1150第9条の趣旨

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○糸川委員 次に、第九条の教員の規定についてお尋ねをさせていただきますが、教育の目的を実現する上で、今後とも、学校教育というものは中心的な役割を果たすということが期待されておるわけでございます。
 学校教育の成否というものは、子供の教育に直接に当たる教員の資質、こういうものに左右されると言っても過言ではないわけでございます。特に、近年の社会の大きな変化ですとか児童生徒の実態の変化等に適切に対応される、信頼される学校教育を実現するためには、教員の資質の向上というものがますます必要になってくるというふうに思います。しかし、現実には、指導力の不足ですとか教員による不祥事、こういうものが多発しておるのが現状でございます。
 現在は、児童ですとか生徒の数が減少してきつつありまして、教員につきましては量よりも質、こういうものが求められる時代となってきておるわけでございます。この意味でも、文部科学省には、教員の質というものをしっかりと確保していく必要がある、またあわせて責任があるというふうに思います。
 そこで、今回の教育基本法の法案では、このような教員の資質や能力の向上に対応する内容となっているのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

○田中政府参考人 教員の資質の向上についてのお尋ねでございますけれども、御指摘いただきましたように、教員は、教育を受ける者の人格の完成を目指しまして、その育成を促すという大変重要な職務を担うものでございます。近年の社会の大きな変化、あるいは児童生徒の多様化といった実態に的確に対応するためには、教員一人一人の資質の向上が求められているところでございます。一方では、指導力不足教員、あるいは教員による非違行為などの例もあるわけでございまして、これらに対しても的確な対応が求められているところでございます。
 これらを踏まえまして、今回の改正では、現行法第六条第二項に教員についての規定があったわけでございますけれども、この第二項を独立させまして新たに教員の条項を設けまして、教員の使命や職責、身分の尊重と待遇の適正を規定いたしました現行の規定は基本的に引き継ぎますとともに、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励むべきこと、また養成と研修の充実が図られなければならないことを新たに規定しているところでございます。

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○高井委員 …教育公務員特例法第二十一条には教員の研修について規定がございますが、最近言われますいわゆる指導力不足の教員やわいせつ行為の教員を除いていく、学校からなくしていくということが大事であろうというふうに思います。子供に最初に接する教育者の方が問題を起こすというのは非常に残念というか、大変なことだというふうに考えておりまして、これにより、教員の研修について少し、指導要綱等も恐らく、法案が後々議論されて通るようになれば変わっていくだろうと思いますが、今回の法案で問題教員を解消するような方向になっていくのか、何か変わる事項があるのか、教えていただきたいと思います。

○銭谷政府参考人 教職員につきましては本案第九条において規定をしているわけでございますけれども、現行法の規定に加えまして、自己の崇高な使命を深く自覚すること、絶えず研究と修養に励むべきこと、養成と研修の充実が図られなければならないことを新たに規定することによりまして、教員が改めてその使命を自覚し、不断にみずからの資質向上に努めることの重要性を明確化したところでございます。
 指導力不足教員につきましては、文部科学省としては、各都道府県等に対しまして、指導力不足教員の対応システムの構築、運用を促しているところでございます。既に、すべての都道府県教育委員会におきましてシステムが整備をされているところでございます。
 指導力不足教員として認定をされた教員の数も、平成十二年度の六十五名から、平成十六年度には五百六十六名となっております。また、指導力不足教員のうち退職等により教職を離れた者の数は、平成十二年度の二十三人から、平成十六年度は百九十人となるなど、年々取り組みは進んでいると考えております。
 さらにもう一点、わいせつ行為等によりまして懲戒処分を受ける教員が平成十六年度は百六十八人に上る状況を踏まえまして、昨年の十二月二十八日に各教育委員会に通知を発出したところでございます。その通知の中では、懲戒処分の基準を作成し、あらかじめ教員に示すなど抑止を図ること、処分事由があった場合は速やかに当該処分を行うとともに、プライバシーにも配慮した上で処分の概要について公表すること、三点目に、特に児童生徒に対するわいせつ行為等については原則として懲戒免職とするなど、非違行為があった場合には厳正な対応をすることなどにつきまして指導をしているところでございます。
 文部科学省といたしましては、本法案の趣旨を踏まえまして、今後さらに教員の適格性の確保が図られますように、指導力不足教員の対応システム等についてその一層適切な運用に努めるとともに、教職員の服務規律の確保を図ってまいりたいと考えております。