理事懇談会で決定。
以後、31日(水)7時間の一般質疑、6月1日(木)総理出席の質疑を3時間おこなう。いずれも各党の時間配分等は未定。
教育基本法に関する特別委員会(案)
5月26日(金)
理事会 8:40 委員長控室
委員会 9:00 第1委員室
(案件)
◎教育基本法案(内閣提出第89号)
◎日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外6名提出、衆法第28号)
○質疑(7時間)
質疑者 会派 時 間 時間帯 岩屋 毅 君 自民 0.30 9:00〜9:30 大前 繁雄 君 0.30 9:30〜10:00 稲田 朋美 君 0.30 10:00〜10:30 斉藤 鉄夫 君 公明 0.30 10:30〜11:00 横光 克彦 君 民主 1.00 11:00〜12:00
牧 義夫 君 民主 1.00 13:00〜14:00 山口 壮 君 0.45 14:00〜14:45 松本 大輔 君 0.45 14:45〜15:30 志位 和夫 君 共産 0.30 15:30〜16:00 保坂 展人 君 社民 0.15 16:00〜16:30 糸川 正晃 君 国民 0.15 16:30〜17:00
※民主・山口壮委員と松本大輔委員の順番は未定
2006年5月26日
憲法改正ならさらに見直し―小坂文科相
衆院教育基本法特別委員会で、答弁のため挙手する小坂文科相(右)。中央は安倍晋三官房長官。憲法改正があればその内容によっては教育基本法をさらに改正する考えを示した(26日午前、国会内)
(時事通信社)14時10分更新
2006年5月26日
愛国心評価行き過ぎは是正 衆院特別委で文科相
小坂憲次文部科学相は26日午前の衆院教育基本法特別委員会で、学校現場での「愛国心」に関する評価に関連し「一部に通知表の項目で行き過ぎがあれば地域で指摘をいただいて学校長にも理解を求める努力をしたい」と述べ、行き過ぎた場合は是正を指導する考えを示した。
小坂文科相は「内心を評価してABCとつけるのはとんでもない」と強調した。
小坂文科相は改正案について「国会で十分な審議をいただき、速やかに国民の期待に沿って多くの委員に賛成いただけることを期待する」と述べ、民主党の歩み寄りを得て早期成立することに期待を表明。
2006年5月26日
<愛国心>「内心の評価いけない」…文科相、一部の通知表で
埼玉県や茨城県などの公立小学校で「愛国心」表記が通知表の評価項目に盛り込まれている問題が26日、衆院教育基本法特別委員会で取り上げられた。小坂憲次文部科学相は「内心を直接評価してはならないと伝達している。一部に通知表の項目に行き過ぎがあれば、学校長の理解を求める努力をしていきたい」と述べた。
5月25日 教育基本法特別委員会理事懇談会報告
@明日8時40分〜理事会
9時〜委員会 17時まで一般質問を行う。
A与党から29日(月)3時間コースで一般質問、30日(火)参考人質問、31日一般質問、6月1日総理出席で質問という提案があった。
野党は「総理一巡まで審議はダメだ」と主張。今日は持ち帰り、明日協議することになった。
5月24日 教育基本法特別委員会理事会報告
次回は、26日(金)に特別委員会を開催する。
8時40分から理事会、9時から17時まで質疑をおこなう。各党の質疑時間は、与党2時間、民主3時間30分、共産と社民と国民新各30分。
詳細な時間配分や来週の日程などを決める理事懇談会を明日・25日11時から開く。
毎日新聞 2006年5月25日
教育基本法改正案 愛国心教育、小泉首相「評価必要ない」
教育基本法改正案は24日の衆院教育基本法特別委員会で実質審議が始まり、「愛国心」をめぐる表現や、教育現場への影響を中心に議論が行われた。政府案に盛り込まれた「我が国と郷土を愛する態度」を養う教育が、内心の自由への侵害に当たるとの懸念を野党各党が示したのに対し、政府は「子どもの内心に立ち入って(愛国心があるかどうか)評価するものではない」(小坂憲次文部科学相)などと慎重な答弁に終始した。
02年度から小中学校で導入された現行学習指導要領に基づき、福岡市内の小学校のほぼ半数に当たる69校で、6年生の社会科の通知表に「愛国心」を3段階で評価する項目が設けられた。市民団体が反発し、03年度はいずれも削除された経緯がある。
志位和夫氏(共産)がこの通知表のコピーを示し、評価の是非をただすと、小泉純一郎首相は「評価するのは難しい。あえてこういう項目を持たなくてもいいのではないか」と答弁。保坂展人氏(社民)の質問にも、小泉首相は通知表の例を挙げ、「小学生に対して愛国心があるかどうか、そんな評価は必要ない」と述べ、評価は不要との認識を示した。
また、藤村修氏(民主)が「我が国を愛する態度」の具体的な指導方法を尋ねると、小坂文科相は、日本の歴史の中で貢献してきた偉人について学ぶことなどを挙げ、「基本的に現行の学習指導要領から大幅に変更するものではない」と述べた。
河村建夫氏(自民)の質問にも小坂氏は「(伝統や文化などへの)関心、意欲、態度を総合的に評価するもので、子どもたちの内心に立ち入って評価するものではない」と答弁。内心への介入や強制ではないとの見解を繰り返し強調した。【長尾真輔】
共同通信 2006年5月24日
今国会での成立に期待 教基法、衆院特別委で首相
終盤国会の焦点である教育基本法改正を審議する衆院特別委員会は24日、小泉純一郎首相と関係閣僚が出席し、「愛国心」などについて質疑を行い、実質審議入りした。首相は、同法改正案について「与野党が教育の重要性について共通認識を持てば、対立する法案ではない。慎重に審議すれば今国会で成立が可能だ」と述べ、今国会での成立に期待を示した。
民主党は冒頭、対案の「日本国教育基本法案」の提案理由を説明した。
首相は「愛国心」について「国家というもの(に対して)は、誰もが自然に愛着心、愛国心が芽生えるものだ。日ごろの生活の中ではぐくむものだ」との認識を強調した。
