地方政府、地域の動き(2008年7月)


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“すべてを話した” 県教育長聞き取り

県教委のPTの聞き取り調査を終えた後、記者の質問に答える小矢県教育長=31日午前11時

教員採用試験や校長・教頭任用試験の不正に絡んで始まった県教委の内部調査二日目の三十一日午前、県教委トップの小矢文則教育長が聞き取りを受けた。口利きの有無や職務権限などの事実関係、今後の教育行政改革の在り方などを詳しく聞かれたもよう。

一般職員同様、小矢教育長も登庁後に「きょう聞き取りをする」と通告を受けたという。午前九時四十分すぎから県教委教育行政改革プロジェクトチーム(PT)のメンバー二人が話を聞いた。

一時間以上に及ぶ聞き取りを終えた小矢教育長は記者団に対し「知っている限りすべて話したし、細かく聞かれた。内容について明らかにすることは控える」とした。口利きなど不正への関与については「(否定しているこれまでの会見内容と)何も変わらない」と話した。

身内同士の内部調査に対して効果を疑問視する声があることについても、「上司、部下の遠慮もなく、シビアだった。必ず実効性は上がるはず」と期待した。

PTは小矢教育長のほか、既に小野二生教育審議監(高校教育担当)の聞き取りを終えている。県教委ナンバー2で、不正への関与が取りざたされている義務教育担当の教育審議監(60)は入院中で、職場復帰を待って聴取するという。

大分合同新聞 2008年7月31日夕刊

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大分市教委部長 “口利きなかった” 

小学校教員採用試験に絡み、大分市教委部長の口利きに大分合同新聞社元事業部長がかかわっていた問題で、釘宮磐市長は三十日の定例会見で「市教委部長に(聞き取り)調査したという報告を市教委から受けた。『口利きはなく、品物も受け取っていない』と話したという内容だった。今後、事実関係を明確にした上で、市教委で一定の判断をすると思う」と述べた。

「市教委に指示することはないのか」との質問に、釘宮市長は「市教委は独立した機関。わたし個人の思いはあるものの(指示に)言及することは慎重であるべき」と述べた。

教員や公務員採用など釘宮市長自身の口利きについては「一切ありません」と断言した。

大分合同新聞 2008年7月31日

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県教委内部調査始まる “詰問は受けず”

大分県の教員採用試験や校長・教頭の任用試験に絡んだ不正に関する県教委の内部調査が三十日午後、始まった。調査対象者は約百人で、初日は八人の県教委幹部や人事担当者が不正の有無などについて聞き取りを受けた。

調査は一連の汚職事件を受けて県教委が発足させた教育行政改革プロジェクトチーム(PT)が担当し、メンバーが二人一組に分かれ、県教委内の会議室で実施した。午後二時すぎに始まり、同八時すぎに終わった。ほとんどの職員が一時間前後ずつ聞き取りを受けた。麻生益直県教育委員長も立ち会った。

会議室を出てくる職員は一様に緊張した表情。中堅男性職員はPTの質問内容を尋ねる報道陣に「勘弁してください」と答えて職場に戻った。男性幹部職員は「質問に淡々と答えたという感じか」という問いに「そうですね」とだけ述べた。

人事担当経験がある男性幹部職員は「採用試験の作業がどうなっていたかなど、一般的な状況を聞かれた。厳しく問い詰められるようなことはなかった」と調査の様子を語った。

県教委ナンバー3の小野二生教育審議監(高校教育担当)も聞き取りを受けた。終了後、記者に「不正への関与については『自分はきちんとしている』と答えた。再発防止に向けたシステムなども聞かれた」と話した。

初日の聞き取り調査について、PTトップの照山龍治総務審議監は「皆さん協力的で、知っていることを話してくれたと思う」と感想。今後の日程については「三十一日以降は一日に十数人ずつ聞いていきたい。終わる時期はまだ分からない」とした。すべての公立小中学校、高校の校長と教頭(約千七十人)に不正の有無を尋ねる文書は、早ければ週内にも郵送する。

大分合同新聞 2008年7月31日

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二宮被告を罷免 由布市議会

由布市の首藤奉文市長は三十日午前の臨時市議会で、県教委汚職事件をめぐり収賄罪で起訴され、二十八日付で市教育長を懲戒免職になった二宮政人被告(61)を市教育委員から罷免する議案を提案。市議会は全会一致で同意した。

首藤市長は提案理由を「市の教育行政に与えた混乱と停滞、信用の失墜は著しい。教育委員にふさわしくない非行があったと判断した」と説明。教育長の後任人事については「現状を立て直し、正常化できる志高い人を選びたい」と述べた。

二宮被告は市内挾間町出身。二〇〇六年十一月、県教委ナンバー2の教育審議監から市教育長に就任した。

起訴状によると、二宮被告は元県教委義務教育課参事の矢野哲郎被告(52)=贈賄罪で起訴=の長女(23)=二十三日付で教員を退職=の受験に関する便宜の見返りとして、矢野被告から計百万円分の商品券を受け取ったとされる。

大分合同新聞 2008年7月30日夕刊

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関与を全面否定 県教委出身の首藤市長

由布市議会臨時議会では、県教委出身の首藤奉文市長に対し、過去の教員採用試験をめぐる不正疑惑への関与の有無をただす質問が上がった。首藤市長は「県教委でわたしは採用事務からは外れており、点数や集計はまったく知らなかった」と述べ、関与を全面的に否定した。

西郡均氏(共産)の質問に答え、「当時は論文の採点作業を担当し、採用チームには入っていなかった」と説明した。

首藤市長は中学教諭を経て県教委に異動し、教職員第一課(現・義務教育課)参事を務めたのを最後に一九九九年二月、旧庄内町長に当選した。

大分合同新聞 2008年7月30日夕刊

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“自己申告”頼みに疑問 県教委内部調査

県教委汚職事件で、教員採用試験や校長・教頭の任用試験に絡む不正に関しての、県教委の内部調査が三十日に始まる。幹部職員やすべての公立小中学校、高校の校長、教頭らを対象とするが、果たして調査に真実を語るのかという疑問が付きまとう上、調査期間はわずか一カ月。教育界の正常化をと、教育行政改革プロジェクトチーム(PT)が取り組むが、不正の実態解明へのハードルは高いとみられる。

二学期が始まる前の八月末までに調査結果を出す予定。過去十年間さかのぼる現職職員約百人への調査は、県教委幹部や人事担当者、教育事務所長らが対象。任用試験の不正調査はすべての公立小中学校、高校の校長と教頭約千七十人に文書で不正の有無を尋ねる。

職員への聞き取りはPTが行う。校長や教頭への調査と合わせ、不正への関与が明らかになった場合や聞き取り時の言動・挙動が不審な場合、後日、詳しく事情を聴く。ただ、職員が職員を調べるため、どこまで事実に迫れるかは「やってみなければ分からない」(県教委幹部)部分もある。さらに、「『わたしは不正に関与しました』と正直に話す職員が本当にいるのか」という声も上がる。

不正は長年続いているという指摘がある中、県教委OBへの調査は、必要に応じて行うことにとどめている。現職職員と違って、PTが職権で呼び出せないためで、OBへの調査はあくまで任意。拒まれたら調査ができないという。

PTトップの照山龍治総務審議監は「調査する材料もなく、ただOBの話を聞きに行っても、話してくれなければ意味がない」とし、まずは職員への聞き取り調査で十年分の事実を固める方針を強調する。

小矢教育長「良心信じる」

この調査で本当に事実が分かるのか―。県教委をめぐる不正の実態に切り込むための内部調査が、どこまで実態に近づけるのか、疑問の声もある。

大分市内の五十代公務員男性は、教育委員や弁護士らが立ち会うとはいえ、調査を外部の第三者に任せない手法を問題視。その上で「これだけ騒がれているのに『調査したが不正はなかった』という結論は許されない」と冷ややか。

十九、二十の両日にあった小学校教員採用試験(一次)を受験した大分市出身の女子大学生(21)も厳しい意見。「対象者が真実を話すとは思えない。『黙っていれば逃げ切れる』と思ったら、自ら名乗り出ないのでは」と疑問視する。

教育評論家の尾木直樹法政大教授(臨床教育学)は県教委の内部調査について、「現場からの自己申告に頼っている上に調査期間も短く、実効性はほとんどないだろう。改革を訴えるための単なるパフォーマンスとしか思えない」と切り捨てる。

調査に厳しい声がある中、自らも聞き取りを受ける小矢文則県教育長は「これだけの事件を受けた調査である以上、教職員は知っている事実を話してくれるはずだ。教育に携わる者の良心を信じている」と話している。

大分合同新聞 2008年7月30日

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二宮被告を懲戒免 「責任は重い」

二宮被告を懲戒免職処分とすることを決めた由布市教育委員会=28日午後4時すぎ、由布市湯布院コミュニティーセンター

由布市教委は二十八日、定例教育委員会を開き、県教委汚職事件をめぐり収賄罪で起訴された市教育長の二宮政人被告(61)を同日付で懲戒免職にした。一連の汚職事件で懲戒免職となったのは県教委も含めて四人目。

教育委員で互選した教育長の職を解く処分。市は二宮被告を教育委員からも罷免するため、三十日に開く臨時市議会に罷免同意案を提案する。

市教委は二宮被告の処分について市職員分限懲戒処分審査委員会に諮問。この日の教育委員会で、出席した教育委員四人の全会一致で処分を決定した。教育長の職務代理は高田英二教育次長が務める。

二宮勝利教育委員長は「教育の根幹に対する信頼を損ねた被告の責任は重い。児童、生徒、保護者、市民の皆さんに心からおわび申し上げる。市教委、学校現場が一丸となり、信頼回復に努めていく」と述べた。

起訴状によると、二宮被告は二〇〇七年度教員採用試験をめぐり、元県教委義務教育課参事の矢野哲郎被告(52)=贈賄罪で起訴=の長女(23)=二十三日付で退職=の受験に関する便宜の見返りとして、矢野被告から百万円分の商品券を受け取ったとされる。

二宮被告は二〇〇六年十一月、県教委ナンバー2の参事兼教育審議監から市教育長に就任した。

同市は三役のうち副市長(交通事故死)、教育長が空席という”異常事態”となった。

大分合同新聞 2008年7月29日

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進まぬ教育施策 「幹部と協議できぬ」

大分県教委を舞台にした一連の汚職事件が後期高校再編や学力向上といった重要な教育施策の推進に影を落としている。県教委の現場職員は「子どものためにも施策を着実に進めなければ」と懸命だが、事件への対応に苦慮する中、本来業務の遅れや人員不足といった思わぬ余波に頭を痛めている。

後期高校再編では二〇一〇年度からの五年間に十六校の廃止や統合、学科再編をする方針を打ち出した。翌年の高校入試定員を発表する九月下旬―十月中旬より前に最終的な計画内容を公表する予定だったが、事件発覚後、上層部が対応に追われ、内部協議が遅れがち。計画決定が定員発表後にずれ込む可能性も出てきた。

高校改革推進室は「幹部と協議ができない。必要な手続きや意見交換をおろそかにはできないが、(公表が)秋を過ぎるようでは子どもへの影響が大きい」と焦燥感を募らせている。

昨年初めて実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)。応用力などを見るB問題で、大分県は全国平均を下回った。学力向上に本腰を入れて取り組むため本年度、義務教育課内に学力向上支援班を設置。班参事と主幹、教育センター指導主事らが学校改善支援チームを組んで県内各地を回り、地域ごとの弱点を克服する対策を検討していた。

しかし、「本格的な作業に入ろうとした矢先」(義務教育課)に教員採用に絡む贈賄容疑で、要となる矢野哲郎元同課参事が逮捕・起訴され、懲戒免職となった。急場をしのぐため、課長が進行管理役を兼務している。

県教委は「教育行政への信頼を回復するためにも高校再編や学力向上をしっかりやり遂げたい。職員にも業務がストップしないよう指示している」(小野二生教育審議監)とするが、職員の士気低下も懸念され、越えるべきハードルは山積している。

大分合同新聞 2008年7月29日

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不合格「被害」 数人が2年連続涙

大分県の小学校教員採用をめぐる汚職事件で、二〇〇七、〇八年度の採用試験を受けた受験者のうち、本来は二回とも実力で合格していたのに、採点データを減点操作されたり、口利きのあったほかの受験者の得点が水増しされたあおりで順位が繰り下がったりして、二回とも不合格となった人が数人いることが二十六日、分かった。県教委の幹部やOB、県議らによる合格依頼の口利きが常態化し、組織的な不正行為が繰り返される一方で、実力のある”教員の卵”たちが涙をのんできた実態があらためて浮かび上がった。

試験は各年度、四十一人ずつが合格。このうち〇七年度は約二十五人、〇八年度は約十五人が、点数の水増しによって合格したとされる。

関係者によると、〇七年度は、当時県教委ナンバー2の教育審議監だった二宮政人被告(61)=収賄罪で起訴=と、義務教育課長だった現教育審議監(60)の二人が、〇八年度は現教育審議監が、口利きなどのあった特定の受験者を合格させるよう、元県教委義務教育課参事、江藤勝由被告(52)=同罪で起訴=にそれぞれ指示。

江藤被告はこれらの受験者について、実際は合格ラインに届かなくても、点数を加点して合格させた一方、口利きなどがなかった一部の受験者については、合格圏内にいても、不正に減点するなどして不合格にしていたという。

特に〇七年度について江藤被告は「〇八年度に比べて口利きの数が多く、作業が錯綜(さくそう)した」と関係者に話しており、実力で合格したのは上位十数人程度しかいなかったという。

県教委は捜査当局から押収された江藤被告らの業務用パソコンの返却を受け次第、データの解析を進める。不正合格が確認されれば対象者の採用を取り消すとともに、そのあおりで不合格となった受験者は、本人が希望すれば採用する方針。

大分合同新聞 2008年7月27日

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人事評価、透明化急ぐ全国の各教委

佐伯市教委の家宅捜索を終え、押収物を車に積み込む県警の捜査員=21日、佐伯市

採用試験をめぐる大分の教員汚職事件は、県教育委員会ナンバー2だった元教育審議監二宮政人被告(61)らの起訴で節目を迎え、焦点は昇進人事に絡む不正疑惑に移った。都道府県・政令市教委の多くは、採用基準の公表など人事評価の透明化を急ぐが、点数主義の弊害を心配する声も。「独立王国」とも評される教委の閉鎖性をどう解消するのか。

受験者を匿名化

「採用試験受験者の不信感を解消しなくてはいけない。このままだと二学期以降、学校現場でも疑いがくすぶってしまう」(西日本の教委担当者)。各地の教委は人事制度に向けられた疑念をぬぐうのに躍起だ。

山形県教委は配点や判定基準を二十三日からの本年度試験で公開、面接担当者に受験者名を教えないことを急きょ決めた。浜松市教委も「大分の事件がショッキングで危機感を持った」(担当者)と、八月の二次試験から受験者の匿名化に踏み切る。

