2080支援の内容

 

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○戸井田委員 …父母、保護者の第一義的責任ということでもって、第十条、家庭教育の中で、行政の支援策のことを言われております。保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策とありますが、まず、教育の原点はやはり家庭にあると思うんですね、これに言われているように。家庭教育を支援するために必要な施策について、どのようなかかわり方の施策を考えているのか。その際、第一項に規定する保護者の第一義的責任が損なわれることのない施策でなければならないと思うんですけれども、小坂文部大臣、どうでしょうか。

○小坂国務大臣 第十条第一項に、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、これを明記して、これによって、子育てに関する親の責任を個々の親自身が自覚するとともに、親としての責任を全うすることを支援する社会づくりに一層積極的に取り組んでいきたい、こういう意味でありまして、また第二項で、国及び地方公共団体が家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないということを明記したのは、これによって、子育てに関し、希望する親だけでなく、孤立しがちな親なども含めて、よりきめ細やかな支援の推進などに一層積極的に取り組むということをあらわして、それを規定しているわけでございます。
 具体的には、家庭教育手帳の作成、配付、また家庭教育に関する学習機会や情報提供の充実を図り、また家庭訪問型の子育て支援事業、幼稚園を拠点とした子育て支援事業、また今度は認定こども園というものも今法案を御審議いただいておりますが、こういったものを通じての子育て支援等々、現在、家庭、地域の教育力の向上についての審議を行っている中央教育審議会の生涯学習分科会というのがございますが、ここの議論なども踏まえながら、今後とも家庭教育支援の取り組みをさらに充実させるように努めてまいりたいと考えております。

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○池坊委員 …文科だけでなくて、やはりこの問題、家庭教育というのをもうちょっと幅を広げて検討する、真剣にこれは検討しなければならないと思います。その中には、もちろん、先ほど申し上げましたように、相談ができる窓口を、公民館だとか、あるいは空き教室でつくることも大切だというふうに思っておりますので、家庭教育と幼児期の教育ということで、もっと真剣に、どういうふうな御方針でやっていらっしゃるかを伺って、私の質問を終わらせていただきます。

○小坂国務大臣 委員がお述べになりましたように、子育てに関する悩みというものをお持ちの親は多いわけでございますから、そういった親御さんの悩みを解消するような、そういった窓口をしっかりわかりやすく設置することが必要だと思っております。
 文部科学省では、家庭教育支援総合推進事業というのをやっておりまして、子育てやしつけについて、友人のような関係で気軽に相談に乗ったりアドバイスを行えるような、子育てサポーター、またそういった方の資質を向上させるための子育てサポーターリーダーという方を育成するための事業を行っております。
 親の主体性を大切にしつつも、子育てに関する相談を行う環境整備をしていくという観点からこれらの事業を行っているわけですが、子育てのヒント集という形で、乳幼児から小中学生を持つ親の方々、それぞれの段階に応じて家庭教育手帳情報編というところに、各都道府県別に子育ての悩みについての相談窓口、そして他省庁の所管する機関、団体等も含めまして掲載をいたしまして、悩みを持つ親の相談に適切に対応ができるように情報提供しているところでございます。
 また、文部科学省内に家庭教育支援室というものを設けておりまして、関係省庁、経済団体及び子育ての支援団体と密接に連携をしながら、家庭教育に対する支援の推進に努めているところでございます。
 今後とも、池坊委員が御指摘をいただきました各般のことを踏まえながら、子育てに関する相談や情報の提供になお一層に取り組み、子育ての支援を充実させてまいりたいと存じます。