教基法特別委 5月24日の会議録 1カ月以上公開に“待った”
与野党が提出した教育基本法改正案を審議する衆議院の「教育基本法に関する特別委員会」の五月二十四日の会議録が四十日以上作成されない異常事態が続いていることが、分かった。インターネットでも、六月十五日までの同特別委会議録はほかはすべて公開されているのに、一日分だけ閲覧できない。この日は教育基本法をめぐる本格審議が始まり、小泉純一郎首相が出席。「愛国心」の評価などをめぐり質疑があったが、一般の人が正確な発言を確認しようにもできない状態だ。
国会会議録は通常、数日で作成・公開され、四十日以上も公開されないのは極めて異例だ。
同特別委の会議録が作成・公開されないのは、教育基本法改正案が審議入りした五月十六日の本会議での民主党・鳩山由紀夫幹事長の発言の削除をめぐり、与党と民主党が対立しているため。
鳩山氏は「密室の中で自民党が主張する愛国心と公明党が主張する宗教教育の中身をバーターするという、もってのほかのことを行っている」と発言した。これに公明党が「事実に反する」と削除を要求。衆院議院運営委員会が会議録の公開を止めた。自民・公明両党と民主党で再三、協議が行われたが折り合いがつかず、現在、衆院議長預かりとなっている。
二十四日の特別委では公明党の池坊保子議員が「バーターしたというがそのような事実はまったくない」と、鳩山発言に言及。本会議と連動する形で会議録の公開が止められたという。
特別委の会議録をめぐる調整は七日に行われる予定。池坊氏は「政治家は発言に責任を持つべきだ。削除されたことで発言が無かったかのようになるのはおかしい」と話し、本会議をめぐる党の方針とは一線を画している。
会議録の作成を担当する衆院記録部の担当者は「今回の特別委は注目度が高いので、全員体制で会議録を作成した。ほかの日は二、三日で公開できたが、各党間で処理が終わっていないためゴーサインが出ない。通常は、どんなに遅れても会期末までには公開するのだが…」と話している。
■削除でなく反論を
教育基本法に詳しい西原博史・早稲田大教授(憲法学)の話 国会審議の在り方からすると、そこでの議論は国民に速やかに明らかにすべきだ。会議録は記録であり、よほどのこと以外は削除すべきではない。三年間にわたる与党協議が公開されておらず、密室協議で立法過程の説明責任が果たされていないという批判は事実だ。発言の削除を求めるのではなく、明らかにすることで反論すべきだ。
5月24日(水)の教育基本法に関する特別委員会の議事日程、今後の予定
24日(水)、教育基本法特別委員会を開催する。
午前8時40分理事会、9時から13時までの4時間質疑。総理出席でNHKテレビが中継する。各党の質疑時間は、与党1時間45分、民主1時間25分、共産20分、社民と国民新各15分。
次は、26日(金)に教育基本法特別委員会を開催する。
9時から17時までの7時間質疑。各党の質疑時間は、与党2時間、民主3時間30分、共産と社民と国民新各30分。
総括質疑の一巡として、来週31日(水)、6月1日(木)、6月2日(金)のいずれかの日に、総理出席で3時間の質疑をおこなう。与党30分、野党2時間半(各党の時間配分は未定)。
教育基本法に関する特別委員会(案)
5月24日(水)
理事会 8:40 委員長控室
委員会 9:00 第1委員室
(案件)
◎日本国教育基本法案( 君外 名提出、衆法第 号)
○提案理由説明聴取 提出者 笠 浩史 君(民主)
◎教育基本法案(内閣提出第89号)
◎日本国教育基本法案( 君外 名提出、衆法第 号)
○質疑(4時間)
質疑者 会派 時 間 時間帯 町村 信孝 君 自民 1.15(0.40) 9:03〜9:43 河村 建夫 君 (0.35) 9:43〜10:18 池坊 保子 君 公明 0.30 10:18〜10:48 松本 剛明 君 民主 1.25(0.55) 10:48〜11:43 藤村 修 君 0.30 11:43〜12:13 志位 和夫 君 共産 0.20 12:13〜12:33 保坂 展人 君 社民 0.15 12:33〜12:48 糸川 正晃 君 国民 0.15 12:48〜13:03
24日に首相出席で審議 教基法特別委
衆院教育基本法特別委委員会は23日午後の理事懇談会で、小泉純一郎首相が出席して24日に審議を行うことを決めた。特別委は16日に改正案の提案理由説明を行っただけで、実質審議入りとなる。
24日は小泉首相が午前9時から午後1時まで出席して総括質疑を行う。
(共同通信) - 5月23日14時2分更新
5月22日 教育基本法特別委員会理事懇談会
与党側提案:24日(水)、4時間、総理出席テレビ中継も入っての委員会質疑をやりたい。総理の日程がこの日しか空いていない。
野党側主張:教育基本法は準憲法的な性格をもつものであるから徹底した審議が必要であり、予算委員会に匹敵するかそれ以上の時間をさいて審議すべきである。最初の審議は一日7時間が必要。総理の予定にあわせた細切れ日程では審議に応じられない。
なお、民主党は、対案は本会議で趣旨説明をやらせてほしい、と述べている。
本日の議論の結果、23日11時から再度理事懇を開くことを確認した。
5月19日 教育基本法特別委員会の動き
本日、理事懇はひらかれないこととなりました。
共同通信配信記事 2006年5月18日付
審議入りは来週に持ち越し 衆院教育基本法特委
与党は18日午後の衆院教育基本法特別委員会の理事懇談会で、19日に小泉純一郎首相が出席して同法改正案の質疑を行うことを提案したが、民主党が拒否した。このため特別委の審議入りは来週に持ち越した。
民主党は医療制度改革関連法案をめぐる17日の衆院厚生労働委員会での強行採決を理由に、日程協議を拒否した。理事懇で民主党は「国会が正常化しておらず、特別委の審議日程協議に応じられない」との認識を示した。
