学力向上の具体策提言=再生会議2次報告原案
政府の教育再生会議(野依良治座長)がまとめる第2次報告の原案が判明した。(1)学力向上(2)心と体の調和のとれた人の育成(3)大学・大学院の再生(4)財政基盤の在り方―の四つの大きな柱を設定。28日の合同分科会で詰め、6月1日の総会で安倍晋三首相に提出する予定だ。
◇ゆとり教育は見直し
原案はまず、「ゆとり教育」の見直しと学力向上の具体策を提言。第1次報告で打ち出した「授業時数10%増」目標へ向け、夏・春休みの活用、2学期制導入、朝の15分授業、7時間目の設定、土曜日授業を行うことなどを組み合わせて「教育委員会や学校の弾力的な授業設定」を図る。
このほか、▽教科書を質量ともに充実させるなど「分かりやすく魅力ある授業」▽教職員のめりはりある給与体系、人材確保法の趣旨を尊重した処遇充実などによる教員の質向上▽学校の課題に教委が取り組むための危機管理体制の整備、指導主事や警察官(OB)、弁護士、臨床心理士・精神科医、福祉司らが参加する学校問題解決支援チーム(仮称)の創設▽学力不振校への特別支援―などを盛り込んでいる。
「人の育成」をめぐっては、「徳育」を「従来の教科とは異なる新たな教科」と位置付けた上で、点数評価はせず小学校同様に中学校も免許は設けず学級担任が指導し、「多様な教科書と副教材を機能に応じて使う」としている。緊急アピールを見送った「親学」については、「親の学びと子育てを応援する社会」へ向け、子育て講座や父親の子育て参加への支援、中高の家庭科を活用した子育て学習、幼児教育の将来の無償化に関する総合的検討などを提唱した。また、小学校での1週間の自然体験、中学校での1週間の職場体験活動、高校での奉仕活動必修化なども求めた。
◇大学の9月入学促進を
大学・大学院改革については、大学入学年齢の弾力化、国立大の入試日分散・複数合格、大学入試センター試験の資格試験化や年複数回実施、高卒程度認定試験の在り方など、「入試の多様化、弾力化」を検討するとしたほか、大学・大学院の国際化に向けて「9月入学を大幅に促進する」ことを求めている。大学院重点化対象国立大の理工系大学院では内部進学者を最大3割程度に抑えることを目指す。国立大の改革としては、「教授会万能の意思決定システムの廃止」や、学長選挙の廃止と学長選考会議による決定システム導入を唱えている。
教育財政をめぐっては、めりはりのある教員給与体系を目指し、「一律4%の教職調整額について教員の勤務実態に合わせ支給率に差をつける」「休日4時間以上勤務で日額1200円の部活動手当の大幅引き上げ」などを提案。高等教育財政についても、▽競争的資金の拡充と効率的配分▽寄付金や共同研究費に係る優遇税制の充実強化など自助努力を可能とするシステム改革▽「研究面」「教育面」「改革への取り組み」の評価に基づく国立大学法人運営費交付金の傾斜配分―などを促している。
◇12月に3次報告
12月の第3次報告に向けた検討課題では、(1)学校や教育委員会の評価制度(2)教員養成、教員採用など教員の資質向上(3)現行の6・3・3・4制の在り方(4)教育院(仮称)構想(5)多様な大学入試の在り方(6)省庁総がかりで子どもの教育と成長発達を保障する体制の在り方―を挙げている。
時事通信 2007年5月28日 17:22
教育再生会議 2次報告案を了承 合同分科会「骨太の方針」反映へ
政府の教育再生会議(野依良治座長)は28日午前、首相官邸で合同分科会を開き、「徳育」の教科化などを掲げた第2次報告案をおおむね了承した。報告案は、道徳教育や教育予算の充実、ゆとり教育見直しの具体化などが提言の柱。文言や構成を最終調整し、6月1日の総会で正式決定したうえで、政府が6月にまとめる「骨太の方針」に反映させる方針だ。
会合には安倍晋三首相も出席し、「国民にわかりやすい中身にしていく必要がある。子供たちをめぐる環境も変わるというメッセージを出してほしい。教育現場が一新される教育新時代を切り開いていきたい」とあいさつし、教育再生に改めて意欲を示した。
2次報告案は、首相が提唱する高い規範意識の確立に向け、「徳育」の教科化を明記。数値による評価はせず、国の検定教科書と副教材の併用を求めることとした。
