地方政府


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<教育改革>「異議あり」アピール 31府県の教育長ら

国の教育改革に異議あり!――。教育再生会議が発足し、改正教育基本法も成立。安倍晋三首相が最重要課題に掲げる教育改革は今後、教員免許更新制度導入など具体的な制度改正に舞台が移る。その中でも自治体教委が注目しているのが、教職員人事権の移譲問題と教育委員会のあり方だ。これらの問題を巡り、教育長、市長から異例の意見表明が相次いでいる。

教職員人事権移譲については、中央教育審議会が昨年10月、都道府県と政令指定都市が持っている人事権を「中核市をはじめとする一定の自治体」に移譲することを検討するよう求める答申を出した。地域に根ざした教員の養成などの効果を狙っての答申だった。

こうした動きに、31府県の教育長は今月18日、連名で「重大な懸念」を表明し、伊吹文明文部科学相と教育再生会議にアピール文を持ち込んだ。中核市に人事権を移譲された場合、「人材の偏在化を招き、教育水準に格差をもたらす」と現行制度の維持を求めた。

「有志の連名によるアピールは我が国の教育委員会制度が始まっておそらくなかったことなのかもしれない。異例であることは承知している」

会見した和歌山県の小関洋治教育長ら3人は「異例のアピール」をそう強調した上で、「国レベルで大義名分を言ってみても、地に足がついていないものになる。はっきりと言わせていただく時期にきている。現状を憂える者が有志という形をとった」と強い姿勢で、国に慎重な対応を求めた。

 □  □  □

高校の単位不足やいじめ問題で役割が注目された教育委員会制度。全国市長会の「教育における地方分権の推進に関する研究会」も19日、教育行政に関する市長の役割と責任の強化を求める緊急アピールを文科省と教育再生会議に提出し、教育委員会設置の選択制導入を求めた。

アピールは「教育委員会と市長部局の責任体制が不明確で、十分な権限を持たない市長が最終的な責任を問われるケースが多い」と指摘する。会見した研究会座長の北脇保之・静岡県浜松市長は「現在の教育委員会は事務局主導になり、官僚的な教育行政のよりどころになっている」と述べた。

また、教職員の人事権については「中核市まで下ろすべきだ」と主張。都道府県教委側と対立するが、市長会側は「連携して相互交流をしていけば、都道府県教委とも意見の一致を見ることが可能」としている。

こうした地方の動きの背景には、安倍政権になり、早急に具体化する改革論議に地方側が危機感を募らせていることもあるとみられている。【高山純二、佐藤敬一】

毎日新聞 2006年12月29日

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府教育長 裏金保管について陳謝

府教委の竹内脩教育長の記者会見が26日行われ、府教委財務課と地域教育振興課で発覚した裏金の保管について、「誠に遺憾。府民に心からお詫び申し上げる」と陳謝。「今後、チェック体制や職員の公金についての意識を再点検したい」と述べた。一方で、裏金の保管は、全庁調査が行われた平成9年度に適正に清算されていなかった一部の部署の「レアな問題」との認識を示し、府民感情とのズレを感じさせた。

また、裏金が現在まで引き継がれたことについては、「担当者が問題を指摘できない組織の風土、体質的な側面があることは否定しないが、時期を逃したためにものを言いづらくなったのだと思う」と述べた。さらなる裏金の存在の可能性は「各課長が責任をもって調べているので、これ以上は出ないと信じている」と強調した。

59年ぶりに改正された教育基本法については、私見と断ったうえで、「改正法に書かれていることは至極当然だが、いろんな立場、思想、信条があるので、対応の強弱によって問題が起こりかねないかもしれない。憲法の理念に基づいて、具体的に肉付けし、実践することが重要」と述べた。

また、国旗の掲揚や起立しての国歌斉唱は「世界のエチケットとして決着済みで、いまさら議論すべき性格のものでもない」としたうえで、法改正の際に議論になった「愛国心」については「国を愛する態度は人によって違う。それをどういうことを求めるべきかとなると、世界のエチケットのレベルから離れてしまう」との考えを示した。