一方、自民党筆頭理事の町村信孝元文相は理事懇終了後、記者団に「審議拒否だ」と不快感を示した。
教育基本法改正案、議事録作成できず…鳩山氏発言巡り
先の通常国会会期中の5月16日に教育基本法改正案が衆院本会議で審議入りした際、民主党の鳩山幹事長が自民、公明両党の“密室取引”と批判したことに対し、両党が発言削除を求め、1か月半以上経過した今なお、議事録が作成できない事態となっている。
衆院本会議では、小坂文部科学相が改正案の趣旨説明を行い、各党が代表質問を行った。政府の改正案では、愛国心について、「我が国と郷土を愛する」として、自民党が主張する「国」「愛」の文言を盛り込んだ。宗教教育に関しては、公明党が「宗
教的情操教育はなじまない」などと訴えた通り、「宗教に関する一般的な教養」との表現を用いた。
鳩山氏はこの点について、「密室の中で自民党の主張する愛国心と、公明党の主張する宗教教育をバーターするというもってのほかのことを行っている」と批判した。これに対し、与党は「事実無根だ」と猛反発し、議事録から発言を削除するよう要求。衆院議院運営委員会で再三協議してきたが、6月18日の通常国会閉幕までに決着がつかず、河野衆院議長に一任されたまま膠着(こうちゃく)状態となっている。
讀賣新聞 2006年7月4日
2006年5月16日
教育基本法改正案の審議状況
本日、衆議院本会議で教育基本法法案の趣旨説明が行われ、つづいて、小泉総理大臣、安倍官房長官、小坂文部科学大臣、猪口少子化担当大臣に対して、自民・民主・公明・共産・社民が代表質問をしました。
本会議参会後、文部科学大臣、安倍官房長官、少子化担当大臣出席のもと、教育基本法特別委員会が開催され、趣旨説明が行われました。
今後の日程については、与党が18日に日程協議のための理事懇談会を提案、これを理事懇を開催するかどうか与野党の次席理事間で協議することになりました。したがって、明日、あさっては特別委員会は開かれません。
文部科学大臣
教育基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
現行の教育基本法については、昭和二十二年の制定以来、半世紀以上が経過しております。この間、科学技術の進歩、情報化、国際化、少子高齢化など、我が国の教育をめぐる状況は大きく変化するとともに、様々な課題が生じており、教育の根本にさかのぼった改革が求められております。
この法律案は、このような状況にかんがみ、国民一人一人が豊かな人生を実現し、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の平和と発展に貢献できるよう、教育基本法の全部を改正し、教育の目的及び理念並びに教育の実施に関する基本を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、教育振興基本計画について定める等、時代の要請にこたえ、我が国の未来を切り拓く教育の基本の確立を図るものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、この法律においては、特に前文を設け、法制定の趣旨を明らかにしております。
第二に、教育の目的及び目標について、現行法にも規定されている「人格の完成」等に加え、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い」、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」こと、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ことなど、現在及び将来を展望して重要と考えられるものを新たに規定しております。また、教育に関する基本的な理念として、生涯学習社会の実現と教育の機会均等を規定しております。
第三に、教育の実施に関する基本について定めることとし、現行法にも規定されている義務教育、学校教育及び社会教育等に加え、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育並びに学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力について新たに規定しております。
第四に、教育行政における国と地方公共団体の役割分担、教育振興基本計画の策定等について規定しております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
文部科学大臣
このたび、政府から提出いたしました教育基本法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行の教育基本法については、昭和二十二年の制定以来、半世紀以上が経過しております。この間、科学技術の進歩、情報化、国際化、少子高齢化など、我が国の教育をめぐる状況は大きく変化するとともに、様々な課題が生じており、教育の根本にさかのぼった改革が求められております。
この法律案は、このような状況にかんがみ、国民一人一人が豊かな人生を実現し、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の平和と発展に貢献できるよう、教育基本法の全部を改正し、教育の目的及び理念並びに教育の実施に関する基本を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、教育振興基本計画について定める等、時代の要請にこたえ、我が国の未来を切り拓く教育の基本の確立を図るものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、この法律においては、特に前文を設け、法制定の趣旨を明らかにしております。