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○糸川委員 人は家庭で生をうけるわけでございます。だれもが最初は親に教育を受ける。そして育っていくわけでございます。この家庭教育の重要性、こういうものは時代にかかわらず不変であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、最近では、家庭における子供への虐待が報道されたり、それから、家庭の教育力の低下が問題視をされているわけでございます。このような状況を改善するためには、まず親が子供としっかりと向き合って、そしてコミュニケーションをとる、こういうことが大切であるというふうに思います。
 そうすると、行政はそのためにどういう支援をしていくのか、そういうことをまた考えていく必要があって、それを十分にすることが必要であるというふうに考えているわけでございます。
 一方で、家庭という私的空間への国ですとか地方公共団体のかかわりというものは、これは抑制的でなくてはならないというふうに考えています。
 そこで、現在行われている家庭教育支援の具体的内容、それから、改正を踏まえて、今後、どのような支援の実行というものを行って、そして充実を図っていくのか、国のかかわり方も含めて、お答えいただければというふうに思います。


○田中政府参考人 家庭教育支援に関するお尋ねでございますけれども、文部科学省におきましては、まず、妊娠時期あるいは就学時健康診断といった多くの親御さんが参加するような機会を活用いたしまして、子育て講座というようなものを全国的に展開しておるところでございます。
 また、乳幼児あるいは小中学生を持つ親御さんに対して、家庭教育手帳、子育てヒント集としての家庭教育手帳を配付させていただいております。
 それから、子育てやしつけについて友人のような関係で気軽に相談に乗れるというような体制づくりということで、地域でそういうアドバイスを行っていただく子育てサポーターというものを養成いたしまして、現在、その資質向上にも取り組んでおるところでございます。
 それから、御家庭によっては地域の方々になかなか相談できないというような御家庭もあるわけでございまして、そういうところには、私どもが担当しております子育てサポーターと、厚生労働省の関係でございますけれども、保健師の方あるいは民生委員の方が協力をいたしまして、そういう御家庭に家庭訪問をする、出前型の家庭教育支援といったようなものにも取り組んでおるところでございます。
 それから、さらに、子供の健全な育成のために地域ぐるみで取り組むことも非常に重要だろうということを考えておりまして、本年度からは、子供の望ましい基本的な生活習慣を育成して生活リズムを向上させようということで、PTAを初めとする民間団体に組織をつくっていただきまして「早寝早起き朝ごはん」運動というようなものも展開させていただいておるところでございまして、今回、第十条を新設させていただくことにしておるわけでございまして、その趣旨を踏まえまして、さらに家庭教育の支援というものに努力をしてまいりたいと考えております。

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○若宮委員 …家庭教育について、これは政府案での第十条になるかと思います。いろいろな委員の皆様方から、いろいろな外的要因のせいにして今回変えるのはいかがなものかなんというお話し向きもございましたが、外的要因だけでなくて、やはりこの日本の国内が、当初、先ほど来お話しになります、制定された時期からいたしますと、産業でいえば、一次産業から二次産業、二次産業から三次産業へとこの比率が移っていった事実もございます。また、高度成長期に地方から都市部に人口が集中したがために家が足りなくなり、それを何とかするために団地を通勤圏にたくさんつくった。このつくった団地の住まい方が、それまでの住環境あるいは生活環境というのが大幅に変わる大きな原因になったんではないかなというふうにも考えております。
 昔ならば、例えばですが、御商売をなさっておられる方あるいは工場を経営されていらっしゃる方でしたら、下でお仕事をなさって、二階とかちょっと近くでお住みになっておられて、職住が非常に接近しておられた。あるいは農家の方でいえば、隣の田んぼがちょっと稲刈りがおくれているから、悪いけれども手伝ってくれないかと言えば、みんなで精を出して手伝いに行こうという助け合いの精神があって、いろいろなところでやはりコミュニティーとして生まれていたのではないかなと。
 家庭もまさにそうだと思うんです。接触の時間が非常に多かったと思うんですが、これが、仕事場へ通うというこの通勤地獄という言葉にもあらわれているんですが、いろいろな形での生活の変化が家庭にも大きな影響を及ぼしていて、いわゆるこの家庭教育ということに対して、非常に弱いあるいは低下してしまっているのが現状になっているんではないかなというふうに感じております。
 今回の改正でこの家庭教育というのをしっかり位置づけをする必要があるかと思っておりますが、この政府案の中では、家庭教育というものを適切に位置づけておられることに対しては非常に高い評価をやはりこれもいただけるものではないかなというふうに思っております。
 経済情勢や社会情勢の変化だけじゃなくて、少子化ですとか核家族化ですとか、いろいろな家庭のあり方そのものの変化が大きな影響を及ぼしているとは思うんですが、このあたりを踏まえて、家庭教育というものについて、国の支援のあり方や、これからこの基本法の後の施策のあり方も含めて何か実のある方策をお考えのところがあれば、お聞かせをいただければと思っております。