また、教育財政基盤強化のための寄付税制の拡充や、教育予算への競争原理の導入を提言。研究成果や実績に応じた大学・大学院への予算配分や、教員の給与体系の弾力化のほか、学力不足や学級崩壊などの問題を抱える教育困難校への特別予算措置も盛り込んだ。
第1次報告で打ち出した「授業時間10%増」の具体策としては、土曜日授業の実施▽1日7コマ授業▽春・夏休みの短縮−などを列挙。各自治体が選択する形とした。
このほか、大学9月入学の促進や、教員が学習指導や生活指導に、より専念できるようにするための教員の事務作業の外部委託も提言する。
産経新聞 2007年5月28日 15:58
教育費、目的通り使いましたか 自治体ごと「実態マップ」
政府の教育再生会議は、教育費として国が地方自治体に支出した地方交付税を、自治体がどれだけ本来の目的通りに使ったかを示す「公教育費マップ」を国が作成して公表するよう、近くまとめる第2次報告で求める。
地域住民に自分の住む自治体の教育予算に関する情報を公開することで、各自治体の教育への支出を促す考えだ。
再生会議、国に公表要求へ
再生会議によると、例えば小学校1校(1学年3クラスの場合)につき、年間、図書費44万円、教材費340万円、コンピューター整備費577万円などを、国が地方交付税で自治体に拠出している。ただし、地方交付税の使途は自治体の裁量に委ねられるため、実際に学校に措置される予算は自治体間で差が出る。
財政事情の厳しい自治体では、教育予算以外に流用することもあるためだ。例えば教材費では、最低で基準の3割弱程度しか自治体が支出していないケースもあるという。
図書費でも、本来、地方自治体が賄うべき廃棄蔵書の補充分に交付税を充てている疑いがあったため、文部科学省が全国の都道府県教育委員会に、交付税による図書費は「各学校図書館の蔵書を増やすための経費だ」と徹底を図る通知を出したこともある。
公教育費マップでは、例えば、図書費では、44万円交付された場合、実際にいくらが新規図書の購入に充てられたか、自治体ごとに明らかにさせたい考えだ。
讀賣新聞 2007年5月28日
教育再生会議の2次報告案を了承 骨太方針に反映へ
政府の教育再生会議(野依良治座長)は二十八日午前、首相官邸で合同分科会を開き、「徳育」を従来の教科と異なる「新たな教科」と位置付けることなどを柱とする第二次報告案を、大筋了承した。授業時間10%増の具体策として、春・夏休みや土曜日の活用などを列挙。学力と規範意識の向上を教育再生の二本柱に掲げる安倍晋三首相の意向を反映し、教育現場への競争原理導入を求めるなど「安倍カラー」を強く打ち出した。
表現などを調整した上で、六月一日に予定されている総会で正式決定し、政府が六月中に決定する「骨太の方針」に反映させる。分科会に出席した首相はあいさつで「皆さんのメッセージが現場で実行されることが大切で、私たちは大きな責任を担っている。教育現場を一新し、教育新時代を切り開いていきたい」と述べた。
学力向上策では、教育委員会や学校による長期休暇活用や一日七時間授業など、授業時間を増やす方策を列挙した。また学校選択制導入を促進し、学校の実績に応じ予算を配分。教育委員会は警察官(OB)も含む「学校問題解決支援チーム」(仮称)を設け、子供や保護者の問題解決にあたるとしている。
規範意識向上の柱となる徳育は、点数による成績評価は行わないが、検定教科書使用を視野に「多様な教科書と副教材を機能に応じて使う」と記述。小学校での集団体験活動、中学校での職場体験活動を盛り込んだ。
子育て支援関連では「親の学びと家庭教育」と題し、中学・高校の家庭科で子育ての楽しさを理解する機会拡充などを提唱し、幼児教育の無償化も検討。ただ教育予算拡充は「効率化を徹底しながら、メリハリをつけて真に必要な予算は財源を確保する」との表現にとどめた。
大学・大学院改革では国際競争力強化へ向け、国公立を通じ競争的資金を拡充するほか、国立大の「大胆な再編統合」を求めた。
北海道新聞 2007年5月28日 12:04
大学院設置、共同で可能・教育再生会議2次報告案
教育再生会議(野依良治座長)が6月1日にも決定する第二次報告案の全容が27日、明らかになった。「ゆとり教育」見直しの具体策では土曜日授業の実施や2学期制の導入の検討を明記。大学院教育の拡充に向け、国公私立を通じて複数の大学が共同で大学院を設置できる制度の創設も盛り込んだ。
