公明党


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改正教育基本法成立に当たり確認すべき重要事項 (山下栄一議員HP
改正前の教育基本法は日本国憲法の「教育を受ける権利」(26条)「学問の自由」(23条)「個人の尊重」(13条)「思想及び良心の自由」(19条)「信教の自由」(20条)など、教育と国家との関係で踏まえるべき大原則を明記している。この優れた理念を継承しつつ足らざるところを補う観点から改正されたのが、今回の改正教育基本法である。従って新教育基本法という呼び方は適切ではない…

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公明党が先頭に

先の臨時国会では、国民生活にかかわる重要な法律が数多く成立しました。実現の先頭に立った公明党の取り組みも含め紹介します。

時代に即した理念法に
教育基本法
現行理念堅持し新項目追加
関連法見直し再生加速

 1947年の制定以来、初の全面見直しとなった教育基本法。最大の特徴は「個人の尊厳」など、これまでの基本法の骨格となる理念は堅持しつつ、時代の変化に即して「生涯学習」などの項目を加えたことです。愛国心をめぐる表記については、「国家」というよりも「郷土」という意味合いが強く、国際社会への広がりを持った表現とし、国家主義の懸念を払しょく。ここでいう国の概念に「統治機構は含まない」ことも明確になりました。

 理念法である同法の成立を受け、教育再生の具体化が加速します。教育行政に“骨太”の方針を打ち出すため、新たに「教育振興基本計画」を策定し、具体的な政策や数値目標を規定。教育行政全般にわたる明確な展望を示します。いじめや未履修問題など教育現場が直面する課題への対応も急務であり、基本法の下に位置づけられる学校教育法など、30を超える法律の見直しを進めます。

(以下、略)

公明新聞 2006年12月26日

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臨時国会 重要法案に反映した公明の主張

19日に閉幕した臨時国会は、公明党として太田昭宏代表の下で迎える初の国会であると同時に、連立第2期に入って初めて迎えた与野党論戦の舞台となった。公明党は教育改革や少子高齢化対策など日本が直面する課題に、真正面からの取り組みを展開。重要法案の取りまとめや成立などをリードし、大きな成果を挙げた。今臨時国会で成立した重要法案に反映した公明の主張やこれまでの取り組みなどをまとめた。

教育基本法
基本理念堅持し時代変化に対応

教育基本法は今回、約60年前の施行以来初めて全面的に見直された。見直しの特徴は、現行法の理念を堅持しつつ、時代の変化に対応した項目を新たに盛り込んだこと。

公明党は現行法の「個人の尊厳」「人格の完成」「憲法の精神にのっとり」などの基本的理念を高く評価し、今回の新しい教育基本法でもこれらを堅持させた。また、教育現場が直面する課題が時代の経過に伴って大きく変化していることを直視し、「生涯学習」「家庭教育」「幼児期教育」などの項目が新たに盛り込まれた。公明党の主張により、「学校・家庭・地域の連携」の大切さを明記した文言も盛り込まれた。

「愛国心」については、公明党が「国家主義的なものになってはならない」と主張した結果、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し」という表現となり、国家主義の懸念は払しょくされた。

(以下、略)

公明新聞 2006年12月25日

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臨時国会を振り返る〈下〉 記者座談会

教育基本法、防衛「省」法が成立

デスク 臨時国会では、政府の新規提出法案が100%成立した上に、前通常国会から継続審議となっていた教育基本法と防衛庁の省移行関連法という政府提出の最重要法案を2本とも成立させることができた。

B すごいことだ。85日間の短い会期で、これほど大きな成果を残せたのは、政府・与党が結束して取り組んだ結果だ。

C 教育基本法は約60年ぶりの大改正だった。基本理念は堅持しつつ、時代の変化に対応した新たな項目を盛り込んだ。

A 焦点となった「愛国心」の表記は、公明党の強い主張で「国家」というよりも「郷土」といった意味合いの強い表現となり、国家主義の懸念を払しょくした。

B 防衛庁の省移行関連法でも、国民の間には「軍事大国になるのではないか」といった不安があった。

デスク こうした不安を解消するため、公明党は国会審議を通じて、シビリアンコントロール(文民統制)や専守防衛、非核三原則など、防衛政策の基本は変わらないことを確認。省移行が軍事大国につながらないことを明確にした。

補選、知事選勝利で弾み

C この臨時国会で、ここまで政府・与党が力を発揮できたのは、やはり10月の衆院2補選と11月の沖縄県知事選の勝利が大きかった。

デスク その通りだ。衆院補選は安倍政権が発足して初めての国政選挙であり、その勝利は国会運営にも大きな弾みとなった。

B 沖縄県知事選は野党統一候補との戦いだったが、教育基本法改正への対応や、安全保障政策が水と油ほど異なる政党が寄り集まった野党共闘は、まさに“野合”そのものだと有権者に見破られた。

C 特に民主党は同知事選を「年内最大の政治決戦」(小沢一郎代表)とまで重視していただけに、敗北後は一気に勢いを失った。

A 同知事選の投票日(11月19日)前は、ちょうど教育基本法が衆院を通過し、防衛庁の省移行関連法も衆院での委員会採決が迫っていた時期だった。

B 民主党は同知事選に勝つため、野党共闘を優先。自ら対案を出していたのに教育基本法の委員会採決を拒否。また、党内に賛成論者が多かった防衛庁の省移行関連法は賛否を明確にせず、採決の先送りを図った。