「サービスの一環だったが、今後は一切しない」。鹿児島県教委は十八日、県議らに特定の採用試験受験者の合否を発表前に伝える「事前連絡」をやめると表明した。

共同通信の調査でも、採用試験での選考基準を公表していない教委の大半が「公表を検討」と回答している。

山口を先駆例に

「昔の事件を受けた改革の内容を知りたい。どう取り組んだか」。二宮被告が逮捕される前日の今月三日、大分県教委の幹部ら三人が山口県教委を訪ねた。

山口県教委は一九九〇年に小学校教員採用試験をめぐる汚職事件で厳しい批判にさらされた。

翌年から採用方法の改革に着手。(1)権限集中を防ぐため問題作成や選考などの委員会を個別に設置(2)受験者の特定を防ぐ整理番号管理(3)選考過程でのチェック態勢強化―など、カネとコネの介在しない公正な採用制度の実現に力を注いできた。

「先駆例」から改善策を学び取ろうと、真剣な表情で質問を重ねる大分県教委幹部。応対した山口県教委の担当者は「完全なシステムはない。われわれもさらに精度を上げていかなくては」と気を引き締める。

一方、教育関係者の間には「選考基準の公表徹底だけでは適正な採用や人事評価につながらない」との意見も根強い。「受験者が試験用のテクニックに走り、人物を見抜けなくなる」(京都市教委)と、詳細な基準は公表せずに面接官への民間人起用などで透明性を確保する道を選ぶケースもある。

 「見分けつかない」

各教委に透明化への取り組みを求めてきた文部科学省も人事評価の”数字偏重”を懸念。採用では「受験者の人柄や能力をよく知る者からの推薦」を判断材料の一つにするよう各教委に通知している。

だが、推薦は一歩間違えば不正な口利きに姿を変える。文科省は「県教委レベルでは見分けがつかない」(幹部)と、より学校現場に近い市町村教委に人事権を移すことを研究中だ。

もっとも、腐敗の背景となった「コネ社会」の実態が残っている限り、市町村教委に権限を移譲しても大分の二の舞いになってしまう。文科省担当者は「いくらシステムを改善しても、そこにかかわる人間の意識が低ければ、何の意味もない」と、制度改革の限界を指摘した。

大分合同新聞 2008年7月27日

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”出頭”の教頭2人に面接内容教える

県教委汚職事件で収賄罪で起訴された元県教委義務教育課参事、江藤勝由被告(52)が、二〇〇八年度の管理職任用試験を受けた佐伯市内の小学校の校長、教頭の計三人から、昇任の謝礼に高額の商品券を受け取ったとされる疑惑で、江藤被告が、面接で尋ねる内容や模範回答などを、教頭二人に事前に教えていたことが二十六日、関係者の話で分かった。江藤被告は面接官の一人で、試験の問題作成も手掛けていた。

校長の得点も改ざんか

江藤被告は、校長の得点を改ざんして合格させた疑いも浮上。県警は、江藤被告と校長、教頭らを贈収賄容疑で立件する方針で、便宜供与の内容について詳しく調べている。

三人は女性校長と男性教頭、女性教頭。いずれも試験を受けて今春、昇任した。関係者によると、教頭二人は内示前と内示後の二回に分けて商品券計百万円を、校長は内示後に十万円を贈ったとされる。

教頭二人は、元同課参事、矢野哲郎被告(52)=贈賄罪で起訴=が自宅で開いた試験対策の「勉強会」に参加。その席で矢野被告が「勉強だけでは合格できない」と、江藤被告へのわいろを勧めたという。その後、二人が江藤被告に昇任を依頼した際、試験について”指南”されたという。

県教委によると、〇八年度の教頭試験は昨年十一月に筆記と論文、十二月に面接を実施。校長試験は今年一月に筆記と論文、面接があった。

江藤被告は両試験で面接官を務めたほか、採点やデータ管理などを担当。合格者の原案を決めるなど権限が集中し、県教委幹部の一人は「改ざんしようとすれば、教員採用試験以上に容易だったかもしれない」と指摘している。

大分合同新聞 2008年7月27日

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07年度 3分の2が不正合格

成績データ解析急ぐ

小学校教員採用をめぐる汚職事件で、収賄罪で起訴された元県教委義務教育課参事、江藤勝由被告(52)の得点データ改ざんによって不正合格した受験者の年度ごとの人数がほぼ特定された。関係者によると、二〇〇七年度は合格者四十一人のうち三分の二近い約二十五人、〇八年度は合格者四十一人のうち約十五人が、点数の水増しで合格したとされる。

08年度は約15人

捜査当局が県教委から証拠品として押収した業務用パソコンが、近く返却されることになっている。江藤被告がデータを一部消去したパソコンで、県教委は今後、本来の成績データの復元や解析を進め、不正合格者や、本来合格ラインに達していながら減点されるなどして不合格となった受験者の確認を急ぐ。

関係者によると、〇七年度試験では、当時県教委ナンバー2の教育審議監だった二宮政人被告(61)=収賄罪で起訴=と、義務教育課長だった現教育審議監(60)の二人が、採点データ改ざんの”実行役”だった江藤被告に対し、口利きなどのあった特定の受験者を合格させるよう指示したという。

江藤被告は「〇八年度に比べて依頼人数が多く、作業が錯綜(さくそう)した」と関係者に話している。また、当時の県教育長が合格の口利きに関与した疑惑も浮上しており、組織ぐるみでの不正が行われていた疑いが深まっている。

〇八年度試験は、現審議監が江藤被告に約二十人の合格を指示。江藤被告が直接依頼を受けた受験者もおり、実力で合格ラインを超えた人を除いて、約十五人を点数改ざんで合格させた。この年は、減点されて不合格となった受験者も十人程度いたという。

大分合同新聞 2008年7月26日夕刊

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「教員出身」組み入れず プロジェクト発足

来月中に改革案作成

県教委は二十五日、教員採用汚職事件を受けて教育行政の抜本的な見直しに取り組む七人のプロジェクトチーム(PT)を編成した。教員出身の職員は組み入れず、実働メンバーとは別に、弁護士と保護者代表がアドバイザー役を担当。職員への聞き取りなどを通して、不正が生まれた背景などを調べた上で、八月中に組織や試験制度の改革案などを取りまとめる。

PTは教育委員会直属の組織。顧問に千野博之弁護士と県高校PTA連合会の高橋正夫会長を起用し、改革案づくりの際にアドバイスを受ける。教育委員も見直し作業に加わる。

PTトップは知事部局出身の照山龍治総務審議監。一連の事件が全国的な問題となっているため、文部科学省出身の郷家康徳・県教委生涯学習課長を参事に置き、国との連携も重視する。

PTの実務担当者(五人)は知事部局や教育現場の実態に詳しい学校事務出身の四、五十代職員で固めた。教員出身者を入れなかったことについて、県教委は「特別な理由はない。違った視点で(改革を)見てもらうため」と説明した。

最大の焦点となっている▽改ざんなどで不正採用された教員の採用取り消し▽不採用となった受験者の救済に向け(江藤被告が消した)データの復元―もPTが取り組む。

 × × × 

県教委は教育行政改革プロジェクトチームの設置に伴う人事異動(二十五日付)を発表した。

【次長級】▽教育審議監兼生涯学習課長事務取扱 小野二生(教育審議監)【課長級】▽総務課参事・教育行政改革推進担当 郷家康徳(生涯学習課長)▽総務課参事 山戸康弘(IT推進課長=併任)▽総務課企画管理班参事兼同市町村教育振興班課長補佐 後藤茂樹(総務課企画管理班参事)【課長補佐級】▽義務教育課人事・免許班課長補佐 宮迫敏郎(おおいたブランド推進課消費流通班課長補佐併任を解く)▽おおいたブランド推進課消費流通班課長補佐 江藤博邦(総務課市町村教育振興班課長補佐)

大分合同新聞 2008年7月26日

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深まる「組織ぐるみ」 リスト複数の筆跡

教員採用をめぐり、県議や市教委幹部などさまざまなルートによる口利きが横行している実態が明らかになる中、県警が押収した口利きの依頼元リストに、前県教育長の名前が記されていることが二十五日、明らかになった。教育行政のトップが不正採用に関与していた疑いが強まり、組織的な”犯罪”をあらためて印象づけている。

リストは江藤被告らの関係先から押収した資料に含まれていた。二〇〇七年度の小学校教員採用試験に絡み、口利きの依頼元と依頼した受験者などを記していたとみられ、手書きのリストの中には複数の筆跡があるという。
 江藤被告は当時、県教委義務教育課人事班主幹で、教育審議監だった二宮被告らの指示で、受験者の得点を改ざん、全受験者の半数以上を不正に合格させたとされる。

審議監の指示には、リストに掲載されたトップの”意向”が働いていた可能性が強く、組織ぐるみで不正な任用を続けていた疑いがさらに深まった。

大分合同新聞 2008年7月26日

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口利きリストに前教育長の名前

大分県の小学校教員採用をめぐる汚職事件で、前県教育長が特定の受験者を合格させるよう、不正に関与していた疑いがあることが二十五日、分かった。二〇〇三年五月から〇七年四月まで県教育長を務めていた。

関係者によると、県警が元県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=らの関係先から押収した資料の中に、口利きの依頼元を記したリストがあり、前県教育長の名前もあったという。江藤容疑者はリストを元に受験者の採点データを改ざんしたとみられている。

前県教育長は大分合同新聞の取材に対し「特定の受験者が合格できるよう便宜を図ったことは絶対にない」とコメントしていた。

大分合同新聞 2008年7月25日夕刊

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二宮元審議監ら起訴へ 07年度採用試験

県教委汚職事件で、二〇〇七年度の教員採用試験でわいろの授受があったとして、大分地検は二十五日、収賄の罪で▼元県教委参事兼教育審議監で、由布市教育長の二宮政人(61)=同市挾間町下市=▼元県教委義務教育課参事の江藤勝由(52)=別府市南立石=の両容疑者を、贈賄の罪で▼元県教委同課参事の矢野哲郎(52)=大分市大手町=▼妻で佐伯市重岡小学校教頭の矢野かおる(50)=同市宇目=の両容疑者を、それぞれ同日午後に起訴する方針を固めた。

調べでは、二宮、江藤の両容疑者は〇六年九―十月ごろ、矢野容疑者夫婦の長女(23)が受験した小学校教員の採用試験で、便宜を図った謝礼として、それぞれ百万円分の商品券を受け取った疑い。矢野容疑者夫婦はそれぞれ贈った疑い。

江藤容疑者は〇八年度の採用試験に関しても、元小学校長の浅利幾美被告(52)=佐伯市常盤西町、贈賄罪で起訴=の子どもの受験への便宜の見返りとして、現金など四百万円相当を受け取ったとして、収賄の罪で起訴されている。この際、江藤容疑者と浅利被告の仲介をした矢野哲郎容疑者も贈賄罪で起訴されている。

江藤容疑者は、〇七、〇八年度の採用試験で、わいろの授受や、口利きのあった受験生の得点を操作し、約半数を不正に合格させたとされる。

大分合同新聞 2008年7月25日夕刊

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大分大、現役合格が急増 教員採用試験

県の二〇〇八年度小学校教員採用試験で、受験者十四人分の一覧表を県教委に郵送した教授が在籍する大分大学教育福祉科学部は、現役合格者がここ三年で急増。二〇〇四年度は四人だった合格者が〇五年度以降は三倍以上で推移している。

同学部の現役合格者は〇五年度十二人、〇六年度二十人、〇七年度は十九人。県教委に一覧表を送った教授が二年前に始めた自主勉強会に参加した学生は、〇六年度が十人中八人、〇七年度は十四人中十一人が”狭き門”となっている大分の採用試験に合格した。本年度の勉強会には十九人が参加しているという。

同大学は現役合格者が増えた理由を、「採用試験対策を強化した結果」とする。三年次の十月からは「教員採用対応特別講座」を実施し、小論文の書き方や模擬授業指導などに力を入れる。特に自主勉強会の参加者は試験直前まで”猛特訓”を受けるという。

講座を指導する別の教授(就職進路委員長)は「大学自体が危機感を持って取り組んだ結果。大分の採用試験だけでなく、大分県以外の採用試験合格者も増えている」と説明する。

「公正な仕組み要求を」共産党が佐伯市教委に申し入れ

共産党県南部地区委員会(高司政文委員長)は二十四日、佐伯市教委に「県教委に対して、汚職事件の徹底した究明を働き掛けるとともに、教員採用で恣意(しい)的な操作ができないよう、民主的で公正な採用システムを求めること」などを申し入れた。

高司委員長が武田隆博教育長に、申し入れ書を読み上げて手渡した。

武田教育長は「市教委が対応できる部分はできるだけ対応していきたい」などと答えた。

大分合同新聞 2008年7月25日

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大分大教授が学生14人のリスト郵送

二〇〇八年度の大分県小学校教員採用をめぐる汚職事件で、大分大学の現職教授(64)が元佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴、懲戒免職=の長女が合格するよう口利きに関与したとされる問題で、教授は同年度の一次試験合格発表前に、浅利被告の長女を含む教え子の受験者名を記した手紙を県教委に郵送し、現職の教育審議監に電話していたことが二十四日、分かった。

教授は当初、「(試験に関して)県教委関係者に会ったことも、連絡を取ったこともない」と大分合同新聞の取材に答えていた。

教授は〇五年三月まで県教委ナンバー2の教育審議監を務めていた。大学によると、教授が郵送したのは、同大学で開いている「教員採用対策講座」の受講生のうち、希望者を対象に行う自主勉強会の参加者十四人の名前や受験番号を書いた手紙。さらに現職の審議監に電話で、合否の照会を依頼したという。〇八年度は十四人のうち、十一人が合格した。

教授は勉強会をボランティアで指導。教育原理や生徒指導のほか、採用試験時の面接指導などをしているという。

教授は「一次試験後の二次対策を急ぐために合格者を発表後に教えてほしいとお願いした。合格依頼はしていない。(元幹部からの)圧力とは取られないと思う」としている。

一連の事件の捜査で、県警は元県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=らの関係先から、口利きを受けた受験者や依頼者などが記された資料を押収している。依頼者の中に教授の名前もあり、過去の試験でも依頼した形跡があるという。〇八年度の試験では、教え子十四人の中に加点された受験者もいたという。

大分合同新聞 2008年7月24日夕刊

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教員採用を前市教育長が口利き

大分県教委汚職事件で、元県教委幹部で今春まで県北地域の市教育長を務めた男性が二〇〇七、〇八年度の小学校教員採用試験で知人から口利き依頼を受け、元県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に三人の採用を依頼する手紙を送っていたことが二十三日、分かった。男性は一九九六年から一年間、県教育次長を務めて退職。九九年から市教育長だった。