産経新聞 2006年12月27日 10:25

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学力テスト参加に反発 愛知・犬山市教育長

文部科学省の「全国学力テスト」への不参加を決めていた愛知県犬山市で、参加を公約に掲げて17日の市長選に初当選した田中志典(ゆきのり)新市長(48)と、同市教育委員会の対立が早くも鮮明になった。18日、瀬見井久教育長(69)は「意見としては尊重するが、方針を決めるのは、あくまで教委の範ちゅう」と強調。同市の教育改革の行方は、方向転換の可能性もはらみながら不透明さを増している。

全国学力テストは、小学6年生と中学3年生を対象に、来年度から国語と算数(数学)が全国一斉に実施される。犬山市は「市場競争原理を安易に教育に持ち込むべきではない」との市教委の意向を受け、石田芳弘前市長(61)が今年2月、「参加拒否」を打ち出していた。

これに対し、田中市長は選挙戦で「テストを受けたい児童・生徒、受けさせたい保護者の権利を奪うのはどうか。参加すべきだ」と主張。

18日の初登庁の際にも「市民の声を聞きながら、教委との間で考え方をすり合わせる」と公約実現に意欲を見せた。

しかし瀬見井教育長は同日、教委の独立性を指摘して「学力の問題うんぬんというが、犬山では少人数教育を実現し学力を提供する環境を整えている。教育問題は市町村教委がやることで、任しておいてくれ、ということだ」と述べた。

市教委では来春にも、テスト不参加の経緯をまとめた書籍を出版する予定。今月下旬から来年1月にかけ、その本を要約した10ページほどの冊子を保護者に配布して説明するという。

中日新聞 2006年12月19日

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子どもの明日どうなる 教育基本法改正

「教育の憲法」と言われる教育基本法が15日、59年ぶりに改正された。議論を呼んだ「愛国心」や「国家の介入」ばかりでなく、さまざまな条項が盛り込まれた。改正は、子どもたちにどんな影響を及ぼすのか。教育現場では、期待と不安が入り交じっている。

日本の伝統を重視する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが執筆した歴史と公民の教科書を中学校で今年度から使用している栃木県大田原市。小沼隆教育長は「(現行法は)60年近くたって時代にそぐわない内容だった」と歓迎する。

改正法は「我が国と郷土を愛する」態度を養うよう求め、「家庭教育」の責任にも触れる。「家庭を大事にし、郷土と国を愛する国民が育つ。今までも現場では教えていたが、バックボーンが出来たことに意義がある。現場で教師が指導する時の気構えが違ってくる」

  ■

16の小学校で今年度から「愛国心」を評価する表現を通知表から削除した茨城県常陸大宮市。小学校の教諭(47)は「改正は残念。通知表を見直したばかりだが、『国を愛する態度』が盛り込まれたことで、評価や授業内容に愛国心が入ってきてしまうのではないか」と不安げだ。

北九州市立小学校の式典で君が代斉唱時に起立せず、市教委から受けた減給処分の取り消しを求めている稲田純さん(48)は「自由に意見が言えず、国の考えを押しつけられる社会になるおそれがある」とみる。いじめや自殺などの問題には「現場の教員なら、法の文言を変えても何の役にも立たないとみんな感じていると思う」。

改正で、政府は今後5年間の「教育振興基本計画」を定めることになる。予算を確保しやすくなる半面、具体的にどのような項目を盛り込むかが焦点となる。

財政破綻(はたん)した北海道夕張市では、小学校7校、中学校4校を1校ずつに統廃合する計画が持ち上がっている。教育関係者は、改正が目の前の問題の解決にどうつながるのか、はかりかねている。

教師歴30年、児童数29人の市立幌南小学校の森井智江校長(53)は「現場は様々な問題を抱えているが、改正したからといってすぐに改善されるわけではない。現場の状況を見つめた上で、教育を受ける側の立場に立って考えてほしい」と願う。

  ■

改正法は、「私立学校教育の振興に努めなければならない」とも定める。一方で、私立14校(朝日新聞調べ)で履修漏れが見つかった埼玉県では、上田清司知事が11月、補助金の減額などを検討していくと表明した。漏れがあったある私立の教頭は、私学への補助額や履修漏れの定義が都道府県によって違っていることを挙げ、「補助や処遇の不均衡、学習指導要領の解釈の統一性などを、きちんと保障できるような体制づくりを進めて欲しい。そうでなければ改正は無意味だ」と打ち明ける。

