「改正」教育基本法・教育改革批判


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「再雇用拒否は違法」=日の丸・君が代訴訟

卒業式などで日の丸に向かった起立と君が代斉唱を拒否し、職務命令違反で処分されたことを理由に、東京都教育委員会が再雇用を拒否したのは違憲として、都立高校の元教職員13人が都に1人約559万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。中西茂裁判長は「都教委は職務命令違反を過大視し、ほかの事情を考慮した形跡がなく、裁量を逸脱している」と述べ、総額約2700万円の支払いを命じた。

一方、職務命令については「憲法で定めた思想、良心の自由を侵害しない」と述べ、合憲と判断した。

中西裁判長は、元教職員らが式典の進行を妨害しておらず、処分は1、2回だけだったと指摘。起立しなかった教職員が再雇用された例もあるなどとし、「起立と斉唱の職務命令は、教育指導に関するほかの命令と比べ、とりわけ重大とはいえず、再雇用を拒否する行為かは疑問だ」と述べた。その上で、都教委は元教職員らの再雇用について、職務命令違反の事実だけを判断材料としたと指摘。「豊富な知識や技能など、合否の判断で当然に考慮すべき事項を検討していない点でも、選考には多大な疑問がある」とした。判決によると、元教職員らは2004年3月と05年3月の卒業式などで、職務命令に反して君が代斉唱の際に起立しなかったため、戒告処分などを受け、定年後の再雇用も拒否された。日の丸・君が代をめぐっては、東京地裁が06年9月、職務命令を違憲と判断し、都側が控訴している。一方、最高裁は07年2月、君が代伴奏を命じた職務命令を合憲とした。(了)

時事通信 2008年2月12日

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「君が代」強制に歯止め 不起立訴訟
都に賠償命じる 東京地裁 職務命令は「合憲」


卒業式などで「君が代」の起立斉唱を命じた職務命令に違反したことを理由に、東京都教育委員会が退職後の嘱託採用を拒否したのは違憲・違法だとして、元都立高校教職員十三人が損害賠償を求めた裁判の判決で、東京地裁(中西茂裁判長)は七日、都に計約二千七百六十万円の賠償を命じました。

中西裁判長は判決理由で、「原告らの行為は積極的に式典の妨害をするものではなく、勤務成績を決定的に左右するものではない」とし、「不合格は客観的合理性や社会的相当性を著しく欠き、都教委が裁量を逸脱、乱用した不法行為である」とのべました。

一方、職務命令については「『国歌を斉唱するよう指導するものとする』と定める学習指導要領の趣旨にかない、思想・良心の自由を制約するものではない」とし、合憲と判断しました。

原告らは都教委が「日の丸・君が代」を強制する通達を出した二〇〇三年十月以降の卒業式などで「君が代」斉唱時に起立せず、懲戒処分を受けました。その後、定年などで退職するにあたって嘱託としての採用を希望しましたが、不合格とされました。

原告の一人、新井史子さんは「いまも高校生を見るたびに、こんなことさえなければ教室で教えていたはずだと思います。たった四十秒間の不起立で採用を拒否され憤りを感じてきました。違法だと認められたことは非常にうれしい。現場への影響も大きいと思う」と喜びを語りました。

原告側弁護団は「通達や職務命令の違憲・違法性が認められなかったのは残念だが、都教委の強制に歯止めをかけた判決だ」と評価しました。

都教委の「日の丸・君が代」強制については〇六年九月に東京地裁(難波孝一裁判長)が、通達は違憲で、教職員に起立斉唱の義務はないとの判断を示しています。

違憲判決勝ち取ろう
卒業式を間近に控えて出された七日の東京地裁判決を受け、同日、都内で報告集会が開かれました。百人を超える支援者が集まり、原告、弁護団に温かい拍手を送りました。

「判決でわれわれは歯止めを勝ち取った。さらに憲法違反だという判決を勝ち取るために頑張っていきたい」。弁護団は東京都教育委員会の裁量権乱用を厳しく指弾した判決を今後に生かしていこうと呼びかけました。

