地方政府(2007年4〜12月)


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<愛知・犬山市>教育委員2人を学力テスト賛成派に交代

今年4月に実施された全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)に自治体で唯一参加を拒否した愛知県犬山市で、教育委員5人のうち2人が来月までに辞任する。田中志典市長は28日、来月4日開く定例市議会に新任2人の同意案を提出することを明らかにした。 

市教委は来年の学力テストへの不参加を全委員の総意で決議しているが、新任の2人は参加支持派とみられ、テストを巡る論議が再燃しそうだ。

委員5人のうち、名古屋鉄道相談役の谷口清太郎氏が高齢などを理由に10月末に辞任し、元小中学校長が12月に任期満了を迎える。テスト参加を求めて市教委と対立する田中市長は、市体育協会会長と元教育委員の選任同意案を議会に提出する。田中市長はこの2人について「見識、経歴から見て選んだ。(学力テストについて)市民の意向を反映してくれる人だと信じている」と話した。議会で同意されるのは確実とみられる。

数の上では学力テスト不参加派がまだ上回るが、これまでのように結束して田中市長と激しく対立した強硬姿勢は取りづらくなるとみられる。

毎日新聞 2007年11月29日

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物見櫓(ものみやぐら) 全国学力テストは今年限りに 前犬山市長 石田芳弘

文部科学省が今春実施した全国学力テストの結果が公表された。対象となった全国公立小中学校の中で唯一犬山市は、テストを実施しなかった。当時教育委員会と相談しつつ、テスト不参加を決定した犬山市の前市長としての感想を述べたい。

問題の本質は、学力とは何か、ということだ。“真の学力”とはあのような正当(ママ)率を求めるペーパーテストとはおよそ異質のものではないのか。真の学力とは、知識とは異質の、テストでは計ることのできないものである、ということをまず認識する必要がある。

もちろん、漢字や語彙(ごい)とか算数の九九や公式といった、いわば基礎的知識が学力や学ぶ意欲に影響を与えていることは十分理解している。しかし、真の学力とは、他者と比較するとか授業時間数を増やして詰め込むとかの外圧によって付けられるものでは決してない、ということによくよく気付く必要がある。

子どもたちの学ぼうとする意欲、学力を求めて向上していこうという生命力は、どこまでいっても、子どもたちの内にある潜在力を内発的に引き出してやることでしか達成できはしない。少人数授業を徹底するとか、教材を工夫するとか教師の作品とも言うべき授業をおもしろくし、学ぶ楽しさを引き出す努力は無限にある。

そういった教育観に立つ時、全国学力テストのような学力評価は、何の意味も持たないどころか、むしろ知識偏重、受験戦争、学歴重視という日本社会のわなともいうべき優勝劣敗の価値観を助長するおそれすらあると考える。犬山市教育委員会の学力観はそこにあった。

今回のテストの結果、わが国の子どもたちは「基礎的知識」に比べ「知識の活用」が劣るという。こんなことはもう何年も前から指摘され続けてきたことであり、今回の調査は、従来の懸念をさらにまた確かめたに過ぎない。問題はその対策を立て、実行することではないのか。

学校教育は教師に始まり、教師に終わる、教師の存在がすべてだ。まず行うことは教師たちの持つ「教師魂」に火をつけること、そのために現場の教師たちに財源と権限を与え、主体性を持たすことだ。文科省が上意下達で授業時間数を増やすことでは決してない。

私は犬山市以外にも教師、中には教育長の職にある人で今回の学力テストに批判的な人をたくさん知っている。一方、この件について、全国の首長の顔がほとんど見えない。

国の言ってくることだから、文科省の考えだからということだろうが、全国学力テストは国会で議決された法律でも何でもなく、単なる文科省の行政事務と言ってよいものだ、。地域の子どもをあずかる一番の責任者たる首長は、もう少し、教育委員会や現場の教師の本音を聞くべきではないのか。全国学力テストは中央集権の最たるものだ。地方分権というデモクラシーのテーマはどこへ行ってしまったのか。

