徹底監視!教育改革3法案審議
衆議院・教育再生に関する特別委員会


月日 会議名 発言者など 監視コメント
4月20日 午後
衆議院・教育再生特別委
石井郁子委員(日本共産党)
24日に行われる全国一斉学力検査の問題点に絞っての質問が行われた(@学力検査の目的、Aそれとの関わりで結果の公表、B質問票の問題、C委託業者の問題)

どのような目的で行われるのかについては、義務教育について、全国一定の水準確保、その把握と、それによる教育指導の質の改善を図ることにあると従来の見解を繰り返した。

その結果が、学校のランク付けに使われるのではないかとの質問には、都道府県単位での結果を公表するだけで、個々の市町村、学校名を付けた公表は行わないとする一方、各学校が自校の結果を把握する必要があること、親が子どもの通っている学校の結果を知ることはできるのではないかともいい、結果的に学校毎の結果が分かる仕組みとなっている。

同時に行われる詳細な質問票について、内容からすると個人情報の収集になり、学力検査の目的を越えているのではないか、また本人、親の同意が必要ではないかとの質問には、大きな公益のために行うのであり、個人情報の取得には当たらないし、実施要領を公表していて受検するのであるから、いちいち求めてはいないが同意を得ているという(珍)解答。〈これなら、法に該当していることを知らない方が悪いということになる〉

また、ベネッセ、NTTデータという受験産業に丸投げしている展で、企業が売り込みを図っていることは大きな問題ではないか、という質問にも契約書に書いてあるというのみで、現に行われていることについては応えはなし。

保坂展人委員(社民党)
いじめ問題についての文科省の対応などについての質疑でほとんどが費やされ、法案審議に直接結びつくものは無し。ただし、再生会議が出席停止などの厳格な対応をとろうとしているのに対して、個々の実践例で、子ども自身で解決する能力を付けていくことも必要性も指摘。また親の所得格差が子どもの教育と相関関係があることについて、だから公教育の再生が必要だと。

教科書検定に関わって、沖縄の集団自決の記述についての質問には、まともに文科相、首相ともまともに答えず。

糸川正晃委員(国民新党・無所属の会)
三法案は、教育再生会議の第一次報告に沿ったものか、また教育委員会については規制改革推進会議との意見が違い、また政府内部でも意見対立が表面化したがどうか、との質問に、文科相は再生会議の答申があったから法改正するのではないと。首相は、途中経過としてはいろいろな意見があり、それを判断し、最終的に法案としてまとまっている。

二次報告に向けては。徳育の推進、学力向上、大学・大学院教育、家庭教育、社会総掛かりの教育について議論してもらっており、必要であれば法改正を求める、と首相。

改正教基法の義務教育の目標で学力向上にどうつながるのか、目標の達成をどう図るのかの質問に、文科相は、中教審の答申を経て学習指導要領で対応できるが、法を挟むことで立法府の意思を入れる。細かく指導要領に書き込んで、教育内容を刷新する。学校評価も義務づけられる。〈やはり教育内容への詳細な介入が可能であるとする理解をますます強くしている!〉 
4月20日 午後
衆議院・教育再生特別委
菅直人(民主党・無所属クラブ))

管直人氏からは、「教育再生」の背景にある安倍首相の考える教育問題の認識や、教科書検定の問題についての質問がなされたが、教育三法案に関する具体的な質問はなされなかった。

まず、「教育再生」という言葉の背景にある具体的な教育問題とは何かという管氏の質問に対して、安倍首相は、いじめ、未履修、家庭・地域の教育力の低下、学力の低下、子どもの規範意識の低下などをあげ、すべての子どもたちが高い規範意識と学力を身に付けさせることが現在の教育再生の大きな柱である旨が述べられた。

また管氏は、戦時中に沖縄で起こった「集団自決」に関する教科書の記載の中で、集団自決が軍の命令によって行われたという記述が教科書検定の中で削除されたが、検定の過程でどのような議論があったのかという質問を行った。
これに対して、伊吹文科大臣からは、「議院内閣制であるかぎり、特定正当のイズムによって検定が行われるということはない」「専門家の調査によって記述が客観的であるかということが問われるにすぎない」などと回答した。

