2040少子化対策との関係
164国会 衆特別委 第8回(6月2日)
○高井委員 本日のトップのニュースでもございましたとおり、ほぼ全紙が取り上げております、底見えぬ少子化、衝撃一・二五というふうになりました。団塊ジュニアのはしりの方の世代が私でございまして、三十から三十四歳の人口というのは、第二次ベビーブームで大変多うございます、私は三十四歳なので、一番最後の方なんですが。
だから、いわゆる昔で言うところの三十五歳以上を高齢出産とするのであれば、私は来年から高齢出産の域に入っていきますが、この出産適齢期である三十代、三十から三十四歳までの数が多いうちでなければ、出生率の回復は見込めないと思っています。その危機感は恐らく政府ももちろんお持ちだというふうに思いますけれども、残念なことに、少子化ということが一番最初に言われたのは一九九〇年だと思います。それから、九四年にはエンゼルプランがつくられ、そして九九年には新エンゼルプランもつくられ、そして二〇〇四年には子ども・子育て応援プランというのもつくられました。それにもかかわらず下がり続けている。
そして、今回特に大変なのは、三十から三十四歳の世代は、まだ下がっておりませんでしたが、六年ぶりに初めて下がることになった。これから先、とてもじゃないけれども、産む人が減れば当然子供も減ります、下がります。そういうことを考えれば、まさに今までやろうとしてきた制度ががたがたになるのではないか。
まず、年金です。年金、二年前に改正がございました。その当時は、二〇〇七年に一・三〇で底を打つ、二〇五〇年には一・三九で回復するという前提で制度がつくられましたよね。御承知のとおりだと思います。これが本当に可能になってくるのでしょうか。少子化担当大臣の猪口大臣にお願いを申します。いかがお思いになられますか。
○猪口国務大臣 高井先生にお答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、我が国の少子化傾向、なかなか流れを変えることができずに来ております。今回、少子化の背景にあります社会意識なども問い直しながら、例えば、家族の重要性を再認識していただくように何らかの努力を傾注し、また、若い世代の不安感の原因に総合的に対応する、このような観点から、少子化対策の抜本的な強化、充実、転換を図っていかなければならないと考えております。
先生御指摘のとおり、エンゼルプラン、新エンゼルプラン、そして子ども・子育て応援プランと続いてきたわけでございますが、初期の少子化対策といたしましては、主として働く女性のための観点、保育園の拡充などが中心とならざるを得ない事情があったと思います。そして、その観点は引き続き重要であり、待機児童ゼロ作戦など、例えば、保育園の受け入れ児童枠を大幅に拡大することができてきておりますが、まだ間に合っておりませんので、引き続き続行いたしますが、同時に、全家庭対策としての考え方も導入し、新たな視点も織り込んで、私としては、六月を目途に、抜本的に強化された少子化対策について政府においてまとめていただけるよう、全力の努力を傾けているさなかでございます。
○高井委員 家庭の重要性を言うだけでは、少子化は解消されません。多分、家庭の重要性を聞けば、重要じゃないと答える人はいないんじゃないかと私は思います。みんなわかっているんですよ。それでも子供が産めないのはなぜなのかということをよく考えて、世界の先進国がさまざまに努力している中で、日本だけではないのですから、世界の先進国が、回復軌道に乗せているところも多うございますから、さまざまな点で学んで、本格的にやらないと、幾ら、家庭は大事だとか、つまり、家庭の重要性を教えるということは結婚を促すということですか、結婚したくてもできない事情もあったり、子供が持ちたくても持てない事情の方を先に勘案しないと、家庭の重要性を教えて結婚を促す施策だけとっても、それは少子化の解消につながらないと思います。
少子化対策にかける費用は、さまざまな方の指摘もございますが、日本は少な過ぎます。フランスとかはGDPで二・八%、スウェーデンにおいては二・九%、日本は何と〇・六%、これで真剣に取り組んでいるとは到底言えない。出生率が下がってしまったのは、ある意味で、こういう数字等努力を見てみれば、回復の基調に乗らないのも当然かなとさえ、私はがっかりしている次第であります。