一回のテストにかかる費用は七十億円前後と聞く。今後、継続的にテストを実施すれば、膨大な投資額になるが、私にはどう考えても学力向上とは何ら関係ないムダ遣いに思えて仕方ない。全国学力テストはせめて今年限りでやめてほしい。

そろそろ来年度の政府の予算編成が始まるが、私は断固、この学力テストは、二十年度予算からはずすべきだと主張したい。

中日新聞 2007年11月27日

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犬山市教委 テスト結果開示へ 4中学実施 学校の平均点など

犬山市教育委員会は、市内の中学校が独自に実施している業者テストの学校ごとの結果を開示することを決めた。同市は国の全国学力テストについて「結果公表による学校の序列化が懸念される」として不参加を貫き、今回のテストについて当初は同様の理由で非開示としていた。しかし、市教委での協議を経て「教育実践の一環で、公表により現場が混乱しない自信がある」と開示理由を説明している。

同市教委が開示を決めたのは、二〇〇六年度に市内四中学校が実施した全国的に採用されている標準学力検査の全国と学校ごとの平均点、受験校数や人数など。同市では、各中学校が独自に採用し、費用は一部校費で保護者が負担している。

同市教委は四月に市内の男性から「公平な教育が行われているか」「各中学校間に極端な学力差はあるか」を知るため情報公開請求されたが、翌月、市教委は「テストのデータが一人歩きし、点数順位だけで学校が評価され序列化をもたらすおそれがある」として非開示を決定した。その後、男性の不服申し立てを受け、市情報公開審査会も「公開すべきだ」と答申。同市教委が対応を協議していた。

犬山市教委は同検査の目的を「学校の教育課程や指導方法の改善に生かすもので、子どもや学校の成績を比較し競わせるものではない」ととらえ、「現場は検査の意義や目的を理解し結果を公開しても学校間の競争をあおらない」として市民の知る権利を守る立場から今月二十日の定例会で公開を決定した。

瀬見井久教育長は「犬山では教師の手で子どもを評価しており、標準学力検査はその一環。公表されても影響されないだけの努力をしている」と説明している。

自治体のテスト結果の情報公開請求をめぐっては、大阪高裁は一月、大阪府枚方市が独自に実施したテストについて公開を命じたが、盛岡地裁では八月に住民の請求を棄却する判決を出し、司法の判断も分かれている。(広瀬和実、北村剛史)

中日新聞(名古屋版) 2007年11月23日

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学力テスト不参加 犬山市教委 新任2候補に「参加派」 市長が同意求め議案

今年四月の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に自治体で唯一参加しなかった愛知県犬山市の田中志典市長は、教育委員二人の新任に同意を求める議案を十二月四日開会する市議会定例会に提出する。

市長派の委員を送り「不参加」の方針転換を教委に迫ると見られる。同意を求めるのは市体育協会会長の加藤武司(六七)と元教育委員で住職の林良忠(七二)の両氏。

全国学力テストで、市教委は「競争原理の導入は犬山の教育理念にそぐわない」として、委員五人の全会一致で不参加を決議した。これに対し、田中市長は「受けたい子ども、受けさせたい親の権利まで奪うのはどうか」と反発していた。

その後の四月中旬、田中市長は教委関係者と市長室で激論中、急性大動脈解離で倒れ、約一ヶ月半の静養を余儀なくされた。

職場復帰後は教委に対し静観の姿勢をとっていたが、名鉄相談役の谷口清太郎委員が十月三十一日、一身上の都合を理由に辞任。元小中学校長の滝尚文委員も十二月二十日で任期満了を迎えるため、新委員の人選を進めていた。

中日新聞名古屋版 2007年11月22日

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標準学力テストの結果 犬山市教委 開示決定 審査会答申受け

愛知県犬山市教育委員会は21日までに、独自に市内4中学校で実施した05、06年度の標準学力テスト結果の開示を決めた。今年度以降も、市民が公開を求めれば、結果を明らかにする方針。「標準学力テストの目的をゆがめ、学校間の序列化を促すことにつながり、無意味な学校間の競争をあおる」などとして、同市教委はこれまで開示しておらず、同じような理由から国の全国学力調査(学力テスト)にも市内の公立校が唯一参加していない。