さらに管氏は、首相が戦後レジュームの脱却ということを述べているが、それが「従軍慰安婦」問題や軍の命令にもとづく集団自決の問題などと関係があるのではないか、首相がこのような問題をどう考えるのかということを質問したが、これに対して安倍首相は、専門家が判断することであって、自分がそれをどう思うかを述べる必要はない。特定のイズムからはなれて審議会が冷静に検討しているとの回答を終始行った。


松本剛明(民主党・無所属クラブ)

〈松本議員の質問の概要〉
@民主党・教育職員免許改革法案の立法事実とその特徴について
A民主党・地方教育行政適性運営確保法案の立法事実と特徴について
B民主党・学校教育環境整備推進による教育振興法案について
C政府の教育予算確保の方針について

〈質疑の概要〉
@免許法案の立法事実と政府案との差異について。
田島一成(民主党・無所属クラブ):大多数の教員が献身的に教育にあっているが、文科省の勤務実態調査にみられるように、教職を離れる教員が多くいるという問題がある。どんな困難があっても教壇に立ち続けることのできる教員を集めるという問題意識から法案を作成した。民主党の法案の特色としては、教員養成が現行の4年制からプラス大学院の2年間の6年間へと拡大しており、その中には1年間の現場実習が盛り込まれている。現場に就いたものについては8年間の実務の後に、教職大学院において1年学び、その後に専門免許を取得させるという流れをつくっている。更新制は設けていないが免許授与後、10年ごとの講習とその修了認定を行うものとし、専門免許取得者についてはこれを免除するという特色がある。

A民主党の地教行法案の立法事実と政府案との違いについて

松本大輔(民主党・無所属クラブ):教育格差、いじめ、不登校などの問題があり、きめ細やかな対応が求められる。このため、教育行政における責任の明確化、また、教育財政は首長部局が責任を持つという「二元行政」の実態を改善していくことが今の学校現場、教育行政に求められる課題と考える。法案の特色としては、第一に、教育委員会を廃止し、その事務を地方公共団体の長に移管する、第二に、地方公共団体に教育監査委員会を設置する、第三に、各学校ごとに保護者、地域住民より構成される学校理事会を設置するという点があげられる。

B教育環境整備法案について

笠浩史(民主党・無所属クラブ):教育問題を解決するためには、教育予算を増やすということが求められている。親の収入によって教育格差、機会の格差が生まれるという問題が生まれている中で、公立学校の教育力をこれから向上させるためには、学校の教育環境を向上させなければならない。再提出した日本国教育基本法案においては、教育予算の確保が明記されているが、この理念を実現するものとして当法案を提出したものである。政府法案に対応するものはないが、政府案が教育費を削減していこうとしている中で、教育への公財政支出を高めていくという目的のもとに本法案を提出した。

C政府の教育予算確保の方針について

松本:国際的に比較した場合の日本の教育費の低さについてどのように認識しているか

安倍:対GDP比については確かに低いといえるだろうが、予算の中での配分の比率としては必ずしも低くないと考える。教育予算の内容の充実は重要であるが、効率化を徹底しメリハリをつけながら、真に必要な教育予算に関しては確保していきたい。

松本:民主党では予算を確保するために日本国教育基本法案にも規定をおいているわけであるが、予算を確保することと法律に規定をもつことについての文科大臣の所見について。

伊吹:一国をあずかる政党としては、教育予算についてもつじつまをつけなければならない。法律に書けば財源がふってくるというわけではない。教育予算についてはどのように選択と集中を行うかということがまず第一。どこを増やしてどこを減らすのかという問題になる。法律で予算をつけるということになると国会で法律を通すということと、予算編成をおこなうということとの二重の授権を通ことになるから、どちらが良いのかということは政策の進め方の問題であると考える。

松本:民主党としては公共事業費程度に教育の予算を格上げできないかということで、計画的な予算の積み上げということを提案しているが、これには賛同できないか。

伊吹:教育予算については、どこを削ってどこを増やすのか、そしてどの程度国民に負担をお願いするのかというのが、政権政党の議論の立て方である。法律に予算確保を書かなくともきちっとした予算編成ができると考える。

