1080第七条雑

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○糸川委員 現在、大学における教育の質の充実、こういうものや国際競争力の向上のため、大学の改革を進めているところは、これは承知をしておるところでございます。
 例えば、国公私立大学を通じた大学教育改革の支援につきまして、具体的にどのような施策を行っているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○石川政府参考人 大学の教育改革に対する支援のお尋ねでございます。
 知識基盤社会と言われております二十一世紀におきまして、知の拠点としての大学の役割は極めて重要なものと私ども考えておりまして、各大学がそれぞれの個性、特色を明確にいたしまして、社会の多様なニーズにこたえ、教育の質の充実を図っていくということが求められておる、このように考えております。
 このため、文部科学省といたしましては、国公私立大学を通じました競争的な環境のもとで、各大学の教育改革に向けた意欲的な取り組みに対して積極的に支援を行っているところでございまして、平成十八年度予算におきましては、例えば、教育内容、方法等の高度化、豊富化に資するすぐれた取り組みを支援する特色ある大学教育支援プログラム、これは予算額三十五億円でありますとか、社会的要請の強い政策課題に対応したすぐれた取り組みを支援する現代的教育ニーズ取り組み支援プログラム、これは予算額四十六億円でございます。そしてまた、世界的な教育研究拠点の形成を支援する、いわゆる二十一世紀COEプログラム、これは三百七十八億円で実施予定でございますけれども、このようなものを合わせまして、八つのプログラムで総額五百六十二億円を計上しているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後ともこれらの施策の充実を図りまして、積極的に改革に取り組む大学をきめ細かく支援をしていく、こういったことによりまして大学教育のさらなる活性化と質的向上を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○糸川委員 ありがとうございます。
 人材育成の観点からしましても、我が国の国際競争力を強化する、こういうことが必要であるというふうにどこでも今考えられているというふうに思います。
 そこで、最近は大学院に進まれる方もどんどん多くなってきている。ただ大学を卒業するだけではなくて、大学院も卒業しよう、こういう方が非常に多くなってきているというふうに私も認識しておるわけでございますが、大学院におけます人材育成機能の強化のために、実際に具体的にはどのような施策というものを行っているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○石川政府参考人 大学院における人材養成機能の強化についてのお尋ねでございます。
 グローバル化が一層進展をいたしまして、国際競争が激化する今後の社会におきましては、大学院における人材養成機能を強化して、社会のあらゆる分野で活躍し得る高い能力を持った人材を育成していくということは、委員御指摘のとおり大変重要なことである、このように考えております。
 文部科学省におきましては、これまでも大学院の量的な整備あるいは制度の弾力化などを積極的に進めてきたところでございますけれども、一方で、大学院教育の質の向上の必要性といったことが各方面から強く指摘されてきたところでございます。
 このため、昨年九月の中央教育審議会の答申、新時代の大学院教育、これも踏まえまして、大学院教育の充実強化に向けました今後五年間の取り組み計画であります大学院教育振興施策要綱、こういったものを私どもとして本年三月に策定をいたしております。これに沿いまして、例えば、各大学院の人材養成目的の明確化と体系的な教育の展開を通じました教育の実質化、そしてまた、産業界と連携をした人材育成の強化、また、世界最高水準の教育研究拠点を形成、こういったことなどにつきまして、体系的、集中的に取り組んでいくこととしているところでございます。

 平成十八年度におきましては、例えば、すぐれた大学院教育の取り組みを支援する「魅力ある大学院教育イニシアティブ」といったようなプロジェクト、これは四十二億円で予定してございます。そしてまた、長期インターンシップ等を通じまして産学が協同で人材育成を行う取り組み、こういったものを支援する派遣型高度人材育成協同プラン、こんなものも予定をしておりまして、これは二億円でございます。そのほか、世界的な教育研究拠点の形成を支援いたします二十一世紀COEプログラム、これも先ほどちょっと御紹介しましたが、三百七十八億円で予定しております。
 こういった事業を実施するほか、大学院に対しまして第三者評価事業の一層の充実を図ってまいりたい、このように考えております。
 今後は、これらの施策をさらに充実発展させるということを通じまして、国際的に魅力のある大学院を構築し、社会のあらゆる分野で積極的に活躍し得る高い能力を持った人材の育成、これを推進してまいりたい、このように考えております。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小杉委員 …次に、科学技術について申し上げたいと思います。
 提案理由の一番最初に挙げたのが、科学技術の進歩。この六十年間の推移は非常な勢いでございます。日本は資源もない、食料もエネルギーも輸入に頼る、そういう国にとっては、今までもそうでありましたが、科学技術創造立国という宿命というか、それを基本としていかなきゃいけないと思っております。
 今度発表されました政府の科学技術白書では、少子高齢化と科学技術という視点から記述をされているわけですね。
 そこで、松田担当大臣に伺いたいんですが、人口減少、少子高齢化時代の科学技術の果たすべき役割、さらには、今回、第三期の科学技術基本計画の実行段階に入ったわけですけれども、これから国際競争力そして世界への貢献ということを考えていくと、やはり科学技術というものはもっと力を入れなきゃいけないと思っております。
 この第三期の科学技術計画の特徴というのは、一口で言うと何になるのか。第一期、第二期、いろいろありましたけれども、第三期の最も主眼としているところは何か、その点にちょっと焦点を絞ってお答えください。