男性によると、〇八年度試験で、県北の元市教育長と小学校教諭から、「一次試験に受かったので、何とかできないだろうか」と電話を受け、受験者の受験番号と名前、「成績が良ければよろしくお願いします」などと書いた封書を、市教育長時代に知っていた江藤容疑者に送ったという。

〇七年度も一人から依頼され、同様に封書を送った。「県教委時代の職員名簿を見て、人事の実務担当の江藤さんに送った」と話した。

封書の送付について「昔の経験から意識せずにやってしまった。頼まれた以上、断れなかった。自分が悪かった」としている。

依頼元の三人とは以前からの知り合い。受験者は三人のうち、二人が合格し、江藤容疑者から公表前に合否の連絡があったという。「金品の授受はないが(依頼元から)普段の付き合い程度の歳暮などは頂いた」と述べている。

また、県教育次長だった当時、「県議らからの口利きで、予定採用数より多く合格させることはあったが、金品の授受はなかった」とした。

大分合同新聞 2008年7月24日

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弊社社員の口利き関与 心からおわび

大分合同新聞社の事業局幹部社員が大分県教委汚職事件で明らかになった小学校教員採用試験の口利きに、かかわっていました。大分合同新聞社は社内調査の結果、幹部社員の行為は、報道機関の社員としてのモラルに欠けるものと判断しました。この事態を深刻に受け止め、読者のみなさまに深くおわびするとともに、二十二日付で関係社員、監督責任者を処分しました。

新聞は読者のみなさまからの信頼がなければ成り立ちません。報道・言論機関として再発防止に向けて倫理教育の徹底を図ります。あらためて、読者のみなさまの信頼を得るため、厳正な報道を進めます。

幹部社員は事業局事業部長(52)です。本社の調査によると、部長の長女は四年前から小学校教員の採用試験を受験していました。二〇〇六年十月、大分市で実業団陸上選手権大会が開催され、その歓迎レセプションが市内のホテルで開かれた際、大分市教委の部長と同席。名刺交換後の雑談で、長女が教員を目指していることや、採用試験の難しさを話題にしたところ、市教委部長は「一次(試験)が合格したら、言ってください」と話しました。

翌年の〇七年に実施の〇八年度採用試験で長女は一次試験に合格。事業部長は市教委部長の言葉を思い出し、同年九月、市教委部長室を訪ね、「一次を通過しました。助けられるものならお願いします」と長女の名前を告げました。十月になり、合格発表前日の午後十時ごろ、市教委部長から合格の連絡があった、と話しています。事業部長は同年末、市教委部長に約五千円相当の歳暮を贈っています。

大分合同新聞社は(1)汚職事件の取材の過程で、県警が押収した資料の中に特定の受験者について口利きがあったことを示すとみられる資料が存在することを知った(2)資料から、長女の得点に、約六十点を加点したと記されていたことが浮かんだ(3)部長から「市教委部長に依頼していた」と報告を受けた―ことから社内調査を進めてきました。

事業部長は「市教委の部長とは特に親しい間柄ではなかった。縁に頼って甘えたことを深く反省している。お歳暮はお世話になったという気持ちで贈った。新聞人として非常に申しわけないという気持ちでいっぱいだ」と話しています。

一方、本社の問い合わせに対し、市教委部長は「パーティー(歓迎レセプション)の席上、日常的なあいさつをした中に、有力企業(大分合同新聞社)の幹部社員がいたかもしれない。長女は小学校の臨時講師でがんばっており、(採用試験で)どうなっているか知りたいと思い、県教委幹部に、事前に試験の結果を教えてほしいと言ったのは事実。すべてわたしの一存でやったことであり、歳暮については受け取っていない」と話しています。

 × × × 

大分合同新聞社は社内調査を受けて、事業部長を部長職から外す降格処分、上司の常務取締役事業局長を10%一カ月の減給処分としました。

                                 大分合同新聞社

「社員教育を徹底」
記者会見で謝罪

大分合同新聞社は二十二日午後九時から、県庁で記者会見を開いた。

記者ら約四十人が出席。大分合同新聞社の利満広志・常務取締役社長室長と工藤聡明・取締役総務局長、樋口淳・総務局次長が「このたびは県民の皆さま、報道各社の皆さまに多大なご迷惑を掛けて申し訳ございません。再発防止に向けて倫理教育の徹底を図ります」とおわびし、経緯を説明した。

大分合同新聞 2008年7月23日

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口利き依頼 元教育長認める

大分県の教員採用試験をめぐり、元県教育長の男性が十八日、大分合同新聞の取材に対し、県議らからの口利き依頼について「合否を決める一つの要素だった」と証言した。既に、元県教委幹部が十年以上前から口利きが常態化していたと告白しており、元トップの発言がそれを裏付ける形となった。

元県教育長の在任期間は一九九五―二〇〇一年。当時、予定採用数よりも多く合格させる場合があり、教育長、次長、担当課長ら六人の合議で決めていた。対象は合格ラインより一―三点ほど下回る受験者で、多い時で十人ほどを合格させていた。追加合格を決める基準は「PTAや県教委関係者、市町村教育長、県職員などの推薦も要素の一つだった」という。受験者リストの横に鉛筆で依頼者の名前を記していた。人事面でのこうした作業は少なくとも七〇年ごろから続いていたといい、「組織の体質だった」と述べた。

金品授受や点数操作は否定。合格者が不合格になることはなかったとしている。合否を決める要素には、ほかに「臨時講師の実績」「地域バランス」などがあったという。元県教育長は「口利きではなく推薦ととらえていた。予定より多く合格させるのも裁量の範囲内だった。今となっては誤解を生むので、慎むべきだったと率直に反省している」と話した。

大分合同新聞 2008年7月19日

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江藤容疑者、改ざん手法「自ら考案」

小学校教員採用試験をめぐる汚職事件で、試験データの改ざんを繰り返した元県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=が「点数の不正操作は以前からあったが、今回の手法は自分で考えた」と話していることが十七日、関係者の話で分かった。

関係者によると、江藤容疑者は二〇〇七、〇八年度の試験で全合格者(八十二人)のうち、わいろを受け取って合格を依頼された受験者を含む約半数の受験者のデータを改ざんし、不正に合格させた疑いが持たれている。

改ざんの手法は一次、二次の試験データを加点し、口利きの依頼があった受験者を合格させる一方、平均点が上がりすぎないよう、依頼のなかった受験者の一部を減点するなどしていたとみられる。

江藤容疑者は「上司の指示に従うため、改ざんをした」としており、特に〇七年度は、県教委の元教育審議監二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=と、現教育審議監(60)の二つのルートから不正を指示され「口利き依頼の人数が多く、作業が錯綜(さくそう)した」と話しているという。

大分合同新聞 2008年7月17日夕刊

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「結論早すぎるのでは」改革案に疑問も

県教委は十七日午前、県庁で市町村教育長会議を開き、教員採用試験をめぐる汚職事件を受けて発表した教育行政の抜本改革を説明した。出席した教育長からは、「不正採用が確認できた教員の採用を取り消し、そのあおりを受けて不合格になった受験者は採用する」とした県教委の方針に対し、意見が相次いだ。

別府市を除く教育長(代理含む)が出席。日田市の合原多賀雄教育長は県教委の方針について「受験者自身が不正を知らない場合もある。(採用を取り消されても)希望者に再試験の機会を与えてもいいのではないか」と疑問を投げた。九重町の古後粒勝(りゅうかつ)教育長も「結論を出すのがあまりに早すぎるのでは。わたしたちの意見も聞いてほしかった」と指摘した。

豊後大野市の首藤正史教育長は学校現場の混乱を懸念。「不正が確認されるまで新採用の教諭が不安を感じながら授業をするのは困る」と述べた。

小矢文則県教育長は「現場の士気低下、動揺は心配だが責任は県教委が負う。不正を絶対許さない姿勢を示すことが重要」と理解を求めた。

大分合同新聞 2008年7月17日夕刊

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「採用取り消し」に理解と戸惑い

不正に合格した教員の採用を取り消す―。県教委が決断した十六日、「当然だ」「いきなりの取り消しは酷ではないか」と、県民からさまざまな声が上がった。点数改ざんで合格したとされる、矢野哲郎容疑者(52)の長女、浅利幾美被告(52)の長男が勤める小学校は平静を保ちつつ、保護者の間に子どもたちへの影響を心配する声が漏れた。

「採用取り消しは当然。不正合格者は、これまでの給料を返還してもいいくらいだ」と指摘するのは別府市内の主婦(64)。「お金やコネがないため、先生になれなかった人が本当に気の毒」と話す。佐伯市内の元教師(77)も「思い切ったことをするが、この方法しかないだろう」と県教委の対応に理解を示す。

いきなりの決断に戸惑いの声も相次いだ。小学生の娘がいる別府市内の会社員男性(47)は「先生本人が(不正合格だということを)知らないかもしれないし、子どもたちにとってはいい先生かもしれない」。大分市内の主婦(29)も「もし、担任の先生がいなくなったら、子どもにどう説明していいのか分からない」。

不正の有無を調べる資料は県警が押収しており、大分市内の会社員男性(30)は「データを検証できるのか。本当に(採用取り消しが)できるのか」と疑問視する。

一方、佐伯市PTA連合会長の梅田一弘さん(48)は「不正合格とはいえ、教育への情熱は持っているはず。再び挑戦して現場に復帰して」と願う。

今回、原因究明と再発防止のため教育委員会直属のプロジェクトチームを設置することも決まった。大分市内の会社員男性(30)は「大分の教育への信頼は地に落ちた。うみを出し切り、組織を徹底的に改革してほしい」と話した。

保護者「不信ぬぐえぬ」「傷つくかも」

矢野容疑者の長女は、両親が贈賄容疑で再逮捕された後、学校を休み、別の教諭が担任を受け持っている。十六日も特に変わりなく、学校には児童たちの元気な声が響いていた。
 「職務に影響するので、職員室で事件の話はしていない」と校長。県教委の決断に「今の状況では仕方がないこと。今後の対応を考えたい」とした。

保護者の中には「ちゃんと試験を受かっていないような人に子どもを預けられない」と話す人もいるという。

三人の子が通う主婦は「考えたくないけど、もし先生がいなくなれば子どもが傷つくかもしれない」。長女が担任する児童の保護者は「子どもは懐いていた。辞めるとなればとても残念。彼女がかわいそう」と話す。

浅利被告の長男が勤務する小学校。校長は「何も聞いておらず、私見を述べる立場にない」とコメント。保護者の女性は「不正合格はあってはならない。この先、先生への不信感はぬぐえない」と話した。

自ら辞めるべき

ジャーナリスト大谷昭宏さんの話 教員というのは学校で何か問題が起きたとき、まず誰かを追及する前に「悪いことをした人は自分から手を挙げなさい」という教育をしているはず。そうであるなら進退は自分で決めるのが筋だろう。教員は、自らの採用について不正な働き掛けなどしていなかったかどうか家族などに問い合わせ、もし発覚した場合は潔く自主的に辞めるべきだ。もうすぐ夏休みが始まる。教員の自覚を促すための時間は十分ある。

弾力的な判断を

土屋基規・近畿大教授(教育行政学)の話 採用を取り消される本人たちには責任がないし、実際に何年か教職に就いている人を即時に離職させていいものかどうか、今回のケースは単純な話ではない。教師としての指導能力を点検し、総合的に基準に達していると認められれば採用を継続したりするなどの弾力的な判断をすべきだ。大分県教委は一見格好よい措置を打ち出したようにみえるが、まずは採用した自分たちの責任を明確にしたほうがいい。

事件のさなか大分できょうから全国教委連合会総会

全国の教育委員会委員長、教育長が集まり、さまざまな教育課題を話し合う全国都道府県教育委員会連合会の総会が十七日から二日間、日出町のホテルで開かれる。教員採用試験にからむ汚職事件で揺れる大分での開催のため、教育委員会の役割などについても活発な議論が交わされそう。

同連合会が地方で総会を開くのは初めて。大分県教委からは波多野順代委員長、小矢文則教育長が出席予定。開催は今年一月に決まっていたが、「まさか事件のさなかに開くことになるとは」と同連合会担当者は複雑な表情。初日夜は、夕食を兼ねた情報交換の場を設けているが、「酒を飲んで楽しむ時期ではない」という大分県教委の思いを受け、ノンアルコールで開く。

十七日は文部科学省の金盛越哉初等中等教育局長が講演し、汚職事件を受け、出席者に注意を促す。十八日の分科会では教育委員会制度の在り方などとともに、今回の事件も議論する。

大分合同新聞 2008年7月17日

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県教委、信頼回復へ“厳正処分”

◆解説◆教員採用をめぐる汚職事件の発覚から一カ月を経て、県教委はようやく抜本的対策を打ち出した。疑惑が次々と浮上して県民世論がますます厳しくなり、県教委が主体的に厳しい対応を打ち出す必要に迫られたといえる。県政トップである広瀬勝貞知事の意向も働いたようだ。県政をチェックする県議会だが、一部議員が口利きに関与した疑惑も取りざたされており、対応が問われている。

県教委は今月上旬まで、試験の不正操作による合格者への対応について「採用取り消しは法的に難しいのではないか」(教育委員)と苦慮していた。だが、県教委をめぐる疑惑がさらに広がり、全国的に注目を集める中、「不正が確認されれば取り消し」と”厳正処分”に踏み切った。

広瀬知事は「県庁のいろんな人の知恵と力を借りて改革し、信頼回復に全力を注ぐ」と全庁的な対応の必要性を指摘。人事や行革に精通した総務部審議監を改革担当として送ったことに強い危機感が表れている。

事件は全国の教育行政や学校に影響を与えており、教育長を含む教育委員を任命する広瀬知事の責任は重い。対応策の発表を事件の幕引きではなく、真相解明と信頼回復への第一歩にしなければならない。

今回の問題で採用試験に対する県議の口利きが常態化していることも明るみに出た。県議会は六月定例議会で事件の真相究明と信頼回復に向けた取り組みの必要性を指摘したが、議員自身の問題については”沈黙”している。議員の中には「行政に対する『口利き防止条例』を検討してはどうか」との声も出ているが、現時点では大きな動きにはなっていない。中堅県議の一人は「議員に関する問題がこれだけ指摘されれば何らかの対応は必要。だが、警察の捜査を見極めた上でないと調子外れな対応になりかねない」と思いを打ち明ける。

県議らの行動に疑惑の目が向けられたままでは議会による追及はおぼつかない。これまでの捜査で浮かび上がった疑惑を「氷山の一角」とみる県民は多く、理解を得られる踏み込んだ対応が求められている。

