2532国の総合的施策策定権限の意義

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○やまぎわ委員 もちろん、教育基本法が改正されてから実際にその作業が行われるということでございましょうから、改正に当たりまして、その理念を持って先に進んでいただけるということを確認させていただきたくて今の御質問を申し上げた次第でございます。前向きに取り組んでいただけるという御答弁でございましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 時間もぼちぼちだと思います。最後になるかと思うんですが、前の御質問にもあったとおりに、教育基本法を改正しても、改正した理念というものが教育の現場にしっかり落とし込まれていかなければ、基本法を改正する意義というのは失われてしまうわけなんですね。特に道徳教育というものは、恐らく評価の方法というものも非常に難しいものになると思いますし、これから検討を要するものなんだろうと思うんですけれども、その際に、道徳教育に限らないかもしれませんが、改正された教育基本法の理念というものが学校で本当に実現されているかどうかということ、これの評価、あるいは、それを検証する制度というものをどのようにつくっていくおつもりであられるのか
 さらには、当然ながら、今までは、一部のイデオロギー団体かもしれませんが、これに大きく違反をし続けてきたという現実もあるわけですね。となりますと、これからもそういった違反が起こるという可能性もありますし、また、先ほど大臣、道徳教育の調査というお話をしていただきましたけれども、調査をしたときに、その調査報告の中身を、虚偽の報告をしたり偽造報告というものが行われたりなんということがある可能性もある。
 となった場合に、これに対して、是正命令といいましょうか、正す、さらには、それでも直らない場合には罰則等々も考える、こういったことはこれから検討されていかなきゃいけないだろうと思うんです。
 これを行っていく上で、やはり国あるいは地方の役割というものは非常に重要なものがあるのではないかと思うんですが、この点につきまして、どのような見通し、お考えをお持ちか、お答えいただければと思います。

○馳副大臣 各学校における教育活動が法令で定める目標や理念に沿って適切に実施されているかどうかは、まずは設置者である教育委員会が現状を把握し、必要な監督や指導を行うことが必要であります。国においても、各教育委員会を通じて各学校の授業時数や教育課程の実施状況の調査などを行い、その結果に基づき教育委員会を指導しております
 また、各学校が教育活動の成果を評価、検証して改善に生かす学校評価システムの構築を図るため、学校評価ガイドラインの策定等の方策を講じているところであります。
 一方、学校で不適切な状況があった場合は、各教育委員会は、その改善を指示するとともに、教職員の服務規律に違反する行為や虚偽報告などの違法行為が行われた場合は、懲戒処分とすることも可能であります。また、このような場合、国は、教育委員会に対して、一定の措置を講じるよう必要な指導、助言、援助を行うことが可能です。
 これらを通じて、国は、各教育委員会が学校の状況を把握、検証し、適切に監督がなされるよう教育委員会を指導してまいりたいと考えております。

 

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○小坂国務大臣  また、今日、学習指導要領の見直しの中で、すべての教育活動を通じて、言葉や体験を重視した学習や生活の基礎づくり、国語や理数教育の充実、全国的な学力調査の実施により、いわゆるPDCAサイクルを学校教育の質の向上に役立てる、今までは検証ということまでも行っておりませんので、プラン・ドゥー・チェック・アクションという一つのサイクルをしっかり確立することが教育においても必要だと考えておるわけでございます。
 こういった観点から、平成十八年度末までに学習指導要領の改訂を行いたいと考えておりまして、今委員がそれぞれ御指摘をいただきました、また私が答弁を申し上げた課題についての取り組みをこの中で専門の先生方に御協議をいただき、また学習指導要領の中教審の中の部会でしっかり御議論をいただく中で改訂を進めてまいりたいと考えております。

 

 

164国会 衆特別委 第7回(61日)

○糸川委員 そうすると、最終的には国が責任をとっていくのかなという発言にも受け取れるわけでございます。
 現状におきましては、国と地方公共団体が適切な役割分担のもとに教育行政が展開されている、こういうことでございますが、それでも、国としての、教育の質の保証というものはきちんと国が行っていくべきである、こういうふうに考えるわけでございます。
 総理は、前回の質疑でも、全国学力テストを行うことを肯定されていらっしゃいましたが、全国学力テストや学校評価など、教育の質の保証についてはきちんと国が責任を持つべきだというふうに考えますが、これは、総理、どのようにお考えでしょうか。

○小泉内閣総理大臣 子供たちの学力を向上させようという点において、学力テストは一つの参考になるのではないかと思っております。
 どの地域のどの学校の学力と、他の地域の学力と基本的な学力を調べて、余り違いがあったらば、劣っている地域をいかに向上させるかという点においても参考になるでしょう。
 日ごろの勉強の成果をあらわす一つの材料として、学力テストというのは、生徒の学力向上に役立てるような形で生かせるのではないかなと思っております。

 