第二に、教育の目的及び目標について、現行法にも規定されている「人格の完成」等に加え、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い」、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」こと、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ことなど、現在及び将来を展望して重要と考えられるものを新たに規定しております。また、教育に関する基本的な理念として、生涯学習社会の実現と教育の機会均等を規定しております。
第三に、教育の実施に関する基本について定めることとし、現行法にも規定されている義務教育、学校教育及び社会教育等に加え、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育並びに学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力について新たに規定しております。
第四に、教育行政における国と地方公共団体の役割分担、教育振興基本計画の策定等について規定しております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
※以下の記録は確定した議事録ではありません。
■自民・下村議員への小坂文部科学大臣答弁
○小坂憲次文部科学大臣 伝統と文化を尊重しそれらを育んできたわが国と郷土を愛する、について。法案では伝統と文化を尊重しそれらを育んできたわが国と郷土を愛することと、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与することを一体として規定するものであり、これらの全体をうけて態度を養うと規定しているものだ。わが国と郷土を愛するは、わが国を愛し、発展を願い、それに寄与しようとする態度を規定しており、この態度を養うことと、心、心情をつちかうことは一体としてなされるものと考える。このような資質を新しい基本法に明示することにより、国民的な共通理解のもと、さまざまな教育の場において、より充実した指導が期待される。
義務教育の規定について。義務教育は憲法に規定されている、わが国の人材育成の基盤となる重要なもの。法案では義務教育を適切に実施するため、5条義務教育では、国、地方公共団体に対し義務教育の機会の保障や水準確保のため、適切な役割分担、相互協力のもとその実施に責任を課すとともに、第一六条、教育行政では、国は全国的な教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定、実施することとし、地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るための施策を策定、実施することを規定をいたしております。
なお、義務教育年限については、将来の延長の可能性も視野に入れつつ、その際の手続きが柔軟に行えるよう、学校教育法などに委ねることとしたものであります。
次に教員に関するお尋ねでありますが、教育は教員と児童・生徒の人格的触れ合いによって、その育成を促す営みであります。教育の成否は、教員にあるといっても過言ではなく、その職責遂行のために、改めてその使命を自覚し、不断に資質の向上に努める必要があります。一方、指導力不足の教員や教員の不祥事などの事例が増加しており、これに対する適切な対応が求められております。このため、教員の使命や職責、身分の尊重と待遇の適正を規定した現行法の規定を基本的に引き継いだ上で、自己の崇高な使命を深く自覚すること、絶えず研究と修養に励むべきこと、養成と研修の充実が図られなければならないことを新たに加えることとしております。文部科学省としては、このような改正の趣旨や現在、中央教育審議会における教員免許のあり方に関する議論などを踏まえ、今後、教員のいっそうの資質向上に向けた取り組みを進めてまいる所存であります。
次に、大学、家庭教育、幼児期の教育の規定に関するお尋ねでありますが、大学については、知の世紀をリードする人材の育成に重要な役割を担うとともに、教育と研究を一体として行うこと、大学の自治に基づく配慮が必要であること、国際的にも一定の共通性が認められることなどの特性を踏まえ、特に規定しております。家庭教育については、すべての教育の出発点であり、基本的倫理観などを育成する上で重要な役割を果たすものであり、父母その他の保護者が、この教育について第一義的責任を有することを規定するとともに、国や地方公共団体の支援について規定している。幼児期の教育については、心身のすこやかな成長をうながすうえで、重要な意義をゆうするものだ。家庭、幼稚園、地域社会における幼児期の教育の重要性を規定し、国、地方公共団体がその振興につとめなければならない旨をあらたに規定している。
次に宗教教育について。宗教は人間としてどうあるべきか、与えあられた命をどう生きるかなど、個人の生きかたに関わる問題であると同時に、社会生活に重要な役割をもつ。また国際関係が緊密化、複雑化するなか、他国の文化、民族について学ぶうえで、背後にある宗教に関する知識や理解を深めることが必要である。このため法案では、主要宗教の歴史や特色、世界における宗教の分布など、宗教に関する一般的な教養を教育上尊重することとしたものだ。学校において宗教に関する知識や意義が必ずしも適切に、教えられていないとの指摘から、改正の趣旨をふまえ、信教の自由や政教分離の原則に十分配慮したうえで、宗教に関する教育がより適切に実施することが求められている。現在学校において道徳を中心におこなわれている宇宙や生命の神秘、自然といった人間の力を超えたものに対する畏敬の念を育むことなどのとりくみは今後とも重要であると考える。
