2200社会教育の振興に努めなければならないの意味

 

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○糸川委員 この法案の第十二条の第二項、これは「国及び地方公共団体は、」云々「社会教育の振興に努めなければならない。」このように規定をされておるわけでございます。
 戦後約六十年間、私は、社会教育というものは国民にとって大きな意味を持ってきたのではないかなと思いますが、最近はどちらかというと十分な振興策が講じられてこなかったのではないかな、このように感じるわけでございます。
 私は、学校教育はもとよりですけれども、それとともに社会教育、これは国民の身近な教育の機会、こういうこととして、もっともっと充実してほしい、このように思うものでございます。新たに設けられた規定ではございませんが、今回の改正を機に、この規定にありますように、国ですとか地方公共団体がその振興に本当に努めていただきたいなというふうに思っております。
 そこで、大臣にお尋ねをさせていただきたいんですが、社会教育を今後具体的にどのように振興していくおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○小坂国務大臣 高齢化、そして自由時間のふえてきた今日、生涯学習という理念のもとに、それぞれがみずから学ぶということ、そしてまた、今日、子供の道徳的な側面においての社会教育の必要性というものも指摘をされるところでございます。
 社会教育にはかなり幅広い意味があるかと思いますけれども、今御指摘なさいましたように、国及び地方公共団体において、公民館などの社会教育施設を通じての社会教育の振興という観点で申し上げますと、私の地元の長野市の篠ノ井という地域の公民館活動が、昨年、公民館活動としての表彰を受けたんです。
 そこでは、地域の皆さんで、お花をやっている方はお花を教えに来る、囲碁をやっていらっしゃる方は囲碁を教えに来る。子供たちに囲碁を教えたり、あるいは奥様方が集まって、そしてお互いにお花を教えたりお茶を教えたり、また、お茶については子供たちにも教えたり、あるいは自分が自然学習の中で学んだもの、あるいは地域の歴史について講義を行う方、いろいろな人の教室がたくさん盛り込まれまして、そういった活発な活動、そして、講師も非常に広範な講師を招いて、常に何らかのそういう講演とか学習活動が行われているという意味で社会教育活動が非常に活発だということから、そしてまたユニークな取り組みがあるということから表彰されたわけでございます。
 都市化が進んでいる今日、御近所のつき合いも少なくなってまいりました。そういった意味で、地域のコミュニティー再生という意味も含めまして、国民一人一人がそれぞれの地域においてお互いに支え合いながらさまざまな活動を展開することが重要だ、このような観点から、文部科学省としても、地域づくりを推進するために、例えば、地域の大人たちの協力を得ながら子供の居場所づくりを行う。これは、さっき少子化担当大臣からお話がございましたが、学校の放課後の時間帯に、空き教室を使って、おうちに帰っても御両親のいないような一人っ子家庭のお子さんたちの居場所をつくるという意味、また、むしろ、御家庭があってもそこで過ごしたいというお子さんたちには、年齢差を超えた、学年を超えたつき合いができる場所としてそういうものを提供する、こういった活動も行われております。
 そういった具体的な施策を通じて地域活動を刺激しながら、地域における社会教育活動を推進していくということが必要だと考えているところでございます。
 また、防犯とか防災といった公共的な課題についての学習活動といいますか、地域の力の育成活動が各地域で積極的に展開されているところですが、そういった活動に対して、文部科学省として、関係省庁と連携のもとに、その促進に努めているところでございます。また、司法におきましては裁判員制度等も出ておりますし、警察との連携による防犯教育、あるいは、内閣府、国土交通省と連携した防災教育、こういったものも社会教育の一環として取り入れているところでございます。
 今後とも、文部科学省としては、法改正の趣旨を踏まえながら、各地方自治体と連携をとりながら、個人の要望や社会の要請にこたえる社会教育の充実に、また振興に努めてまいりたいと存じます。