大分合同新聞 2008年7月17日

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教育行政改革担当に照山氏

県教育行政の抜本的改革を進めるため県教委は十六日、教育行政改革担当の総務審議監に、県総務部審議監の照山龍治氏(56)を充てた。両審議監を併任する。

小矢文則県教育長が辞令を渡し、「長年にわたる人事行政の経験を生かし、教育行政の再生に力を貸してほしい」と要請。

照山氏は「大変な仕事だが、信頼回復に向けて全力で努力したい」と述べた。

照山氏は一九七五年県入り。総務部参事兼人事課長などを経て今年四月から現職。今後は県教委事務局に常駐する。

大分合同新聞 2008年7月16日夕刊

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再発防止で知事が指摘 組織を抜本改革

大分県教委の汚職事件について広瀬勝貞知事は十五日、大分合同新聞のインタビューに応じた。「県民に心からおわびする」とあらためて陳謝した上で、「問題に厳正に対処するとともに、信頼回復のため再発防止に全力を注ぐ」と説明。行政による原因調査と、採用試験と組織の見直しによる再発防止などの県教委の対応に全面的に協力し、教育行政への信頼回復に取り組む決意を強調した。

県教委は予算権などを除いて知事から独立した組織だが、知事は「(非常事態であり)県庁のいろんな人の知恵と力を借りて改革していくことが大切。信頼回復には時間がかかるかもしれないが、しっかり対処していく」と述べた。

事件への対応策として、県教委による独自調査と、その結果を受けた関係者の厳正な処分とともに、採用試験での得点の不正操作によって合格や不合格になった受験者への対応措置を明示する必要性を指摘した。

再発防止策としては▽採用試験と、疑惑が取りざたされている校長、教頭の任用試験の見直し▽県教委の組織の見直し▽職員の意識改革と綱紀粛正―を挙げた。

その上で知事は「特に今回の事件が”仲間うち”で起きたのが良くない。知事部局や学校現場との人事交流を進め、いろんな人の考え方を取り入れることが大切だ」として、組織の抜本的な見直しに踏み込む考えを示唆した。

小矢文則教育長の責任については「当面の問題に対処して二度と起きないようしてほしい。監督責任は本人が自覚している」とした。知事自身の採用試験に対する「口利き」の有無は「わたしはしたことはない」と否定した。

【知事と県教育委員会】 教育委員会は教育の政治的中立や教育行政の安定性維持などを目的に、県とは独立して設置している教育行政事務の管理執行機関。大分県教委には6人の委員がおり、県議会の同意を得て知事が任命する。委員長は委員が互選で決める。合議に基づいて職務を遂行するが、実務処理のため事務局があり、これを含めて県教委と呼んでいる。事務局のトップは教育長で委員の中から互選する。県教委は独立性が保障されているが、教育財産の取得、処分や教育委員会関係予算の執行権は知事が握っている。

大分合同新聞 2008年7月16日 09:45

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県教委方針 2人は懲戒免へ

大分県教委は十六日に臨時委員会を開き、今回の事件を踏まえた教育行政の抜本改革を打ち出す見通し。改革案には県教委による独自調査や外部との人事交流の促進などによる組織改革などが盛り込まれるもようだ。

 × × × 

臨時委員会では、県教委義務教育課参事の江藤勝由(52)=収賄容疑で再逮捕=と矢野哲郎(52)=贈賄容疑で再逮捕=の両容疑者の懲戒処分が提案される。認められれば懲戒免職になる見通し。二人は五日に起訴されている。

矢野容疑者は元佐伯市蒲江小校長、浅利幾美被告(52)=十五日付で懲戒免職=と共謀。採用試験で浅利被告の長男、長女に便宜を図ってもらった見返りとして、江藤容疑者に現金など四百万円相当を渡したとされる。

県教委は起訴事実を大筋で認めた浅利被告の処分を十一日に先行して決定。起訴猶予処分となったが贈賄容疑で再逮捕された、佐伯市重岡小教頭、矢野かおる容疑者(50)についても捜査の行方を見ながら処分を検討する方針。

●浅利被告を処分
県教委汚職事件で、子どもの教員採用試験に対する便宜の見返りにわいろを贈ったとして、贈賄の罪で起訴された蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)は十五日、懲戒免職となった。

同日午後、接見した弁護人が浅利被告に処分通知書と処分理由通知書を渡し、浅利被告から受領書を預かって、県教委に提出した。弁護人によると、浅利被告は「申し訳ない。教育現場が正常化することを望みます」と話したという。

大分合同新聞 2008年7月16日 09:48

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不正操作に厳正対応を 知事インタビュー

県教委汚職事件に関する広瀬勝貞知事のインタビュー要旨は次の通り。

―管理職任用試験の不正や県議ら有力者の「口利き」など、疑惑が際限なく広がり、県民の不安、不信が高まっている。

知事 これほどとは思わなかった。一番信頼性が求められる教育行政で問題が起こり、広がっていることは残念だ。信頼を損なってしまったことに心からおわびする。

―知事としてこの問題にどう取り組むか。

知事 県教委も一生懸命やっていると思うが、まずは目の前の問題にしっかり対処すべきだ。事態は動いているが、警察の捜査の一方で、行政としてどういうところに問題があり、背景は何だったのか(独自に)調査しないといけない。出直しには関係者の厳正な処分も求められる。不正な操作によって合格した人、落ちた人への措置を明らかにしなければならない。なかなか難しい問題だが、そこまでやらないと信頼回復につながらない。

―再発防止に向けた対応は。

知事 問題になった採用試験のやり方は変えることになった。校長、教頭の任用試験も間違っているなら、ただしていくべきだ。県教委の組織も根本的に見直さないといけない。事件が(教員出身者の)”仲間うち”で起きたのが問題だ。開かれた組織にしていくために、知事部局や学校現場との人事交流をさらに進める必要がある。職員には教育という大事な仕事をしている自覚と意識改革が求められる。時間はかかるかもしれないが、このようなことをしっかりやっていくことが大切だ。

―小矢文則教育長の責任をどう考えるか。

知事 (採用試験の合否を発表前に県議らに伝えたことは)適当ではなかったとは思うが、(法規や試験結果を)曲げるようなことはしていない。信頼回復のため当面の問題にきちんと対処して、二度と問題が起きない対策を取ってもらいたい。

―知事自身は採用試験について、知人などの依頼を受けて「口利き」をしたことはあるか。

知事 わたしに関してはない。県職員採用についてもない。

大分合同新聞 2008年7月16日 09:55

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県議らと次々“密会” 

県教委の元幹部は、周りの職員の目を避け、終業時間後に口利き依頼者との”密会”をしていたという=県教委

部下の目を避けて
「良心の呵責(かしゃく)はあった。それでも、県議などからお願いされたら、何とかしないわけにはいかなかった」

県教委汚職事件が、全国ニュースで繰り返し流れていた十日午後。一九九〇年代後半に県教委幹部を務めた男性は、何かを覚悟したように、これまで闇に葬られていた過去の実態を語り始めた。

「○○をよろしく頼む」。教員採用試験の時期になると、国会議員秘書、県議などが、次々と”合格依頼”に訪れた。部下の目を避けるため、会うのは決まって終業時間後。県庁舎内の一室での”密会”だった。受験者の氏名、受験番号、依頼元の人物を書き留めた。いつしか、手元には毎年十数人の「口利きリスト」が出来上がった。

「当たり前」の風習
「一次は実力だが、二次は調整できた」。二次試験の結果が出ると、教育長、教育次長(現・教育審議監)、担当課長らで合否について協議。ボーダーライン付近にいれば、合格点に達していなくても、不正操作で合格者リストに加えた。そして、正式な発表の約三十分前に、依頼元へ電話を入れた。

自宅には、ワイシャツの仕立券、酒、商品券…。中元や歳暮の名目で”お礼”が届いた。「通常の付き合いの範囲なら受け取った」。県教育界で脈々と続いてきた「当たり前」の風習に、染まってしまった。

県議らによる口利きはいまだに続いている。「(県教委幹部に)紹介することは当然ある」「誰でもやっている」「議員活動の一環だと考えている」「名前を書いたメモを渡し、合格した場合は早めに教えてもらえるよう頼んだ」「合否に影響するとは思っていない」。次々と証言する議員たち。

ある秘書は「支援者に頼まれれば断りにくい。たとえ合格できなくても、発表前に連絡すれば、『汗をかいた』と思ってもらえる」と解説する。

「こんな体質をつくったのは、不正を断ち切れなかったわれわれの責任でもある」。元県教委幹部の男性は疲れ切った表情でつぶやいた。

大分合同新聞 2008年7月16日 10:43

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浅利被告の子ども採用 国立大ルート存在か

二〇〇八年度の大分県小学校教員採用をめぐる汚職事件で、県内の国立大学法人(旧国立大学)の口利きルートが存在している疑いが強いことが十五日、分かった。この大学には、県教委ナンバー2の教育審議監を務めたことのある教授もいるが、教授は大分合同新聞の取材に「(口利きは)絶対にしていない」と否定している。

事件では、佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=十一日に懲戒免職処分が決定=が長男、長女の試験に際して便宜を図ってもらおうと、県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に現金など四百万円相当を渡したとして、贈賄罪で起訴された。長男、長女とも試験に合格している。

関係者によると、浅利被告は当初、江藤容疑者に長男の合格を依頼。江藤容疑者は口利きのあった受験者の便宜を図るため、成績一覧表を操作する際、長女には既に別ルートから依頼を受けたとみられる「印」があったという。

長女は大学で、この教授から教員採用試験の指導を受けたことがあり、大学ルートで合格への働き掛けがあった可能性が高いという。

江藤容疑者は「浅利被告の長女の成績はトップクラスだったので、得点の水増しはしていない」などと話しているらしい。

県警は口利きのあった受験者と依頼元に関する資料を押収しており、分析を進めている。

大分合同新聞 2008年7月15日 16:16

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合否情報 教育長ら事前に通知

二〇〇八年度の教員採用試験で、県教委の小矢文則教育長と小野二生教育審議監が、県議らからの依頼を受けてそれぞれ受験者数人の合否を発表の十―三十分前に電話で伝えていたことが十五日、分かった。二人は事前に伝えた事実は認めたが、「合否の操作はしていないし、金銭も受け取っていない」と話している。

文部科学省教職員課は「受験者や県民に不正への疑念を抱かせるような行為は慎むべきだ」と指摘している。

〇八年度の採用試験は昨年七―九月にかけて実施。合格発表は十月九日午前九時からで、県庁で掲示した。

小矢教育長は合格発表の約三十分前、小野審議監は十分ほど前に、それぞれ合否を伝えた。いずれも「合否の結果を教えてほしい」という依頼だったという。通知した受験生はほとんどが不合格だった。

事前に合否を伝えた理由について、小野審議監は「依頼してきた相手への義理を果たすつもりだった」と話している。

小矢教育長は「一般の受験者が待っている以上、きちんとすべきだった」と話している。

 × × × 

県教委には教育長の下に二人の審議監がいる。小野審議監は高校教育を担当。義務教育を担当するもう一人の審議監は、贈賄容疑で再逮捕された義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)の昇進に便宜を図った謝礼として二十万円相当の商品券を受け取った疑惑などが浮上しており、体調不良を理由に登庁していない。

大分合同新聞 2008年7月15日 16:18

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江藤容疑者 「07年度も指示された」

大分県教委の汚職事件で、収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)が、二〇〇七年度の小学校教員採用試験で、当時県教委ナンバー2の教育審議監だった二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=のほかに、当時の直属の上司に当たる義務教育課長で現在の教育審議監(60)からも、口利きがあった受験者を合格させるよう指示されたと関係者に話していることが十四日、分かった。

〇七年度試験は四百八十九人が受験、四十一人が合格した。この試験では、翌〇八年度を超える二十人以上の口利きがあったとされるが、二宮容疑者が指示していない名前も含まれていたといい、口利きを受けた別ルートの存在が指摘されていた。

関係者によると、江藤容疑者は、二人からの指示を受けたり、自分が直接依頼された受験者について、得点を水増しするなどデータを改ざんして合格させたという。

現在の教育審議監は、〇八年度試験でも口利きの”窓口”となり、対象受験者を合格させるよう、江藤容疑者に指示した疑いも持たれている。
 さらに、贈賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)の昇進に便宜を図った謝礼として、二十万円相当の商品券を受け取った疑惑も浮上しており、現在、体調不良を理由に登庁していない。

「教育長にばれぬよう」
二〇〇八年度の採用試験に関して、江藤容疑者は「教育長には(得点の不正操作が)ばれないようにした」と話していることが十四日、関係者の話で分かった。

当時の教育長は現在と同じ小矢文則教育長。知事部局の出身で、県教委の”生え抜き”ではない。

また、関係者によると、江藤容疑者は同年度の試験の二次試験後、口利きがあったが、あまりにも成績の悪かった四人の受験生については不合格にするよう上司に提案。だが、上司からの指示で、うち二人は合格させ、残る二人は不合格にしたとも話している。

さらに「全体の受験者のうち、一次試験で二百五十位以下の受験者は、口利きがあっても合格させない」との”独自のルール”を持っており、〇八年度に口利きがあった受験者はすべて一次試験で二百位以内だったという。

大分合同新聞 2008年7月15日 09:29

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暴かれた暗部@ 捜査幹部「ひどすぎる」

40人以上水増し
「あんまりだ、ひどすぎる」。二〇〇七、〇八年度の大分県小学校教員採用試験の採点データを目にした捜査幹部は、あまりの改ざんの多さに言葉を失った。そこには合格した八十二人のうち、四十人以上の点数を水増しした形跡が残っていた。

データは義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=から押収したパソコンに残っていた。江藤容疑者によって一度は削除されていたが、ハイテク犯罪に精通している県警にとって、復元するのに時間はかからなかった。教員採用をめぐる「コネとカネ」のうわさ。その一端が明るみに出た瞬間だった。

四百七十二人が受験し、四十一人が採用された〇八年度の試験。江藤容疑者が関係者に告白した不正の手口はこうだ。江藤容疑者は一次試験の終了後、採点結果を集計し、成績一覧表を作成。上層部に提出すると県議や市教委幹部らから口利きのあった受験者に「印」が付いて戻ってくる。「配慮しろ」のサインだ。これを基に「合格者リスト」を作ったという。

同年度の「印」組はおよそ二十人。一次・二次合わせ、千点満点の試験で百点以上、不正に加点された者もおり、「印」組のうち実力で合格したのはわずか四、五人。

一方で、合格ラインに達しながらも減点され、不合格となった受験者もいた。「加点ばかりすると、不自然に平均点が上がって怪しまれる」(江藤容疑者)という身勝手な理由からだった。

「憤りを感じる」
知らないうちに不当に未来を奪われた受験者もいることが分かった大分県の教員採用試験。臨時講師をしながら小学校教員を目指す男性は「言葉では言い表せない憤りを感じる。不正に合格し、何食わぬ顔で仕事をしている者がいるのは許せない」と話す。

「不合格になった受験者の救済をどう考えるのか」。九日にあった県議会の文教警察委員会。厳しく詰め寄る県議に、小矢文則県教育長は「捜査の行方を見極めた上で検討します」と弱々しく答えるだけだった。 

