文部科学省の動き(2008年9月)


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試行試験に参加へ=OECDの大学評価

文部科学省は30日、経済協力開発機構(OECD)が大学ごとの学習成果を評価するために予定している試行試験に参加する方針を決めた。同日の中央教育審議会大学分科会のワーキンググループ会合で、(1)工学分野の学生の学習成果測定(2)教員数、研究資金など評価指標の調査−などへの参加をOECDに打診すると確認した。

韓国、オーストラリア、フィンランドなどは試行試験への参加を表明済み。OECDは試行試験を2010年までに実施する計画で、参加各国から10大学程度の参加を見込んでいる。(了)

時事通信 2008年9月30日

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<教育予算>日本がOECD加盟国中最低 GDP比

日本の05年の教育予算の対国内総生産(GDP)比は3.4%(前年比0.1ポイント減)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中最低となったことが、OECDが9日公表した「図表で見る教育08年版」で分かった。04年はワースト2だったが、今回は前回最下位のギリシャにも抜かれた。OECD平均は前年と同じ5.0%。3.4%は88年の調査開始以来、日本として最低の数字。

日本は加盟30カ国のうちデータが比較可能な28カ国で最下位。03年に最下位、02年もワースト2と低迷が続く。今回は小中高校に限ると、対GDP比2.6%でワースト3、大学など高等教育では、同0.5%で最下位だった。

政府の支出全体に占める教育支出の割合は9.5%で、OECD平均の13.2%を大きく下回った。日本の教育支出は、私費割合が31.4%(OECD平均は14.5%)と高いのが特徴だが、公費と私費を足した教育支出の対GDP比も4.9%でOECD平均の5.8%と開きがある。

OECDは「他国では教育支出が急上昇しているが、日本は教育以外の分野を選んで投資している。将来に向け教育にどう戦略的に投資するかが日本の課題だ」と指摘した。

教育予算を巡っては、OECD平均並みにする数値目標を教育振興基本計画(7月閣議決定)に盛り込もうとした文部科学省に財務省が反発し、見送られた経緯がある。財務省は今回の結果についても「日本の子どもの割合はデータがある25カ国中最下位。1人当たりの教育予算は英米など主要国とほぼ変わらない」としている。【加藤隆寛】

毎日新聞 2008年9月9日 21:31

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教育への公的支出、日本は最下位=GDP比で3.4%−OECD

経済協力開発機構(OECD)は9日、加盟国の教育政策の取り組み状況(2005年時点)を公表した。それによると、日本の教育機関に対する財政支出の国内総生産(GDP)比は04年から0.1ポイント低下して3.4%(OECD平均は5.0%)となり、数値が比較できる28カ国中、最下位だった。

日本のGDP比で公的支出が低いのは、GDPの伸びほどは教育に振り向けられていないためとみられるが、OECD教育局は「多く資金投入することが良い結果につながるかは疑問。日本は学習成果でベストパフォーマンスが見られる国の一つだ」と評価している。 

時事通信 2008年9月9日

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「全国学力テスト」結果分析で省内に専門組織…文科省方針

鈴木文部科学相は5日の閣議後の記者会見で、先月公表された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、得られたデータを総合的に分析する専門組織を文科省内に設置する方針を明らかにした。

8日にも発足させ、好成績をおさめた自治体や学校の取り組みに関する詳細なデータ分析に、国として初めて乗り出す。文科省はこれまで、大学教授などに依頼して全国規模の結果分析は行っていたが、自治体や学校ごとの分析については、都道府県や市町村、各学校に任せていた。

しかし、2回目となった今年度は、地域間の学力差が固定化している実態が明らかになる一方、成績が大きく向上した学校があったことも判明。このため、2年連続でトップクラスとなった自治体や学力が向上した学校の教育内容と、結果の因果関係を国としても詳細に分析するよう求める声が相次いでいた。

讀賣新聞 2008年9月5日 13:01

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<学力テスト>分析体制拡充へ…国立大に調査委託 文科省

文部科学省は、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果分析の体制を拡充することを決めた。国立大学に依頼し、研究者を小中学校の実地調査に派遣するなどの取り組みも始める。分析のあり方を抜本的に見直すことで調査の意義を示したい考えだ。

これまでは主に、文科省の教育水準向上プロジェクトチーム(PT)が分析を担当し、依頼を受けた専門家検討会議が補っていた。しかし、「読書好きは国語の正答率が高い」などの分析に対して「自明の結論。毎年実施する意味はない」(小学校長)などの批判も起きており、見直しを検討。今後は、国立教育政策研究所も参加して月内にも省内に発足する「分析統括推進部会(仮称)」が全体を管理し、国立大2校に調査事業を委託する。

毎日新聞 2008年9月4日

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教員増員計画を事実上断念 文科省が来年度概算要求原案

■非常勤講師1万1500人増で対応

文部科学省は、平成委21年度予算の概算要求原案をまとめた。新学習指導要領が来年度から一部前倒し実施され、授業時数増加に対応するため新たに非常勤講師を1万1500人配置する計画で、昨年度求めた教員2万1000人増加計画を事実上断念した。道徳教材の国庫補助制度や、中学校の武道必修化に向けた武道場整備費も新たに盛り込んだ。総額は12・8%増の5兆9472億円。

文科省は昨年度、学習指導要領の改定や残業時間の多さから、教員の「子供と向き合う時間を確保する」として、3年間で2万1000人の増加を計画した。

だが、政府の基本方針「骨太の方針2006」で1万人程度の純減を決めており、財政制度等審議会で批判が挙がり、今年度予算は1000人純増と非常勤講師7000人で決着していた。

7月に閣議決定された教育振興基本計画でも、財務省の反対で、具体的な教員定数増を盛り込むことができなかった。

来年度は、校長や教頭などを補佐する主幹教諭を中心に計1500人、講師3500人の純増をはかる。

さらに新課程前倒しで小学校の授業が週1時間増えるうえ、小中学校の主要教科で少人数指導を実施するため、これとは別に非常勤講師1万1500人の増員を要求した。

教員2万1000人増加計画ついて、鈴木恒夫文科相は「願望は残っている」としながら、内閣の方針を守るのも大臣の務めだとして、棚上げされた。

給与面では「骨太」で一般公務員より2・76%高く設定した教職員給与の優遇措置の縮減を決めており、来年度は計19億円減らすとした。

中学校の新指導要領で武道とダンスが必修化されるが、武道場を持つ中学校は約半数。このため、200校に新設するなど武道場整備費に50億円を計上した。

道徳教育では、民間が作成した教材のなかで適切なものを財政支援し、「準教科書」として使用する経費として41億円を充てた。

いじめ問題の対応では、スクールカウンセラーを配置する小学校を2200校に倍増。地域ぐるみで学校にかかわり子供たちを支援する学校支援地域本部も3600カ所に倍増する。

23年夏には地上デジタルテレビに完全移行されるが、学校に設置されるテレビのデジタル化率は約1%にとどまっており、整備費用の半額を補助するため75億円を盛り込んだ。

大学関係では、実験などの専門的な指導法を学び、地域の小中学校の理数教育に広げる中核となる教員「コア・サイエンス・ティーチャー」を養成するために、9億3000万円を盛り込んだ。

深刻化する医師不足問題に対応するため、大学医学部の総定員数は計8560程度に増やす。

法科大学院の共同設置や共同教育体制の構築を進めるための新規事業に5億円を計上した。ただ、与党内から批判が出ており、情勢は流動的だ。

産経新聞 2008年9月3日 17:05

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