市内の男性(57)が4月、「公平な教育が行われているか」「各学校間に極端な学力の差はあるか」を知るため、2カ年度の学年別、教科別の結果を公開するよう市教委に請求。しかし、翌月、市教委は非開示を決定した。

その後、男性の不服申し立てを受け、市情報公開審査会が8月、開示するよう答申した。

市教委は答申を受けた後も、05年度分を「保存期間は1年で、廃棄した」と非開示とし、06年度分もなかなか開示しなかったという。

そのため、男性から今月2日、「市条例に該当する理由がないのに、非公開にした」として名古屋地裁に非開示処分取り消しを求める訴えが起こされた。

市教委は今月20日の定例会で、開示を決定。これまでの方針を大きく転換した。「同様の訴訟で8月に盛岡地裁が非開示とする判決を出したことなどから、慎重に議論したため決定まで時間がかかった。提訴されたためではない」と話す。

一方、男性が6月、「非公開の決定理由は市教委の教育理念に基づくもので、条例の非公開情報のいずれにもかからない」と不服理由を追加する書面を提出したのに対し、市教委がこの書面を審査会に提出していなかったことが、男性の別の情報公開請求で判明した。市教委は「追加理由の内容は口頭で伝えた」と釈明している。

朝日新聞名古屋版 2007年11月22日 

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学力調査是認派が参入 犬山市教育委員 市長が任命方針 「不参加」に影響か

今年4月の全国学力調査に参加しなかった愛知県犬山市の教育委員2人が来月に交代することが20日、明らかになった。定員5人のうち、新しく任命される2人は調査参加を是認するとみられ、来年9月には別の1人の教育委員も任期切れを迎えるため、調査に加わらないという同市教委の方針は変更を迫られる可能性が高い。

昨年12月に新市長に就任し、全国学力調査への参加を公言していた田中志典(ゆきのり)市長が明かした。

同市では、石田芳弘前市長が県知事選立候補のため06年11月に辞職、その後の市長選で、「学力調査参加」を訴えた田中氏が初当選した。田中市長は、前市長時代に任命され「不参加」を唱える瀬見井久教育長と意見を異にしている。今年3月の教育委員会では、委員5人が全会一致で「不参加」を決め、同市は全国で唯一、調査が実施されない自治体となった。

今回、2人の委員が任期満了や高齢を理由に辞めるため、田中市長が人選を進めていた。田中市長は、「調査参加」に前向きだとして市体育協会会長の加藤武司氏(67)と、元教育委員の林良忠氏(72)を任命する方針を固め、人事議案を来月、市議会定例会に提案する。

2人とも朝日新聞の取材に対しては「現在の教委の立場を説明し、住民の意向を尊重すべきだ」と話すにとどまる。同市教委は「文部科学省が来年度も同様の方法をとるのなら参加する理由はない」などと不参加の方針を明らかにしているが、先行きは不透明だ。(藤浦大輔)

朝日新聞名古屋版 2007年11月21日

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日産自動車から民間人校長=東京都教委

東京都教育委員会は25日、2010年に開校する都立小金井地区科学技術高校の校長に、日産自動車の役山孝志氏(55)を採用する人事を内定した。来年1月採用で同4月から同校の開設準備室に入ってもらう。民間出身校長は都立高では5人目で、区立校も合わせると7人目。

役山氏は1976年日産に入社。第一試作部車体試作課長や英国の日産ヨーロピアンテクノロジーセンター社試作部次長などを経て、現在は生産事業本部の環境エネルギー室長を務めている。(了)

時事通信 2007年9月25日

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初の教育基本条例制定へ=東京都杉並区

東京都杉並区教育委員会が設置した「教育基本条例等に関する懇談会」(会長・小松郁夫国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長)は20日、同区が制定を目指す教育基本条例の内容について、区教委に提言を提出した。公共心を伸ばすことや、郷土愛をはぐくむ施策の充実などを提唱。区教委は、2008年の2月議会に条例案を提出する。教育基本条例が制定されれば全国初となる。