松本:安倍内閣が教育を最重点課題としているのであれば、教育の予算を計画的に増やしていこうという法案に賛同できるのではないか。

伊吹:予算の計画については閣議決定で行っているわけで、教育振興基本計画をつくって閣議決定し国会に報告することになっているのだからそこで賛同いただければ良いのではないか。
松本剛明(民主党・無所属クラブ)

D教員の定数について
行革推進法では、教員の定数や総人件費の削減が規定されている。しかし、「教育再生」を謳うのであれば、子ども数の自然減に伴うもの以上に教員数を減らすべきではない。行革推進法の教員定数・総人件費の削減規定の削除を提案する民主党法案に賛同いただけないか?

<安倍首相>教育再生は、教員定数増ありきではない。事務のアウトソーシングやボランティアの活用、教員の質の向上という手立てもある。

<伊吹文相>政権政党としては、財政再建、行政改革という課題もあり、財源をどうするかということを併せて考えなければならない。現段階で民主党案には賛同できない。

E教育委員会改革について
民主党は、地方分権のために住民から直接責任を問われる首長に権限を委譲し、そして、教育監査委員会を設けることによって教育行政の中立性を確保する事を提案する。それについての見解は?

<伊吹文相>首長は、直接選挙で選ばれるだけに党のイズムを反映しやすいことが危惧される。また、教育監査委員会の構成や選任の仕方によっては、中立性が確保されるか疑問。現制度上で、首長や地方議会のチェックが、適切に機能すればいい。

藤村修(民主党・無所属クラブ)

<藤村議員の質問の主題>
@ 教育格差について
@親の所得格差
A地域格差
A 教員免許更新制について
@教員養成課程改革
A他の国家資格の免許更新制

<各質疑の概要>
@ 教育格差について
@親の所得格差
個人情報保護法に対する過剰反応によって、あしなが育英会が遺児の名簿を作成できない状況になっている事についての見解は?

<高市特命担当大臣>想定外の事態であった。関係省庁と協議する。

A地域格差
北海道夕張市の2007年度教育費予算は、前年度比53%減になっており教育サービスの低下が危惧される。機会均等の点から問題では?

<伊吹文相>授業料、教科書は無償。教員給与は、国と道の負担。三位一体改革でジリ貧の文科省としては、手持ちの予算で出来る限り支援する。

<菅厚労相>削減された夕張市の教育予算の内訳は、市の独自採用の教職員給与の減少分と学校統廃合による施設管理費の減少分。従って教育サービスの低下には直結しない。

A 教員免許法改正について
@教員養成課程
社会の変化に対応して教員の資質向上を図るには、免許更新制だけでは不十分であり、教員養成課程の改善が必要では?

<伊吹文相>:これまでも絶え間なくやっている。例えば、カリキュラムの改善、教員養成課程のある大学への是正勧告、教職大学院。

A他の国家資格の免許更新制
社会の変化に対応して資質向上を図るのが制度改正理由であるならば、医師、看護士、行政書士、公認会計士、等々他の国家資格についても同様に免許更新制が必要になるのではないか?

<安倍首相>:各資格の性質に応じて資格者としての質の担保に努める。
4月20日 午前
衆議院・教育再生特別委
西博義(公明) 教基法審議の際問題となった、いじめ対策、未履修問題について確認をしたい。

いじめ対策について。これまでのいじめの対応は、心の教育、精神主義的、スローガン的主張が多かった。ケース、段階に応じたシステム・体制作りが大事と思うがいかがか。

安部 それぞれのケースに応じた対応は当然。
規範意識を醸成するために、いじめに関するきまりや対応の基準を明確化し、全教職員が一致協力して指導を粘り強く行う体制を作る。いじめる側、いじめられる側双方の保護者と親密な連絡情報の交換を通して、必要に応じて第三者機関の協力も得ながら信頼関係を構築していく。粘り強い指導と同時に出席停止などの措置を含めた毅然たる措置をとるよう各校と教育委員会の支援体制を強くする。犯罪行為の可能性がある場合には警察の協力、必要に応じて医療機関などの専門機関と連携を図る必要がある。