○松田国務大臣 お答え申し上げます。
 小杉議員御指摘のとおり、日本では、先進国で最も急速に今人口の高齢化が進んでおりまして、また人口減少が昨年から始まっております。
 国際競争が激しさを増していきます中で持続的な経済成長を実現するためには、生産性の絶えざる向上と国際競争力の強化が何よりも重要であります。おっしゃるとおり、資源の乏しい我が国が厳しい内外の環境の中で未来を切り開く道は、我々独自のすぐれた知恵の創造にかかっていると思います。その知恵の根幹が科学技術だ。科学技術の発展なくして日本の生きる道はないと思います。そういう意味で、世界最高水準の科学技術創造立国の実現に向けて、かねてから政府一丸となって頑張っているわけでございますが、今や一層頑張るべきときだと思っております。
 御指摘の第三期基本計画が、そういった状況を受けてこの三月二十八日に閣議決定されたわけであります。社会、国民に支持され、成果を還元する科学技術、あるいはまた、物から人へ、機関における個人の重視というのを基本姿勢といたしまして、今後五年間の投資総額を、一定の条件のもとでございますが、約二十五兆円と明示しております。一層効果的で効率的な科学技術投資や科学技術システムを実現するためのさまざまな政策を提示しております。
 主な特徴を若干申し上げさせていただきますと、一つは、社会、国民への説明責任の徹底と科学技術成果の還元という観点から、科学技術が何を目指すかという政策目標を明確に設定しておる点でございます。
 二つ目は、我が国における創造的な科学技術の未来は、我が国にはぐくまれ、活躍する人の力いかんにかかっている、そういう観点から、人材育成というものに最重点を置いておるということでございます。
 三つ目は、投資の選択と集中をさらに徹底いたしまして、ライフサイエンス等八つの分野ごとに五年間で集中投資すべき対象を明確に定めました分野別推進戦略というものを策定した点などでございます。

 第三期基本計画を受けまして、一層政府としても政府一丸となって頑張っていきたいと思っております。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小杉委員 先ほどから人材養成という言葉がたびたび出てまいりました。このまま少子高齢化が進んでいくと、研究者自体もどんどん高齢化していきますし、また、多様な能力を持ったそうした人材が不足してまいります。
 そこで、私は、やはりこれから若手と女性と外国人研究者を確保することが重要だと思うんですね。かつて、第一期計画のときにはポスドク一万人計画というものを掲げられましたが、その後、このポスドクの状況はどうなっているのか。それから、これから若手が活躍できるような、自立できるような環境をつくっていくにはどういう取り組みをしておられるのかということ。
 それから、ちょっと続けてやってしまいますが、大学なんかを見てみますと、学部とか大学院の段階では女性が、薬学系とか生物系を中心に多いんですね。ところが、教員になるとぐんと減ってしまう。その原因は一体どこにあるのか。結婚とか出産とかあると思うんですけれども、もっと女性が活躍できる環境づくりが必要だと私は思っております。それと、外国人研究者の受け入れ等についてどうなっているのか、まとめてひとつお答えください。

