0780第四条の趣旨

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。
 本日も、前回に引き続きまして、基本法案の各条項についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 憲法第十四条、第二十六条では、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」ことや、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」こういうことについて規定されておるわけでございます。
 現行の教育基本法第三条では、憲法のこれらの規定を受けて、国民の教育の機会の均等について規定をされておるわけでございます。
 これにつきましては、現行法の制定時、国会質疑におきまして、「この第三条は、第一項の前段におきましては、教育の機会均等の本質を述べ、次に人種、信条、性別以下は、これは教育を実施する上におきまして、こういうふうな事項によつて差別をされてはならないということをうたつたものであります。入学の際、あるいは入学の後の教育実施にあたつての問題を、すべてここに包含しておるつもりであります。次に第二項におきまして、特に能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対しましては、奨学の方法を国及び地方公共団体において講じなければならないのであります。」このように説明をされておるわけでございます。
 特に、現行の第三条は、戦争直後で食べることもままならない時代であったというふうに思います、その時代に子供たちに教育の機会をいかに保障するか、こういう点で極めて大切な理念を明示されたのではないかなというふうに思うわけでございます。
 本法案におきましても、第四条にこの教育機会均等というものを定めておるわけでございますが、現行法の第三条と本法案の第四条、この関係、また、本法案の第四条を規定された趣旨についてお聞かせいただけますでしょうか。

○田中政府参考人 本法案四条と現行法三条との関係につきましてでございますけれども、御指摘いただきましたように、現行法の第三条は教育の機会均等の規定でございまして、三条一項の前段におきましては、憲法二十六条の国民の教育を受ける権利を踏まえまして、国や地方公共団体が、学校制度の構築や学校の設置、運営などによりまして、国民の教育を受ける機会の提供に努めなければならないという、より積極的な責務を規定しておるところでございます。
 また、後段につきましては、教育のあらゆる場合において、教育を受ける者の能力以外の事由によって差別的取り扱いをしてはならない旨を定めているところでございます。
 また、二項は、御指摘いただきましたように、第一項の規定を踏まえまして、能力がありながら、経済的理由によって修学困難な者に対しては、国または地方公共団体が積極的に奨学の方途を講じる義務を定めているところでございます。
 改正法第四条では、これら現行の第三条の規定を引き継ぎますとともに、新たに、障害のある者に対しまして、その障害の状況に応じまして、より配慮された教育が行われますよう、国や地方公共団体が積極的に必要な支援を講じなければならない旨を規定しているところでございます。