 × × × 

現職の小学校長や教頭、県教委幹部ら五人の逮捕者を出した県教委汚職事件。小学校教員だけでなく、中学、高校教員の採用、さらには昇任や人事に関する不正疑惑が次々と浮上している。事件が教育界に与えた”傷跡”はあまりにも深い。県教委は信頼回復への道筋を示すことができるのだろうか。  (4回続き)

「不正の真相究明を」 県PTA連が要望書
教員採用試験をめぐる汚職事件を受けて、県PTA連合会(池内晴一会長)は十四日、不正の実態調査と情報開示などを求める要望書を県教委に提出した。

要望書は同日午前に開いた緊急理事会で決定。汚職事件が与えた影響について「教育現場への不信感は計り知れない」と厳しく指摘。その上で(1)逮捕や起訴された犯罪以外の不正の構造、関係者数を精査し、情報を開示(2)保護者、子ども、教員間の疑念一掃へ向けた取り組み―などを要望した。

小矢文則県教育長は要望書を受け取り、事件を謝罪。「事実を徹底解明し、関係者は厳正に処罰する。今後も支援してほしい」と述べた。

池内会長は「佐伯市を中心に現場の混乱が広がっていると聞いている。県教委の体質自体を浄化しなければならない。真相を究明し、子どもの不安を取り除いてほしい」と話した。

校長ら不在の小学校 児童らに動揺も 普段通りの生活へ全力
佐伯市教委は十四日、県教委汚職事件で管理職が不在となって一カ月がたった小学校二校の談話を発表した。

浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=が校長を務めていた蒲江小学校は、岡田真幸教頭が「事件直後、やや暗い表情の子どもたちがいて心配した。教職員にも大きな動揺があった。教職員が一丸となって平常さを取り戻すことに努力し、新任校長を迎えるまで頑張っていきたい。子どもたちは徐々に落ち着きを見せつつある」。

矢野かおる容疑者(50)=贈賄容疑で再逮捕=が教頭の重岡小学校は、山城豊校長が「逮捕の報道は児童、教職員に大きな動揺を与えた。普段通りの学校生活を送れることを最優先し、教職員が協力して必死になって頑張っている。一学期がこのまま無事に終了することを切に願っている」とコメントした。

二校とも、地域で続く取材に関し「子どもたちに新たな動揺と不安感を生み出している」と指摘した。

新校長の早期就任要請
佐伯市教委は十四日、浅利被告の懲戒免職が決まり、校長が空席となった蒲江小学校に「できるだけ早く新任の校長を発令してほしい」と県教委に要請したことを明らかにした。同市の武田隆博教育長は「一学期終業式までに新任校長が就いてほしい」と話した。

県教委汚職事件の概要 
2008年度の小学校教員の採用試験に際し、佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=の長男、長女が合格するよう現金など400万円相当の授受があったとして、県教委義務教育課参事の江藤勝由(52)=収賄容疑で再逮捕、同、矢野哲郎(52)=贈賄容疑で再逮捕=両容疑者ら計4人を逮捕。

07年度の試験でも矢野容疑者の長女が合格するよう便宜を図ったとして、元県教委教育審議監の二宮政人容疑者(61)=収賄容疑=を逮捕した。

供述などから、佐伯市内の校長や教頭ら3人が昇任に関して商品券計110万円分の受け渡しがあったことや、現職の県教委教育審議監(60)が矢野容疑者から、昇進の謝礼として20万円分の商品券を受け取っていた疑惑が浮上。中学校や高校教員でも不正採用の話が持ち上がり、県教委OBらは県議など有力者による口利きが横行する教育界の実態を証言している。

大分合同新聞 2008年7月15日 09:57

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現審議官が指示 江藤容疑者「20人に印」

大分県教委の汚職事件で、収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)が、二〇〇八年度の小学校教員採用試験で、口利きの依頼を受けた約二十人について、上司で県教委ナンバー2の現教育審議監(60)から合格させるよう指示されたと関係者に話していることが十四日、分かった。

審議監は、贈賄容疑で再逮捕された同課参事、矢野哲郎容疑者(52)の昇進に便宜を図った謝礼として、二十万円相当の商品券を受け取った疑いが持たれており、現在、体調不良を理由に登庁していない。

〇八年度試験は四百七十二人が受験、四十一人が合格した。当時、同課人事班の総括だった江藤容疑者は、一次試験の採点結果を集計して成績一覧表を作成。審議監に提出すると、口利きなどによって合格を依頼されている受験者約二十人に「印」が付いた状態で、手元に戻ってきたという。

関係者によると、江藤容疑者は「印」の付いた受験者のうち、十人ほどについては合格ラインに達していなかったため、得点を水増しして不正合格させ、実力で合格ラインを超えた五人ほどは手を付けなかった。一次だけ加算して二次で加算せずに不合格としたのは二人ほどいたが、審議監は「何とかならないのか」などと話したらしい。

受験生の中には、本来は合格していたのに減点操作で不合格となった人もいたが、江藤容疑者は「本当にトップクラスの人は将来の県教委をしょって立つ人物なので、減点しなかった」と話しているという。

審議監は大分合同新聞社の取材に対し、得点の不正操作に関して「根も葉もないこと」と否定していた。

3校にカウンセラー
県教委は十四日、校長や教頭の不在が続く佐伯市内の小学校五校のうち三校に、臨床心理士をスクールカウンセラーとして派遣した。

事件発覚から一カ月が経過した子どもたちの様子について、同市の武田隆博教育長は「表面的には落ち着いているように見える。内面的な部分は分からないため、スクールカウンセラーの派遣で心のケアに努めたい」と話した。

大分合同新聞 2008年7月14日 13:21

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「仏壇に商品券供えた」…わいろ性認識か

大分県教委の汚職事件で、県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に、佐伯市内の校長と教頭の計三人が昇任に絡んで商品券を渡したとされる問題で、教頭らは商品券の授受に関し、「(江藤容疑者方の)仏壇に供えた」と関係者に話していることが十二日、分かった。三人は「昇任の謝礼だった」と説明しており、わいろ性を認識した上での行為とみられる。

三人は二〇〇八年度の校長、教頭の管理職任用試験を受け、いずれも昇任した。

関係者によると、江藤容疑者に商品券を渡したとされるのは五十代の女性校長と四十代の女性教頭、五十代の男性教頭。教頭二人は、異動内示前にそれぞれ二十五万円分を、県教委義務教育課参事の矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕=を通じて渡した。

さらに内示後の三月下旬、別府市内のホテルで江藤容疑者を囲む宴席が開かれたが、その前に、同市内の江藤容疑者方を訪ね、教頭二人はそれぞれ二十五万円分、校長は十万円分の商品券を仏壇に供える形で渡したという。

この宴席には矢野容疑者と妻で佐伯市重岡小学校教頭のかおる容疑者(50)=贈賄容疑で逮捕=、元佐伯市蒲江小学校長の浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴、懲戒免職=らも出席していた。

教頭ら三人は八日に佐伯署へ出向き、事情を説明。同日から休暇を取っている。

大分合同新聞 2008年7月13日 08:17

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あす発覚から1ヶ月 腐敗ぶり次々露呈

合格者の3割、調整できた 口利きは議員活動 「高校でも…」疑惑拡大
小学校教員の採用をめぐり、現職の小学校長や教頭、県教委幹部など五人が逮捕された汚職事件は、十四日で発覚から一カ月を迎える。捜査が進むにつれ、教員の昇任人事のほか、中学・高校教員の採用でも不正が横行する疑惑が浮上、さらに県議や教育幹部らによる口利きが常態化した「カネ、コネまみれ」の腐敗ぶりが見えてきた。

約半数が水増し
最初の舞台となったのが二〇〇八年度の小学校教員採用試験。元佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴、懲戒免職=が長男、長女を合格させようと、採用担当だった県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に金品計四百万円相当を贈ったとされる。

次の舞台は〇七年度試験。二人を仲介した同課参事、矢野哲郎(52)、妻の佐伯市重岡小学校教頭、矢野かおる(50)の両容疑者=いずれも贈賄容疑で再逮捕=も長女の合格の見返りに、江藤容疑者と、当時の県教委ナンバー2だった元教育審議監、二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=にそれぞれ百万円分の商品券を渡した疑いが持たれている。

両年度の試験では、江藤容疑者が県教委上層部の指示に従うなどして、複数のルートから口利きを受けた受験生らの試験結果を改ざん。合格者計八十二人のうち約半数は点数の水増しで合格し、逆に、合格ラインに達していたのに、不正に減点されて不合格になった受験者も多数いたという。

「組織的(犯罪)と言われても反論できない」。小矢文則県教育長は十一日の記者会見で深く頭を下げた。

現職が働き掛け
県教委をめぐる疑惑は教員人事にも”飛び火”。哲郎容疑者が今春の異動で佐伯市内の離島の小中学校長から同課参事に昇進するよう、県教委の現職幹部が市教委に異例の働き掛けをしていたことが判明した。幹部は異動内示後の今年三月、哲郎容疑者から商品券二十万円分を受け取ったとされ、現在は体調不良を理由に登庁していない。

さらに、佐伯市内の小学校の校長や教頭計三人が、自分たちの昇任に絡んで商品券計百十万円分を江藤容疑者に贈った疑惑も浮上。今月八日、三人が佐伯署に”出頭”して事情を説明する騒動に発展。三人はその後、学校を休み、同市では校長、教頭計五人が不在の異常事態が続いている。

「呵責あったが」
一方、複数の県議や、かつて採用や人事を担当していた元県教委幹部らが口利きの実態を次々に告白。「合格者の七―八割は試験の成績順で決めたが、残り二―三割は調整できた。県議などからお願いされたら配慮せざるを得ない。良心の呵(か)責(しゃく)はあったが、合格ラインより下でも、引き上げたことは度々ある」「小学校から中学、高校まで不正はあった」(いずれも元県教委幹部)「口利きは議員活動としてみんなやっている」(現職県議の一人)

哲郎容疑者は「わいろを贈らないと(長女が採用試験に)なかなか受からないと思った」と弁護人に明かし、口利きの常態化を認識した上で不正に手を染めたという。

大分合同新聞 2008年7月13日 08:17

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採用試験きょうリハーサル

教員採用試験に絡んだ汚職事件を受け、本年度から試験を共同実施することになった県教委と県人事委員会は十三日、入力や集計といった事務作業を円滑に進めるためにリハーサルを実施する。

リハーサルには県教委と人事委の入力や集計の責任者ら十数人が参加。人事委が行う採点結果のデータ入力などの作業を中心に実施方法を確認する。試験前には面接官となる人事委や県の職員の研修も行う。

本年度の採用試験(十九日から実施)の透明性を高めるため、県教委は事務作業を大幅に見直し、作業の多くを人事委職員が行うようになったことから、初めて事前練習を行うことになった。

採用試験を主管する県教委高校教育課の南雅量課長は「受験生が安心して力を発揮できるよう、すべての面を点検する。細心の注意を払い、ミスがないようにしたい」と話している。

大分合同新聞 2008年7月13日 08:18

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浅利被告を懲戒免職処分 県教委汚職事件

大分県教委は十一日、教員採用試験に絡む汚職事件の贈賄容疑で逮捕、起訴された佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=佐伯市常盤西町=を懲戒免職処分にしたと発表した。一連の汚職事件での処分者は初めて。小矢文則教育長は今回の汚職事件について、「担当参事と元教育審議監が逮捕されており、組織的(犯罪)と言われても反論できない」と述べた。同日の県教育委員会で決まった。

浅利被告は教員採用試験を受けた二人の子どもに便宜を図るよう、県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に依頼した起訴事実を大筋で認めているが、「(長男と一緒に合格した)長女の依頼はしていない」と話しているという。

小矢教育長は「教員にあるまじき行為。県民の信頼を著しく失墜させ、教員採用試験の受験生や児童の信頼を裏切った」とあらためて謝罪した。

浅利被告がこう留中のため、本人への処分交付は週明けになるという。蒲江小学校の後任校長も週明けに発令する。六月十四日に逮捕されたほかの三容疑者の処分について、小矢教育長は「接見できないため時期は明示できないが、厳正に処分する」と話した。

一方、便宜を受けて合格したり、減点されて不合格となった受験生への対応について、小矢教育長は「浅利被告の子どもも含め、事実関係を押さえてから検討する」と話すにとどめた。

「信頼回復に努める」佐伯市教委
佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)の懲戒免職処分を受け、同市の武田隆博教育長は十一日夜、「教育行政への信頼を損なう重大な事件を引き起こしたことを考えると、妥当な処分内容である」とのコメントを発表した。

また、「児童、生徒をはじめ保護者、市民の皆さまに深くおわびする」と謝罪し、「処分を真摯(しんし)に受け止め、佐伯市の教育の信頼回復に向けて全力で取り組む」と話した。

大分合同新聞 2008年7月12日 09:18

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疑惑の幹部「県に来てくれないか」

県教委汚職事件で、贈賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)が三月下旬、昇進の見返りとして上司の県教委幹部に二十万円分の商品券を渡したとされる問題で、矢野容疑者が「昨年末に、(この幹部から)県の方に来てくれないかと言われた」と関係者に話していることが十一日、分かった。矢野容疑者は周囲に「県教委に行きたい」と漏らしており、親交のあった同課参事の江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=が、この幹部に依頼したとみられる。

矢野容疑者は今春の異動で、佐伯市内の小中学校長から同課参事に昇進した。

複数の関係者によると、矢野容疑者は昨年十一月下旬、この幹部と江藤容疑者の二人に佐伯市内の料亭に呼ばれ、幹部から「県の方に来てくれないか」と言われたという。

矢野容疑者は「(県教委に)引き上げてもらえると思い、(その場で)『よろしくお願いします』と答えた」などと話しているらしい。

この幹部は昨年末と今年三月初旬の二回、佐伯市教委を直接訪ね、矢野容疑者が同課参事に昇進できるよう”異例”の働き掛けをしている。

さらに矢野容疑者は「内示後に幹部の自宅を訪ね、『県に上がったらよろしくお願いします』と言い、二十万円の商品券を渡した」とも話しているという。

この幹部は、「きちんと説明責任を果たす。十一日までに必ず話す」と七日夜の記者会見で述べていたが、八日午後に早退した後、休暇を取り続けている。

小矢文則県教育長は「本人は精神的、肉体的にかなり疲れているようだ」と話している。

委員長が交代
県教育委員会(波多野順代委員長)は十一日、任期満了(二十一日)に伴う後任の委員長に、麻生益直委員長職務代理=九重町、八鹿酒造社長=を選んだ。

委員長は教育委員会を代表し、会議を主宰する。任期は一年で、再任もできるが、慣例で一年交代が続いている。

教員採用試験をめぐる汚職事件や口利きが問題となる中、教育委員の存在意義も問われている。この時期の委員長交代について、波多野委員長は「(続投も含めて)委員間で議論した。教員出身のわたしより、民間の目で見てもらった方が新しい意見も出るのではないか。責任逃れをするつもりはまったくない」と話した。

大分合同新聞 2008年7月12日 11:03

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県議ら口利きの実態語る 紙袋の底に現金!