報告案は(1)ゆとり教育見直しの具体策(2)心と体の調和(3)大学・大学院の再生(4)財政基盤のあり方――の4本柱で構成。ただ保護者が利用券を使って子供を通わせる学校を選択する教育バウチャー制度や大学への飛び入学など関心の高いテーマは年末にまとめる第三次報告に結論を先送りした。
日本経済新聞 2007年5月28日
教師の事務、外部委託 再生会議2次報告案
政府の教育再生会議(野依良治座長)は第2次報告案に、教師の事務作業の外部委託や報告書類の簡素化を盛り込むことが26日、分かった。教師の負担を軽減し、学習指導や生活指導など「本来業務」に専念してもらうのが狙い。
第2次報告案では、授業時間10%増加のため土曜授業の実施や長期休暇の短縮▽「モンスターペアレント」(問題保護者)への対応策として「学校問題解決支援チーム」の設置−などが盛り込まれる。
こうした提言には教師の負担増が予測される。このため「子供の教育に専念できるよう」に、教師の多忙化の一因となっている事務書類の作成を外部に委託したり、学校事務の共同化、文部科学省や教育委員会などへ提出する書類を簡素化するなど負担軽減をセットにして提言する。
また、教育現場のIT(情報技術)環境を整備したり、校内LAN(構内情報通信網)を充実させるよう提言し、授業準備などが容易にできるようにする。
文部科学省が行った昨年7〜12月の公立学校教員の勤務実態調査では、残業時間は小学校が月平均約33時間、中学校は約44時間に達している。また、約7割が「授業の準備時間が足りない」としており、特に授業以外の仕事が増えたことを指摘する声が強くなっている。
一方、家庭教育に踏み込むとして批判があった「親学」「子育て提言」については触れず、「親の学びと子育てを応援する社会」の形成を求めるにとどまった。
第2次報告は6月1日に提出される予定。
産経新聞 2007年5月27日
<教育再生会議>成績不振校に支援を 第2次報告原案
政府の教育再生会議が近く決定する第2次報告の原案が25日、明らかになった。小学校で集団体験活動、中学校では職場体験活動の実施をそれぞれ求めたほか、「徳育」(道徳教育)についても通常の教科とは異なる「新たな教科」化を掲げ、規範意識の養成を図った。また、学力向上に向け、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の成績不振校に予算・人員を重点配分するよう要請。第1次報告で掲げた「授業時間数10%増」具体化のため、土曜授業や一日7時間授業も可能とするよう提言した。
原案は「公教育再生に向けた更なる一歩と『教育新時代』のための基盤の再構築」と題したもの。28日の合同分科会で最終調整され、来月初旬に開かれる総会で正式決定される。基本的な考え方として、▽徳育(道徳教育)▽大学・大学院の改革▽教育財政基盤のあり方――を重点的に提言する方針を打ち出した。
「徳育」は点数評価の対象とはしないなど、従来の教科とは異なる「新たな教科」と位置付けるよう提言したうえで、「多様な教科書と副教材をその機能に応じて使う」とした。文部科学省検定教科書の導入に含みを持たせたとみられる。第1次報告で示された「高校での奉仕活動必修化」に加え、小学校では集団宿泊体験や自然体験・農林漁業体験活動、中学校では職場体験活動を各1週間実施するよう求めた。
一方で、初等中等教育に関する財政政策では「機会平等を確保し、(教育)格差の固定化を回避」との方向性を明示。国と教育委員会に、全国学力テストの結果を徹底検証したうえで、学力不振校には予算や教員定数の面での支援を求めた。
大学・大学院改革では複数の大学が大学院を共同設置したり、一つの国立大学法人が複数大学を設置管理する仕組みづくりを文科省に要請。財政面では国の国立大学に対する運営費交付金を実績評価で傾斜配分することを求めた。
さきに緊急提言を見送った「親学」に関連しては、妊婦検診や子どもの検診の場を活用した子育て講座の開催や、中学・高校の家庭科で子育ての楽しさを教えることを提唱しているが、「母乳による育児」の奨励などは見送られた。【平元英治、佐藤丈一】