提言は、前文に人づくりの基本として、「社会性を発揮すること」を大切にすると明記。本文では、大切にしたい考え方として「自立心と公共心をバランスよくしっかりと伸ばす」との表現を盛り込んだ。また、家庭を「人として生きる基礎となる資質や能力を育てる場とする」と位置づけ、「教育の原点は家庭」とした。

このほか、区の取り組みとして「郷土愛をはぐくむ施策の充実」を提言した。

教育基本条例制定の狙いや今回の提言内容について、区教委は「公共心や地域への愛着がないと社会は良くならない。特に改正教育基本法に影響されたわけではない」としている。(了)

時事通信 2007年9月20日

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教職大学院進学者、再試験なしで採用=岐阜県

岐阜県教育委員会は、公立学校教員採用選考の合格者が県教委と連携する教職大学院の選抜試験にも受かって進学し、2年間で修了した場合、選考試験を改めて受験しなくても教員として採用する制度を2008年度分の選考から導入した。採用を保証し猶予期間を設けることで、教職大学院への進学を促し、より質の高い教員の確保を図る。合格者名簿に2年間登載するのは全国初の試みという。

対象となるのは岐阜大教職大学院で、今年11月に文部科学省から設置認可を受ける予定。今年度、両方の試験に合格し、同大学院に進学した場合、10年度に無試験で正式に採用される。

これまで、合格者に採用の猶予期間を与える制度はなかった。県教委は、採用予定者により高い専門性や実践的な指導力を身に付けてもらうと同時に、優秀な学生を進学させることで教職大学院の質が高まるメリットも見込む。

当面、制度が適用されるのは岐阜大教職大学院のみだが、県教委は今後、追加設置の状況や効果を見ながら対象の拡大も視野に入れる。(了)

時事通信 2007年9月19日

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香川、本四橋料金下げ提案−四国4県重点要望

2008年度政府予算の概算要求に向けた四国4県の重点要望が18日までに出そろった。4県とも地方交付税の確保や地方税源の拡充を要望。地方分権改革の中で、地方“切り捨て”にならないよう求めた。

【災害対策】4県とも、南海地震対策の推進を要望。高知は「想定される死者の約7割は津波による」として津波からの避難施設の整備を求めた。

【空港】徳島は羽田空港の発着枠見直しに際しては地方路線に配慮し、航空自由化の恩恵が地方にも及ぶよう要望した。

【本四連絡橋】香川は道路特定財源を活用した本四架橋3ルートの抜本的料金引き下げや利用促進のため時間帯割引導入を提案。08年4月の瀬戸大橋開通20周年を記念した割引も要望した。

【農林業】愛媛は輸出の支援などの、かんきつ農業の担い手支援策を求めた。高知は地球温暖化対策の一環として、二酸化炭素(CO2)吸収源となる森林の所有者の負担軽減を求めた。

【88カ所】四県が四国88カ所霊場と遍路道の世界遺産登録を目指すよう文化庁に要望した。

【教育】愛媛は教育基本法の改正などを受け「教育再生」を新たに盛り込み、優秀な人材を確保するため、教員の給与水準を引き下げないよう求めた。

四国新聞 2007年8月19日

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町教委が健康・安全教育を重視した基本方針

【益子】町教委は十六日まに、子どもたちの健康・安全教育を重視した基本方針「21世紀を拓(ひら)く確かな学力を育てる益子の教育〜町学校教育目標具現化のために」を策定した。いじめ対策として町教委内に「いじめ対策支援チーム」を設置、相談窓口も開設する。またいじめを把握するため毎月、各小中学校でアンケートを実施、これを基に素早い対応を目指す。

昨年の教育基本法改正を受け町教委は本年度、学校教育目標を改定。分かりやすさを基本に、二十一世紀を生きる人材の育成を掲げた。

下野新聞 2007年8月17日

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奉仕 苦役か効果か 東京都の高校で必修化

政府の教育再生会議が第2次報告に盛り込んだ高校での奉仕活動必修化。以前にも同様の提言が出されたものの、全国一律の導入は見送られた。一方、東京都が07年度から全国で初めて高校で必修化した独自教科「奉仕」の授業が始まった。現場の反応は。全国に広がるのか。【高山純二】