西 未履修問題について。
補習状況、関係者の処分について。

銭谷(初等中等教育局長) 高等学校の最終学年の未履修は656校。履修は、平日始業前後の授業、4割の学校は長期休業期間中に実施。処分は、43都道府県市すべてで、関係者の処分が公表されている。

西 入試の公平さについては、普通学校、職業学校ではカリキュラムそのものが同じではなく、すでに不公平がある。平等は難しい問題。高校段階では学習指導要領と教科書検定があるが、大学入試問題を作っているのは高校教育に必ずしも精通していない大学教員である。そこにもギャップが存在。大学入試に関する根本的問題についてどうあるべきかを議論していかないと未履修問題の本質に至らない。

伊吹(文科大臣) 高校卒業までに身につけてもらいたいことを国会の議決に従って我々が指導要領をつくって各学校に示している。入試は、大学教育に対応できる能力があるかを大学の学問の自由の範囲内で考えている。二つの間で齟齬。この二つを同じにするかは難しい問題。学生選択については、基礎学力を身につけ規範意識を持った子どもである教育ができるような入試であってほしい。中教審、再生会議で大学改革を検討中でありこの指摘も検討する。

西 有名私学、塾と比較し公立学校にはハンディがある。安い費用で幅広く国民に教育の機会を提供している点で役割を果たしているが、一部の学校教師に問題がある。保護者の要求に答えて公立学校も学力の向上を目指すことは当然必要。授業に専念できる環境を作ることが必要。そのために事務量軽減が必要。文科省の職員が事務担当として学校の実情を学ぶために派遣されてもよいのでは。

伊吹 事務量軽減のための予算、定員の問題にかかる前に、事務の簡素化、共同化を図る必要がる。

西 学力低下問題について。
学力低下については、学習意欲の低下こそが問題なのではないか。

伊吹 どんなに能力があっても、意欲がなければだめ。今回提出の学教法30条は、「主体的に学習に取り組む態度を養う」ことが明記されている。子どもたちにどういう目標、達成感を持たせるか、知的好奇心をもつこと、すすんで応用する力、興味をもたせるかをどう教え込むかが一番のポイント。学習指導要領の改訂には教え方、学習の内容について中教審の工夫を期待したい。

西 教育再生会議について
他の審議会と比較し、再生会議は教育全般を検討事項にしているためか、その位置づけ、事務範囲があいまいである。議論の過程について透明性が求められる。したがって会議を公開にすべきであり、要旨だけではなく議事録の公開は最低限必要。教育振興基本計画策定による予算についても再生会議で議論が行われるのか?

安部 教育問題はさまざまな要素があり、幅広い議論が必要。優れた見識を持った人に検討してもらうために再生会議を設置。議事録は公開しているが、会議の公開については自由な雰囲気の中で議論したいとの委員の意見を尊重。再生会議の検討項目の中に、教育再生に必要な財政基盤確保が含まれている。

西 地教行法について。
私学と知事部局の関係は、私学の自主性を尊重する点で従来からの関係は変わらないと理解する。知事部局が教委に「助言、援助を求める」際には、私学側との協議を行うことを要請したい。通達等で徹底を。また、専門的な事項について助言、援助ということであるが、透明性。公平さを確保するため具体的な何らかの基準があったほうがよいのでは。

伊吹 私学と知事部局、教委の関係は、西の理解で正しい。私学は建学の精神が尊重されるべきであるが、その一方で、公教育の一部であり、私学助成費を受けとっている。国家で決めた学習指導要領を守らなければ困る。私学について知事部局は私学助成の配分をしている。学教法に基づく学習指導要領がどこまで担保されているのかを見極めるだけのスタッフを置いていない知事部局として教委の意見を知事が助言を頼むという道を開いた。知事の私学への関与は私学の納得を得なければならない。通知の形は議論のうえ建学の精神を犯すことのないように対応したい。安部総理からも地方分権、地方自治という建前があるから知事部局において自主的に守れるように指導主事などの配置を促すよう指示があった。児童生徒が、私学、国公立で教える内容が違うことのないように努力したい。