都教委は都立学校の卒業式や入学式で「日の丸・君が代」を強制する「10・23」通達を二〇〇三年に出しました。原告らは同通達は憲法違反だとする判決を勝ち取りたいと、たたかい続けてきました。

しかし、判決は通達や職務命令は合憲と判断しました。原告の一人は「正直、複雑(な気持ち)です」と切り出し、「裁判長の価値観をひっくり返していかなければいけない」と今後への決意を語りました。

違憲判決を勝ち取れなかったことにがっかりする原告を弁護団は「判決の全文をよく読むと(今後の運動に)役立つところは必ずある。(裁判長は)われわれの主張も受け止めている。われわれは勝ったのだから前向きにとらえよう」と励ましました。

都教委から懲戒処分を受けた人たちでつくる「被処分者の会」の教師は「原告十三人がたたかったからこそ今日の判決があった。不採用事件については非の打ちどころがない判決。確信を持って周りに訴えていき、他の裁判でも勝ち抜いていきたい」と語りました。

しんぶん赤旗 2008年2月8日

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君が代不起立:再雇用拒否は違法 都に賠償命令 東京地裁

卒業式などの君が代斉唱時の不起立を理由に再雇用を拒否されたのは違憲・違法として、東京都立高の元教職員13人が都に計約7270万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(中西茂裁判長)は7日、計約2760万円の支払いを命じた。判決は都教委の判断について「不起立を極端に過大視する一方で、他の事情を考慮した形跡がなく、合理性や社会的相当性を著しく欠く」と述べた。

判決は、君が代斉唱時の起立を命じた校長の職務命令自体は、ピアノ伴奏命令を合憲とした最高裁判決(昨年2月)を踏襲し、違憲性を否定した。

元教職員は03、04年度の卒業式などで起立せず、懲戒処分を受けた。05、06年の退職後に非常勤教職員として再雇用を希望したが、不合格になった。

判決は「不起立が勤務成績を決定的に左右するものとは言えず、再雇用を否定すべき非違行為とするのは疑問」と述べ、1年分の賃金相当額(1人当たり約190万円)の賠償を命じた。

職務命令については「原告の思想・良心の自由に抵触する余地はあるが、学習指導要領の趣旨にかなう」と判断。教職員に君が代の起立斉唱を義務付けた都教委通達(03年10月)も合理性や必要性があったと認めた。

教職員の再雇用を巡っては、東京地裁の別の裁判長が昨年6月、不起立を理由に内定を取り消した都教委の判断は適法と判断している。【北村和巳】

▽原告・弁護団の話 職務命令の違憲主張を退けたのは不当だが、都教委の「日の丸・君が代」の強制に、司法が一定の歯止めをかけたと評価できる。

▽中村正彦・都教育長の話 主張が認められなかったのは大変遺憾。判決を詳細に確認し対応を検討したい。

毎日新聞 2008年2月7日 20:44

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「君が代で起立せず」不採用の元教諭勝訴 「裁量逸脱」

都立高校の卒業式などで職務命令に反して「君が代」の斉唱時に起立しなかったことを理由に、都が退職後に嘱託職員として採用しなかったのは違憲だとして、元教諭ら13人が都に慰謝料などを求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。中西茂裁判長は、都による不採用の判断は「職務命令違反をあまりに過大視しており、裁量を逸脱している」として、13人に計2700万円を支払うよう命じた。

一方で中西裁判長は、君が代斉唱時に起立を命じた職務命令は、憲法が保障する「思想及び良心の自由」に反せず合憲だと指摘。起立しなかった教師の処分を含め、都教委が国歌・国旗の取り扱いを定めた03年の通達についても、「教育は不当な支配に服しない」とした旧教育基本法に違反しないとの判断を示した。

その上で判決は、職務命令違反を理由に不採用とした都教委の判断について「元教諭らは積極的に式典の進行を妨害したのではなく、起立しなかったこと自体がただちに採用を否定するほどの行為というのは疑問だ」と述べた。