東京都の「奉仕」は、全都立高に義務付けられた。学習指導要領の学習内容に年35時間(1単位)の「奉仕」が加わった。都教委が独自に作成したテキストによる事前・事後学習があり、実際に活動するのは35時間のうち半分程度になる見通しだ。

授業は主にクラス担任が受け持ち、「社会に役立つ喜びと意義を知る」「社会のさまざまな課題を知る」など教科の狙い4項目の「事前学習」「活動」「事後学習」のそれぞれについて「非常によい」を3、「よい」を2、「課題がある」を1として評価。生徒にも自己評価させ、最終評価は数字ではなく記述式で行う。

都立本所高校(東京都墨田区)の1年生は6月末、「奉仕」の一環で学校周辺のごみ拾いをした。5人程度のグループに分かれて、分担場所に向かう生徒たちは楽しそう。入学からまだ3カ月という時期で「友達関係を広げられる」(男子生徒)ことも一因のようだ。

小雨もぱらつく中を約40分間、ペットボトルやたばこの吸い殻などのごみ拾いを終えた後、男子生徒に感想を聞くと、「街がきれいになると、心もきれいになる気持ちがします」。冗談めかした答えに、周囲の友人たちが笑った。「本音はみんなやりたくないですよ」「面倒くさい、帰りたいですよ」。教員らの期待に反して生徒たちのぼやきも聞こえてきた。

同校は1年間で、▽学童クラブでの小学生の世話▽地域の祭りの手伝い▽献血センターの手伝い−−などの活動をする予定だ。

都教委の担当者は「すべての子どもが狙いを理解しているわけではないが、福祉活動などの現場を知るだけでも価値がある」とその教育効果をアピール。別の高校のある男性教員は「奉仕の必修化は個人的には反対。疑問に感じる生徒もいるのでは。でも、活動すれば何らかの成果は得られると思う」と話す。

奉仕の必修化は00年12月、森喜朗元首相のもとに設置された教育改革国民会議も提言したが、「『滅私奉公』『お国のため』というイメージがある」と批判にさらされ、導入には至らなかった。

しかし、その後の04年11月、都教委は導入を決めた。06年11月にある地域のPTAに説明した際、保護者らからは批判的な意見も出たが、実際に始まってからは意見や苦情などは寄せられていないという。

教育再生会議が07年度中に学習指導要領を改定し、必修化するよう求めている「奉仕」。東京都は03年度から主幹教諭制度を導入するなど、これまでにも全国の先陣を切った例がある。「奉仕」が全国に広まるかどうかは今後、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が教育効果も含めた必修化の是非を論議し、学習指導要領に盛り込むかどうかを判断する。

毎日新聞 2007年7月20日

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改正教育基本法などで研修 3市町の教育委員ら

八重山教育委員協会(田本徹会長)の07年度研修会が17日午後1時半から、石教委2階ホールで開かれた。

同協会は石垣市4人、竹富町5人、与那国町3人の教育委員らで組織され、八重山共通の教育行政の諸問題について検討し、解決を図るために活動している。

田本会長が「八重山の教育向上と教育行政の活性化に向け、研修を通して理解と知識を深めていきたい」とあいさつ。

研修では「八重山地区の学力向上対策、新しい教育基本法とは」をテーマに八重山教育事務所の友利始夫主任指導主事が説明。約60年ぶりに改正された教育基本法の概要や改正ポイント、また八重山地区の高校入試の結果をもとに学力向上の取り組みについて話した。

続いて「八重山地区における市立図書館の役割と今後の課題」と題して、宮良正之市立図書館長が講話した。

八重山毎日新聞 2007年7月18日

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右翼幹部企画教育集会を教委後援 宮城 共産党の撤回申し入れ拒否 安倍「教育再生」と共通点

右翼団体幹部が企画構成を担当した侵略戦争美化、戦前回帰の教育をめざす団体の集会を宮城県教育委員会と仙台市教育委員会が後援、県知事が出席して祝辞を述べ、仙台市長もメッセージを寄せました。市民から批判の声が上がっています。