デスク 対案を出しながら審議拒否する民主党の矛盾した態度は、到底、理解できるものではなかった。有権者には「野党は無責任」と映った。

A そもそも、教育基本法の衆院での審議時間は106時間に達し、採決の機は十分すぎるほど熟していた。

C 結局、民主党にとって、対案は最初から成立をめざすものではなくて、政府案に反対するための“政争の具”だったということだ。

B 沖縄県知事選で敗れた民主党は、すごすごと審議に復帰。「徹底抗戦」を呼び掛けた小沢代表のかけ声もむなしく、腰砕けに終わった。

C その上、党内からは共産党まで含めた共闘に不満も出始めた。

政略優先の野党共闘は崩壊
民主党内のバラバラ表面化

A 防衛庁の省移行関連法も、民主党は最終的に賛成に回ったが、衆院本会議の採決では6人が欠席。党籍はあるが副議長で無所属になっている横路孝弘氏は反対した。

B 参院本会議でも、7人が採決を棄権・欠席した。基本政策の党内不一致が浮き彫りになった。

デスク 国会最終盤の15日には、野党4党で内閣不信任案を衆院に提出したが参院では、民主党が首相の問責決議案の提出を拒み、野党共闘はあえなく崩壊した。

C その後の野党同士の批判合戦は、実に見苦しかった。

デスク あんな体たらくでは、国民は民主党に政権を託そうなんて思わないだろう。

公明新聞 2006年12月25日

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臨時国会と公明党 漆原 良夫 国会対策委員長

先の臨時国会は、太田昭宏新代表が就任した「新生・公明党」にとって、初めての国会でした。85日間の短い会期でしたが、安倍内閣の最重要法案であった教育基本法、防衛庁の「省」移行関連法をはじめ、改正消費生活用製品安全法、改正建築士法、改正官製談合防止法、ドミニカ移住者救済法、貸金業法など、公明党の強く推進してきた法律が成立でき、喜ばしく思っています。

今回成立した政府提出の教育基本法は、従来の基本法で掲げた「人格の形成」「個人の尊厳」などといった基本的理念を堅持しつつ、「教育の目標」として「男女の平等」「公共の精神」などの概念を明記。「生涯学習」の理念も条文に盛り込まれています。

「愛国心」をめぐる表記については、公明党が国家主義的なものになってはいけないとの主張により、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」としました。

今後は、理念法である基本法をもとに、いじめ問題をはじめ、教育力、地域力、家庭力のアップなど具体的な法案作成に取り組んでいきます。

防衛「省」移行関連法では、内閣府の外局である防衛庁を省に移行させるとともに、国際平和協力活動を自衛隊の本来任務として位置付けました。

一方、省移行後も(防衛政策の基本である)専守防衛や非核三原則は堅持します。これは、安倍首相の答弁などで明確になっています。また、公明党の主張により、法律の中に、安全保障会議(首相、外相などで構成)への諮問事項に国際平和協力活動、周辺事態への対応を明記するなど、シビリアンコントロール(文民統制=政治による軍事の統制)をさらに充実させました。

また、国民生活に大きな影響を与える法律として、200万人を超えるといわれる多重債務者の増加防止と救済を目的とする貸金業法が挙げられます。

この法律では、出資法の上限金利を20%にまで引き下げ、公明党が推進してきた「グレーゾーン金利」(利息制限法と出資法の上限金利の間にある金利帯)を撤廃しました。また、過剰貸し付けの抑制策として、借り手の年収の3分の1を超える貸し付け禁止を業者に義務付けました。さらにヤミ金融といわれる無登録業者への罰則も強化し、最長刑を懲役5年から10年に引き上げました。

このほか、公明党の強い主張で、当初案に盛り込まれていた少額・短期の貸し付けに限って認める特例高金利の導入を削除しました。これは公明党が、消費者の観点を重視した法律作成に取り組んだ結果だと思います。

最近、福島、和歌山、宮崎各県で官製談合事件が相次いで発生しています。こうした談合が明らかになった背景には、公明党の強い推進で成立した官製談合防止法が起因となり、摘発につながったと言われています。

この防止法は、公明党が対策プロジェクトチームで独自に作成した法案骨子をもとに、与党内で18回も議論を重ねた末、議員立法として国会に提出、2002年7月に成立したものです。その後、公明党はさらに罰則を強化するため、与党内で検討を行い、法改正を推進してきました。

今回の改正法では、官製談合に関与した職員について、新たな罰則を創設したり、省庁などに対し処分結果の公表を義務付けるなど、厳しい内容になっています。

公明党は、来年の通常国会でも、“政治腐敗は断じて許さない”との姿勢を貫くとともに、大衆に目線を合わせた法案づくりに努めてまいります。

公明党新聞 2006年12月24日

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中立性を維持 バランスとれた政府案 教育基本法案で斉藤鉄夫・政調会長に聞く

衆院では野党が審議・採決ボイコットを続ける中、今国会の最重要法案と位置づけられる教育基本法案が可決され、17日には参院で審議が始まった。与党協議会のメンバーとして、法案の作成に携わった公明党の斉藤鉄夫政務調査会長に、同法案について聞いた。