さらに、「都教委が勤務成績についてほかに考慮した形跡は全くみられない」「過去には不起立の教職員も採用されていた」などと指摘。都教委の選考方法は「客観的な合理性を著しく欠く」と批判して、不採用とした判断が不法行為にあたると結論づけた。元教諭らの損害については、再雇用された場合の1年間の賃金相当額を認めた。

君が代斉唱時の職務命令をめぐっては、ピアノ伴奏を命じた校長の命令が憲法違反に当たるかが争われ、昨年2月の最高裁判決は合憲との判断を示した。今回の判決もこの判例に従ったものといえる。

判決について都の中村正彦教育長は「主張が認められなかったことは大変遺憾なことだ。判決内容を詳細に確認して、今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。

朝日新聞 2008年02月07日 20:21

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国歌斉唱しない教職員の再雇用拒否、都に賠償命令

東京都立高校の卒業式などで国旗に向かって起立し、国歌を斉唱しなかったことを理由に、定年後の再雇用を拒否されたのは違法だとして、元教職員13人が、都に損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。

中西茂裁判長は「職務命令に従わなかっただけで再雇用しないのは、合理性や社会的相当性を著しく欠く」と述べ、原告1人あたり約210万円の賠償を都に命じた。一方、起立・斉唱を命じた校長の職務命令自体については、思想・良心の自由を保障した憲法には違反しないと判断した。

判決によると、都教委は2003年10月、卒業式などで国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを義務づけ、この職務命令に従わない教職員は服務上の責任を負うという通達を出した。原告らは、この職務命令に従わず、都教委から懲戒処分を受け、定年後の嘱託員としての再雇用で不合格とされた。

原告側は、起立・斉唱を命じた職務命令は憲法違反と主張したが、判決は「特定の思想を強制するものとはいえない。全国的には以前から広く実施されており、目的や内容に合理性、必要性が認められる」と述べ、合憲と判断した。

しかし、再雇用拒否については、〈1〉過去には起立・斉唱しなかった教職員も採用されている〈2〉1人を除き職務命令違反は1回にとどまる〈3〉定年までの勤務成績を総合的に判断していない――などの理由から、「都は職務命令違反を過大視し、裁量を逸脱、乱用している」と結論づけた。

起立・斉唱を行わなかった教職員の再雇用拒否を巡っては、東京地裁が昨年6月、「違反行為が将来も繰り返される可能性が高いことを考えると、再雇用しなかったのは裁量の範囲内で適法」と判断しており、司法判断が分かれる結果となった。一方、都通達や職務命令の合憲性については、06年9月に東京地裁が違憲判断を示したが、最高裁が昨年2月、国歌のピアノ伴奏を命じた職務命令を合憲として以降は、下級審でも合憲判断が続いている。

東京都教委の話「主張が認められず遺憾。判決内容を詳細に確認し、今後の対応を検討したい」

讀賣新聞 2008年2月7日 15:33

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日教組の教研集会が閉会 文科次官も「司法尊重を」

グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)の会場使用拒否で、初めて全体集会の開催が中止に追い込まれるという異例の事態となった日教組の教育研究全国集会が3日間の日程を終えて4日、閉会した。

日教組は閉会に当たりアピール文を発表。「憲法で保障された集会の自由にかかわる重要な問題」と指摘した上で「憲法の理想を実現するため、学校現場からの教育改革を目指す」と強調した。

文部科学省の銭谷真美事務次官も同日の定例会見で「会場の理由で全体集会を中止せざるを得なかったのは残念。一般論として、法治国家である以上、司法決定は尊重されるべきだ」と述べた。

今回の教研集会では、全体集会の会場となっていたプリンスホテルが一方的に契約を破棄、施設使用を命じる裁判所の仮処分決定の後も使用を拒否したため、都内各会場で教育格差や学力問題などを討議する分科会のみが開かれた。

2008年2月4日 共同通信

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