慌てて返した
「支持者から頼まれたら断れない」「江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=の備忘録(口利きメモ)には、わたしの名前が入っているかもしれない」―。教員採用をめぐる汚職事件で、合格を依頼する複数の口利きルートが浮上している。県議や県内の市教委幹部らが十日、その実態の一部を語った。

「県教育長に頼んだことがある」。こう証言した県議は、金品の授受を否定した上で「これぐらいは議員活動としてみんなやっている」と強調した。

「一次試験を通っていることが(口利きの)条件だった」。二次試験前、教育長に電話して直接依頼したり、不在の場合は秘書係を通すなどして受験番号を伝え「一次は通っているので、お願いします」とだけ要望。「そうですか。頑張るように言ってください」と返事を受けたという。

「口利きを頼むため、菓子箱入りの紙袋の底に二十―三十万円を潜ませて持ってきた人もいた。慌てて突き返した」

正規の合格発表の前日に県教委から「通りました」「(不合格で)すいませんでした」と伝えられたという。

「知人から頼まれた三人を当時、参事だった二宮さんに頼んだ」。市教委幹部は以前、元県教委教育審議監、二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=に電話で口利きした場面を振り返る。

「よろしくお願いします。無理はしないでください」と告げると、「分かりました」との返事。結果は発表直前に、二宮容疑者から電話で直接伝えられ、一人が合格し、二人が不合格。「無理したんじゃないですか」と尋ねたが、その点は何も答えなかったという。

県教委幹部は「金品の授受はなかった」としたが、「中元や歳暮の名目でお礼はきていた。二万円ぐらいの商品券がきたこともあったが、通常の付き合いとしての『お礼』の範囲なら受け取った」と話した。

「もう一度襟正そう」 佐伯市で定例校長会
佐伯市内のすべての小中学校長が集まる定例校長会が十日午後、市内の公民館であった。出席した四十一人に対し、武田隆博市教育長が「教職員が一丸となり、もう一度襟を正そう」と呼び掛けた。

市教委によると、県教委汚職事件にからみ校長らの不在が続く学校には指導主事を派遣。要請に応じて、カウンセラーとして臨床心理士の派遣も検討している。

贈賄の罪で起訴された同市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)については、「厳正な処分をお願いする」との市教委の考えを、同日付で県教委に伝えた。

矢野容疑者「すべて話す」
教員採用汚職事件をめぐり、贈賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事の矢野哲郎(52)と、妻で佐伯市内の小学校教頭の矢野かおる(50)の両容疑者が十日、接見した弁護人を通し「教職員に対する県民の信頼と、教え子たちの信頼を損ねた」と謝罪した。哲郎容疑者は「知っていることはすべて捜査機関に話し、事件の解明をお願いする」と話しているという。

調べでは、矢野容疑者夫婦は二〇〇七年度の小学校教員採用試験に絡み、長女の合格に便宜を図ってもらった見返りとして、〇六年九―十月に、元県教委参事兼教育審議監で由布市教育長の二宮政人(61)と、県教委義務教育課参事の江藤勝由(52)の両容疑者に、それぞれ金券百万円分ずつを贈った疑い。

大分市内で会見した弁護人によると、哲郎容疑者は「採用にはカネが動くといううわさを聞いていた。審議監の二宮容疑者にわいろを渡せば何とかしてもらえると思った。そういうことをしないと、なかなか受からないと思った」と話しているという。関係者によると、哲郎容疑者は佐伯市内の男性教頭の仲介で二宮容疑者と知り合い、大分市内の飲食店で二回に分け、わいろを渡したらしい。

矢野容疑者夫婦は十日付で県教委に辞職届を提出したが、県教委は懲戒処分の可能性があるため、受理していない。二人には、六月三十日付で夏のボーナス(支給割合は二・一五カ月分)が支給されている。

大分合同新聞 2008年7月11日 11:55

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口利きが常態化 10年以上前から 県教委元幹部証言

大分県の教員採用に絡む汚職事件で、口利きによる合格者の不正操作が、少なくとも十年以上前から横行していたことが十日、分かった。当時の県教委幹部は「コネは確かにあった。われわれの時期にきちんとしておかなければならなかった。責任を感じている」と証言した。

元幹部は教職員第一課(現・義務教育課)などを経て、五年ほど前に退職。当時は、県議や国会議員の秘書、市町村教委の教育長、体育協会などから、多い年で十数人分の口利き依頼があったという。教職員組合からの依頼もあり、一人で四、五人分のリストを持ってくる議員もいたらしい。

依頼を受けると、受験生の氏名や受験番号、依頼元を書いた「口利きリスト」を作成し、七、八割は成績順に採用。点数が似通う残りの二、三割は、合格ラインより下でも、口利きで頼まれた受験生を引き上げたりしたという。

「臨時講師としての経験や男女比に配慮したり、依頼のあった受験者が合格者リストに入るよう、手を加えたことは度々あった。良心の呵責(かしゃく)はあった。部下から『何でそんなに引き上げるのか』と疑問の声が上がったこともある」と元幹部。

依頼のあった受験者が全員合格するわけではなく、依頼元の県議らに何年も続けて「駄目でした」と断ることがあり「口利きなどなければいいのにと、ずっと嫌に思っていた」と話す。

今回問題となっている小学校、中学校の教員のほか、より競争倍率の激しい高校教員の採用試験でも同様に口利きは常態化していたという。

大分合同新聞 2008年7月11日 09:34

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新人教諭が胸の内 気になる周囲の視線

二〇〇七、〇八年度の合格者のうち、およそ半数がわいろや口利きによる”不正合格”だったとされる小学校の教員採用汚職事件。「不正採用だと思われるのは嫌だ」「頑張ってやっと合格したのに、本当に実力だったのか」―。今春から教壇に立っている新人教諭たちの胸中に、不安とやり切れなさが交錯する。

臨時講師を続けながら八回目の挑戦で関門を突破し、〇八年度の小学校教員採用試験で合格した二十代後半の女性教諭。誇りを胸に仕事に励んでいた。事件が起こり、保護者ら周囲の視線が気になる。「不正採用だと見られていないだろうか」

逮捕された浅利幾美被告(52)や矢野哲郎(52)、矢野かおる(50)両容疑者の子どもたちは、事件が発覚するまで、自分の親がわいろを使ったことを知らなかったとされる。

女性教諭は「誰が正しい合格者で、誰が違うのか確かめようもない。わいろなんて渡していないし、頑張って合格したと思っている。でも、何だか自信がなくなってくる。身の潔白を証明したい」。別の女性教諭は、過去に一点足りずに不合格になった悔しい思い出がある。「もっと早く合格できたのかもしれない。子育てで受験をあきらめた仲間もいる。(不正は)絶対に許せない」と唇をかむ。

教育界全体が不信の目で見られる中、小学三年生の担任を務める二十代前半の男性教諭は「ずるい事をしてはいけない、と子どもに諭しても説得力がない」と悩む。「自分たちを含めて公正な形で試験をやり直さないと、本当の信頼は取り戻せないのではないか。子どもたちにも申し訳ない」と話した。

大分合同新聞 2008年7月11日 13:49

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市教委幹部、県議も口利き 県教委汚職事件

大分県の教員採用汚職事件で、二〇〇七、〇八年度の採用試験に、合格、採用を依頼する”口利きルート”が複数、存在していたことが九日、関係者の話で分かった。依頼の”窓口”は県教委幹部のほか、県議や県内の市教委幹部、教職者などに及んでおり、採用試験の狭き門に群がる複雑化した不正の構図が浮上している。

関係者によると、両年度の小学校教員採用試験では、合格した八十二人のうち、半数以上が、県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=らによるデータ改ざんで不正に合格したとみられている。

口利きなどによって不正工作を依頼されていた多くの受験生の得点を加点する一方、依頼がなかった受験生の一部は減点。これにより、〇八年度では、本来、合格したはずの十人ほどが不合格となり、うち八割は減点の操作を受けたという。

一連の事件に絡み、県警は江藤容疑者の職場や自宅などを家宅捜索して、関係資料を押収。関係者によると、押収物の中には、採用試験に関し、合格工作を依頼された受験生と、その依頼元が書かれた資料があったらしい。逮捕された容疑者の一人は「県議や県教育委員、県幹部が依頼元になっていたルートがあるとも聞いている」と話しているという。

ある県議は「支援者からの依頼で、県教委幹部に”推薦”したことはある。合格した者もいるが、先生になることができなかった者もいる。金品の授受は一切ない」と話している。

大分合同新聞 2008年7月10日 09:33

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浅利被告あすにも懲戒処分 県教委汚職事件

県教委の小矢文則教育長は九日、教員採用汚職事件で贈賄の罪で起訴された佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=佐伯市常盤西町=について、「本人と接見し、起訴事実を大筋で認めた」と明らかにした。早ければ、十一日に開く予定の県教育委員会で懲戒処分を決める方針。

県教委によると、贈収賄容疑で六月十四日に逮捕された四人とは接見禁止が続いていたが、同日午前、浅利被告のみ接見が許可された。県教委と佐伯市教委の職員三人が面会したところ、浅利被告は泣きながら謝罪したという。

小矢教育長は「(再逮捕された)ほかの三人を待っていては遅くなる。委員会で処分を議論する」と話している。

任用試験も見直しへ 県教委方針
県内の小学校の校長や教頭の管理職任用試験をめぐり、昇任に関する便宜の見返りとして金券の授受があったとする疑惑が浮上しているため、県教委は九日、任用試験の仕組みを見直す意向を明らかにした。

同日開かれた県議会文教警察委員会で報告した。見直しの具体的な内容は決まっていないが、秋以降に行われる任用試験から適用する方針。

任用試験では、市町村教委が受験者を推薦するシステムになっていることから、県教委は「どのような見直しができるか、市町村教委とも相談する」とした。

汚職事件を受けて見直した教員採用試験の実施方法も報告。教育委員の役割を明確化させるため、小矢文則教育長を除く五人の委員が学力向上やスポーツといった担当分野を持つ制度を設ける意向を示した。

議員からは、汚職事件での逮捕者や試験をめぐる疑惑報道が相次ぐことに「(捜査とは別に)教委の中でも解明すべきだ」と内部調査を求める意見が出た。

二宮容疑者が辞職願を提出 由布市は受理せず
教員採用試験をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された元県教委教育審議監で由布市教育長の二宮政人容疑者(61)は九日午後、弁護士を通して、首藤奉文市長と市教委にそれぞれ「辞職願」を提出した。だが同市は既に二宮容疑者を処分・罷免する方向で検討に入っているため、受理していない。

辞職願は同日付。市教委などによると、「このたびの事件により、由布市教育長を辞職したい」という内容。また、弁護士を通して「市に大変な迷惑をお掛けしました」などと伝えたという。

教育長は市教育委員会(五人)の互選で決められる。市と市教委は現在、二宮容疑者の処分・罷免に必要な手続きや法的根拠などについて、庁内で協議を重ねている。

辞職願の提出を受け、首藤市長は同日夜、「市議会や県と十分に協議し、最終的な取り扱いを判断したい」と話した。

佐伯市の小学校 校長と教頭 5人が欠勤
佐伯市教委によると、八日に佐伯署で、県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に金券を渡した事情を説明した佐伯市内の校長と教頭合わせて三人は九日、欠勤した。それぞれ勤務先に休むことを連絡。警察に事情は聴かれていないという。

校長の小学校には市教委から指導主事一人を派遣。学校運営の支援などを目的に一週間ほど活動する。

市教委には教員採用のシステムへの質問や抗議の電話が寄せられている。三人の学校の保護者に対する説明は「今後、考えなければいけない」と言うまでにとどめた。

市内の小学校の校長と教頭合わせて五人が欠勤する事態になり、武田隆博教育長らは「今いる職員で対応していくしかない」と話した。

「子どもへの影響心配」佐伯市民
教員採用試験をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で小学校の校長と教頭が逮捕された佐伯市。八日は市内の小学校の校長と教頭の計三人が佐伯署に事情説明に出向いた。「子どもに影響が出ないだろうか」。市民から懸念の声が出ている。

市PTA連合会の梅田一弘会長は、事件発覚後に市内のある小学校で起きた話を聞いて驚いた。児童が担任教諭に、悪気はなく「先生、お金出したん?」と聞いたという。

「子どもたちが成長したとき、不良行為を『先生もやったじゃないか』と感じる―というカウンセラーの話も聞く。影響が残らないか気掛かりだ」と梅田会長。同市内の会社員女性(32)も「教育現場で問題が起こると、子どもに悪影響を与えかねない」と心配する。

八日夜の同連合会常任委員会には、市内の小中学校PTA会長約四十人が参加。管理職不在となった学校の人員補充を心配する声も上がったという。西嶋泰義市長は「影響が出ないよう、きちんと対応しなくてはならない」と話した。

大分合同新聞 2008年7月10日 09:35

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中学校教員採用も不正か 県教委汚職事件

小学校の教員採用試験をめぐる汚職事件で、収賄容疑で再逮捕された大分県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)が「二〇〇七、〇八年度の中学校教員の採用試験でも受験者の成績データを改ざんした」と関係者に話していることが八日、分かった。江藤容疑者は県教委上層部の意向を受けるなどして、両年度の小学校教員の採用試験で、半数を上回る計四十人以上の成績データを改ざんしたとみられている。不正に合格させた教員はさらに広まる様相を呈している。

関係者によると、中学校の採用試験については「金品授受はない」と話し、いずれも口利きによる依頼だったらしい。改ざんした受験生の人数については「覚えていない」と答えたという。

江藤容疑者は〇八年度の小学校教員採用試験では、口利きなどによって依頼された受験生の点数を加点。平均点が極端に上がるのを防ぐため、依頼を受けていないうちの約八割の受験生の得点を減点したという。中学校でも同様の手口だったらしい。

中学校の教員採用試験の競争倍率は〇七年度が十六・五倍、〇八年度は十七・三倍。小学校の各年度が十一・九倍、十一・五倍だった以上に”狭き門”だった。

江藤容疑者は大分、別府市の小学校教諭を経て二〇〇三年四月に県教委教職員第一課(当時)人事係の副主幹となり、〇八年四月から現職。「(不正合格の)うわさは聞いていたが、(人事関係の担当になって)本当だったんだと思った」と話しているといい、不正行為は以前から行われていたとみられる。

宴席で金券受け渡しか 「事情説明」の3人
二〇〇八年度の校長、教頭の管理職任用試験に関する便宜の見返りなどとして、江藤容疑者に金券を渡したとされ、八日朝に佐伯署へ出向いた佐伯市内の校長と教頭計三人は同日深夜、同署を出た。三人は警察に事実関係を説明したとみられる。三人は七日夜、「自分たちの行動についてきちんと説明したい」と佐伯市教委に連絡。八日は武田隆博教育長らに付き添われ同署に行った。