時代の変化に即応
筋通らぬ野党の審議拒否
民主案は反対のための道具
現行法の理念堅持

――教育基本法案を衆院で採決した理由は。

斉藤 政府案、民主党案ともに十分に議論が尽くされ、国民各層の意見も聞いたというのが採決を判断した理由です。法改正の本格的な議論は、6年以上前の2000年3月に設置された教育改革国民会議(首相の私的諮問機関)にまで遡ります。その後、中央教育審議会(中教審、文部科学相の諮問機関)でも改正すべきとの答申がまとめられました。この間、保護者の代表や学識経験者、教職員組合の代表など、さまざまな方々が参加して濃密な議論が重ねられてきました。

中教審の答申後、与党でも拙速な判断を避けるために3年間で70回に及ぶ議論を行い、与党としての考えをまとめました。その考えを基本とした政府案が提出され、民主党案とともに特別委員会で、100時間を超す審議がなされました。また、全国6カ所での地方公聴会や、中央公聴会を開き、4回の参考人質疑では、合計16人の方に意見を伺いました。終盤では、質疑内容の重複も目立つようになり、基本法そのものに関する議論はほとんどありませんでした。審議が不十分とする野党の主張には少し無理があると思います。

ここまで国会を含め国民各層で真摯にご議論頂いたことに対し、一定の結論を得ることは国会の責務だと考えます。

――いじめ自殺や未履修問題などが起きていますが。

斉藤 これらの問題については、与党教育再生協議会の場でも議論を重ね、できるものについては具体的な方針も示しています。理念を定める教育基本法案の議論と混同せず、国会においては文部科学委員会など各委員会で審議すべきものではないでしょうか。

――政府案は完成度が高いと主張していますが。

斉藤 理由は2点あります。一つは、現行法の足らざるものを適切に補ったということです。われわれは、「個人の尊厳」や「人格の完成」という理念を掲げる現行法を高く評価し、政府案でも堅持していますが、1947年の制定時とは時代も大きく変わっています。例えば第3条で、生涯学習の理念を規定し、当時焦点となっていた学校教育や義務教育だけに限らず、人生のあらゆる段階で学ぶことができる環境の整備をうたっていることも一例です。

二つ目は、バランスがとれた、誰もが「中道」だと判断できる内容であることです。国民の間にはさまざまな考え方があります。愛国心といっても、自己犠牲を求めるような愛国心を主張する意見もあれば、基本法に盛り込むこと自体に反対する意見もあります。その中で政府案では、誰もが認める「郷土愛」を基調とし、国際社会への広がりを持った表現になっています。大きな議論になった「宗教教育」についても、幅広い意見を持つ人たちの最大公約数的な内容になったと思います。

民主党案だと、ある部分はかなり保守的な人に向けて作られ、ある部分はその対極にいる人たちを満足させる内容とするなど、全体として整合性がとれていません。政府案は、全条文に関して、幅広い意見を持つ人たちから、できるだけ多くの納得を得るための配慮がなされています。その意味で、公明党が与党にいたからこそできた、完成度が高い法案だといえます。

民主党案の欠陥
国家主義の懸念ぬぐえず
政治の影響を受けやすい
信教の自由に抵触の恐れ

――民主党案の欠陥は。

斉藤 最大の欠陥は、地方自治体の教育委員会を廃止し首長が直接教育行政を行うと規定し、教育の中立性、政治からの独立性が制度的に担保(保証)されていないことです。また、愛国心の表記では、国家主義の懸念を払しょくできません。民主党案がうたう「宗教的感性の涵養」は、特定宗派の実践を離れてはあり得ないもので、これを公立学校で行うことは、憲法で定める信教の自由に抵触する恐れがあります。ですから民主党案には、共産、社民の両党も反対しています。

民主党は自ら提出した法案の審議・採決をボイコットしましたが、これは筋が通りません。民主党案は政府案に反対するための政争の具だと判断せざるを得ないと考えます。

公明新聞 2006年11月18日

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教育基本法案に不可解な対応

参院で審議入り

政府提出の教育基本法案が17日、参院で審議入りした。民主党など野党が、同法案を自民、公明などの賛成で可決した衆院教育基本法特別委、衆院本会議での採決ボイコットに続いて、参院本会議も欠席したことは大変に残念だ。

民主党は独自の法案も提出している。にもかかわらず衆院での最終盤の審議を欠席したり採決を拒否したことは、「(民主党が)提出した法案は成立をめざすものではなく、政府案に反対するための道具と考えざるを得ない」(公明党の斉藤鉄夫政務調査会長)と断じたことは当然と言える。「審議は尽くされていないと言いながら審議の邪魔をする。こんな相矛盾した態度こそ、『今まで言ってきたことは採決阻止の方便でした』と自ら認めているようなもの」(16日付「読売」社説)とは、まことに的を射た論評ではないか。

衆院教育基本法特別委員会は一度も混乱することなく、政府、民主党の両案を106時間にわたって、丁寧に審議してきた。また野党側の求めに応じて、中央公聴会、全国6カ所での地方公聴会を開催し、参考人を招いての質疑も先の通常国会で3回、今国会でも1回行い、合わせて16人から貴重な意見を聴いた。

加えて先の通常国会の会期末には、自民、民主両党間で国会閉会中に法案の修正協議を行うことになっていたにもかかわらず、民主党は「必要ない」とこれを拒否している。こうした経過を詳細に見れば、民主党は同党が考える内容の実現さえ、本気では考えていないと言わざるを得ない。