資料をお配りさせていただいていると思いますけれども、「子育て支援の今」ということで、以前、文部科学委員会に、こども園の質疑のときに、村山さんという参考人の方に来ていただきました。村山祐一先生、帝京大学の文学部教授でございます。これは、文部科学の委員の皆さんにはそのとき配られたと思いますが、委員会が違いますので資料としてつけさせていただきましたが、子育て支援の現状は大変に危機感が、大変にストレス状態だと。
私も、下の子が来月で一歳になりますし、上の子は三歳と十カ月でございます。もちろんストレスもありますけれども、私は、かけがえのない喜びを感じて、子育てと仕事を両立しております。こういうふうにできるのは、ある意味で、恵まれたというか限られた人なのではないかと。同世代の友達等から話を聞く中で、休めないよ、仕事大変だよ、結婚できないよ、給料も安いし、家も持つなんて遠くの遠くの夢だと。さまざまな不平不満があるのはすごくよくわかって、当然だと思いますし、だからこそ、こういう母親だけに育児を担わせるというのがもう無理だということをスタートに、家庭の重要性ばかりを説くよりも、やはりトータルな、地域と社会、国の支援が必要であると思っております。いかがでしょうか。
○猪口国務大臣 言葉足らずで申しわけございませんでしたが、まさに高井先生の御指摘のような観点は既に子ども・子育て応援プランの中に入ってございます。また、今回、抜本的にそのような視点も強化していきたいと考えております。
先ほど家庭のことが重要であると申し上げましたのは、例えば家族と子育て期の保護者が一緒に過ごす時間をもっとふやすことが可能な社会にしていかなければならない、そのような視点をとりますと、働き方の見直し、そしてさまざまな両立支援策の重要性を指摘することができます。
育児休業の取得、男女ともになかなか伸び悩んでいるところがあると思います。多くの女性は第一子の出産とともに退職しているということがありますので、その方たちのカムバック支援も重要でありますが、仕事を継続する方は、育児休業をとって家族との時間を最大化できるようにすることができる社会をつくっていく、また、育児休業から復帰したときも短時間就労などについて理解を得られるように、また小学校に上がったときは、例えば子供の送り迎えなどについて職場の理解が得られるように、こういう個別の施策を列挙すれば多々あります。
そのようなことはすべて家族との時間を大切にするという観点から導き出すこともできますので、働き方の見直し、両立支援、それから、いわゆる専業主婦の方も孤独な育児の中で大変な思いをなさっているということについて十分に把握しておりまして、地域におきます一時的な子供預かり、あるいは母子ともに過ごすことができる保育の拠点づくり、そのようなことも推進してまいりたいと思っています。
また、若い世代において、子育て期におきます経済的負担感、特に乳幼児期において非常に強いという意見が多々寄せられていますので、そのような経済的支援の観点からも、これは基本的には、やはり家族政策、家族を支援する考え方に基づいて推進していきたいと思っておるところでございます。
○高井委員 大臣は恐らく、重要性は何度も言わなくても当然御認識だろうというふうに思った上でお聞きしました。そして、それも盛り込まれているにもかかわらず、ではなぜ実態が伴わないのかということが問題でありまして、お金が足りないんです。国の施策に対する支援が足りない。それは、家庭への経済支援という意味ではございません。ワークライフバランスという施策に対する国のさまざまな支援が、財政措置が足りないということを申し上げたいのです。
もちろん、経済支援も大事でございます。家庭への直接の経済支援も大事でございますが、国として財政措置をさまざまな面でつける、制度をつくるということの方が大事で、なぜずっと、その観点を盛り込まれているにもかかわらず実現できないのかというのが問題だというふうに思っています。
そして、資料の二枚目におつけしましたけれども、父親自体も非常にストレスでございます。育児したいのにできないという声が、このアンケートの中に取り上げられています。同じく村山参考人からの資料でございますが、「育児を許さぬ労働状況」、母親が育児ストレスで苦しんでいるのもよくわかっているんだという父親も多い。
それで、私自身、一年間マンションで子供と二人きりで向かい合ったこともございますので、やはり、おかしくなりそうな気持ちというのはすごくよくわかります。口をきかない乳幼児に、二十四時間、いつ何があるかわからない状態でずっと向かい合っている。