佐伯市教委などによると、五十代の女性校長は金券十万円分、四十代の女性教頭と五十代の男性教頭はそれぞれ金券五十万円分を渡したという。教頭二人は「(自分の)昇進に関する便宜の見返りだった」、校長は「(課長補佐から参事に昇進した)江藤容疑者の昇進祝いだった」と説明したらしい。

関係者の話では、受け渡しは、異動内示後の今年三月下旬、別府市内のホテルであった江藤容疑者を囲む宴席だったとみられる。

宴席には三人を江藤容疑者に紹介した県教委義務教育課参事の矢野哲郎容疑者(52)夫婦や、二人の子どもの合格の見返りとして、江藤容疑者に現金など四百万円相当を贈り、贈賄罪で起訴された佐伯市の小学校長、浅利幾美被告(52)も同席していたらしい。

大分合同新聞 2008年7月9日 09:31

県教組が県教委に抗議 県教委汚職事件

県教職員組合(県教組・森政文委員長)は八日、県教委汚職事件について、不正に対する抗議文を県教委に提出した。

森委員長らが「現場で頑張っている教職員が日々つらい思いをしており、怒りの声が組合に届いている」と抗議。

小矢文則教育長は「教育に対する県民の信頼を大きく裏切り、多くの教職員にも説明のつかない事態となり申し訳ない。試験制度は抜本的に見直したが、幹部職員の倫理観を徹底するため、今後研修を重ねていく」と答えた。

大分合同新聞 2008年07月09日 12:08

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全国学力調査結果開示へ 市町村・学校別は全国初

文科省が昨年度から実施した全国学力・学習状況調査結果(市町村別・学校別)に対する鳥取県教委の非開示決定について、県情報公開審議会は八日、決定の取り消しを求める異議申し立てを認める答申を出した。中永広樹県教育長は答申を尊重する意向で、開示が決定されれば全国初という。

全国学力調査は昨年四月、小学六年と中学三年を対象に国語と算数・数学が実施された。文科省が公表するのは▽国全体▽都道府県ごと▽市と町村など地域の規模に応じたまとまり−の結果(得点)のみ。文科省は序列化や過度な競争が生まれることを理由に非公表を通達していた。

これに対し、鳥取県では昨秋、市町村・学校別の調査結果の開示請求があったが、県教委は非開示を決定。異議申し立てがあったことから今年一月に同審議会に諮問され、公文書の原則公開を義務付けた県情報公開条例との整合性などが審議されていた。

県教委は県条例が非開示条件としている「国の事務事業に支障を及ぼす恐れ」を根拠としたが、審議会は、県独自の基礎学力調査で結果が公表されても序列化などの問題が生じていないことから「該当しない」と判断。「児童または生徒数が十一人以上の学級の調査結果は開示」という県条例の基準に沿った開示を求めた。

県教委は答申を受けて、十五日の定例教育委員会で方針を協議する。中永教育長は「答申は尊重する方向で検討する。情報公開は大切という認識はあるが、意外な内容だった」と戸惑いを隠せない。文科省初等中等教育局は「非開示に反する対応が取られると、調査の実施方法に対する信頼が失われる恐れがある」と懸念を示している。

日本海新聞 2008年7月9日

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校長試験でも便宜か 金券を贈った疑い

大分県の教員採用をめぐる汚職事件で収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)に、佐伯市内の小学校の校長や教頭計三人が二〇〇八年度の校長、教頭の管理職任用試験に関する便宜の見返りとして、それぞれ二十万円―五十万円分の金券を渡していた疑惑が浮上。三人が八日朝、佐伯署に出向き、事情を説明していることが分かった。

関係者によると、三人は今年になって、元佐伯市内の校長で県教委義務教育課参事の矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕=の紹介で、五十代の女性校長が金券二十万円分、四十代の女性教頭と五十代の男性教頭が、それぞれ金券五十万円分を江藤容疑者に渡したという。

〇八年度の小学校管理職任用試験は、校長が今年一月中旬に一次の筆記と論文、同月下旬の二次で面接を実施。二百十八人が受験し、五十二人が採用された。一方、教頭は昨年十一月に一次、十二月に二次の面接があり、三百三人の受験者に対し、四十六人が昇任した。

江藤容疑者は任用試験の責任者であり、教頭一次試験のデータ入力を一人で担当していたほか、校長一次試験の論文を一人で採点していたという。

三人に同行した佐伯市教委の武田隆博教育長は「三人から昨晩、『警察に行って自分の行動について正直に話したい』と相談を受けた」と話した。

「仕事熱心だった」勤務先の小学校
女性校長が勤務している小学校には、朝方、佐伯市教育委員会から「今日は校長は休む」という連絡があっただけ。同校の教職員は「詳しいことは分からない」と戸惑いを見せた。

女性教頭が勤務していた小学校の校長は「前日の夜遅くに連絡があり『本当に申し訳ない。迷惑を掛けた』と落ち込んだ様子で話した。子ども好きで、仕事熱心で、本当にいい先生なのに」と語った。

男性教頭の勤務先の学校長も昨晩、初めて事件について聞いたという。「(一連の贈収賄事件が起きた後も)様子がおかしいこともなく、普段通りに勤務していた。今後の対応は市教委からの連絡を待ちたい」とした。

いずれの小学校も現在まで、今回の件について、子どもたちには説明しておらず、学校現場に混乱はないという。

大分合同新聞 2008年7月8日 14:09

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依頼受けた受験者でも 圧力の差で合否

県教員採用をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕、起訴された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)が、二〇〇八年度の小学校教員採用試験で不正工作を依頼されたうち、似たような成績の受験者でも「圧力の差」で合否を分けていたとみられることが七日、関係者の話で分かった。

関係者によると、〇八年度採用試験の最低合格ラインは約六百二十点(千点満点)。上層部から不正工作を依頼された約二十人のうち、合格ラインを大きく下回る四百点台後半だった二人ほどについては、最大で百数十点の加点をしていた。

同じく依頼を受けた人物のうち、四百点台後半には二人ほどいたが、こちらは一次試験のみ加点し、結局不合格とした。

合否が分かれたのは、外部から県教委を通じて現場に寄せられる圧力の差で、依頼元の人物の有力度によって「この人から頼まれたからには、加点せざるを得ない」などと判断したらしい。

江藤容疑者が同年度の採用試験で不正工作の依頼を受けた約二十人のうち、一、二次試験で加点したのは十五人ほど。残りの四、五人は実力で合格したという。

大分合同新聞 2008年7月8日 09:56

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矢野容疑者の昇進 県教委幹部 働きかけ

教員採用をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)が今春の異動で佐伯市内の小中学校長から同課参事に昇進するよう、県教委の現職幹部の一人が佐伯市教委に働き掛けをしていたことが七日、分かった。

関係者によると、幹部は昨年十一月下旬から十二月上旬の間、佐伯市教委を訪ね「来年は参事ポストが空く。校長級で、指導力がある人がいい」と持ち掛けた。その席で、矢野容疑者の名前を挙げたという。さらに異動内示前の今年三月初旬にも、再び佐伯市教委を訪ね「矢野さんをお願いできないか」と求めたらしい。

幹部は取材に「(収賄容疑で再逮捕された同課参事の)江藤勝由容疑者(52)から強く頼まれたので、働き掛けをした」と関与を認めている。幹部はこの異動に絡み、内示後、矢野容疑者から二十万円の金券を受け取った疑いが浮上しているが、「しかるべき時期に説明する」と明言を避けている。

矢野容疑者は佐伯市の小中学校長から一年で県教委に異動しており、教育関係者は「この若さで”引き上げられる”のは異例」と指摘している。

二宮容疑者が辞任意向 由布市は拒否の方針 退職金がらみで
教員採用試験に絡み収賄容疑で逮捕された元県教委教育審議監で由布市教育長の二宮政人容疑者(61)は「ご迷惑をお掛けした」として、市教育長を辞任する意向を示していることが七日、分かった。ただ、市は「大きな混乱を招いた責任は重い。辞職扱いにすれば退職金が発生する」として、辞職願が提出されても受理しない方針。

市は今後、法規面などについて県などと協議する。

特別職の市教育長として懲戒処分した上で、市教育委員を罷免する方向で検討に入っている。

関係者によると、二宮容疑者は、贈賄容疑で再逮捕されている県教委義務教育課参事の矢野哲郎容疑者(52)夫婦の子どもの採用試験に便宜を図った謝礼として、二〇〇六年九月と十月の二回、大分市内で矢野哲郎容疑者から金券五十万円分ずつを受け取ったとされ、「受け取った金券はすべて使い切った」と話しているらしい。

大分合同新聞 2008年7月8日 09:46

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何度も挑戦…受験者「許せぬ」教員採用汚職

二〇〇七、〇八両年度の小学校教員採用試験で、合格者の半数以上が”不正合格”だったことが六日、明るみに出た。合格の実力があった人たちの輝くはずだった未来は、本人が気付かないまま不当に奪われた。「許せない」。教員を志し、何年も試験に挑戦してきた人から怒りの声が上がっている。

大分市内の小学校で臨時講師として勤務し、数年前から採用試験に挑む男性。点数を減点されて不合格になった事例もあると聞き、「子どもを育てながら一生懸命に挑戦する人もいる。受験者の人生を何だと思っているのか」。

県教委によると、受験者が申請すれば試験結果は開示される。この男性は以前から「二次試験(模擬授業や面接など)の点が不自然に低い」と感じていた。不合格の人たちと結果を確認しあうと、二次の得点はみんなほぼ同じだったという。「面接の評価基準を明確にするなど、(採用試験を)変えてほしい」。

教員を目指す大分市の別の三十代男性も「(不正採用は)長年言われてきたこと。ウミを出し切ってほしい」と訴えた。

学校に子どもを預ける保護者にも不信感が広がる。小学二年生の子どもがいる大分市内の男性(44)は「食の安全や年金など当たり前のことが守られなくなっている世の中だが、まさか先生の世界までもという感じ」。妻(37)も「県教委は公のために働いているのではないのか」と語気を強めた。

「聞いた事ない規模」文科省
文部科学省教職員課は「ここまでの規模の不正合格があったとは、これまで聞いた事がない。組織的だったのか」とした上で「試験制度自体は全国であまり変わりはないので、運用に問題があったのではないか」と話している。

不正合格者の採用取り消しや、本来は合格するはずだったのに減点など試験結果の改ざんで不合格になった人への救済措置については「事実関係が明らかになってから、県教委で判断してもらう」としている。

「襟をただして由布市を再建」臨時議会で市長
由布市の首藤奉文市長は七日、臨時市議会で市教育長の二宮政人容疑者(61)が収賄容疑で逮捕されたことを報告。「副市長、教育長を欠く非常事態となった。襟(えり)をただし、一連の事件を教訓に市の再建に全力を挙げたい」と決意を示した。

首藤市長は報道陣の質問に、「市として(二宮容疑者の)弁護士と連絡を取り、早いうちに本人と接見して逮捕事実や辞職の意思などを確認したい」と述べた。

大分合同新聞 2008年7月7日 14:38

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採用試験見直し 入力、集計人事委へ 

大分県教育委員会は七日、教員採用汚職事件を受けて見直し作業を進めていた教員採用試験の改善内容を発表した。十九日から始まる二〇〇九年度試験は、県教委と、県職員の採用を行う県人事委員会が共同で実施することが新たに決まり、改ざんが指摘されている得点などのデータ入力や集計作業はすべて人事委が行うなど、県教委の関与を大きく削った。

データ管理、整理番号で
試験の事務作業はこれまで、一部問題作成などを除き、県教委職員が担当していた。新方式では、試験を第三者機関の人事委と共同で行い、面接や採点に県職員も加わる。「今後も人事委との共同実施は変えない」(県教委)としている。

事務作業段階でのデータ改ざんといった不正を防ぐため(1)採点は県教委職員と、人事委、知事部局の職員がペアで行う(2)成績の入力や集計作業はすべて人事委がする(3)採点や面接時に受験者の氏名、受験番号を隠す―などで透明性を確保する。

人事委は一次、二次試験のデータ集計後、受験者全員に無作為の数字(整理番号)を割り振り、個人名と受験番号が特定できない成績一覧表を作成。それを基に教育委員による選考委員会が合格者を決める。教委内部で受験者の氏名、受験番号、整理番号のすべてがそろうのは、教育長の決裁後になる。

新方式により、一次、二次試験の合格者原案を取りまとめていた教委人事班の職務権限は大幅に縮小。受験番号や氏名などのデータ管理も課長が指紋認証機能付きの専用パソコンで行う。

同日開かれた教育委員会で改善案が了承された後、会見した小矢文則教育長は「二度と不正を起こさせないため、ぎりぎりのところまで見直した」と話した。

大分合同新聞 2008年7月8日 09:37

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“合格”の10人不合格に 教員採用汚職

コネ、カネなしなら減点も―。教員採用試験をめぐる汚職事件の捜査が進むにつれ、試験制度が完全に形骸(けいがい)化し、口利きとわいろにむしばまれていた実態が明らかになってきた。

関係者によると、直近の二〇〇八年度の小学校教員採用試験における不正の手口はこうだ。

当時、県教委義務教育課の人事班の総括だった江藤勝由容疑者(52)は一次試験の終了後、採点結果を集計した成績一覧表を作成。これを上層部に提出すると、口利きなどによって、不正工作を依頼されている受験生に「印」が付き、江藤容疑者の手元に一覧表が戻ってくる。

同年度、不正工作を依頼されていたのは二十人前後。江藤容疑者は「印」が付いた人物の得点を加点し、合格できるよう便宜を図っていたという。

一次、二次の両試験でそれぞれ十五人ほどが加点を受けたとみられる。特に、試験の出来が悪かった数人は一次、二次の両試験で加点を受けた。江藤容疑者は「加点によって、実際には合格していたはずの十人ほどを不合格にした」と話しているらしい。

改ざんはこれだけにとどまらない。「加点ばかりすると、不自然に平均点が上がり、怪しまれる」として、依頼を受けていない受験者の得点を減点したケースもある。このような巧妙な手法がいつごろから行われていたのか、捜査機関は強い関心を寄せている。

前年度の試験でも同じような構図で不正が行われた可能性が高く、この試験をめぐり収賄容疑で逮捕された当時の県教委参事兼教育審議監で由布市教育長の二宮政人容疑者(61)は、江藤容疑者に十数人の具体的な名前を挙げ、合格させるよう指示したという。試験は一次、二次合わせて千点満点で、五十点以上の水増しを受けた受験生もおり、江藤容疑者は「(指示があれば)零点(の項目)でも加点した」と話しているという。

関係者は「何でもあり。めちゃくちゃだ。試験制度が全く機能していない」と憤る。江藤容疑者が作成した〇八年度試験の成績一覧表をチェックする立場にあった三人の上司は「全く聞いたことのない話だ」と、いずれも関与を否定している。