加えて、教育における政治の中立性が確保できない民主党案については社民党や共産党も反対している。教育の在り方という最も基本になる法律で一致できない政党が、目前の沖縄県知事選では一致して統一候補を支援している。国民の目には何とも不可解、無原則な“野合”と映っているだろう。

民主党など野党は、教育改革タウンミーティングでの「やらせ質問」の実態解明、未履修問題、いじめ問題の対応が先だと主張している。確かに「やらせ質問」は明らかに行き過ぎだ。しかし未履修問題やいじめ問題は文教科学委員会、与党の教育再生協議会や政府の教育再生会議でも議論が続けられている。審議拒否ではなく、重層的な論議を続けることこそ、問題への適切な対処を進めることになるのではないだろうか。

完成度高い政府案

法案の内容について言えば、政府案は実に6年という期間をかけた慎重な論議を経てまとめられた。現行法の「個人の尊厳」「人格の完成」「憲法の精神にのっとり」という基本的な理念を堅持しつつ、法制定後60年の間に提起された課題を踏まえて、足らざる内容を補強する形で提案された完成度の高い法案と言える。

一方の民主党案は、論議の過程で焦点となった愛国心について国家主義的な色彩を排除できないのに加え、教育委員会についても、教育行政は首長が行うこととしているため、教育委員会制度によって確保されている教育の中立性が守れないのではないかとの強い懸念をぬぐい切れない。

参院での法案審議が始まった。「民主党の小沢一郎代表は来夏の参院選に向け、社民党などとの共闘を優先した」(16日付「産経」社説)という批判をどう受け止めるのか。野党は早急に参院での審議に復帰すべきだろう。

公明新聞 2006年11月18日

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野党の採決拒否は残念 教基法案、今国会成立を確信 記者団に太田代表

公明党の太田昭宏代表は16日午後、国会内で記者団の質問に答え、政府提出の教育基本法案が衆院を通過したことについて、大要次のような見解を述べた。

一、教育基本法案の提出前、2000年3月からの教育改革国民会議(首相の私的諮問機関)以来の論議を踏まえ、長い審議の果てに、やっと衆院通過を果たした。(同法案の衆院可決は)一つの大きな一歩を記したという感じだ。

一、(本会議を欠席した民主党など野党側の対応について)この法案は、(与野党ともに)特に慎重で長い審議をしてきた。民主党も対案を出していたこともあり、当然(本会議の)採決に加わっていただけると思っていた。(野党側の欠席は)極めて残念だ。

一、(法案成立へ、今後の見通しについて)参院で慎重かつ、十分な審議をしていただき、(今国会中に)成立していけるものと確信している。

一、(野党側が徹底抗戦の構えを見せていることについて)(国民にも)十分納得していただける、完成度の極めて高い法律になっており、多くの理解が得られると思う。

一、(与党による採決の影響について)事実を見れば、(野党側の)審議拒否、採決拒否ということが真実だ。(今回の採決は)国民の皆さんには、十分ご理解いただけるものだと思うし、教育の基本ということに対する国民の要請に応えるものだと思っている。

公明新聞 2006年11月16日

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いじめ対策で指導力発揮 地域格差解消へ支援策を
北海道の竜巻被害 厳寒迎え特段の配慮要請 政府与党会議で太田、北側氏強調


政府と自民、公明の与党両党は13日昼、首相官邸で連絡会議を開き、当面する諸課題について協議した。公明党から太田昭宏代表、北側一雄幹事長らが出席した。

この中で、安倍晋三首相は、12日投開票の福島県知事選について、公明党の応援に対して謝意を表した上で、「与党推薦候補が負けたことは誠に残念だ」と述べ、19日投開票の沖縄県知事選でも、与党として一致結束して全力を挙げたいと強調した。

また、衆院で審議中の教育基本法案について、「しっかり審議してもらいたい」と強調。いじめ問題に関して、「政府の教育再生会議や与党の教育再生協議会でもしっかり議論していきたい」と述べた。

太田代表は、福島県知事選について、「残念な結果になったが、この結果を真摯に受け止めたい。(19日投票の)沖縄県知事選については、勝利に向け、自公両党で一致団結し、全力で取り組んでいきたい」と表明。

また、福島県などの談合事件を挙げ、「再発防止策の強化が急務だ」との認識を示し、「衆院で継続審議になっている官製談合防止法改正案(与党案)を早期に審議開始し、今国会で成立できるよう全力を挙げていきたい」と強調するとともに、「教育基本法案をはじめ重要法案の成立を期して、政府・与党が緊密に連携を取り、対処していきたい」と述べた。

これに対して、自民党の二階俊博国会対策委員長は、「官製談合防止法改正案を重要法案に付け加えた」と応じた。

さらに、太田代表は、北海道佐呂間町の竜巻被害への対応について、「政府の迅速な対応がなされているが、厳寒の季節を迎えているので、被災者が生活不安を抱えながら冬に立ち向かうことがないよう特段の配慮を求めたい」と要望。

一方、いじめ対策に関して、「政府の教育再生会議、与党教育再生協議会でしっかり議論し、リーダーシップを取っていきたい」と力説。「どんな理由があろうとも、いじめた側が百パーセント悪い、という考え方に立つべきだ」と指摘した。