西 免許更新制について。講習の開設者について、現行の教員養成課程を持っている大学では手が回らないのではないか。既存の教員養成大学、教職大学院、教委の講習はどの割合で受講があるか。

銭谷 課程認定を行う大学は、4年制(大学院含む)570、短大280である。講習開設者は、大学中心になることを望む。

西 へき地勤務の場合、講習はどのように実施するか。

銭谷 夜間、週末講習、サテライト教室、インタネット、遠隔、通信教育の実施などの形態を検討中。

西 指導教諭の配置について
すぐれた教師の存在が周囲によい影響を与えることを期待。

伊吹 現在の職員室は先輩も後輩も同様の雰囲気である。一般社会では経験を積んでいる社員が新米社員を暖かく指導している。新人も謙虚にそれを受けることが一般社会では当たり前のこと。経験のある子どもに向き合える教師を中心に学校を作っていく。教育行政のしくみからいうと何をおけということを文科省がいえない立場。成功事例を共有し、年功序列や圧力ではなくふさわしい人を選ぶように設置者である都道府県教委にお願いする。

西 民主党に質問。専門職免許状の取得条件について。8年以上の実務経験の意味。専門職大学院への進学は、それぞれの個別事情からすべての人に不可能でないか。

藤村(民主) 8年は、研鑽の実が挙がる経験年数を考慮。研修場所については、ITや通信教育、放送大学の活用を検討。奨学金制度も必要。教員配置については、別途提案の「学校教育環境整備法」において、任命権者が専門免許の授与をうけることができる機会を与えるよう努めなければならないとする。

コメント
・ いじめ問題については、根本的ないじめの背景要因の考察なし。対症療法の傾向ますます強まる。
・ 教育委員会を通じた、私学への介入、教員管理が予想。
・ 大学についても、入試を入り口とした学習指導要領の押し付けが懸念。
4月20日 午前
衆議院・教育再生特別委
4月20日の衆議院教育再生特別委委員会、自民党は中山成彬元文科相に続いて、小坂憲次前文科相が質問に立つ。

小坂委員は、教育基本法改正案の提出大臣として、教育3法案の提出を心待ちにしていたと冒頭で発言。改正教基法成立の次のステップは現場にどう定着していくかにあるとその問題意識を述べた。

小坂委員は今日は、教育とは何かという哲学的な論議をしたいと述べ、質問に入る。

最初に、子どもたちの一番身近な環境は家庭であるとのべ、家庭の重要性を指摘。そのうえで自らが所属する集団への帰属意識が希薄になったのではないかと問題提起。地域社会の再生が教育の再生につながるとも。

改正教基法の義務教育の目標が、学校教育法の目標になっている。ただし内心の自由は侵害してはならない。目標が学校教育法でどのように規定されているのかと質問。

安倍首相は、教育再生をいまやらなければならないというのが私の確信である、帰属意識から公共心も生まれると答弁。

小坂委員は続いて、学習指導要領の改訂スケジュールを問題に。現行では、学校教育法が改正されても指導要領作成、教科書作成、教科書検定、教科書採択に計4年かかる。検定、採択は合わせて1年に短縮できるのではないかと指摘。

学習指導要領の改訂に当たっては学力の向上が大きな課題である。全国学力テストも学力向上に生かすことが必要である。また教育予算の充実、情報機器の活用が必要と指摘。

安倍首相は、教育予算の充実を図っていくと明言。

小坂委員は英語教育の必要性も強調。12歳までの英語教育・英語活動を行えば二つの言語を母国語にできると発言。

続いて、副校長、主幹等の趣旨を質問。教員は学校事務業務も行っている。高校には事務長がいるが、小中にはおかれていない。事務長をおけば、教員が子どもと向き合う時間が作れると質問。

