0830就学の措置の意義

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○鷲尾委員 …政府案の第四条三項に、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」とあります。
 五月二十八日の読売新聞の朝刊一面に興味深い記事がありました。それは、親の経済力の差によって子供の学力格差が広がっていると感じている人が七五%に上っていたというものです。五、六年前でも、済みません、ちょっと不確かで恐縮ですが、同様のことが「不平等社会日本」という中公新書でも紹介されております。
 最近、格差社会の問題でこの辺の議論は活発になされていますが、言うまでもなく、本当に学びたいという優秀な学生さんにはきちんと支援しなければならないということは疑いようのないことです。でも、現状はどうかというと、どうもこれは、奨学生を選ぶ仕組みがちょっとあいまいになってきているのではないかということなんです。
 選考の際に、当然、成績表とか指導教員の推薦状とか必要になります。特に大学院の奨学金選考なんというのは、それこそその推薦書とか成績表にはいいことしか書いていないわけです。では、どういう基準で選ぶかというと、結局、研究科間の力関係ですとか指導教官の力関係でこれは決まってしまうことが多いというのもまた一つの現実でございます。
 本当にこれは奨学金を受けられる人が受けられないというような不平等が生じてしまっている現実も一面あるわけで、ここで大臣にお伺いしたいのが、本当の意味で、優秀な学生に奨学金、これがしっかりと与えられるシステムの構築について、大臣はどのような所見をお持ちでしょうか。

○小坂国務大臣 奨学金という制度はすばらしい制度ですよね。アメリカの場合、大学の学費は非常に高いとよく言われます。しかし、その大半は奨学金で、個人負担を生じないで大学に行っている学生が多いわけですよね。日本もそういった奨学金の制度がより一層充実することを私は基本的に望んでおります。
 現行のことについてまず申し上げたいと思いますが、日本学生支援機構の奨学金事業につきましては、意欲と能力がありながら経済的理由によって修学が困難である学生などを支援するために、これまで充実を図ってきたところでありまして、近年では、無利子、有利子を合わせて、貸与要件を満たす希望者のほぼ全員に貸与ができている状況にあるわけでございます。
 奨学生の採用は、学生本人の申請に基づきまして、各大学において、国、そしてこの学生支援機構が定める学力や家計などに関する貸与の要件を踏まえた選考を行って、各学長からの推薦を受けて、機構が採用すること、こういう仕組みになっております。
 各大学内における選考の実態については、必ずしも私ども的確に、的確というか、詳細を把握しているわけではありませんけれども、奨学金事業の目的を達成するためには、その趣旨にふさわしい学生を選考することが重要でありまして、今後とも各大学において適切な選考、推薦が行われるように、日本学生支援機構を通じて各大学に要請を行ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小宮山(洋)委員 なかなか無償化が現実のものとならない中で、それではどうやって教育を受けるかといいますと、一方では奨学金の充実ということがあると思います。
 民主党の中では、義務教育終了までは子ども手当、これを大幅に増額する。財源のためには、税の控除を廃止して社会保障のサービス給付、子供にそれを全部振り向けるといった、少子高齢社会の中での税制と社会保障制度をあわせて考えた抜本的な改革を伴って、財源を伴って私たちは提起をしております。
 義務教育を終了した後は奨学金を大幅に充実と考えているんですが、この点は政府の考え方はどうでしょう。

○小坂国務大臣 教育の機会均等の達成が大変重要な課題だという認識においては共通していると思っております。改正法案につきましても、この考えを引き続き規定をいたしているところでございますが、親の所得など家庭の経済状況によって就学の機会が奪われないように、先ほど申し上げたように、日本学生支援機構による奨学金事業については、これまでも充実を図ってまいりましたが、さらに充実を図るべく努力してまいりたいと存じます。
 また、私立大学等の経常費の助成等を通じた各大学に対する財政的な支援につきましても、今後さらに充実を期してまいりたいと存じます。
 なお、高等学校につきましては、すべての都道府県において奨学金事業を実施するとともに、経済的な理由により就学困難な高校生に対して、公立学校の授業料、入学金等の減免を行っております。私立高校についても、私立高等学校等経常費助成費等の補助を通じまして、学費の軽減に努めるとともに、都道府県が行う授業料減免事業に対して補助を行っているところでございまして、文部科学省といたしまして、教育の機会均等のために、奨学金事業を初めとするこれらの政策の充実に引き続き努力をしてまいりたいと存じます。