次に、不当な支配に関するおたずねですが、現行法では教育は不当な支配に服することなくと規定し、教育が国民全体の意思とはいえない、一部の勢力に不当に介入されることを排除し、教育の中立性、不変不当性を求めており、今後とも重要な理念だ。一部の教育関係者等により、現行法第10条の規定をもって、教育行政は教育内容や方法に関わることができない旨の主張が展開されてきたが、このことに関しては、昭和51年の最高裁判決において、法律の命ずるところをそのまま執行する教育行政機関の行為は、不当な支配とはなりえないとされ、また、国は必要かつ相当と認められる範囲内において、教育内容についてもこれを決定する権能を有することが明らかにされている。今回の改正においては、最高裁判決の趣旨を踏まえ、不当な支配に服してはならない旨の理念を掲げつつ、教育は法律に定めるところにより行われるべきと新たに規定し、国会において制定される法律に定めるところにより行われる教育が不当な支配に服するものでないことを明確にしたものである。
最後に、教育基本法改正後の教育についてのお尋ねだが、今回の改正は、わが国の未来を切り開く、教育が目指すべき目的や理念を明確に明示することによって、国民の共通理解を図りつつ、教育改革の第一歩とするものである。また、今日重要と考えられる資質が新しい教育基本法に明示されることから教育の場において、より充実した指導が行われることが期待されるところである。さらに、文部科学省としては、新しい教育基本法に基づき、教育全般について見直しを行うとともに、教育振興基本計画を策定し、教育施策を総合的かつ計画的に推進していく。
※以下の記録は確定した議事録ではありません。
■民主・鳩山議員への政府答弁
○小泉純一郎首相 憲法についての議論と教育基本法改正との関係だが、わが国の教育はさまざまな課題を抱えており、新しい時代にふさわしい教育の基本を確立するため、教育基本法を改正することが必要だ。
なお、教育基本法は日本国憲法と密接に関連してはいるものの、憲法改正を待たなければ改正できないという関係にはないものと考えている。
本法案に関する議論のあり方について、教育基本法の改正については平成十二年十二月の教育改革国民会議報告に提言されて以来、中央教育審議会における審議、意見募集や各種会議での説明など、国民的な理解や議論を深めながらとりくんできた。このたび、与党における最終的な結論もふまえ、政府案を提出したが、民主党が対案をまとめたことは歓迎する。国会での議論の進め方は国会で決定していただくべきことと考えているが、政府としては国会でしっかりと議論していただけるよう適切に対応していく。
学ぶ権利、教育権についてだが、国民が教育を受ける権利については、憲法第二六条に規定されているところだ。さらに、本法案においては、現行法にひきつづき、国や地方公共団体が学校制度の構築や学校の設置運営などによって、国民の教育を受ける機会の提供に努めなければならないという、より積極的な責務を規定している。教育の機会を保障する対象だが、憲法第二六条は、国民が教育を受ける権利を定めている。この憲法の規定をふまえ、現行基本法では国民を対象として、教育の機会均等など、教育の基本的理念を規定しており、改正案もこれをひきついだものだ。本法案では、外国人において特段の規定を設けていないが、希望する外国人に対する義務教育の機会の保障等については、今後とも日本人と同様にとり扱うこととしている。
我が国と郷土を愛する態度についてだが、我が国と郷土を愛する態度とは、我が国を愛し、その発展を願い、それに寄与しようとする態度のことであり、このような態度は心と一体として養われるものと考えている。また、本法案では伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛することとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与することを一体として規定することとしたことであり、これを受ける語句としては、態度を養うとすることが適当と判断した。
他国を尊重するということについてだが、他国を尊重しとは、我が国や郷土を重んずるのと同様に、他の国に対して排他的になることなく尊重することを全体として表現しているものであって、特定の国を指すものではない。なお、この条項は教育の目標に規定しているが、教育の目標は教育基本法の第一章に規定しており、まさにこの法律の基本となるものだ。
宗教的情操については、その内容が多義的であることなどことから、教育基本法案には規定していないが、今後とも、現在、学校において道徳を中心に行われている生命の尊さや自然の偉大さを理解し、美しいものに対する豊な心などをはぐくむとりくみがひきつづき重要であると考えている。
大学について規定する理由について、大学の役割は、我が国が知の世紀をリードするための人材育成をおこなう上で一層重要となっている。また、大学は教育と研究を一体で行うこと、大学の自治に基づく配慮が必要であることなど、固有の特性を有している。このような大学が担う役割の重要性と特性をふまえ、大学については学校教育全体に関する条文に加え、特に規定を置くものだ。
国際人権規約における高等教育無償化条項についてだが、教育の機会均等はきわめて重要な原則であり、改正法案においてもひきつづき規定している。我が国の高等教育機関への進学率は奨学金事業の充実等に努めてきた結果、先進国のなかでも高い水準である76%にまで達しているが、今後とも高等教育を受ける機会の確保について、適切な施策を講じていく。なお、国際人権規約の高等教育無償化条項については、無償化のための財源をどのようにまかなうか等の問題もあることから、留保している。