◇教育再生会議第2次報告原案要旨は次の通り。
1 学力向上 授業時間数10%増のため春・夏休み活用や土曜日授業の導入。7時間目を設けるなど、弾力的な授業設定▽教育委員会に「学校問題解決支援チーム」設置▽全国学力調査の結果を徹底的に検証、学力不振校に予算、定数、人事面で特別の支援。
2 心と体の調和 全学校で新たに徳育を教科化。小中学校の学級担任が担当。点数評価はせず、多様な教科書と副教材を機能に応じて使用▽小学校で集団宿泊体験や自然体験・農林漁業体験活動を実施。中学校で職場体験活動▽父親の子育て参加への支援や妊婦検診を通じた「親の学び」、子育て講座の拡充▽中学、高校の家庭科などで子育ての楽しさを理解する機会を増加
3 地域、世界に貢献する大学・大学院の再生 9月入学の大幅促進▽教員任期制の拡大▽学部3年修了時から大学院進学する早期卒業制度の活用
4 「教育新時代」にふさわしい財政基盤の在り方 <初等中等教育>教育困難校への支援▽一律支給の教職調整額を勤務実態に合わせて差を付ける▽市町村ごとの教育費の内訳を「公教育費マップ」にして公表 <大学・大学院>競争的資金の拡充と効率的な配分▽国立大学法人運営費交付金を傾斜配分▽複数大学が大学院を共同設置できる仕組みを創設
※第3次報告に向けての検討課題 学校、教育委員会の評価制度▽教員の資質向上▽6―3―3―4制の在り方など
毎日新聞 2007年5月26日 9:03
国立大を大規模再編、入学定員減も…教育再生会議報告案
政府の教育再生会議が近くまとめる第2次報告の最終案の全容が25日、明らかになった。
国立大学改革について、「大胆な再編統合」や入学定員減などを打ち出し、自主的な運営効率向上を求めている。最終案は28日の合同分科会で議論した上で、6月1日の総会で決定し、安倍首相に提出する方針だ。
第2次報告は「公教育再生に向けた更なる一歩と『教育新時代』のための基盤の再構築」と題し、〈1〉学力向上(ゆとり教育見直しの具体策)〈2〉心と体―調和の取れた人を育てる(徳育の教科化、親の学び・子育ての応援)〈3〉大学・大学院の再生――の三つの柱に各五つ、計15提言をまとめた。
大学・大学院改革では、特に国立大学の改革案に重点を置いた。「教員の年功序列型給与システムの打破」「教授会万能の意思決定システムの廃止」「事務局改革による経営の効率化」などを例示した。
一方で、優秀な学生への支援策として、奨学金の拡充や学費免除を提案。大学入試改革では、入学年齢の弾力化や国立大学の入試日分散・複数合格などの検討を打ち出した。
このほか、「授業時間10%増」の具体策に、夏休みの活用や地域の実情に合わせた土曜授業を提案している。
讀賣新聞 2007年5月26日
道徳教育が不徹底、再生会議が「検定教科書」提言へ
政府の教育再生会議は25日、現在、小中学校で正式な教科でない「道徳の時間」を、「徳育」として「特別な教科」に位置づけ、国の検定教科書の使用を求める提言を打ち出すことで大筋一致した。
現状では、学校現場で道徳教育の徹底が十分でないとして、検定教科書の使用による充実が必要だと判断した。6月1日に安倍首相に提出する予定の第2次報告に盛り込む方向だ。
小中学校での道徳教育について、現行の学習指導要領は、週1時間程度の正規教科でない「道徳の時間」を設け、「思いやりの心を持つ」「生命を大切にする」といった教育を目指してきた。
しかし、再生会議では、指導要領が定めた授業内容を評価しつつも、「指導に熱心でない教員がいたり、教材も不十分で子供に伝わっていない」(小野元之・元文部科学次官)などの意見が多数を占める。このため、道徳教育を正式な教科とすることを検討してきた。
「正式教科」の要件は、〈1〉児童・生徒の数値評価〈2〉検定教科書の使用〈3〉中学校以上は各教科の教員免許を設ける――などが原則となっている。
このうち、教材について、現在の「道徳の時間」では、文部科学省が2002年に全国の小中学生に配布した「心のノート」や、民間の教材会社や教育委員会が作成した副読本、ビデオなどを使用しているが、「教育現場であまり重視されていない」(再生会議委員)との意見が出ている。
このため、検定教科書を使うことが、現場での「徳育」教育の徹底に役立つと判断した。
