164国会 衆特別委 第12回(6月8日)
○斉藤(鉄)委員 …第二条の第一号、いわゆる知徳体を定めた第一号につきまして、知及び体については現行法にもございます。今回、新たに徳の項目が入った。「豊かな情操と道徳心を培うとともに、」ということでございますが、現行にない目標を入れたことと、ここで言う豊かな情操と道徳心の意味を改めてお伺いします。
○田中政府参考人 法案の第二条第一号は、教育の目的のうち、教育全般を通じて基礎となるもの、今おっしゃっていただきましたけれども、知徳体、この三つの分野につきまして規定をさせていただいておるところでございます。
豊かな情操と道徳心でございますけれども、情操とは、美しいものやすぐれたものなどに接して感動する心であり、また道徳心とは、社会における善悪の判断基準として一般に承認されている規範を守り、これに従おうとする心をいうものでございます。これらはいずれも人格完成において非常に重要なものである、そしてこれらを培うことが教育の基本的な機能であることから、新たに目標として明示をさせていただいておるところでございます。
164国会 衆特別委 第3回(5月24日)
○池坊委員 …総理、人間としての基本、豊かな心、情操をはぐくむということについて、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 まず、情操をはぐくむ一番大事なことは、愛し、愛されることだと思うんです。親が子供を愛す、これが本来人間の持っている、動物の持っている基本だと思います。
動物の世界でも、子供を育てるためには、親はみずからの危険を覚悟して敵からかばって子供を育てます。その親から愛情を受けていないと、普通、子供は動物の世界では死んでしまいます。最近の、野生でない動物を人間が育てて、卵を産んだとする、子供を産んだとする、しかし、自分が親からのそういう育て方を知らない野生の動物は、その子供の育て方も知らないから、結局人間が手を加えないと死んでしまうという面を見ても、まず最初に世の中に出てきた子供に対して親が十分な愛情を持って育てる、これが私は基本だと思っております。愛されることを知れば、必ず人を愛すようになる。愛されることを知らない、いじめられてばかりの育て方をすると、他人に会っても、また自分はいじめられるんじゃないかと思ってしまう。
でありますから、私は、法律以前に最も大事なことは、まず親がしっかりと子供を愛す、認める、受けとめる。そして子供も、口で親から言われなくても、周りの方、家族の人たちからしっかりと、ああ、自分は愛されているんだな、受けとめられているんだな、認められているんだなという認識を持たれるような環境をつくるということが大人の責任ではないかと思っています。それが今若干欠けてきているのではないかなと。
そういう点については法律では律し切れない面も多々あると思いますが、私は、情操教育の基本は、まず親がしっかりと子供を愛すること、子供も、ああ、自分たちは周りの人たちから愛されているんだという気持ちを持つこと、これがあらゆる情操教育の基本だと思っております。