情報過剰で、冒頭申し上げましたけれども、いろいろな情報が多く入るからこそ、マニュアルがあふれ返っていて、それに沿わない自分というのは何かおかしいんじゃないか、何で子供はそれに沿って動いてくれないんだというふうに思うのも、かえってそれで不安をかき立ててしまうというのも、本当に私はよくわかります、わからなくもないです。
だからこそ、だれでも、男性も女性もいい親になれると思っています。ただ、助けて、少し相談に乗ってくれたり、手をかしてくれる人がいれば、すべての親がいい親になれるというふうに信じて私も子育てをしておりますが、こういう問題点も、子育てを終わった方も、これからの方も、お孫さんを見ている方も、ぜひ共有していただきたい、独身の方も含めてすべての人が共有していただきたいというふうに思います。
虐待の問題等もよく以前から当たっておられる馳副大臣に、家庭教育は大事ですけれども、システムとしてどういうふうに保障していくか、子育て環境が今申し上げたとおり危機にある中でどういうふうに補っていけばいいのか、お考えがあったら教えていただきたいと思います。
○馳副大臣 父親の育児への参加、当然、家事への参加が必要であるという問題意識を共有することは極めて重要であると思いますし、また、家庭にすべての責任があるのではなくて、働いている以上は、経営者やまた職場の皆さん方にも御理解をいただいて、育児休業をとったりとか、これは高齢者の場合ですけれども介護休業をとったりとか、また、有給休暇がある中で、学校行事があるときにともに休暇をとって参加することができるような、そういう支え合いというものが必要になってくると思います。
児童虐待の問題をお出しになられましたが、お母さんが働いていないで家にいる場合には、これは保育に欠けない場合になりますから、当然、保育のサービスを受けることはできませんが、がゆえに、心配事、不安といったものに対してなかなか介入していくことができないというシステムもございます。
それを考えると、いかにして、地域の方々がそういう子育ての不安を抱えておられるお母さん方に対しての支援をできるのか、また、今般提出しておりますけれども、認定こども園の制度において、幼稚園や保育所などでの子育て支援機能といったものを充実していくか、また、地域の公民館、集会所などにおいてそういった役割を担っていくか、こういう総体的な見守り体制をつくっていくことが必要であるというふうに考えております。
それを、まさしく高井委員おっしゃるように、システムとして、財政的な措置もとりながら支えていくことが必要なのではないかという問題意識は共有はいたしております。
164国会 衆特別委 第8回(6月2日)
○糸川委員 このような取り組みが展開されるということは、実際、家庭の教育力の向上だけではなくて、報道によりますと、出生率が非常に低下して、またさらに低下して、昨年は一・二五だった、本当に過去最悪だということでございます。この少子化対策の目的ということとも同一にするものであるのではないかなというふうに考えるわけでございます。
それは、この少子化、人が子供を産みたくない原因の一つとして、子育てに対する不安ですとか悩み、こういうものがあるというふうに思うからでございます。一人でも多くの親が、家庭教育への支援などを通じて、子育ての不安ですとか悩みですとかそういうものを解消する、そういうことこそが少子化の解消への第一歩になるのではないかな。そして、ひいては、社会ですとか経済の活力の増加へ、こういうふうにつながっていくのではないかなというふうに思うわけでございます。
そこで、現在の少子化対策の取り組み、また今後の取り組みの方向性について、まず猪口大臣にお伺いをして、それから小坂文部科学大臣にお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
○猪口国務大臣 糸川先生にお答え申し上げます。
家庭教育との関係におきます少子化の取り組みとしましては、私は、保護者としては、自信を取り戻してしっかりと伝えるべきことを、マナーにせよ、いろいろな心得るべきことについても伝えることができるようになることが重要であると思っております。そういう観点から、家庭教育を強化するということは、やはり保護者を支援していく、支援の視点というのがとても重要ではないかと考えております。
文科大臣が答弁されましたとおり、家庭の自主性を大事にしつつ家庭を支援していく、そのような観点は、子ども・子育て応援プランの中に実はしっかりと組み込まれておりますので、この教育基本法の政府案の成立を受け、そのような観点を一層強化していきたいと考えております。
