2460政府案における国の介入に対する歯止めの有無

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○志位委員 …最高裁の判決は、教育内容に対する国家的介入についてはできるだけ抑制的であるべきだという憲法の要請を保障するものが現行教基法十条であると述べています。
 そこで、大臣に伺いたい。
 それでは、政府案は、現行基本法第十条を改変することで最高裁判決の言う教育内容に対する国家的介入を抑制的にする保障を取り払ってしまったのではないか。先ほど大臣は、この国家的介入は抑制的でなければならない、これは否定されない、そのとおりだとおっしゃいました。しかし、それを取り払ってしまったのではないか。そうでないと言うのなら、私は聞きたいんですね。今度出された政府案の一体どこに教育内容に対する国家的介入を抑制的にする条文、条項がありますか、具体的にお示しください。抑制的にする条文です

○小坂国務大臣 細部の議論に入ってまいりましたが、まず、具体的なとおっしゃいますが、それをお答えする前に、委員がお読みになった部分もやはり、最後の、早計とは言っていますがとおっしゃいましたけれども、そこに続く文章が重要なんで、ちょっと読ませていただきます。
 「また、教基法が前述のように戦前における教育に対する過度の国家的介入、」云々と書いてありますね、先ほど途中でお読みになりましたけれども、「これに対して抑制的態度を表明したものと解することは、それなりの合理性を有するけれども、このことから、教育内容に対する行政の権力的介入が一切排除されているものであるとの結論を導き出すことは、早計である。」ということで、これについては結論としてはそのようにはなっていない、早計だ、こういうふうに判示しているところでございます。
 その上で、私どもの現行法、この十条は、今回の規定の中でどのようになっているかということでございますけれども、今回のこの教育行政のことを記述をいたしております第十六条に、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。」ということで、抑制的という意味は、「公正かつ適正に行われなければならない。」ということで明確に規定をされているところであります。

○志位委員 適正かつ公正は抑制の保証なんかになり得ませんよ。どんな法律だって適正かつ公正に運営されなきゃならないのは当たり前で、しかもこれは、国と地方公共団体が適切な役割分担及び相互の協力のもと、公正かつ適正にやると言っているのであって、国が教育行政に対して関与をやる、介入をやる、決定する、それをやる際に公正かつ適正にやると言っているだけであって、国家的介入を抑制する文言にはなり得ないじゃないですか。どこにあるんですか。もう一回言ってください。これをもって言うつもりですか。

○小坂国務大臣 ここに、十六条に規定してあることをもう一回読みますけれども、「教育は、不当な支配に服することなく、」と言っているんですね。「不当な支配に服することなく、」「適正に行われなければならない。」これは、すなわち、そういった意味で、不当な支配に服することなく適正に行われるということにおいて、そういった抑制的な、国家のいろいろな不当な支配というものも法律に基づかなければやってはならないという意味で、これは抑制的なものが規定をされていると解釈するのが適当だと考えております。

○志位委員 今度は不当な支配をもってそれも抑制条項と言ったけれども、これは全くあなた方の論理破綻ですよ。だって、政府は、法律の定めるところにより行われる教育は不当な支配に服するものではないと主張しているじゃありませんか。つまり、政府は国の行為というのは不当な支配の範疇に属さないと言っている、だから、不当な支配と幾ら言ったところで国家的介入を抑制する担保にはなり得ないんですよ、あなた方の論理からいったら。
 この質疑を通じて明瞭になった問題があります。それは、最高裁判決も国家的介入は抑制的でなければならないと言った、そしてあなたもそれはお認めになった、にもかかわらず、この法案にはその抑制条項は一つもありません。すなわち、国家権力が無制限、無制約に教育内容や方法に介入できるというものであって、これは憲法の要請に反する、憲法の教育の自由、自主性、自律性に反する法律だということを強く主張し、そして廃案を求めて、私の質問を終わります。