村井嘉浩県知事が出席し、梅原克彦仙台市長がメッセージを寄せたのは八日に仙台市で開かれた「めざせ教育再生タウンミーティングin宮城」。侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次氏が理事長を務める「日本教育再生機構」が、全国各地で行っている「タウンミーティング」の一環です。「教育再生in宮城実行委員会」が主催する形で開かれました。

この「タウンミーティング」の「企画構成担当」を務め、当日の総合司会者になった「二十一世紀研究所代表」の増本和司氏は、右翼団体「大日本赤誠会」の役員に名を連ねています。

八木氏は「新しい歴史教科書をつくる会」を脱会した後、日本教育再生機構を設立しました。宮城実行委員長の飯澤耕作氏は、右翼改憲組織の日本会議宮城県本部の役員です。

同再生機構は復古的な主張を持つ教育団体の「ゆるやかなネットワーク」として昨年十月に発足。結成の呼びかけ文では、日本を「有史以来、国の中心に一系の天皇をいただいてきた伝統の国」とする戦前回帰の特異な立場に立ち、戦後教育が「歴史と伝統」を否定し、「国民の心と体を蝕(むしば)み、ついには国家の中枢を侵すにいたった」としています。

発足集会で八木氏は「安倍政権の教育再生は私たちの構想と多くの共通点がある」とのべ、安倍内閣の「教育改革」を民間から推進する立場を表明しています。

仙台での「タウンミーティング」は「国歌斉唱」で開会。八木氏のほか、同じく「つくる会」元会長の田中英道・東北大名誉教授らが登壇し、「大東亜戦争が悪と見られてきたこと自体が、子どもに負の観念を与えている。日本がやったことは正しかったということを教えなければならない」などと発言しました。

警察学校で講話をしているという男性は特攻隊の遺書を道徳教育の教材として使うことを提言。高校教師の男性は「いまは過去の侵略への反省が少ないと教え込み、憲法改正を危険視する教育が行われている。日本の歴史・伝統を尊重する国家観を身につけなければ教員採用試験を通らないようにするべきだ」と主張しました。

このタウンミーティングをめぐっては、日本共産党県委員会と県議団、仙台市議団が五日、同再生機構の実態や増本氏が大日本赤誠会幹部であることを指摘して、県教委と市教委に後援の撤回を求める申し入れを行いました。県内の団体・個人でつくる民主教育をすすめる宮城の会も県教委などに、同再生機構についての認識と後援に至った経過を明らかにするよう求めました。しかし、県教委、市教委は後援を撤回せず、県知事が出席する事態となりました。

一方、主催者側が後援団体の一つとしていた宮城県PTA連合会は「後援依頼は文書でも口頭でも受けていない。後援した事実はない」としています。

大日本赤誠会 設立の趣旨を「万葉一統の皇朝に赤誠を捧(ささ)げ奉らんと念願する若き大丈夫の同志的結合体」「亜細亜諸国の解放の為(ため)に果敢な闘ひを続けた先覚的維新者群の思想と体験を…継受し且(か)つ発展させることを目的とする」とし、「現行憲法破棄!」を掲げています。機関誌『民族戦線』のホームページでは、自民党の加藤紘一元幹事長の実家に放火した容疑者を「天に代わり正義の炎を放った」と賛美し、激励の手紙を呼びかけています。

しんぶん赤旗 2007年7月16日

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北海道庁、私学補助金の査定項目に「国旗・国歌」

北海道庁が今春、道内の全私立高校54校に対し、補助金の査定項目として「国旗掲揚と国歌斉唱の実施状況」の報告を求めていたことがわかった。道内では、道立高校の掲揚・斉唱率が100%であるのに対し、私立は掲揚率66%、斉唱率38%(06年入学式)。私立側は「金の配分権を通じて日の丸、君が代を強要しているようなものだ」と猛反発し、道は今回限りで査定項目から外すことを決めた。

北海道の私立高校への補助金は、全体の9割を国、1割を道が拠出しているが、実際には道が各校とやり取りをして額を決定している。

道庁が今回、「国旗掲揚・国歌斉唱」の報告を求めたのは、補助金のうち「特色ある学校」枠の査定。「国際化」「情報化教育」など全17項目の調査の一つとして入学式、卒業式での掲揚・斉唱の有無をたずね、掲揚している場合はその場所を書くよう求めた。