北側幹事長は、「現場を回っていると、有効求人倍率など地域格差がある」と指摘。「地域格差解消に向けた支援のメニューを考えていかなければならない」と述べるとともに、「地域にとって、どうしても必要だという公共事業がある。地域力の強化という観点から考えてもらいたい」と強調。

これに対して、菅義偉総務相は「地方の応援に力を入れたい」と述べた。

公明新聞 2006年11月14日

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教育基本法案で公聴会 札幌、大分市
西、斉藤氏が意見聞く 衆院特委


衆院教育基本法特別委員会は13日、札幌市と大分市で地方公聴会を開いた。

札幌市で公明党の西博義氏は、教育委員会の位置付けについて、政府案が第三者的な機関の性格を維持しているのに対し、民主党案では、首長の下に組織を置くことを主張している点に関する見解を求めた。

意見陳述者の西田豊・札幌国際大学教授は、「教育委員会は、独自性を持って運営されるべきであり、首長が変わるたびに運営方針が変わるようなあり方は教育になじまない」と政府案を支持する考えを示した。

一方、大分市内で開かれた公聴会では、公明党の斉藤鉄夫氏(政務調査会長)が、大分県高等学校PTA連合会の高橋正夫会長、元・同市立小学校長の清原今朝勝氏ら3氏から見解を聞いた。

斉藤氏は、意見陳述者に(1)日本教育の長所と短所(2)へき地教育が抱える課題(3)学校、地域、家庭の協力体制づくり(4)教育格差の解消(5)県市町教育委員会のあり方――などについて質問。

これに対して、清原氏らは「公・私立の教育格差解消などのために、抜本的な改革が必要」と強調した。

公明新聞 2006年11月14日

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教育基本法案で公聴会 4県で開催
坂口、西氏が見解求める 衆院特委


衆院教育基本法特別委員会は8日、4県で地方公聴会を開いた。このうち名古屋市で、公明党の坂口力氏(副代表)が質問に立ち、教育基本法案の作成段階において、いわゆる「愛国心」をめぐる表現方法について公明党内でも盛んな議論があったと
し、「教育現場では愛国心を、どう教えるのが適切か」とただした。

これに対して、意見陳述者の北俊夫・岐阜大学教授は、「子どもの発達段階に応じて、わが国の歴史・文化・社会のしくみ等を正しくかつ十分に理解させることが国や郷土を愛するようになるための土台だ」と答えた。

また、馬居政幸・静岡大学教授は、少子化が進んだ遠因に学校教育があるとし、子どもを産み育てることの価値観を学校で教えていくべきだと主張した。

一方、宇都宮市での地方公聴会では公明党の西博義氏が質問に立った。

西氏は、「政治からの中立」を踏まえた教育行政のあり方や形骸化が指摘される教育委員会について、見解を求めた。

意見陳述者の渋井休耕・芳賀保護区保護司は、政府提出法案がうたう「国と地方公共団体の適切な役割分担」「全国的な機会均等と水準の維持向上」の2点を高く評価。一方、首長の意向を反映させた教育行政をうたう民主党案について、「選挙への協力や施策に対する従順さが教育委員会委員の選定に影響を与えかねない」との見解を示し、「これからは、活発化して、子どものために頑張れる教育委員会にしてほしい」と述べた。

また、西氏は、教員の資質向上にあたって重視すべき点について見解を求めた。渡邊弘・宇都宮大学教授は、子どもの心を理解し、適切に工夫して教育を行うための「創造力」と「想像力」を挙げ、「教員をめざす学生は、早いうちから、子どもとふれあい、子ども観、人間観を養うことが重要だ」と述べた。

公明新聞 2006年11月9日

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時代超え役立つ教育に 文科相 学習指導要領見直し検討 衆院特委で坂口副代表

6日の衆院教育基本法特別委員会で質問に立った公明党の坂口力副代表は、改革が叫ばれる戦後教育の在り方について、わが国の発展を支えてきた側面もあると指摘。教育基本法案の審議に当たり、「戦後教育の良い点、悪かった点は明確にすべき」として、政府の見解を聞いた。

伊吹文明文部科学相は、国民全体の教育水準を引き上げたことなど「現行の基本法の役割は非常に大きかった」と強調。その上で、国際化や少子高齢化などの時代の変化に言及し、「戦後教育が悪いということではなく、足らざるものを補うということ」と強調した。

また、坂口副代表は「制度を時代に合わせても、今の子どもが成長して日本を担う時代には、さらに社会が変わっている」と強調。法改正でめざすべき時代に合った教育について、学校での学びと実社会における実践との間に隔たりを生じさせないよう訴えた。

伊吹文科相は、「(学校教育での)学びのスタート時点ではその時代に合った教育でスタートさせるべき」と応じるとともに、生涯学習の必要性を強調。新たな条文を盛り込み、生涯学習のほか、大学や家庭教育なども法案で位置づけたことで「法整備や政令、通達、予算(編成)がしやすくなる」と力説した。

また、坂口副代表は、高校必修科目の未履修問題に関して、今後、同様の混乱を防ぐために、学習指導要領の見直しを行う考えがあるか見解を求めた。

伊吹文科相は、「教育基本法案が通れば、その理念を念頭に学習指導要領を変えなければならないところがたくさんある」と指摘。進学、就職のいずれの希望者からも現在の学習指導要領に異論が出ていることを紹介し、見直しを検討する考えを示した。