由布市の教育長室など捜索

県警捜査二課と大分中央、佐伯両署の合同捜査本部は六日、捜査員約二十五人を動員し、県教委の教育審議監室や由布市の教育長室などを家宅捜索した。

午前十時ごろ捜査員が到着。机やパソコンのデータなどを調べ、関係資料を押収した。

大分合同新聞 2008年7月7日 10:19

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合格者の半数加点 教員採用汚職事件

大分県の教員採用をめぐる汚職事件で、二〇〇七、〇八年度の小学校教員採用試験に合格した八十二人のうち、四十人以上が、点数を水増しして改ざんされた試験結果に基づき合格していたことが六日、関係者の話で分かった。逆に、実際は合格ラインに達していたほかの受験者が、点数を減点されて不合格になったケースもあるという。教職のいすをめぐる大規模な不正行為が、県教委上層部も含め組織的に繰り返された疑いが濃厚になった。

教員採用をめぐっては、以前から「コネとカネが物を言う」とのうわさが絶えず、関係者は「県教委の腐敗の実態を裏付けるもの。大分ではこれまで、口利きやわいろを介して相当数の教員が不正採用された可能性が高い」と指摘している。

県教委によると、〇七年度の採用試験は四百八十九人が受験し、四十一人が合格。競争倍率は十一・九倍だった。〇八年度は四百七十二人が受験し、四十一人が合格。倍率は十一・五倍だった。

関係者の話では、改ざんデータで合格したのは、〇七、〇八年度とも、全合格者の約半数かそれ以上という。収賄容疑で逮捕、起訴された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)らが、口利きを依頼された受験者の点数について、実際は合格ラインに届かなくても、一次、二次の各段階で加点したり、本来は合格するはずの受験者の点数を減点するなどの操作をしたらしい。

口利きの依頼は毎年、県教委関係者に多く寄せられるといい、依頼元は、教職者のほか、政治家などの”有力者”も含まれていたという。

一連の事件では、ほかに当時の県教委参事兼教育審議監で由布市教育長、二宮政人容疑者(61)が収賄容疑で逮捕された。贈賄容疑でも小学校長ら三人が逮捕、うち二人が起訴されている。

大分合同新聞 2008年7月7日 09:18

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由布市議会が緊急の全員協

二宮容疑者の逮捕を受け、由布市議会は五日午後、緊急の全員協議会を開いた。

市議や市教委幹部らが出席し、非公開で行われた。首藤奉文市長が同日午前の緊急部課長会議で、市民の信頼回復に全力で努めるよう指示したことを説明したという。

終了後、三重野精二議長は「教育長の不祥事は誠に遺憾。再発を防ぎ、市民の不安を取り除くためにも、審議機関である市議会も後任の人選に関与することを検討したい」と述べた。

大分合同新聞 2008年7月6日 07:21

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由布市異例の“特別職不在”

由布市教育長の二宮容疑者の逮捕により、同市は副市長、教育長の特別職二人が同時に不在となる異例の事態となった。

同市では六月二十七日、秋吉洋一副市長が公務中の交通事故で亡くなる不幸に見舞われたばかり。首藤奉文市長は五日、憔悴(しょうすい)した表情で「わたしが(特別職の分まで)何事もこなし、市政への影響を抑えたい」と語った。

同市の教育行政は現在、由布高校の再編問題が正念場を迎えている。市教委は連携型中高一貫教育の導入による学校存続を最重要課題に掲げ、専門部署を新設するなど独自の取り組みを展開。

教育長の逮捕は、市教委が目指す進学熱の高まりに水を差しかねない。

首藤市長は「今回の問題が教育全般に悪印象を与えるのは事実だが、将来を担う子どもたちの教育とは切り離して考えてもらいたい」と力を込めた。

同市では六月に入り、職員による公金横領、扶養手当の過払いといった不祥事が相次いで発覚。

幹部職員の一人は「なぜ暗いニュースばかり悪循環のように続くのか」と頭を抱えた。

大分合同新聞 2008年7月6日 07:21

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県教育長「県民におわび」あす事務見直し案

「独自調査は限界ある」
教育界の腐敗はどこまで進んでいるのか。教員採用試験をめぐる汚職事件は、二〇〇八年度試験に続き、〇七年度の試験に関しても、わいろの授受があったことが判明。当時、県教委参事兼教育審議監だった由布市教育長の二宮政人容疑者(61)らが贈収賄の疑いで逮捕、再逮捕されたことを受け、県教委や由布市など関係機関は五日午後も、釈明と対応に追われた。

県教委は五日午後、小矢文則教育長らが県庁で記者会見。「県民の信頼を根底から失墜させたことを重ねておわびします」と謝罪したが、真相究明に向けた独自調査の実施については明言を避けた。

教員採用汚職事件を受けた会見は六月十五日未明に続いて二度目。職員の倫理意識向上と、十九日から始まる教員採用試験の透明性確保を最優先させる意向を示した。その上で、採用試験の事務作業見直し案を七日付で公表することを明らかにした。

一方、元県教委ナンバー2の逮捕に県民から「内部で不正が常態化しているのではないか」という批判の声が強まっている。小矢教育長は「しっかり解明しないといけない」としながらも、過去にさかのぼった不正調査の実施などについて「教育委員とも議論するが、調査といっても限界がある」など、歯切れの悪い発言が目立った。

事件当時の義務教育課長で、会見に同席した富松哲博県教委参事兼教育審議監は、二宮容疑者から便宜供与を求める指示があったかどうかについて「まったく記憶にない」と話した。

大分合同新聞 2008年7月6日 07:20

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由布市や市教委 相次ぎ緊急会議

教員採用汚職事件で、由布市教育長の二宮政人容疑者(61)が逮捕されてから一夜明けた五日、同市や市教委は朝から緊急の教育委員会、校長会、部課長会を次々に開いた。同市は由布高校の再編問題を抱えており中高一貫教育推進課を六月に設置したばかり。教育行政のかじ取り役の不祥事に関係者は混乱、一様に言葉を失った。

市庄内庁舎には午前七時すぎから首藤奉文市長をはじめ幹部職員らが険しい表情で集まり、情報収集や今後の対応を協議。首藤市長は「市民の皆さん、特に子どもたちに不信感を与え、影響は極めて大きい。信頼回復の道のりは険しいだろうが、この事態を厳粛に受け止め、全力で取り組むしかない」と力なく話した。

市教委は同庁舎で午前八時から緊急教育委員会を開き、二宮容疑者を除く市教育委員四人に事情を説明。二宮勝利市教育委員長は「新聞報道で初めて知った。驚き以外に言葉が見つからない」と語った。教育長の職務は当面、教育次長(部長級)が代行する。

同八時五十分からは市内十九の小中学校長を集めて緊急校長会。教育現場の動揺を抑え、児童、保護者、校区民の信頼回復に一丸となって取り組むことを確認した。一方、市は同十一時から緊急部課長会を開き、首藤市長が全職員に冷静に通常業務に当たるよう指示した。市議会も全員協議会を開き、対応を協議する。

市長「申し訳ない」
首藤市長は報道陣の質問に応じ、「任命した者としてこのような事態になり残念。市民の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱい」と沈痛な面持ちで陳謝した。

「不正をするということは、本人の倫理観の問題が大きい。これからの教育行政の発展に向けて大きな期待を寄せていたのだが」と話した。

「嫌と言えないタイプ」
県教委教育審議監だった二宮容疑者の逮捕を受け、県教委には五日午前八時前から幹部が集まり、対応を協議した。総務課は電話応対などに追われた。小矢文則県教育長は「審議監まで務めた人間がこんなことをするとは」と怒りに震えた。

職員は二宮容疑者について「細かいことにこだわらず、おおらか」「人望がある半面、頼まれると嫌と言えないタイプ」と話した。

大分合同新聞 2008年7月5日 13:24

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江藤容疑者ら再逮捕 全員、容疑を認める

元大分県教委参事兼教育審議監で、由布市教育長の二宮政人容疑者(61)=同市挾間町下市=が二〇〇七年度の教員採用試験でわいろを受け取ったとして、収賄の疑いで逮捕された汚職事件に絡み、県警捜査二課と大分中央、佐伯両署の合同捜査本部は五日午前、これとは別にわいろを受け取った収賄の疑いで、県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)=別府市南立石=を再逮捕した。贈賄容疑で▼県教委同課参事の矢野哲郎(52)=大分市大手町=▼妻で佐伯市重岡小学校教頭の矢野かおる(50)=佐伯市宇目=の両容疑者も再逮捕した。四容疑者とも容疑を認めているという。

調べでは、江藤容疑者は〇六年十月ごろ、矢野容疑者夫婦の長女が受験した小学校教員の採用試験で、便宜を図った謝礼として、金券百万円分を受け取った疑い。矢野容疑者夫婦は同年九―十月、江藤、二宮両容疑者にそれぞれ金券百万円分を贈った疑い。関係者によると、江藤容疑者への授受は別府市内の自宅で行われたらしい。

 × ×  

〇八年度の教員採用試験をめぐる汚職事件で、大分地検は五日、収賄の罪で江藤容疑者を、贈賄の罪で、佐伯市蒲江小学校長の浅利幾美(52)=佐伯市常盤西町=、矢野哲郎の両容疑者をそれぞれ大分地裁に起訴した。

起訴状によると、江藤被告は浅利被告の長男と長女の試験に便宜を図ってもらいたいとの趣旨と知りながら、〇七年八月九日ごろ、別府市内のホテルで金券百万円分(二千円券を五百枚)を受け取り、さらに便宜の謝礼として、同年十月十四日ごろ、自宅で現金三百万円を受け取ったとされる。

この事件で、贈賄容疑で逮捕されていた矢野かおる容疑者は関与が薄いとして、処分保留となった。

大分合同新聞 2008年7月5日 13:21

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元審議監を逮捕 金券で百万円収賄の疑い

教員採用試験に絡む汚職事件で、大分県警捜査二課、大分中央、佐伯両署の合同捜査本部は四日午後十一時、二〇〇七年度の採用試験でわいろを受け取ったとして、収賄の疑いで、当時の県教委参事兼教育審議監で、由布市教育長の二宮政人容疑者(61)=由布市挾間町下市=を逮捕した。

教育界を舞台にした異例の汚職事件は、教育行政の元ナンバー2の逮捕にまで発展。採用試験にかかわる不正の根深さを浮き彫りにした。

調べでは、二宮容疑者は〇六年九月から十月の間、大分市内で県教委義務教育課参事の矢野哲郎(52)=大分市大手町=、妻で佐伯市重岡小学校教頭の矢野かおる(50)=佐伯市宇目、いずれも別の贈賄容疑で逮捕=両容疑者の長女を合格させ、教員に採用するよう便宜を図った謝礼などとして、金券計百万円分を受け取った疑い。贈賄側の矢野容疑者夫婦は後日、再逮捕する方針。

関係者によると、二宮容疑者は九月上旬の二次試験後と、十月上旬の合格発表後に二回に分けて五十万円分ずつを受け取ったらしい。二宮容疑者は一九六九年、中学校教諭になり、〇四年度は大分教育事務所長、〇五年度は義務教育を担当する教育審議監を歴任。犯行当時の〇六年度は参事兼教育審議監で、県教育長に次ぐ立場だった。

07年度は11・9倍
新たな贈収賄事件の舞台になった二〇〇七年度の採用試験は四百八十九人が受験し、採用者は予定より一人多い四十一人で、競争倍率は十一・九倍だった。

採用試験は〇六年七月二十二、二十三の両日に筆記式の教養や専門試験の一次試験を、九月上旬に面接や模擬授業などの二次試験を実施した。矢野容疑者の長女はこの年、初めて受験して合格し、現在、小学校に勤務している。

「驚き、言葉出ない」
首藤・由布市長

四日深夜、由布市の教育行政のトップを務める二宮容疑者の逮捕の一報を聞いた首藤奉文市長は「驚きのあまり言葉が出ない」としばらく絶句。「(容疑が)事実であれば残念でならない」と声を絞り出すように語った。市は五日午前にも緊急部長会を開いて対応を協議する。

大分合同新聞 2008年7月5日 09:19

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「ねえわ」関与否定 逮捕前に取材

県教育界に再び激震が走った。かつての県教委ナンバー2、二宮政人容疑者(61)は逮捕前の四日午後、大分合同新聞の取材に応じ、教員採用をめぐる自らの不正を一貫して否定。一方で「(事件は)もう片付いたんか」と、しきりに捜査の進展を気に掛ける様子もうかがえた。

一問一答は次の通り。

―県教委幹部職員らの汚職事件が起きていますね。
県教委は大変やろうな。参るわなあ。ところで、あれ(事件)はまだ続きよんのか。

―これまで逮捕された四人は、まだ起訴されていませんが。
逮捕された人は何をしよんの? 普通の生活? 裁判までずっと(留置施設に)おるん? 大変やな。で、話はもう終わりよんの?

―江藤勝由容疑者(県教委義務教育課参事、収賄容疑で逮捕)と接点はありましたか。
ずっと前に(自分の)部下やった。教職員一課の時や。

―その後、かかわりは。
それからないな。

―矢野哲郎容疑者は。
知らんことはねえけどなあ。顔くらいはな。

―事件では、江藤容疑者が試験のデータを改ざんしたとされています。
考えられんけどなあ。担当したことねえから分からん。たまがるわ。で、もうあれか。大体、片付いたんか。

―教育審議監だった当時、金品をもらったり、採用や人事などで便宜を図るよう頼まれたことがあったのでは。
ねえ。(二〇〇一年に)石川さん(石川公一・元副知事)が教育長になってからな。石川さんは教委改革をした。それ以降、そんなのねえわ。

―でも、事件が起きたのは、その後のこと。あしき風習が根深く残っていたのでは。
そんなところまでワーワー言いよんの。

―いろいろうわさはありますが。
まあ、けど、ほんなら、最後になりよんのやな。嫌やなあ、もう嫌じゃ。大変やな。何でんな、平和がいい。

大分合同新聞 2008年7月5日 09:54

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「信頼される学校」佐伯市教委緊急アピール

教員採用汚職事件で、佐伯市教委は一日、「佐伯の教育に対する信頼を取り戻すための緊急アピール」の文書を市内の全四十七小、中学校の教職員約七百七十人と児童、生徒約六千二百人の保護者あてに出した。

教職員には「校長らが容疑者として逮捕されるという不祥事が発生し、佐伯の教育の危機。教職員の服務監督を預かる市教委としておわびする。一度失った信頼を取り戻すには膨大な時間がかかるが、子どもたちの目線に立った信頼される学校づくりに取り組んでほしい」などとするアピール文を、各学校で校長が手渡して説明。服務研修をしたところもあった。

保護者には「本市教育への信頼を損なったことをおわびします。子どもたちの心への影響が心配。子どもたちの心のケアを進めながら、信頼される市教委、信頼される学校づくりに全力で取り組みます」などの内容。児童、生徒を通じて配布した。

大分合同新聞 2008年7月2日 14:31

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