幼児期の子どもに対する無償教育の漸進的導入についてだが、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児期の教育はきわめて重要であり、教育費負担の軽減など、幼児期の教育の振興に努めているところであり、今回の法案においても幼児期の教育の振興を国および地方公共団体の責務として規定したところだ。なお、幼児期の教育の無償化については、財源のあり方等をふくめた幅広い観点からの議論が必要だと認識している。
公教育財政支出の水準や教育に対する責任をもつ覚悟についてだが、教育に対する投資については、我が国の学校教育に対する公財政支出の対GDP比は諸外国と比較して低いものの、他方で初等中等教育における在学者一人あたりの額をみれば、欧米諸国と遜色のない水準であり、また公立小中学校については、平成元年から十五年間に五割以上増加しているところだ。いずれにしても、教育への投資は我が国の発展に欠かすことができない未来への先行投資であり、新しい時代を切り開く心ゆたかでたくましい人材を育てる教育を実現するよう全力を挙げてとりくんでいく。
教育上の重要な課題についてだが、今回の法案においては、職業教育に関してはフリーター、ニートが社会問題化している状況をふまえ、職業との関連の重要性について、また私学の果たす重要な役割にかんがみ、私立学校の振興についてあらたに規定した。また、インターネット社会の課題については、情報活用能力の育成や有害情報等への対応等にかんする指導の充実などを通じ、適切に対応しているところだ。
○安倍晋三官房長官 宗教的情操教育について、私はこの件について特段、自説をまげたということはない。宗教的情操については、その内容が多義的であることなどから、教育基本法には規定していない。もとより、宇宙や生命の神秘、自然などに対する敬虔の念については、現在でも学校において人間の力をこえたものに対する畏敬の念を深めることなどを通じてはぐくんでいるところであり、このようなとりくみは今後とも重要であると考えている。
なお、今回あらたに宗教に関する一般的教養を規定しており、今後宗教に関する教育が適切に実施されるものと期待している。
○小坂憲次文部科学大臣 教育基本法に大学について規定する理由について、これからの大競争時代において、我が国が世界に伍して競争力を発揮し、知の世紀をリードする人材を育成するためには、大学の担う役割がいっそう重要となっている。また、大学は教育と教育を一体として行うこと、大学の自治にもとづく配慮が必要であることなど、固有の特性を有している。このような大学が担う役割の一層の重要性と特性をふまえ、大学については、学校教育に関する条文に加え、とくに規定を置くこととしたものだ。
国際人権規約における高等教育無償化について、教育の機会均等の達成は大変重要な課題であり、改正法案においてもひきつづき規定している。国際人権規約の高等教育無償化条項については、高等学校卒業後、社会人として税金を負担しているものとの公平をはかり、学生に適正な負担を求める等の観点から留保している。奨学金事業や私学助成を通じた支援に努めてきた結果、わが国の高等教育機関への進学率は、先進国のなかでも高い水準に達しており、今後とも高等教育を受ける機会の確保について、適切な措置を講じていく。
幼児期の子ども対する無償教育の漸進的導入について、生涯にわたる人格形成の基礎をつちかう幼児期の教育の充実はきわめて重要であり、教育費負担の軽減など、幼児期の教育の振興につとめているところだ。幼児期の教育の無償化については、財源のあり方等をふくめた幅広い観点からの議論が必要な課題と認識している。
しんぶん赤旗 2006年5月17日
教育基本法改悪許さない
衆院本会議 石井副委員長の質問(大要)
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日本共産党の石井郁子副委員長が教育基本法改悪法案に対し十六日の衆院本会議で行った質問(大要)は次の通りです。
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教育基本法は、憲法の理想を実現するという新しい教育の理念を示して、戦後の平和な民主的社会の建設に向けた取り組み、教育を受ける権利と子どもの人間的発達の保障に大きな役割を果たしてきました。いまなぜこの教育基本法を変えるのでしょうか。現行法にいかなる問題があるのか。法案提出の根拠がまったく示されていません。教育基本法のどこが「時代の要請」に応えられなくなっているのか明確にすべきです。
政策・行政ただせ
いま、子どもの非行や学校の「荒れ」、学力の問題、高い学費など、子どもの教育をめぐるさまざまな問題を解決することを国民は願っています。これらの原因は教育基本法にあるのではなく、歴代政府が基本法の民主的理念を棚上げにして、それに逆行する「競争と管理の教育」を押しつけてきたからにほかなりません。
今日ただすべきは、こうした教育基本法に反した教育政策と教育行政であり、基本法ではありません。ライブドア問題や耐震偽装問題などありとあらゆる問題を教育基本法のせいにして、改定の口実にするなどもってのほかといわなければなりません。
ところが憲法改悪をめざす自民党政府は、教育基本法制定直後から基本法改悪にのりだし、最近では二〇〇〇年の教育改革国民会議、続いて中央教育審議会を舞台に、〇三年五月からは自民・公明党の「教育基本法に関する検討会」で法案の一字一句が検討されてきました。ごく少数の与党議員による徹底した密室の審議が三年間にわたって行われてきたのです。
残りわずかな会期末にこのような重大法案を提出すること自体問題ですが、徹底審議のため「与党検討会」及び「協議会」の会議録を国会に提出すべきです。