公明新聞 2006年11月7日

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「核保有発言」慎重に 教育基本法案の成立に全力 テレビ番組で漆原氏

公明党の漆原良夫国会対策委員長は5日午前、NHK番組「日曜討論」に、与野党の国対責任者とともに出演し、防衛庁の「省」移行を柱とする防衛庁設置法等改正案や教育基本法案など、臨時国会の重要法案への対応について見解を述べた。

この中で漆原氏は、政府、自民党内での日本の核保有論議を容認する発言について、「閣僚、(与党の)重要ポストに就いている人の発言は非常に慎重でなければならない」と指摘。「非核三原則の厳守については、安倍首相が予算委員会で、明確に答弁されている」と述べ、政府は今後も非核三原則を堅持していくとの認識を示した。

また、防衛庁の省移行法案の賛成理由について漆原氏は、(1)国際協調主義は日本国憲法の柱(2)自衛隊の国際緊急援助活動が国民から理解を得ている(3)諸外国と横並びで国際貢献活動に取り組みやすくなる――の3点を挙げ、「米国の戦争を支援するため」との共産党の主張に対し、「まったくの憶測としかいえない」と反論した。

さらに、漆原氏は、教育基本法案について、「法体系からすれば、教育界の“憲法”」と指摘。「教育の“憲法”を作り、理念を定めた上で、(教育現場で起きている)各論(の議論)の段階に入るのが、正しい手順だ」とし、早期成立に全力を挙げる考えを述べた。

公明新聞 2006年11月6日

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幼児教育の無償化提唱/公明、重要政策を発表

公明党は13日、30日の党大会に提案する重要政策議案などを正式に発表した。重要政策では「幼稚園と保育所の無償化」など教育改革を前面に打ち出し、運動方針では中韓両国との関係改善に取り組む姿勢を明記した。16日の全国県代表協議会に諮り党大会で採択する見込み。神崎武法代表は16日の協議会で正式に退任を表明する方向だ。

重要政策は教育改革のほか社会保障政策、地域再生策が柱。教育費の負担軽減策として、幼稚園と保育所の無償化のほか、支払った教育費の一部を所得控除の対象にする「教育費控除制度」の創設を盛り込んだ。

共同通信 2006年9月13日

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公明は未来に責任持つ 草川副代表ら出席 社会保障制度など要望聞く
東京で列島フォーラム

公明党は21日、東京・新宿区で列島縦断フォーラムを開催し、各種団体・企業の代表らと活発に意見交換した。

公明党から草川昭三副代表、太田昭宏幹事長代行、東順治国会対策委員長、山口なつお東京都本部代表(参院議員、参院選予定候補=東京選挙区)、高木陽介、高木美智代の両衆院議員、遠山清彦(同=比例区)、沢雄二、鰐淵洋子の各参院議員らが出席した。

席上、草川副代表は、「公明党は、来年の参院選に必ず勝利し、責任を持って国の運営にあずからせていただきたい」と強調。その上で「公明党が国民の幸せのために連立に協力したことが実を結びつつある」とし、児童手当の拡充や財政健全化への取り組みなど、公明党の実績を紹介した。

東国対委員長は「秋の臨時国会では、教育基本法の改正と防衛庁の省移行問題が大きなテーマになる」とし、両法案の成立を期す考えを示した。

山口都代表は、公明党がネットワーク政党の力を生かすとともに、生活者の目線で政策を実現してきたことを強調。また「これからの政治家に必要な資質は、未来に対する責任感だ」と訴え、来年の参院選勝利に向け、「遠山氏とともに、全力で皆さまにお応えしていく」と決意を述べた。

団体・企業側からは、社会保障制度改革に関連し、保険料や利用料などの負担軽減を求める意見が相次いだ。また、改正道路交通法や中心市街地の活性化、伝統文化教育の推進などについても要望が出された。

社会保障制度改革に伴う負担増問題について、遠山氏は、公明党が介護予防の導入や高齢者雇用の促進などに取り組み、国民皆保険制度の維持に全力を挙げるとともに、低所得者への配慮を盛り込ませたことなどを説明した。

意見交換の後、太田幹事長代行は「皆さまからの要望を受け止め、これからも庶民の中で、現場主義に立って、中小企業の味方として、一層、努力していく」と述べた。

公明新聞 2006年8月22日


編集メモ
民主の教基法案「政争の道具」と批判相次ぐ

「反対のための反対をしているうちに何が何だか分からなくなっている。だらしなさ過ぎないか」(金子勝・慶應大学教授)。

民主党提出の「日本国教育基本法案」に対し、28日のTBS系番組「サンデーモーニング」では、出演者から批判が相次いだ。

民主党案では、愛国心をめぐる表記について、「日本を愛する心を涵養」とし、政府案のような「国の概念に、国家権力を意味する統治機構を含まない」とする配慮は見当たらない。さらに、教育行政についても、民主党案には戦前の軍国主義を意識して政府案に残された「不当な支配に服することなく」との文言も削除されている。このように民主党案は、国家主義の台頭を防ぐための配慮が軒並み抜け落ちており、「自民党よりも右」(金子氏)と断じられるのも当然である。