新たな教科書について、再生会議では、歴史上の人物の伝記や、生活に身近なエピソードなどを盛り込むよう求める方針だ。現行の副読本などとの併用を想定している。
また、正式教科の要件のうち、数値評価については、「道徳教育になじまない」との意見が多数を占めるため、評価は「記述式」とする方向だ。さらに、「徳育」専門の教員免許は設けず、小中学校とも学級担任が指導することを求める。このため、「正式教科」とは異なる「特別な教科」を設ける方針だ。
ただ、委員の間では「道徳に検定教科書はなじまない」との慎重意見もなおあるため、28日の合同分科会で最終調整する。
讀賣新聞 2007年5月26日
幼児教育の無償化提言 再生会議2次報告案 土曜授業、月2回に
政府の教育再生会議(野依良治座長)は二十四日、都内で有識者委員の中核メンバーでつくる運営委員会を開き、第二次報告で新たに幼児教育の無償化を提言する方針を固めた。
幼児教育の無償化は保護者の負担を軽減するため、与党も少子化対策の一環として推進を図っている。ただ財政負担を伴うため、第二次報告の文言は「歳入改革にあわせて財源、制度の問題を総合的に検討する」とする方向で調整している。
「授業時間数10%増」の具体策は(1)月二回程度の土曜日の正式授業(2)授業時間一コマを五分間短縮することによる七時間授業(3)夏休み・春休みの短縮−を地域がそれぞれの実情にあわせて選択することを求めた。
実質的に年功序列となっている公立学校教員の給与制度の見直しは、教員評価を踏まえた査定によって差をつけることを提言。ただ、具体的な査定の幅は明記していない。
会議はまた、日本の大学・大学院の国際競争力を高めるため、二〇二五年をメドに百万人の留学生受け入れを目指していたが、アジア・ゲートウェイ戦略会議が先に打ち出した「三十五万人」と歩調を合わせた。大学予算については、厳しい財政事情を踏まえ、民間からの寄付金増加を図るため、所得控除や税額控除など優遇措置を拡充することを盛り込んだ。
会議は二十八日に合同分科会を開き、原案についてさらに協議する。このため五月末に予定していた報告とりまとめは、六月初旬にずれ込む見通しとなった。
東京新聞 2007年5月25日
学校に理不尽な要求する親、教委が対応 再生会議
政府の教育再生会議(野依良治座長)が来月初めにまとめる第2次報告案の概要が明らかになった。問題があるとされる保護者の対応に教育委員会が乗り出すなど「親」への対策を打ち出しているのが特徴だ。ただ、緊急提言を見送った「子育て指南」については、子育て支援策の拡充にとどめた。6月にとりまとめる政府の「骨太の方針」に盛り込む。
報告案の概要によると、課題を抱える子どもだけでなく、保護者への対応で困っている学校を支援するため教育委員会に「学校問題解決支援チーム」(仮称)を新たに設置。チームには警察官OBや弁護士、臨床心理士などが参加し、学校に理不尽な要求をするいわゆる「モンスターペアレント」と呼ばれる親の対応にあたる。教委を「指導」から「共に考え、支援する」立場に転換すると提言している。
また、全国的に問題化している給食費の滞納問題について「一部保護者の倫理が問われる問題」と指摘。「親も子育てを通じて成長するもの」とし、「親の学びと家庭教育」の項目を設ける。
具体的には子どもの健康診断など保護者が集まる機会を活用した「子育て講座」の拡充や、専門家が家庭を訪問する教育支援を提唱。中高生が学ぶ家庭科で将来の「子育ての楽しさを理解する機会」の拡充も示している。ただ、「子育て指南」の提言に盛り込もうとしていた母乳での育児や子守歌の効用などは見送られた。
一方、年末にまとめる第3次報告では、大学入試や学校・教委の評価制度、「6・3・3・4」制度などを検討課題にする。
朝日新聞 2007年5月25日
<いじめ>問題解決…専門家チームで対応 再生会議提言方針
政府の教育再生会議は22日、5月末にもまとめる第2次報告で、いじめ問題などの解決に向け、警察官OB、弁護士、臨床心理士らによる外部専門家チームを各市町村の教育委員会に新設するよう提言する方針を固めた。いじめなど緊急性の高い問題が発生した学校に派遣され、解決の道筋を付けることなどが想定されている。
毎日新聞 2007年5月23日