9月にあった教育改革タウンミーティング(TM)で、国の意向に沿って「やらせ」質問を依頼していた青森県八戸市教委。関係者は可決に複雑な表情だ。

松山隆豊教育長は「本来、国民の意見を十分に聴くためのTMを結果的に曲げることに加担してしまった。それによって、改正案についての議論が十分尽くされなかったとの声も上がった。不本意だ」と話した。

朝日新聞 2006年12月19日 16:04

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初登庁 新犬山市長田中志典氏「市民納得の市政を」 愛知

17日に投票された愛知県犬山市長選で初当選した田中志典氏(48)は18日朝、初登庁し、新市長として仕事を始めた。市職員の出迎えを受けて市庁舎に入った田中氏は、伊藤洵選管委員長から当選証書を受け取った後、幹部職員を前に初訓示し、「ゴミ処理場問題や市庁舎改築など早急に取り組むべきことが多い。市民が納得する市政を実現したい」と話した。

石田芳弘前市長が不参加を表明した全国学力テストについて、前夜、「参加」の意向を表明した田中氏は「私の考えは変わらない。ただ、不参加を決めた経緯もあるので、今後、よく相談したい」と語った。

田中氏は54年の市政施行以来、6人目の市長。市長選の投票率が過去最低だった点については「候補者が乱立して有権者に戸惑いがあった。結果として良識ある判断をしていただいたと思う」と話した。【花井武人】

毎日新聞 2006年12月18日

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知事「直接影響ない」 教育基本法改正法成立で

教育基本法改正法案の成立を受け、野呂昭彦知事は15日、「今回の改正が即座に学校現場へ直接影響を及ぼすものではないと考えるが、関係諸法令の改正などの制度改正に及んだ場合は、教育委員会や学校において適切かつ円滑に対応してほしい」との談話を発表した。

一方、県教職員組合は抗議声明を発表した。改正法を「子どもの権利としての教育を国が条件整備することから、国が子ども、保護者、地域住民に責務を課すものとなる」として「『愛国心』の押しつけなど思想・良心の自由の侵害にもつながる」と批判。「法案の強行採決に断固抗議し教育の本質から論議し直すことを政府と国会に求める」と訴えた。

中日新聞 2006年12月16日

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真鍋香川県知事の話−改正教育基本法が成立

安倍内閣が最重要法案と位置付けていた改正教育基本法が十五日夕の参院本会議で、自民、公明の与党の賛成多数で可決、成立した。民主、共産、社民、国民新の野党四党は反対した。「教育の憲法」と呼ばれる教基法の改正は一九四七年の制定以来初めて。抜本的な見直しにより「公共の精神」の重要性を強調、教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」ことなどを掲げ、愛国心重視の姿勢をにじませた。

未来切りひらく教育実現を期待 真鍋武紀香川県知事の話
学力低下やいじめ問題など教育が広く香川県民の関心事であり、教育改革の必要性が指摘されている状況下で、新しい教育基本法が成立した。教育は長期的視野に立った対応が必要と考えており、わが国の未来を切りひらく教育が実現されることを期待している。

四国新聞 2006年12月16日

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「根本の問題を放置」/教基法改正 教員・父母ら危機感

「教育現場に競争原理が持ち込まれ、今まで以上に子どもの心が荒れてこないか心配だ」。那覇市内の小学校長は、改正法が重視する能力主義を批判。「お互いを高め、磨き合う競争は必要だが、教育が弱肉強食の世界であってはならない」と話した。

那覇市の小学校教諭(45)は「いじめなど、現場が一番切実に感じている課題と、国会議員がやっていることがあまりにも乖離している」と指摘。「学校は世の中の縮図。根本の社会問題を放置したまま、教育だけを変えようとしても何も解決できない」と強調した。

本島中部の中学校教諭(40)は、国が二〇〇七年の実施を決めている「全国一斉学力テスト」で学校間格差が助長されることを危惧。「学校の平均点を上げるため、実施日に成績不振の子を強制的に休ませるなど、不正をする学校が出てきてもおかしくない。高校社会科履修漏れの広がりを考えれば、可能性は十分ある」と指摘した。