その上、宗教教育の条文についても、民主党案は、「宗教的感性の涵養」と明記しているが、「特定宗派の実践を離れて宗教的な情操や感性を養えるのか」との指摘も多く、「信教の自由を規定する憲法20条に違反するのではないか」と問題視する声もある。

寄り合い所帯の民主党はこれまでずっと国の基本政策で党内はバラバラだった。そんな実情なのに今回、教育基本法案を提出したことに対し、「民主党案が成立することはない」「パフォーマンスでまとめただけ」との指摘がある。番組でも、そうした民主党の思惑を見透かしてか、「政争の道具」(金子氏)と糾弾され、「自公(連立政権)を揺さぶるために、わざとこういうものを出したとすると不健全」(国際政治学者・浅井信雄氏)と厳しく指弾された。

こんな無責任な民主党に、国民が愛想を尽かす日も遠くないだろう。(壱)

公明新聞 2006年5月30日

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公明新聞(2006年5月22日)
新時代の教育理念明確に

公明党の太田昭宏幹事長代行は21日、NHK番組「日曜討論」に出演し、後半国会の焦点の一つである教育基本法案について、見解を述べた。

太田氏は、1947年施行以来、初の法改正の必要性について、「足らざるものを補うということが一つある。高校の位置付けや大学について、現行法では、ほとんど触れていない。また、学校教育、とりわけ義務教育については現行法で書かれているが、それよりも生涯教育や社会教育という(社会)全体の教育が必要と言う時代になっている」と力説し、新しい時代に必要な教育の理念を法改正で明確にすべきとの考えを表明した。

また、太田氏は、「愛国心」をめぐる表記について、中教審(中央教育審議会、文部科学相の諮問機関)の答申を踏まえ、「教育の目的」の項目に盛り込んだ経緯に触れつつ、「愛する」という言葉には、「無条件や無限大に受け入れるといった意味合いが含まれる」と指摘。表記に当たり、公明党は無条件ではなく抑制的であるべきと主張したことを紹介するとともに、「心か態度か」などの瑣末な議論ではなく、国家主義の懸念を払しょくできたかどうかが本質的な論点だと訴えた。

また、太田氏は、改正により国が新たに策定することになる教育振興基本計画に関して、「(教育基本法は)理念法であり、具体的に何をするかが重要。(振興計画の策定で)具体的な施策、あるいは予算的な措置ができるようになる」と述べ、将来の教育改革を可能にする必要な改正との認識を表明。また、経済格差に端を発する教育格差や階層固定化の論議については、「教育だけの範ちゅうには収まらない。全体的な視点の中で、教育を超えての議論が必要」と主張した。

さらに、教育行政に関する国の責任のあり方に言及。「不当な支配に服することなく」の文言について、戦前の軍部政府を意識したものとする一方で、「現場の教員が何でも自分の考えで教育を行っていいというものではない」と強調。法律の定めるところにより行われる教育は「不当な支配に当たらない」との認識を表明し、一部の団体による過度の教育行政への介入は避けられるとの考えを示した。

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公明新聞(2006年5月22日)
公明党の主導を評価

公明党京都府本部(角替豊代表=府議)は21日、京都市中京区で、教育基本法案をテーマにした「憲法フォーラム」を開催した。基調講演で池坊保子衆院議員は、教育基本法案の審議について「国」という表現の意味などを明確にすることにより「国家主義に戻らないよう、しっかりと議事録に残したい」と強調した。

続いて、山下栄一参院議員と梶田叡一兵庫教育大学学長によるパネルディスカッションを行い、梶田学長は、「現行法は改正が必要。問題は誰がイニシアチブを取るかだった」とした上で、今回の改正が左右の思想的に偏った勢力でなく、中道の公明党が入った与党によって推進されてきたことを高く評価した。

また、同法案の「我が国と郷土を愛する態度を養う」との規定について、「ここまで書けば、(『国』が)政府や統治機構とは思わない。いい表現に落ち着いた」と述べた。

山下氏は、約3年間の与党間の議論で公明党は、憲法改正に匹敵する重要課題との認識から、慎重かつ開かれた論議を心掛けたと強調した。

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公明新聞(2006年5月2日)

21世紀拓く教育基本法に 国会提出、実りある論議を期待

時代の要請に応えて

政府は28日、1947年の制定以来の全面見直しとなる教育基本法案を閣議決定し国会提出した。

戦後、「教育勅語」の影を払拭するように教育基本法が施行されてから約60年がたった。この間、高校や大学・短大への進学率は飛躍的に高まり、制定当時には想定されていなかった児童虐待やニート(若年無業者)、フリーターの増加、いじめ、校内暴力、不登校や学級崩壊の多発など教育現場、教育をめぐる環境は激変している。時代の要請にこたえ、子どもたちの健やかな成長を支える教育の実現へ、基本法の実効性を増す実りある論議を期待したい。

提出された法案は、前文と18条で構成される。現行教育基本法の骨格を継承し、「個人の尊厳」や「人格の完成」などの理念を堅持した上で、急速な時代の変化や要請に対応して、「生涯学習の理念」「家庭学習」など8条文を新たに盛り込んでいる。

教育の目標では「生命の尊重」の考え方や、ニート、フリーターの増加を踏まえ、教育と職業との関連などを反映させている。また、社会的に高い関心を集めた「愛国心」の表記については、国家主義的な表現にならず、対象に政府などの統治機構を含まない形で「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」とし、同時に「国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とする文言を盛り込んだ。このほか義務教育の年限規定は削除、「教育の機会均等」では障害者への配慮を明記し、教育振興基本計画の策定なども規定している。