伊吹文科相は、副校長、主幹に事務の仕事を集中させる。現在の定員の枠の中で工夫した。担任の先生を生徒とできるだけ向き合えるようにしたものと答弁。

小坂委員は、定員の強化と予算の充実、事務長の設置を要望。

つぎに、地教行法の改正に関して、私学への助言、援助について質問、また国の責任と地方自治は対立しない、最後は国が責任をもつものだと発言。

菅総務相は、地教行法の改正内容は、自治事務の関与の限度内と考えている、教育再生と地方分権は両立しうるものと答弁。

小坂委員は、民主党の免許制度改正案について質問。教員養成を大学院修士で行うことについて、現在、教員養成系の大学院の定員は4600人、幼稚園教諭の8割は短大卒、この提案は考え方としてはありうるが現実的な提案ではないと批判。

民主党の提案者の藤村議員は、教員には高いレベルの能力も持ってもらいたい、政府案の更新講習のため教員養成大学が行うこと、また1年間は実習であることを考えれば実現可能である。通信教育、オンデマンド教育、放送大学も利用可能である。幼稚園教諭も小1プロブレムを考えれば、専門的知見をもった教員が幼児教育に当たることが必要。幼稚園教諭がいつまでも短大卒ではいけないと明言。

小坂委員は最後に教員免許更新制について安倍首相の見解を求めた。

安倍首相は、教員には最先端の技術、知識をみにつけてほしい。先生が自信をもって父母から尊敬を得られるようにするものだ。先生たちを叩こうとするものではない、自信と誇りを持って教壇に立ってもらう前向きなものだ。これは絶対に必要なものだと断言。問題がある教師には教育公務員特例法で対処すると答弁。

以上が、小坂委員の質問と答弁の要旨。小坂委員は哲学的な論争を、といいながら哲学的な論争はなし。強いていえば、バイリンガルを育てなければならないということが唯一の小坂氏の哲学か?

注目すべき答弁としては、安倍首相が「教育予算の充実を図っていく」と明言したこと。具体的にはどう充実するのか今後追及すべき。

伊吹文科相は、副校長、主幹等に事務の仕事を集中させると答弁した。これには注釈が必要。「事務」とは単なる書類づくりのことではない。学校運営上の様々な決定権、命令権を集中させる、その限りで一般教員の教育上の裁量権を奪うものなのである。つまり校長をトップとした「上司」の命を受けて、その指示に基づいて子どもの教育にたずさわれ、ということである。
4月20日 午前
衆議院・教育再生特別委
冒頭、中山氏は今日の大競争の時代になっており、教育にも競争が不可欠である、と持論を展開しました。この持論自体、暴論に近いものであると思いますが、とりわけ問題となるのは「ニートやフリーターなどの無気力な若者が増えている」「再チャレンジも大事だが、チャレンジしない人間をどうするか」という認識だと思いました。政府・財界の雇用政策の問題は一顧だにされていません。また「こうした無気力な若者を作ったのは、<競争は悪だ>と教えている教育現場の責任だ」とも述べていました。

次に従軍慰安婦問題を取り上げて、「ようやく運動によって教科書からこの言葉が消えたけれども、高校教科書にはまだ残っている。小中の教科書は無償だが高校の教科書は有償だから手が出せないと文科省は言っている」などと述べました。これはかなりの問題発言だと思います。伊吹文科大臣はさすがに「私の部下にそのような発言をするものはいないだろうと思う」「民主党や共産党だって政権につくかもしれないのだから、政権が交代すれば教科書も変わる、ということであってはならない。教科書検定はあくまでも学問的客観的に行われ中立性が大事だ」と答弁していました。中山氏は「女性の尊厳は大事だが、命を失った日本人、日本の軍人の尊厳も大事」などとも発言しました。

このほか中山氏は、「総合学習のあり方を見直すべき」「授業時間を増やすべき」「先生はマンネリになる。だから免許更新制を」などを要望していました。伊吹文科大臣が「せっかく教育基本法を改正したのだから、これをふまえて学習指導要領の見直しをすすめている」「現場の教育をどうするかは、学習指導要領のあり方が問題」と繰り返し述べていたのが印象的でした。

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