査定は項目ごとに点数を加算する方式で、例年、「特色ある学校」枠では高評価の学校で2000万円程度交付されるが、低評価だと1000万円程度にとどまるという。

道は国旗・国歌法が成立した99年以降、随時、私立高に対して掲揚・斉唱の実施状況をたずねてきた。道学事課は「今回は補助金の査定項目に織り込んだだけで、あくまで実態調査だ。これで金の配分を増減するつもりはない」と繰り返す。

私立側は懐疑的だ。ある校長は「実態把握が目的なら、調査方法を変えてわざわざ査定に組み込む必要があるのか」。教員の一人は「私学の経営にとって補助金は大きい。学校は相当神経を使って報告書を書くのに」と憤る。キリスト教系の学校も「マリア像の隣に日の丸を掲げろとでもいうのか」と反発する。

ただし、査定のボイコットまでには至っておらず、批判している学校も回答には応じているという。

近年の道議会では自民党議員が掲揚、斉唱の徹底を道に迫る場面が目立っている。そうした政治的な動きとの関連を指摘する声も上がっている。

道は当初、調査は正当なものだとしていたが、反発の高まりを受け「私学の独自性に配慮しない無神経なやり方だった」と非を認めた。来年度は査定項目から切り離し、別途調査するとしている。

文部科学省は「査定に国旗国歌を組み込むことは指示していない。他の都府県での事例も把握していない」という。

朝日新聞 2007年7年14日 15:56

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「地方分権に逆行」 教育長は一斉反発

地方分権の流れに逆行する‐。教育改革関連3法案に対し、九州で地方教育行政のかじを取る自治体の教育長からは反発の声が相次いだ。

3法案のうち、異論が集中したのが地方教育行政法改正案。文科相に教委への是正指示権を与える内容だが、佐賀市の田部井洋文教育長は「教委は機能しない、学校現場はだめだと決めつけすぎる。行き過ぎた国の権限強化だ」と批判する。

大分市の足立一馬教育長も「是正基準が明確でないのは懸念材料」と指摘。教員免許更新についても「競争によって緊張感を持たせるのは分かるが、教育全体の底上げにつなげようとの意思が見えない」と心配する。

福岡市の山田裕嗣教育長も「地方の自主性を十分に尊重した運用を望みたい」と要望。福岡県久留米市の石川集充教育長は「監督強化の流れを食い止めるには教委の主体性が欠かせない」と戒める一方、「改革には人員と予算が必要だ」と国の支援充実を求めた。

西日本新聞 2007年6月20日

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教育改革、国に自重求める=新潟市など4市町

地方の現場の声を反映した教育改革を発信しようと、新潟県新潟、長岡、見附の各市と聖籠町が2日、新潟市内で教育フォーラムを開催し、篠田昭新潟市長ら は、国がこれ以上制度変更を行う必要はなく、地域社会が教育によりかかわっていくべきだとする緊急アピールを行った。フォーラムには教師を中心に約650 人が参加した。

フォーラムでは、都内初の民間出身の公立中学校長となった杉並区立和田中学校の藤原和博校長が、「『市民』を育てる学校」 をテーマに、自ら編み出した授業法などを取り上げながら講演。同校長は「世の中と自分のかかわりが分からない子どもが増えており、教育にもっと地域社会が かかわらないといけない」と語った。

続いて、作曲家の三枝成彰さんを交えたパネルディスカッションが行われた。

篠田市長 は「教育改革の議論の結果として、国の関与が深まるばかりで現場は大迷惑している。現行の運用で現場や地域がもっと改革できるはずだ」と主張。森民夫長岡 市長も「国には現場の課題をよく見て決めてもらいたいが、制度をくるくるいじって世の中をよくしたと錯覚するのはやめてほしい」と賛意を示した。(了)