○小坂国務大臣 委員御指摘のように団地社会というのは、委員がおっしゃっていて私はその感を強めたんでございますが、地域には道路があって、その道路はすべての道路がつながっておりますので、毎日そこを歩いていれば、人のうちの前を通過したりすることが必ずある。ところが、団地の生活というのは、上層階の方へ行くとか違う階段の階へ行くということはめったにないんですね。毎日のように通っていたそれぞれの地域の連帯というものが、顔を合わせなくなってしまう。そういうことから核家族化社会をさらに加速させるといいますか、地域の地縁というものを断ち切るような、地縁を形成しにくい環境をつくってしまったということが、まさに委員が都市化とも言われた、そういった中の一つの要因であると思いますし、また、少子化は地域の子供社会を破壊してしまいました。子供社会における長幼の序もあり、また助け合いもあり、また、遊びの中で学ぶ共同の社会という社会性というものも培うことがやりにくくなってきたという環境があったと思います。
 そういった地縁的なつながりの希薄化等によりまして、家庭の教育力というものもまた低下をしてきた。これは、保護者が社会全体で支えられるという仕組みからだんだん外れてきたということにもなるんだと思うのですね。保護者が社会の中にいれば、近所の人に自分の子供を見守ってもらい、また、そこのアドバイスによってさらに親としてのアドバイスを子供にすることもできる、また、一緒になって、地域と一体となって教育をすることができる、そういった環境が次第に希薄化してきた。
 これらのことから今回は、教育基本法の中においてこの規定を設けさせていただいたわけでございます。そして、家庭教育はすべての教育の出発点であり、基本的な倫理観や社会的なマナー、自制心や自律心などを育成する上で極めて重要な役割を果たすものであるという認識を示し、そして、家庭教育を推進するために具体的な施策として何をしているかというお問い合わせでございましたが、現在、私どもは、家庭教育手帳の配付、また子育て講座の開設、これは、妊娠期や就学時の健診等多くの親御さんが参加されるような機会を活用した講座の開設でございますが、そういった支援、また、ITを活用した、携帯電話等による子育て相談のモデル事業の実施等々を行っているわけでございますし、また、地域の住民の皆さんの協力を得て、学校の余裕教室や校庭等の場所を通じて放課後の子供さんたちの居場所をつくり、そこにボランティアの皆さんのお力をかりて体験活動や地域住民との交流活動を実施するなど、地域子ども教室の推進事業も実施しているところでございます。
 また、子供たちの基本的な生活習慣の確立のために、学校、家庭、地域、企業が連帯をした「早寝早起き朝ごはん」運動など、こういった生活のリズムを向上させるための施策、保護者や地域住民が学校運営に参加するいわゆる学校運営協議会、コミュニティ・スクールと呼ぶ方も多いわけですが、この創設をしたわけでございます。
 地域全体で子供の安全を見守る環境を整備するための学校安全ボランティアの養成、研修やスクールガードリーダーによる各学校の巡回指導等、地域ぐるみの学校安全体制の整備推進事業等々を通じまして、地域の教育力の再生そしてまた家庭教育の支援というものを行っているところでございます。