本島中部の「不登校」の子を持つ母親(41)は「親が登校させないとして処罰の対象になったり、学校が子どもに登校命令したりすることにならないか」と危機感をにじませた。

「新時代の理念」/仲井真知事
参院本会議で十五日成立した改正教育基本法について、仲井真弘多知事は同日の県議会十二月定例会で「制定当時と社会状況や教育を取り巻く環境は大きく変化しており、現行法の普遍的な理念は大切にしながら将来に向かって、新しい時代の教育の基本理念を明確にするための改正と認識している」と語った。奥平一夫氏(社大・結連合)への答弁。

沖縄タイムス2006年12月16日付

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未履修問題で慎太郎案示す

高校の必修科目の未履修問題で、石原慎太郎東京都知事(74)は2日、文科省が示した補習による救済策について「くだらない先生の講義をダラダラ聴くより、気の利いた歴史の本を3、4冊読ませて、リポートを出せと言ったほうがいい」と実利的な解決策を提案した。

一連の未履修問題について、石原知事は「教育者の実質的なレベルの低下を示す証左だと思う」と指摘。都内でも、海城、巣鴨などの有名進学校で履修漏れが明らかになったが、「教師が子供を商品化し、高校における教育とは何なのかという本質を外れて、受験の実績で点数を稼ぐことだけに腐心したら、本当の教育者ではない。そういう教育者を放置した文部省にも責任がある」と指摘した。

スポーツ報知 2006年11月3日

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教育基本法 “審議は慎重に” 33市町村で意見書 長野

教育基本法の改定には慎重な審議と国民的な議論を――。長野県の高等学校教職員組合(高村裕委員長)は五月以来、教育基本法の問題についての「意見書」可決を自治体に求める陳情を続けています。九月末現在、陳情した五十一自治体中、過半数の二十八市町村が採択、趣旨採択は五市町村にのぼっています。陳情採択の広がりには、立場の違いを超えて「子どもたちのよりよい未来を願う」広範な人々の思いがあります。(青野圭)

子どものより良い未来願い
意見書は、政府の改定案が「国を愛する態度」などの「教育目標」を押しつけ、現行教育基本法の精神を大きく転換させるものとして、「慎重で国民的な議論」を呼びかけたものです。

下諏訪町議会(定数十八、欠員二)では六月十五日、八対七で本会議採択されました。保守の強い同議会では異例の出来事でした。

公明のみ反対
これに先立つ九日、日本共産党の藤森スマエ議員が委員長を務める社会文教委員会(委員長ほか五人)での審査は激しいものに。冒頭、「憲法改正と連動していることを注視すべきです」と「説明」に立った教育長は次のようにのべました。教育基本法を座右の銘としていること、教育基本法は理念が非常に高く、前文と一条は世界に誇れるものである、と。

公明議員が血相を変え大声で遮りました。教育長の私見を聞く必要はない――。最古参議員の激高で、委員会は険悪な雰囲気になりました。

保守系議員の手が挙がりました。「私は陳情に大枠賛成です。愛国心を文言として基本法の中へ入れることには賛成できない」。委員会の空気が変わりました。「もう少し国民的議論があっていい」「今の教育基本法でやれない問題ではない」。他の二議員が続き、賛成は四人、反対は公明のみとなりました。

「なに! 採択しただかい。なんで採択になっただ」(保守議員)。委員会での採択は議会全体をゆるがしました。

賛成の口火を切った議員(66)が振り返ります。「拙速に結論を急ぐべきではありません。愛国心は、教え込むものではなく、自然にわき出てくるもの。教え方一つで、なだれをうって一億火の玉で突き進む、なんてことにもなる。その意味で教育は恐ろしいですよね」

議論は大歓迎
同県の市議会で最初に採択した安曇野市議会では、本会議は全会一致(六月二十二日)でしたが、福祉教育委員会(委員長ほか六人)は、賛成三、反対二、継続一の緊迫する展開となりました。

十五日の同委員会。「慎重審議が大事」と賛成した日本共産党の松沢好哲議員に続いて、「私も同じ意見」と女性議員。「教育の荒廃がいわれるが、それは教育基本法の理念が理解されず、実現に向けた努力がされずにきた結果で、基本法を変えれば(いい)というふうには考えていません」