次に法案の内容についてです。法案の最大の問題は、これまでの子どもたち一人ひとりの「人格の完成」をめざす教育から「国策に従う人間」をつくる教育へと教育の目的を百八十度転換させようとしていることです。
内心の自由侵害
法案は新たに第二条「教育の目標」をつくり、「国を愛する態度」など二十に及ぶ徳目を列挙し、その目標達成を義務づけようとしています。法律のなかに「教育の目標」として詳細な「徳目」を書き込み、学校で具体的な「態度」が評価されたらどうでしょう。時々の政府によって特定の価値観が強制され、子どもの柔らかい心が政府の特定の鋳型にはめられることになってしまいます。
目標がどれだけ達成されたのか評価するのでしょうか。評価を行えば、憲法一九条が保障した思想・良心・内心の自由が侵害されるのは明らかではないでしょうか。
「日の丸・君が代」のように「強制しない」と国会で答弁していながら、東京都では強制による処分者が多く出され、生徒の内心の自由までおかされています。「内心の自由」の侵害は絶対許さないと断言できるのか。
日本共産党は、民主的な市民道徳をつちかうための教育の大切さを一貫して掲げ、「他国を敵視したり他民族をべっ視するのではなく、真の愛国心と諸民族友好の精神をつちかう」ことも重要だとしてきました。その内容は憲法と教育基本法からおのずと導かれ、一人ひとりの「人格の完成」をめざす教育の自主的な営みのなかでこそつちかわれるものです。市民道徳は法律によって義務づけられ強制されるべきものでは決してありません。
教育とは、人間の内面的価値に深くかかわる文化的営みです。その内容を法律で規定したり国家が関与したりすることは最大限抑制すべきなのです。その抑制を取り払い、国家が「目標達成」を強いることは、戦前・戦中「教育勅語」の十二の徳目を子どもたちに植えつけ戦争へと追いやった、その過ちを繰り返すことではありませんか。
最悪の統制・支配
また法案は「教育の目的」を達成するために教育に対する政府の権力統制・支配を無制限に拡大しようとしていますがこれも重大問題です。現行教育基本法は第一〇条で「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負って」と国家権力による教育内容への不当な支配を厳しく禁止しています。
教育基本法作成当事者たちが書いた「教育基本法の解説」によれば「教育諸条件の整備確立というのは、教育行政の特殊性からして、それは教育内容に介入すべきものではなく、教育の外にあって、教育を守りそだてるための諸条件を整えることにその目標をおくべきだというのである」とのべられています。ところが提出された法案はこの「教育諸条件の整備」を削除し「国民全体に直接責任を負って」や、教員は「全体の奉仕者」という規定も削除しています。
そして「教育はこの法律及び他の法律の定めるところにより」行うとされ、教育振興基本計画で教育内容を決め、実施し、評価することができるとしています。これでは国が法律で命ずる通りの教育を行えということになり、政府が決めた計画通り実施せよということではありませんか。
これこそ教育の自主性、自律性、自由を尊重するという憲法の民主的原理を根本からじゅうりんし、政府が教育内容のすべてを握るという最悪の教育統制そのものといわなければなりません。
中教審答申はこの教育振興基本計画のトップに全国学力テストをあげ、政府は来年度実施しようとしています。全国いっせい学力テストは一九六一年から六四年にかけて実施され、学校教育に深刻な困難をもたらし国民的批判のなかで中止されたものです。それを今日復活したら、全国の学校と児童・生徒を巻き込んだ激烈な競争教育にならざるを得ません。この無謀はやめるべきです。
今回、教育基本法をあえて改定し「国を愛する態度」を書き込もうとするのは、憲法九条を変え海外で戦争する国にしようとする動きと一体のものです。「愛国心」とは海外で戦争する国に忠誠を誓えということになるのではないでしょうか。
弱肉強食の競争
また、政府や財界は教育を競争本位にして子どもを早い時期から「負け組・勝ち組」に分け、弱肉強食の経済社会に順応できる人づくりを進めています。教育基本法の改定によって押しつけられるのは、こうした二つの国策に従う人間づくりではありませんか。
憲法と一体の教育基本法は、日本が引き起こした侵略戦争によって多大の犠牲を生み出した痛苦の反省にたち、平和・人権尊重・民主主義という憲法の理想の実現をはかるという決意のもとに制定されたものです。日本共産党は教育基本法の改悪は断じて許しません。教育基本法を守り抜き、二十一世紀に生かすことを国民のみなさんにお誓いし質問を終わります。
※以下の記録は確定した議事録ではありません。
■共産・石井議員に対する総理大臣答弁(要旨)
○小泉総理大臣
●改正の理由
教育基本法は制定以来半世紀以上が経過し、科学技術の進歩や少子高齢化など教育をめぐる状況が大きく変化するなかで道徳心や自律心、公共の精神、国際社会の平和と発展への寄与などについて今後教育においていっそう重視することが求められる。これらに対応するため教育基本法を改正し、二十一世紀を切り開く豊かでたくましい日本人の育成をめざし、教育改革を推進するとした。
●教育政策や教育行政
今日の学校や社会の状況をみると倫理観や社会的使命にかかわるさまざまな問題がみられ、これらに対応するためには教基法を改正し新しい時代の教育理念を明確にすることで国民の共通理解をはかりつつ国民全体による教育改革を着実に進め、わが国の未来を切り開く教育の実現をめざす。
●与党検討会会議録
二〇〇三年五月以来、与党が教育基本法に関する検討会・協議会を設け、精力的に議論を行ってきた。政府としては会議録を提出すべきかどうかについて答える立場にない。国会で法案審議を進めることを期待し、政府として法案審議のため適切に対応していく。
●「国を愛する態度」
