0680三条生涯学習の趣旨(民主案も含む)

 

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○若宮委員 …まず、この三条の生涯学習について幾つか申し上げさせていただきたいと思っております。…今、政府案でございます第三条の生涯学習の理念なんでございますが、国民一人一人が、自己を磨き、豊かな人生を云々というところでございます。この理念が明確に位置づけられたことというのは非常に大事なことで、高く評価ができるんではないかなというふうに思っておりますが、今回は、今後長い先を考えた上でどのような思いを込められてこの項目をお入れになられたのか、また、先ほどの例ではございませんが、この生涯学習というものに対しては、具体的にはどういった形で振興し、それをまた進めていかれようとしておられるのか、あるいは、もし何か問題点が既にはっきりとされておられますところがございますれば、お聞かせをいただければと思っております。

○小坂国務大臣 若宮委員に今述べていただきましたように、やはり私どもは、人格の完成を目指すという、この教育基本法で述べられたように、日々努力をすること、そして、人は学ぶことによって死しても朽ちずというのは、これは佐藤一斎の言葉でもありますが、私ども、最近生活を見ますと、まさに長寿社会になったな。八十歳でも元気で活躍されている皆さんがいらっしゃる。私の近くには、九十六歳でもまだ福祉活動に現役で活動している方もいらっしゃいます。そういう社会を見るときに、人生五十年時代とはえらい違いでございます。
 そういう中で、自由時間もふえてまいりましたから、そういった高齢化社会、自由時間の増大した中で自分の人生をいかに有意義に生きがいあるものとするか、そういうことを考えたときに、我々は、常に自己研さんに努め、また、新たな知識を学ぶことによって自分の人生をより豊かに生きることができるだろう、また同時に、今日の科学の発展、そして社会の制度の変革、こういったものに順応していくためには、常に新たな考え方や制度、そして科学の進歩にその知識を取り入れる努力も必要であろうと思うわけでございます。
 このような観点から、この第三条におきましては、学校教育、社会教育等を通じて、だれもが生涯にわたって、あらゆる機会にあらゆる場所において学習でき、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られるべきであるというこの生涯学習の理念を、教育に関する基本的な理念として規定したものでございまして、この規定を入れることによって、学校教育、社会教育それぞれの場所において具体の施策がより有効に実施をされることになる、このように期待をするところでございます。

○若宮委員 ありがとうございました。
 それでは、民主党の御提案をなさられた方に同じくお伺いさせていただきます。
 御党の十二条の部分でやはりこの生涯学習についてお考えが述べられておるところでございますが、私がちょっと拝見いたしますと、生涯学習と社会教育というこの言葉の差異といいますか、このあたりがちょっと不明朗になっているやにお見受けをするんでございます。また、今、小坂大臣からもお話しございましたが、この生涯学習の理念といったものについての言及がお見受けができないような形になっているかと思うんですが、このあたりは盛り込まなかったのか、あるいは何かしらお考えがあるのか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。

○藤村議員 若宮委員におかれましては、御質問いただきましてありがとうございます。
 人間は、生まれながらにしてというか、あるいは生まれ出る後に死ぬまで一生涯学ぶということは、もうまさにそれが生涯学習であろうと思います。ただし、御承知のように、生涯学習という言葉自体は割に新しいわけで、日本の法制度の中では、多分、平成二年に生涯学習の振興に関する法律ができた。一九九〇年でございます。ある意味では、この現行教育基本法ができた当時にはまだその生涯学習という概念はなかったんですね。
 政府案が現行法を改正するという観点からすると、その後に出てきた新しいこの生涯学習、これは大切ですから、生涯学習の理念を入れられたんですが、我々、新しく新法で出しましたものですから、まさにこの法律自体が生涯学習の基本的理念を第二条で書き込みをさせていただいておりまして、「何人も、生涯にわたって、学問の自由と教育の目的の尊重のもとに、健康で文化的な生活を営むための学びを十分に奨励され、支援され、及び保障され、その内容を選択し、及び決定する権利を有する。」こういうふうに、後ほど出てきた新しい概念をむしろ我々はこの法の中心に置いて新しく立法をさせていただいた。
 生涯学習は、学習者の自発的意思に基づくこと、あるいは学習者個人のニーズに応じて生涯を通じて行うこと、そして、スポーツ、文化、趣味、レクリエーション活動などにおいても行われるという基本的な視点が挙げられておりますし、社会教育というのは、昭和二十四年に社会教育法ができまして、日本の国及び地方公共団体が行う教育の、学校教育と社会教育というまさに車の両輪でありまして、それで進んできたんですが、その後に生涯学習という概念が出たわけで、生涯学習というのは、学校教育の部分も含むし社会教育の部分も含むし、そして生涯学んでいこうというものでございますので、我々は、新法だから、一番初めの二条でこの概念をまさにきちっと書き込んだということでございます。