時事通信 2007年6月4日

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文科省山田氏に教育委員辞令 磐田市、女性教育長へ

磐田市議会は24日の臨時会本会議で、次期教育長候補の市教育委員に文部科学省大臣官房人事課専門官の山田素子氏(33)=東京都板橋区=を任命する人事議案に同意した。現教育長の伊藤英明氏(62)の任期満了に伴う人事。閉会後、鈴木望市長が辞令交付した。

27日の臨時市教委で委員の互選を経て新教育長に就任する見込み。就任すれば、県内最年少の教育長となる。女性教育長としては同市初、県内4番目。鈴木市長は議案審議の中で「教育基本法改正などに携わった経験を基に、客観的視点で子育て、いじめ、学力向上などの課題に取り組み、市の教育行政を大きく前進させてくれると期待している」と述べた。

山田氏は早大教育学部卒、東大大学院修了後、文部省入り。文科省教育改革官室専門職、内閣官房副長官補室主査などを経て現職。

静岡新聞 2007年5月25日

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「君が代」の歌いぶり、3段階でチェック 和歌山県教委

和歌山県内の小中学校の入学式や卒業式で、児童・生徒や教職員の君が代の全体的な歌いぶりについて、同県教委が「よく歌えている」「比較的歌えている」「ほとんど歌えていない」の3段階で調べ、各校別に評価していることがわかった。県教委小中学校課は「歌えていない場合に原因を調べて指導や助言をするため。現場の状況を細かく調べるのは県教委の責任で、必要な調査だ」としている。

 県教委はこのほか、式次第に「国歌」と入っているか▽伴奏に使うのはピアノ、テープのどちらか▽国旗掲揚の場所――なども調べてきた。国旗・国歌法が99年に成立する前の98年度卒業式から評価を始めたという。

 県教委は毎年4月ごろ、小中学校課長名で各市町村教育長に対し、実施状況を調査用紙にとりまとめて提出するよう文書で通知。調査方法は各市町村教委に任せているが、来賓として式に出席した教育委員や教委職員が評価したり、電話で校長から聞き取ったりして集計しているという。各市町村教委は、学校名は出さず、評価別の学校数だけを県教委に報告してきた。

 県教委に残っている資料によると、04年度入学式で小、中合わせて7校が「ほとんど歌えていない」と評価されたが、07年度入学式では「よく歌えている」が296校、「比較的歌えている」が110校で、「ほとんど歌えていない」はゼロだった。

 君が代に関する調査の理由について、同課は「学習指導要領に沿った教育ができているか把握するためで、学力調査や体力調査と同じ」と説明。データの使途は「今後の指導にいかすため」としている。

 これに対し、和歌山県教職員組合(和教組)の武内正次執行委員長は「そこまで調査しているとは。君が代を強制しようという動きで、早急に各市町村教委へ聞き取り調査したい」と憤る。一方、文部科学省教育課程課は「地域ごとの自主性や特色に応じて、しっかりと指導が行き渡るようにしてもらえればいい」としている。

 山口裕市・県教育長は「今後については、各市町村教委や学校が調査をどう受け止めているか聞いた上で検討したい。問題がなければ継続する」と話している。

 国際基督教大の藤田英典教授(教育社会学)の話 歌いぶりまで調べるのは、憲法が保障する思想・良心の自由を侵害しかねない。こういった調査で教職員を評価することになれば、思想統制にもつながる。君が代をどう扱うかという問題をこえて、評価による統制が進められ、教育現場のおおらかさが失われていくのではないか。

 君が代・日の丸調査 文科省は旧文部省当時の90年の卒業式からほぼ毎年、全国の公立小中学校と高校で日の丸掲揚・君が代斉唱の有無を調査していたが、03年の卒業式と入学式の調査で、小中学校での君が代斉唱の割合がほぼ100%に近づいたことを理由に、その後は調査をしていない。東京都町田市教委は04年12月、市立小中学校長に対し、ほかの式歌と同様の声量で君が代を斉唱するよう求める通知を出したが、翌年からやめた。福岡県久留米市教委は04年の卒業式で、君が代斉唱の声量を3段階で評価したが、市民団体などの抗議を受け1年でやめている。

朝日新聞 2007年5月16日

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