今回新たに目標として規定する事柄については、これまでも学校教育において実際に指導が行われているが、その重要性から今回教基法に明記するものだ。児童・生徒の内心の自由にかかわって評価することを求めるものではない。「わが国を愛する態度」とは教育上の目標として規定しているものであり、児童・生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨ではなく、内心の自由を侵害するものではない。
●教育の統制
教育の目標は教育の目的を実現するため重要と考えられる具体的な事柄を掲げたものだ。子どもたちを戦争へと追いやるものではない。政府が教育内容すべてを握るという意図はまったくない。国が必要かつ相当と認められる範囲において教育内容を決定する権能を有することは、最高裁判決でも認められている。
●学力テスト
義務教育については教育の機会均等や一定の水準を確保する観点から、結果を検証し改善を行うことが必要だ。このため児童・生徒の学力を把握・分析し、教育指導の改善・向上を図る全国的な学力調査を二〇〇七年度から実施し、義務教育の質の保障と向上を図る。
●海外で戦争する国
法案は平和で民主的な国家、社会の形成者として必要な資質をはぐくむとともに、個人の尊厳を重んじ、人間性豊かな国民の育成をめざすものだ。指摘のような人づくりを行うものではない。
『日本経済新聞』2006年5月16日付
教育基本法改正案、審議入り・衆院本会議
教育基本法改正案が16日午後の衆院本会議で審議入りした。現行法にはない「愛国心」に関する表現を盛り込んでおり、改正が実現すれば1947年の制定以来。今国会成立を目指す与党に対し、民主党は「拙速だ」として月内に対案を提出する構えで、会期延長の扱いとも絡んで終盤国会の攻防の焦点となる。
改正案は(1)教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」と明記(2)義務教育を「9年」とする規定を削除(3)「生涯学習」「私立学校」「家庭教育」などの条文を追加――が柱。義務教育期間は学校教育法で別途定めているため、改正案が成立しても直ちに変わるわけではなく、将来の期間延長を視野に入れる。
衆院では特別委員会で集中的に審議するが、参院は定例日が週二回に限られた文教科学委が舞台となる予定。6月18日の会期末まで1カ月余りとなるなか、与党内では「今国会成立には会期延長が不可避」との声が強まっている。
2006年5月16日
教育基本法改正案、衆院審議入り
衆院は16日午後の本会議で、教育基本法改正案の趣旨説明と質疑を行い、審議に入った。
本会議後には、教育基本法特別委員会(森山真弓委員長)で提案理由説明が行われる。
改正案は、与党内の議論の焦点となった「愛国心」について、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」などと明記している。
野党は同改正案に反対する方針だ。民主党は対案となる教育基本法案の要綱をまとめ、「愛国心」については「日本を愛する心を涵養(かんよう)する」としている。
2006年5月15日
教育基本法に関する審議の状況
議院運営委員会では次のようなことが決まりました。
明日16日の午後1時からの本会議で、教育基本法案の趣旨説明をおこなう。各党の質疑時間は自民10、民主15、公明10、共産10、社民10分。
また、教育基本法特別委員会の理事懇談会が行われ、議論は次のように平行線です。
与党と委員長は、明日16日本会議散会後(3時ごろ)、特別委員会にて趣旨説明を主張。それに対し野党は、特別委員会の出席大臣を文部科学、官房長官、少子化担当大臣、総務、厚生労働など8大臣を要求。与党は自民と民主の国対委員長会議で、本会議後趣旨説明をやることと出席大臣は文部科学、官房長官、少子化担当(ただし、後者2人はできる限り出席)とすることはすでに合意済みと主張。民主党は国対に確認したところ、合意していないとのことで、議論は平行線のままで今夜は終了。
明日については、午前中断続的に自民と民主の間で協議することとし、特別委員会を開くが実際に開催するかどうかはその結果を受けた理事懇次第、ということです。
教育基本法特別委を設置 衆院、16日にも審議入り
衆院は11日午後の本会議で、教育基本法改正案を審議する特別委員会の設置を自民、公明両党などの賛成多数で議決した。委員数は45人で委員長には森山真弓元法相の就任が内定しており、本会議後に特別委を開き互選する運びだ。
与党側は16日の本会議で、小泉純一郎首相と関係閣僚が出席して趣旨説明と質疑を行い審議入りしたい考え。ただ、野党側は改正案に反対の立場から十分な審議時間の確保を主張しているため、今国会で成立させるには6月18日までの会期の大幅延長は不可欠との見方が与党内で強まっている。
教育基本法は「教育の憲法」と位置付けられ、1947年の制定以来の全面改正に向けた審議が始まる。
(共同通信) - 5月11日13時13分更新
教基法の特別委、11日に設置=審議入りは来週−与野党国対会談
与野党は10日夕、国会内で今国会初めての国対委員長会談を開催した。与党と民主党は教育基本法改正案を審議する衆院特別委員会について、11日の衆院本会議で設置を議決することで合意した。しかし、与党は民主党に配慮して同日の改正案の審議入りは見送り、来週に持ち越した。
席上、民主党は同改正案について「憲法に匹敵する大改革であり、わずかな期間で成立させるのは許されない。今国会にこだわらず、十分審議すべきだ」と慎重審議を要求。衆院本会議での趣旨説明と質疑は、民主党案の策定を待って18日に行うよう主張した。与党は16日の審議入りを目指しており、引き続き調整する。
ただ、民主党は特別委設置に関しては「反対しても設置されるのでやむを得ない」と議決には応じる考えを示した。共産、社民両党は反対した。
(時事通信) - 5月10日21時0分更新