教育改革は、教育の荒廃が叫ばれる中で、2000年に故・小渕首相が開催した「教育改革国民会議」で国民的なテーマとなった。同会議はこの年12月に行った報告で、経済のグローバル化などで社会の脆弱性が増幅する一方、教育システムが時代の流れに取り残されていると指摘。人間性豊かな日本人と創造性に富んだリーダーの育成、競い合いによる学校づくりなどを提言し、時代にふさわしい教育基本法の制定を求めた。

これを受けて教育基本法の在り方を審議した中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は03年3月の答申で、「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成」を目指し、「新しい『公共』を創造し、21世紀の国家・社会の形成に主体的に参画する日本人」「日本の伝統・文化を基盤として国際社会を生きる教養ある日本人」などの教育目標を示し、それらを実現するために教育基本法の改正を求めた。この間、一部に復古的な動き、天皇主権下の教育の規範であった「教育勅語」の内容を盛り込めないかといった動きもあり、議論を整理して法案提出にこぎつけるまで3年を要した。

“戦前回帰”に反対

公明党は見直しに際し、一貫して国家主義的、全体主義的、戦前回帰的な考え方を持ち込むことに反対してきた。特に「国を愛する心」については慎重な論議を求め、与党幹事長らによる協議会、実務者による検討会で70回を超える検討を行ってきた。こうした積み重ねの中から、21世紀にふさわしい基本法がまとめられた。

一方、最大野党の民主党は、基本法改正は憲法改正と同時に進めるという。憲法改正が具体的な日程に上る環境にない中では、改正の先送りと言わざるを得ない。その内実は、党内の意見をまとめられないということなのだろう。

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朝日新聞 2001年5月23日 「私の視点」
創価学会名誉会長 池田 大作
「◆教育基本法 見直すより大いに生かせ」

「艱難(かんなん)に勝る教育なし」――ギリシャの箴言(しんげん)と記憶している。

教育は観念ではない。頭脳だけでもない。実践であり正義である。「人格の向上」と「社会の繁栄」と「世界の平和」の源泉こそ、教育の本義であると私は思う。

かつて内村鑑三は、近代日本の教育が“艱難を避ける方法”を授け、才子ばかりをつくっていると嘆いた。本来、教育は“艱難に打ち勝つ力”を育(はぐく)むものでなければならない。

昨今、教育改革が政治日程に上るなか、小泉政権の下でも「教育基本法」の見直しが論議されている。

私自身は、拙速は慎むべきであると考える。基本法の眼目である「人格の完成」など、そこに掲げられた普遍的な理念は、教育の本義に則(のっと)ったものであり、新しい世紀にも、十分、通用するからだ。

たしかに、基本法がうたう「人格」や「個性」は抽象的だという指摘もある。しかし、憲法に準ずる基本法の性格を考えれば、抽象性ゆえの普遍性は、むしろメリットとして、大いに生かせるのではなかろうか。

第一に、「グローバリゼーション(地球一体化)」は、とどめようのない時流である。そこでは、国益と同時に人類益への目配りが欠かせない。普遍的かつ世界市民的な視野を養うことが、ますます重要になる。

第二に、「教育勅語」に盛られたような具体的な徳目は、基本法の性格になじまないと思う。法文化されれば、必然的に権威主義的な色彩を帯びてしまうからだ。

現代は、あらゆる既成の権威が色あせ、家族という人類最古の共同体までも“ゆらぎ”に直面している。その底流を直視せずに、教訓的な徳目を並べても、復古調の押しつけとして反発されるだけで。

もとより私は、日本の歴史や伝統文化を軽んずるのではない。逆である。

軍部権力と対決して獄死した、ある卓越した教育者は「慈愛、好意、友誼(ゆうぎ)、親切、真摯」しんし)、質朴等の高尚なる心情の涵養(かんよう)は、郷里を外にして容易に得ることはできない」と述べた。地域や郷土に根ざした固有の文化や伝統を尊重してこそ、豊かな人格の土台も築かれる。

ただ、そうした心情の涵養、人格の形成は、外からの「押しつけ」ではなく、徹して「内発的」に成されるべきである。

周知のように、基本法は、アメリカのデューイの教育哲学と親近している。デューイも内発的な精神性を重視し、それを引き出すものこそ教育であり、「人間は、教育によって人間となる」と断じた。「内発」こそ、教育改革のキーワードでなければなるまい。

私自身、教育を生涯の事業として取り組んできた。すべての子どもの生命にある「伸びゆく力」と「創造力」を開花させるのは、やはり教育の現場、また家庭や地域における、人格と人格の触発以外にない。

目指すべきは「教育のための社会」である。社会のために教育があるのではない。教育のために社会があり、国家がある。発想を大きく転換して、21世紀こそ、子どもたちが「生きる歓び(よろこび)」に輝く世紀としていきたい。

大胆に改革を提唱する小泉純一郎首相も、教育に関する発言は、まだ少ないのではないかという印象を、国民は受けている。

未来のために最も重要であり、世界の平和と文化の創造の根本であり、人間が人間として幸福になるための真髄である教育を、ぜひ、忘れないでいただきたい。

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