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。
 昨日、小泉総理に学校教育に対しての国の責任についてお尋ねをしたわけでございます。総理は、教育の質の保証については国に責任がある、こういうふうにお答えいただいたと理解をしておるわけでございます。
 私は、地方公共団体がそれぞれ工夫をして、地域や伝統、こういう特色を出した教育を行う、これは実に好ましいことではないのかなというふうに思います。また、そういうふうにあるべきだというふうにも思っているわけでございます。
 ただ一方で、学校教育、特に義務教育であれば、たまたま子供が、ある県に生まれた、だから、ほかの県では当然に受けることができる教育を受けることができなかったとか、それから、ほとんどの市町村では当然子供に教えるべきこととして行われている教育が、たまたまある市や町、そういうところで育ったから、生まれたから、受けることができなかったとか、そういうことは避けなければならないと思っているわけでございます。
 国としては、義務教育について、このような教育の機会均等ですとか教育の水準維持といったことについてはきちんと責任を持つべきである、こういうふうに思うわけで、これははっきりとしておく必要があるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、例えば、学習指導要領を定めたりとか、それが地方公共団体できちんと実施されているかどうかなど、義務教育の機会均等と全国的な水準の維持向上というんでしょうか、そういうこと、それから、義務教育について最終的な責任は国にあるんだ、こういうことはしっかりと確認をしなきゃならないものですから、文部科学大臣の御見解をお聞かせいただければというふうに思います。

○小坂国務大臣 憲法第二十六条に、すべての国民の教育を受ける権利、特に無償の義務教育、普通教育を受ける権利を保障しておるわけでありまして、このことを受けて、国は学校教育の基本的な仕組みを整備する責任を負っている、このように思います。特に、義務教育につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持向上、無償制という義務教育の根幹を保障する責任を負っております。
 昨年十月、中央教育審議会において、義務教育の構造改革についての答申をいただきました。その中では、義務教育へのインプットにおいては、インプットという言い方があれですけれども、国が学習指導要領の策定などによる目標設定と義務教育費の確実な財源保障など基盤整備の責任を負っている。また、プロセスにおいて、すなわち市町村と学校に権限を与える分権改革、これの部分においては、分権改革を進め、そして最終的なアウトプットにおいては、教育の結果の検証のために全国的な学力調査の実施や学校評価システムの構築など、これらは国が責任を持って行うことによって、義務教育の質の保証、そして責任を担うことができるんだと。
 したがいまして、文部科学省としては、この提言を踏まえながら、教育の実施面について市町村や学校の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持向上のための義務教育のインプットとアウトカムの部分につきましては、国としてしっかりと責任を持ってまいりたいと存じます。

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○若宮委員 …今回の改正案で提示された教育を行うために、まずは、先生方が豊かな心と高い人格というのが必要とされてくると思うんですが、この教員の質を確保、向上させるためには具体的にはどのような施策をお考えでありましょうか、お聞かせいただければと思います。

○馳副大臣 現在、中教審でも審議をいただいておりまして、七月には報告をいただく予定になっておりますし、文部科学省としても議論を進めておりますけれども、養成の段階、採用の段階、そして現職となっての研修の段階というふうな段階において、よりよい教員の質の向上が図られるようにというふうな観点から、例えば教職大学院を設置して、より専門的な中核となる教職員の人材を採用するべきではないかとか、また、教員免許更新制度ということで、一定の期間免許を与えて、特定の講習等を受けていただいて、その時々で求められる技能を持った教員が、常に不断の勉強、努力をしていただくようにすべきではないかとか、また、当然、採用に当たっても面接を重視したりとか、研修においてもより実践的な研修をしていただくとか、養成の段階においては、教職課程において、より実践的な、現場に即した教職の授業をしていただくべきではないか、こういうことを今検討いただいておるところであります。
 何よりも、実際に、期待される教師がその職責を果たしているのかということを考えれば、教員評価、これは自己評価であったりまた外部評価であったり、こういうものが行われた上でそれが処遇に反映されてもよいのではないか、こういう考え方から検討を進めているところであります。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○糸川委員 先般、私が教育における国の責任について質問した際には、文部科学大臣からは、実際の教育については、分権改革、これを進めながら、国は教育の機会均等ですとか全国的な教育水準の維持向上をしっかり確保する責任を果たす、このような説明をされたわけでございます。
 私も、今回の教育基本法案については、明確にされたこの理念、これを学校現場において適切に反映させていくためにも、教育、特に義務教育については、機会均等、これをしっかりと確保しながら全国的な教育水準の維持向上を図っていく、こういうことが大切であるというふうに思っておりますし、格差社会などといったことが言われる中で、これからはますますこのような国の役割がきちんと果たされなければならないと思うわけでございます。
 そこで、義務教育についてお尋ねをさせていただきたいんですが、義務教育における機会均等の確保及び全国的な教育水準の向上、これを図るために、国としては具体的にどのような取り組みを行っていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○銭谷政府参考人 義務教育の機会均等やその水準の向上のために国が取り進めております措置でございますけれども、第一に、学習指導要領によりまして全国的な教育内容の基準を設定しております。第二に、義務標準法や人材確保法、教員免許制度や法定研修などによりまして、優秀な教員を必要数確保するための制度の確立を図っております。第三に、義務教育費国庫負担法等によりまして、必要な財源を保障するという措置を講じております。第四に、授業料無償、教科書の無償給与、就学援助制度等によりまして、すべての子供に就学の機会を確保するための取り組みを行っているところでございます。
 なお、今後、あわせまして、全国的な学力調査の実施や学校評価システムの構築などによりまして、質の保証ということにも取り組んでまいりたいと思っております。