これにたいして、「採択は国会にゆだねる」とする公明議員ら二人が反対。賛否が拮抗(きっこう)するなか、最大会派「五一会」の副幹事長を務める藤森康友議員(45)が「私は賛成です」と態度表明しました。「教育をめぐる困難や問題が、教育基本法を変えることで解決するということではない。現基本法のなかでやれることはまだまだたくさんあると思います。慎重審議を進めた方がいい」

委員会採択後、本会議に向けて、反対討論の動きもありましたが、日本共産党議員団(四人)が「議論は大歓迎」(松沢議員)と賛成討論の準備を進めると、流れは全会一致の方向に広がっていきました。

「正直にいうと、私は変えることに反対しているのではありません」と藤森議員。「法律を変えるというのは、慎重にすべきで、私たちが生きていくうえで、不整合な部分がでてくれば変えればいいと思うのです。国民的な議論がないなか、上の方でポンポン話が進んでいいものか、戦後六十年のなかで培ってきた法律を性急に変えていいものかと思うのです」

県内過半数を
長野高教組の壇原毅也副委員長はいいます。「ぜひ県内自治体(八十一)の過半数で採択してほしい。子どもの身近にいる人は、ほとんどが反対、少なくとも慎重審議だという声をあげていきたいと思います。一日には上田市で、高教組も積極的にかかわる教育基本法を活かす県民ネットワーク主催の、全県学習会を開きました。これを契機に一刻も早く実現したい」

しんぶん赤旗 2006年10月2日

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麻生知事:教育基本法「見直しを」 県教組は改正に反対 /福岡

麻生渡知事は5日の定例会見で、自民党総裁選に出馬表明している安倍晋三官房長官が改正に意欲を見せている教育基本法について「見直さないといけないと思う」と述べた。県教組は「今のままでいい」との立場をとっており、知事の発言は波紋を広げそうだ。

麻生知事は、教育基本法は戦後の国際社会復帰に向けた動きを背景に民主主義、自由、個性の尊重に力点を置いて策定されたとの認識。そのうえで「我々が生きている基盤は、日本の文化や伝統、歴史という、もう一つの大きな側面がある」と指摘。「その内容を教えるような、バランスの取れたものにしていかないといけない」と、見直しの必要性を強調した。

県教組の浦田哲也書記長は「知事の改正容認の真意は分からないが、歴史や伝統は教科書で教える話で法に盛り込むものではない。一般に改正論には、『個の尊厳よりも公のため』という戦前の価値観への揺り戻しの動きがみられる。改正には反対したい」と話した。【加藤学】

2006年9月6日 毎日新聞 福岡

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「不登校半減3年計画」 数値化で強制 危ぶむ声 “わが子が学校から除外される”
新潟市

教育基本法を改悪し、教育への国の介入の歯止めをなくして、政府はどんな教育をおこなおうというのでしょうか。改悪案で明記されている「教育振興基本計画」では、学力テストで子どもを競争に追いたて、いじめや校内暴力の「五年間で半減」、不登校の「大幅減少」をめざそうとしています。一見、もっともらしいとりくみも、政府が数値を決め、その達成をめざすことで教育現場に何をもたらすのか。「教育振興基本計画」の先取りともいえる、不登校の「三年間で半減」めざすとりくみを始めた新潟市では――。

市教育委員会は四月から、「不登校未然防止プロジェクト」をスタートさせました。〇八年度までの三年間に、不登校の児童生徒を半減させることを目標に掲げています。

内容は(1)各小中学校は月三日以上欠席した児童・生徒の名前、欠席理由などを書いた欠席管理状況表や月別一覧表を作り、市教委へ毎月提出する(2)各小学校では、不登校傾向のある小学六年生を選び、欠席理由や児童・親の登校への意欲、学校生活の様子、生育歴など約二十項目に及ぶ記入項目がある個人シートを作る(モデル校区の個人シートは、外部の専門家のコメントをつけてもどす)(3)同じ学区内の小学校(百十四校)、中学校(五十八校)で年三回以上の情報交換会を行う―などというものです。