一般的な少子化対策の取り組みにつきましては、もう既にいろいろと説明させていただいておりますけれども、エンゼルプラン、新エンゼルプラン、共働き家庭を支援するということを超えて、無論、引き続き待機児童ゼロ作戦を続けますけれども、いわゆる専業主婦の方も、非常に孤立した育児の中で、孤独な育児と言うんですけれども、そういう中で悩んでおられたり自信を喪失している。できるだけ地域の中で、親子で立ち寄ってもらって、相談したり、友人をつくったり、あるいは一時的にお子さんを預けたり、そういう地域の全家庭対策としての拠点づくりなども重要であろうと思いますし、午前中も答弁申し上げましたのですが、家族と過ごす時間をふやしていくためには、働き方の見直しなど、民間企業に協力を得なければならないところも多い。
また、少子化対策の、直接的ではないかもしれませんけれども、重要なところとしては、若い世代において、所得が不安定であるということから結婚、出産の決定を先延ばしにするということがあるとすると、若者の就労支援なども重要であり、また、出産期を迎えて子育てに入った家庭においては、引き続き、経済的な不安がある場合にはその支援も重要である。
このように、さまざまな支援を総合的、体系的に組み合わせないと、なかなか皆さんが安心して、子育て環境が改善したと思っていただけるようにならないと思い、ぜひ積極的に施策を拡充していきたいと考えております。
○小坂国務大臣 少子化の進行がなお一層加速しているという数字が出まして、大変ショックでありますけれども、社会や経済の活力を低下させるということにおいて深刻な問題であります。子供の立場に立って考えても、子供同士の社会というものが小規模化して、お互いに切磋琢磨するような機会が減少するということにもなりますし、親が過保護になったり干渉し過ぎたり、そういった家庭教育面でもいろいろな問題が指摘されることになってしまいます。
したがいまして、文部科学省としては、これまでも、猪口少子化担当大臣、また厚生労働大臣等と連携をしながら、子ども・子育て応援プランに基づきまして少子化対策を進めてきたところでございまして、具体的に申し上げますと、家庭教育手帳の作成、配付、また、家庭教育への支援、幼稚園における子育てへの支援、子供の居場所づくり、教育に伴う経済的負担の軽減策等を推進しているわけでありまして、今後の取り組みの方向性としては、特に力を入れるべきとして四つ挙げております。
一つは、安全、安心な子育て推進のための、地域全体で学校安全対策を進める、そういう地域全体の学校安全体制の推進施策、子ども安心プロジェクトの中の地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業という名前になります。また、子供の安全に関する情報の効果的な共有システムに関する調査研究予算、また、子ども待機スペース交流活動推進事業等々でございますけれども、こういった事業を進め、また、第二点目として、放課後の安全、安心な子どもの居場所づくりへの取り組み、これを一層推進するために、来年度からは厚生労働省と協力をいたしまして、少子化担当大臣のもとで両省の事業を一体化あるいは連携して推進するという形にしまして、私どもは、学びの居場所という仮称でつくっておりますが、少子化担当大臣の御提言は、放課後子どもプランというような名前になるというようなことも今考えております、これから決めてまいりますが。
市町村の教育委員会が主体になって、厚生労働省と文科省の予算を一体的に運営できる環境を整えて、そして、そこの福祉部局のもとで、小学校内においての居場所をつくり、そこに、退職教員を初めとした地域ボランティアによる学習の機会も含むさまざまな支援を行っていく。こういうことで、経済的な理由で塾に行けない子供たちが、そういう塾にかわる機会が得られるような、そういった学びの居場所というものも私どもは提供をしたいということで、予算を今厚生労働省とともにとって全国的に推進をしたい、こう考えております。
少しはしょりますが、三番目は、幼児教育段階における保護者負担の軽減、それから奨学金事業、そして私学助成の充実でございます。
第四番目は、家族のきずなの再生が求められているということを踏まえまして、子育ての楽しさや家庭の重要性についての認識を深めるための中高生に対する子育て理解教育、また、学校教育や家庭教育の中での命の大切さと家庭の役割についての理解の促進、こういったことを、この四点を特に関係省庁と連帯を含めて推進をしたい、このように考えているところでございます。