○丸山政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほどからお話がありますように、日本の科学技術力の強化というものは、ひとえに人材の力にかかっていると言っても過言ではないと思います。その中で、今先生御指摘の、すぐれた若手研究者、女性の研究者、あるいは外国人のすぐれた頭脳、こういった多様な人材が活躍できる環境を形成するということが最も重要であり、第三期基本計画でもその点が指摘されているところでございます
 今お話のありましたポスドク一万人計画、これは第一期の基本計画で推進してまいったわけですが、そこで、やはり若手研究者の活躍の場が少ないということが指摘をされまして、この第三期の計画におきましては、テニュアトラックという、すぐれた若手研究者に自立して活躍できるような機会を与える、それを支援する。そして、競争的資金における若手研究者を対象とした支援を重点的に拡充する、こういうこととしております。現に、第三期基本計画の初年度でございます平成十八年度からは、新たに科学技術振興調整費におきまして、若手研究者の自立的研究環境整備に取り組む九大学への支援を開始することとしております。
 また、女性の研究者につきましては、今御指摘のとおり、出産、育児等と研究活動の両立をどう図るか、これが非常に重要でございます。このため、競争的資金の受給における出産、育児等に伴う一定期間の研究の中断、あるいは期間の延長を認めるという措置を拡充することにしております。また、平成十八年度、今年度から新たに、科学技術振興調整費を用いまして、女性研究者の研究支援に対するモデル事業、こういったものを十大学で行うこととしてございます。
 それから、外国人研究者につきましては、やはり、すぐれた外国人研究者の招聘、登用を促進するためには、研究環境のみならず、住宅の確保、子弟の教育等々の生活環境にも配慮した受け入れ体制の構築、こういったものが重要だと認識しております。このため、外国人研究者の受け入れの円滑化を図るため、出入国管理制度のあり方について必要な見直し、あるいはその運用の改善というものについての検討を進めることとしてございます。
 今後とも、人口減少の中で、若手、女性、外国人、すぐれた多様な人材が活躍できるような環境整備に努めてまいりたいと考えております。

 

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小杉委員 終始一貫、この科学技術分野の予算については、第一期十七兆円、第二期二十四兆円、第三期二十五兆円と、ほかの公共事業、ODAその他が大幅に削られていく中で、科学技術予算だけは例外的にふやし続けてきた。しかし、これだけ多額のお金をつぎ込んだのに一体どういう成果が上がったのかというのは、一般国民はやはり関心を持っているんですね。
 ですから、これは、成果というのはなかなかそう簡単には出ないので、長年月を要しますけれども、現状ではどのぐらいの成果が上がったのか、それは国民にやはり説明されるべきだと思うんですね。
 その点と、もう一つはこの予算、二十五兆円ですけれども、どうも今、歳出歳入一体改革、歳出見直しということで、かなり厳しい枠が来年度予算にはかかりそうであります。今の予測ですと、科学技術予算は一一%伸ばさないと今後の二十五兆円の予算は実現できない、こういう状況です。
 今年度、平成十八年度はわずか一・一%の伸びにとどまっております。こういう状況と、それから諸外国、特に最近はアメリカ、イギリスといった先進国、そして中国、韓国、ここ数年もう急速に科学技術予算をふやしてきております。今の現状で、この予算確保というのが非常に大変だと私は思うんですけれども、それについての決意なり見通しをお伺いしたいと思います。

○松田国務大臣 お答え申し上げます。
 委員がおっしゃるとおり、科学技術の成果を国民にわかりやすくする。
 現在、経済はおかげさまで立ち直りつつございます。非常に力強いものを感じておりますけれども、その背景には、やはり過去十年間、他の経費が削減されるにもかかわりませず、科学技術に関して一貫してちゃんと支出してきたということも大きいと思います。
 例えば、今、一、二申しますと、垂直磁気記録装置という新しいハードディスク技術ができまして、それが、これから恐らく五年ぐらいの間には何兆円オーダーのイノベーションを起こすだろうと。現に、生産が既に始まっておりますけれども、そういったことが幾つも起こっておりまして、そういったことがやはり今、日本の経済のこの底がたさ、底がたい回復過程を可能にしておると私は認識しておりますが、そういったことも含めて、もっともっと国民にしっかり説明していきたいと思っております。
 それから、今後の予算でありますけれども、おっしゃるように、諸外国も大変、今や知の大競争時代、科学技術競争時代でございます。
 御案内のように、例えば、アメリカの過去五年間の科学技術予算の伸び率は年平均一一%でございます。中国は、二〇〇三年までの過去四年間の平均伸び率は、二割弱の予算の伸びを示しておるわけでございます。その他もありますけれども、時間の関係もありますので、一、二、例示を申し上げました。
 どの国も、正直、科学技術に対しては国家の最高戦略の一つとして大変な力を今注いでおるところでございます。おかげさまで、皆さんの力で、我が国政府も第三期二十五兆円という目標を掲げることができました。おっしゃるとおり、一一%でありませんと、この目標を達成することができません。そういう意味で、私ども、一生懸命頑張っていきたいと思いますが、科学技術こそが国の支えだということで、ぜひ皆さんの力で実現させていただきたく思うわけであります。よろしくお願い申し上げます。