◇……◆
市教委によると、市内の不登校の児童生徒の発生率は全国平均、県平均をそれぞれ上回るなど、小中学校とも高い状況が続いています。学校指導課では「中学校入学後に不登校が急増しているという『中一ギャップ』を解消し、新たな発生を防ぐことが不登校減少につながります。学校の働きかけで六割は防げます。不登校の予防に力点をおいた事業」と説明します。

市教委が小中学校の不登校問題の担当教師や管理職ら約三百五十人を集めた説明会を開いたのは五月十一日。参加した教師からは、「三年で半減」という数値化したやり方や親の声をきかない進め方、個人の情報を親の承諾なしに外部の人の目にさらすことなどに、疑問や不満の声があがったといいます。

不登校傾向の児童の個人シートを作ったという小学校教師は「不登校児の問題まで、数値で表して教師にハッパをかける。これでは、教育のとりくみとはいえないのではないでしょうか」と一方的なすすめ方を批判。中学校の教師は「個人シートには、教師の名前も書かなければならない。来年度から教員評価もおこなわれるので、不登校の生徒がいるクラスを引き受ける先生がいなくなるのでは」と心配しています。

◇……◆
今年度から始めるにあたって市教委は、学校を欠席しがちな子をもつ親などや市民に向けた説明会を開いたり、ホームページで知らせることは一切していません。「親の意見を聞くべきだ」という声は高まっています。

不登校の中学生をもつ母親は「私たちのような親に何の説明もないのはどういうことでしょう」と疑問を投げかけます。「『半減めざす』というと不登校の子どもが『悪く』、『除外する』と言っているように、私には聞こえてなりません」

小中学校では、学力テストが一年間で二―三回、体力テストも行われます。母親は「子どもたちは、成績だけでなく体力まで評価されるなど、すべてが評価、評価…。不登校はどの子にも起こりうると思います。つまずいても大丈夫、のびのびしていいのよ、といってくださったら、子どもも親もどんなに救われるでしょう。数値ではなく、どうしたら学校へ行けるようになるのか、親、先生・学校が一緒になってとりくむことを目標にしてほしい」と訴えます。

教基法改悪の先取り
市内の中学校教師で、新潟市教職員組合民主教育研究所所長の西伸之さんの話 不登校問題にとりくむことはいいことです。しかし、「半減」を目標とすれば、子どもの実態や願いとかけ離れた登校刺激や登校強制が行われ、子どもや親を追いつめていくのではないかと心配です。不登校を減らせない教師は「指導力不足」のレッテルを張られることになるでしょう。

子どもと親の立場に立っての「ていねいな対応」こそ目標にすべきです。そのことは教育基本法の精神であり、子どもも親も求めていることなのです。個人シートは、プライバシーにかかわる問題が多く、個人情報保護の侵害にあたるのではないでしょうか。

教育基本法を改悪し、政府が新しくつくろうとしている「教育振興基本計画」は、教育内容を詳しく決め、国の言う通りにやりなさいというものです。親や教師の願いに耳をかさず、一方的にとりくみを強制する新潟市の事業は、その先取りともいえます。この事業を白紙撤回し、教師が意欲をもってとりくめる施策を講ずるべきです。

しんぶん赤旗 2006年7月22日

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補助制度で耐震診断/県議会

県議会(仲里利信議長)六月定例会は三十日午後も二日目の代表質問が行われた。仲宗根用英教育長は、全国最下位になっている公立小中学校舎の耐震診断率の対応について「二〇〇六年度から国土交通省の補助制度が活用でき、市町村に早期実施を呼び掛けている。今年中に95%が実施される見込み」と述べた。仲田弘毅氏(県民の会)に答えた。

国際映画祭の沖縄開催に向けた県の取り組みについて、宜名真盛男観光商工部長は「(三十日から開催される)『おきなわシネマ&ミュージックフェスタ2006』など、民間主体のイベントを支援している。今後もこうした民間の活動に対して可能な支援を行い、将来的には沖縄の風土にふさわしい国際映画祭の実現につなげていきたい」と前向きな姿勢を示した。

金城勉氏(公明県民会議)への答弁。

小泉政権下の教育基本法改正論議について、稲嶺恵一知事は「教育基本法の改正については、各方面から多様な意見を集約するなど幅広い論議を期待しており、今後とも国民的な論議を推移を見守っていきたい」との見解を示すにとどめた。

瑞慶覧朝義氏(社大・結連合)に答えた。

代表質問は同日で終了し、七月三日から四日間の日程で一般質問が始まる。

沖縄タイムス 2006年7月1日

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教育基本法 理念実現に努力 高知・橋本知事

橋本大二郎高知県知事は、二十八日の県議会本会議で、政府の教育基本法改定案の問題で「従来、教育基本法が示してきた理念に異論はありませんので、引き続き、その実現に努力していきたいと考えています」と答えました。

これは「日本共産党と緑心会」を代表しての塚地さち議員の質問に答えたもの。このなかで塚地議員は「政府が(教育基本法の)改定をすすめるねらいの先には『海外で戦争をする国』『弱肉強食の経済社会』という国策に従う人間づくりがあることは、政府関係者の数々の発言から明白」「今なすべきことは教育基本法の改定ではなく、現基本法の理念の実現にこそあると考える」として橋本知事と教育長の見解をただしました。

大崎博澄教育長も、教育基本法について「高い理想をかかげる立派な法律」であると評価しました。

しんぶん赤旗 2006年6月29日

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子ども条例で「愛国心」 長崎・佐世保市議会が可決

長崎県佐世保市議会は28日、「国を愛する心を養う」との基本理念を盛り込んだ「子ども育成条例」を賛成多数で可決した。佐世保市によると、子供の育成に関する条例に愛国心についての文言が明記されたのは全国初という。30日にも施行される。

条例は15歳未満の子供の育成に地域社会や学校などが果たすべき努力目標を示した。基本理念の項で「人を愛し、郷土や国を愛し、世界の平和を願い自然を大切にする心を養うことができるよう」支援するなどとしている。

当初、学識者らでつくる検討会議では「郷土愛や愛国心など、個人の価値観を字句として入れるべきではない」との意見があり、同市は「平和を愛し、自然を大切にする心」などと記した条例案を提出していた。

しかし、議会では「郷土や国を愛し」などとの表現に修正。賛成26、反対8で可決された。

委員会で修正を提案した自民党議員は「郷土や国を愛する子に育ってほしいとの願い」と説明した。

共同通信 2006年6月28日

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不起立に「煮えくり返る」 君が代斉唱で戸田市教育長

埼玉県戸田市の伊藤良一教育長が市議会で、市立小中学校での入学、卒業式の君が代斉唱で起立しない来賓について「はらわたが煮えくり返る」と批判していたことが20日分かった。市教育委員会も起立しなかった来賓の氏名や人数の調査を検討しているという。

君が代斉唱をめぐっては、東京都教委が地方公務員法に基づき、起立を拒否した教員を大量処分しているが、来賓に関しては教育委員会に指導権限がなく、調査することになれば極めて異例。

市教委によると、今月13日の市議会で「保護者や来賓で起立しない人がいる」との一般質問に、伊藤教育長が「(事実であれば)はらわたが煮えくり返る」と答弁。「内心の自由という人がいるようだが、生徒たちの前で規律を乱すようなことがあってはならない」と述べた。

共同通信 2006年6月20日

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なぜいま無防備地区宣言か/竹富町の石原代表に聞く

憲法改正に向けた動き加速

12日開会の6月定例竹富町議会では、町が無防備地区宣言を行うことを盛り込んだ町平和条例案について審議が行われる。地方自治体による無防備地区宣言を国が認めていないなかで、条例制定の直接請求を行った「町無防備平和条例をめざす会」の石原昌武代表(68)に、なぜ同宣言を目指すのかなどについて聞いた。

■なぜ今、無防備地区宣言なのか

有事法制や教育基本法改正、共謀罪の創設、国民投票法案など、憲法改正に向けた動きが加速していることを感じる。過去の歴史と向かい合い、歴史の教訓に学ぶ姿勢が大事だ。沖縄戦では、日本軍が駐留しなかった慶良間諸島の前島で、一般住民が米軍に殺されなかったケースがある。

■無防備ではなく、防備をして身を守るべきだの主張がある

ボタンを押すだけで戦争する核兵器の時代に「ここまで備えておけば、必ず安心だ」というものはない。米国との軍事同盟によって中国やアジアの国々を敵に回すのではなく、普段から民間レベルで交流を盛んにしていくべきだ。

■国民保護計画と無防備地区宣言が相容れないとの指摘にどう答えるか

議会の議事では、それが一番の焦点になろう。有事を想定した国民保護計画は島の軍事基地化につながるおそれがあり、反対。基地の重圧は沖縄本島を見れば分かることだ。国民の生命財産を守ることは、災害対策基本法にのっとって国や地方自治体の責任で守ることができる。

八重山毎日新聞 2006年6月11日

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県教育長「じっくり議論を」 基本法改正

県内29の市町の教育長らが教育課題を話し合う、県教育委員会主催の「市町等教育長会議」がこのほど、津市であった。今国会で焦点の教育基本法の改正について、県教委の安田敏春教育長は冒頭のあいさつで「60年改正されたことのない大切な、重い法律だ。じっくりと議論してほしい」と述べ、法改正は慎重に進めるべきだとの考えを示した。

会議では、県教委が各種課題について説明。児童・生徒の個人情報が流出するなどの事例が続いていることから、書類の校外への持ち出しは管理職の許可を得ることなどを求めた。また、交通事故や飲酒運転で懲戒処分を受ける教員が後を絶たないことから、事故防止と飲酒運転追放も呼びかけた。教員を狙った振り込め詐欺の被害額が05年度で約3千万円に達することなども報告された。

出席者からは「教員の評価はもっと外部の意見を入れた方がいい」とか、10月にも始まる予定の保育所と幼稚園の機能を一体化した「認定こども園」について「(自治体として)幼保一体化を先んじて進めてきたがどう違うのか」などの意見が出た。

朝日新聞三重 2006年06月02日

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教育基本法改正:知事、「情緒的な空中戦」と批判 /鳥取

「愛国心」などの表記を巡って国会で審議中の教育基本法改正案について、片山善博知事は22日の定例会見で、「情緒的な空中戦という気がしてならない。条文に書いたから郷土を愛する心が芽生えるかどうか確信持てない」と批判し、「学校現場が受験モード一辺倒の中、郷土を愛する心が重要だと法律に書いても意味はない」と切り捨てた。

愛国心について、「国民で構成している国家だから、国民を中心にすえて共同生活を営む国というものを皆で支えていくことは非常に重要」との認識を示すものの、「条文に書いたからそれが透徹するかというとそんなこともない」とした。

改正する際には、教育現場の地方分権が必要とし、▽教師の権限▽保護者の権利義務▽学校運営の説明責任――を明確にするよう主張した。【山下貴史】

毎日新聞鳥取 2006年5月23日

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2006年5月19日
東京都・石原知事記者会見

記者 知事、従前、法律を変えても何もならないというご発言をされていますが、特に愛国心をめぐる表記で政府案と民主党案とで論戦が行われているんですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

知事 あなたね、教育(学習)指導要領って読んだことある?何て書いてある?あれに。しかもあれはですね、法律的な規制性をもつかもたないかというのは最高裁の判決で出ているんですよ。中になんてあるかっていうととね、それは、国を愛し、郷土を愛し…つまり、愛国心ということが出ていて、国家を通じて愛国心の高揚ということが書かれているわけだ。

古館君なども、ちょっと不勉強なのかも知らんけど、昨日目に角を立てて、ある学校の通信簿の中に、愛国心をいかに飲み込んだかについての採点の欄があると。そりゃそうだよ、指導要領の中にあるんだから。そんなものを国会議員が知らずにだね、最高裁が法規性がありますという判決を下している指導要領に沿って、教員たちがものをやっているのに、いまごろになって国会が愛国心がいいとか悪いとか。

しかも、「心」がまずいから「態度」って何なんだよ。「態度」の方がよっぽど怖いよ、これ本当に。しらん顔して目をつぶって、あるいは国歌も歌ったふりをするかも知れんけど、「態度」で表せっていうのは、歌わなかったら「態度」になるんだから。こういう馬鹿な議論を言葉にかまけて国会でやっているってのは本当に滑稽だと思うね。私が国会議員にいたら、まずそれを指摘しますよ。

石原知事記者会見(東京都HP)
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/kako18.htm
※8分24秒すぎから質疑応答

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