0450 2に基づく道徳教育の強化、教科教育の道徳教育化、道徳の教科化

 

 

164国会 衆特別委 第3回(524日)

○藤村委員 …愛国心については、もう御承知のとおりではありますが、既に学習指導要領においてもきちんと書き込まれております。今、これは一番新しい学習指導要領、御存じのとおりでありますが、これは小学校の学習指導要領ですが、ここの例えば第六学年、社会の目標(一)に、「国を愛する心情を育てるようにする。」と書いてあります。あるいは小学校の五、六年の道徳でありますが、「郷土や国を愛する心をもつ。」と書いてあります。
 つまり、教育の分野ではもう既に、これは当然のこととして学習指導要領の中で取り組まれているわけで、私も当然、この国を愛する心を、日本に生まれ育ち、学び、そんな中で自然な結果として持つことは当たり前の話で、ただ、そうした心が決して上から強制されて身につくものではないし、一方的に上から押しつけがあってはならない、このことは考えております。
 既に学習指導要領において書いてあるのに、今回改めて全部改正の中の「教育の目標」の中に記述したというのは、どんな意味と効果と、さらに、では今後、学習指導要領をこれでまたさらに書きかえるのかということと、あるいは評価をするようになるのかということについて、これは文科大臣の方からお答え願いたいと思います。

○小坂国務大臣 御指摘の学習指導要領におきましては、例えば小中学校を通じて、我が国の国土や歴史への理解を深めまして、愛する心と国家の発展に寄与しようとする態度とを一体として育成することとしているわけでございます。
 今回、教育基本法におきましても、新しい時代を切り開く教育を実現する観点から、特に重要な事柄であります我が国と郷土を愛する態度について規定することといたしまして、各学校において改正の趣旨を踏まえた指導の一層の充実を期することとしたものであります。

○藤村委員 今のことで、評価のことをちょっと飛ばされたかと思います。これは、今回基本法に書き込んだことで、学習指導要領においてさらに書き加えられたりし、さらにそれが何か評価につながるということはないのかということでありますが。

○小坂国務大臣 具体的な指導はどのように行うかといいますと、先ほども一部、他の委員の質問で申し上げたわけでございますけれども、我が国の歴史の中で我が国に貢献してきた偉人や地域に貢献した人々について学んだり、地理について勉強をしたり、世界の中における日本の位置づけ、あるいは世界で活躍する日本人等について学ぶことによりまして、そういった事柄を通じてこの目的を達成していこうということでございますから、この具体的な方法については、基本的には学習指導要領において、今日の学習指導要領と大幅に変更するものではございませんけれども、しかしながら、本法律の成立に伴いましてもう一度各種学習指導要領を精査いたしまして、必要な改正があればそれをやっていこう、こういうことになるわけでございまして、この部分につきましては、教育の推進基本計画の中でまたこれを規定して、そのように学習指導要領も対応していく、このようになると思うわけでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○銭谷政府参考人 今回、新しい教育基本法によりまして、今日重要と考えられる事項が、特に第二条に五号、教育の目標として示されたわけでございます。今後は、この第二条に示されました教育の目標を踏まえまして、学習指導要領全体の見直しの検討の中で、各教科等にその具体的な、二条に示されましたいろいろな、公共の精神でございますとか伝統文化の尊重とか、あるいは勤労観の育成とかそういう事柄について、各教科等の具体的な教育内容の中にどういうふうに生かしていくのか、そのことを私ども検討してまいりたいと思っているわけでございます。
 例えば、これまで、公共の精神というのは道徳の内容として取り扱っていたわけでございますけれども、公徳心とか、友達と仲よくするとか、そういったようなことでそれぞれの発達段階に応じて指導してきたわけでございますけれども、今回、新しい教育基本法の教育の目標として明示されたことを受けまして、さらに具体的な指導のあり方について検討して、積極的な指導が各学校で行われるように取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
 なお、先ほど、昭和二十二年当時の教育基本法の議論の中で、現在の教育基本法は特に強調すべき事柄を掲げたもので、必要な事柄を網羅的に示したものではないということ、それから、今回は、そういう普遍的な現在の教育基本に示されている目標に加えまして、今日重要と考えられている事柄を新たに教育の目標として明示をすることとしたというお話がございましたけれども、こういったことを踏まえて、教育基本法上に新たに教育の目標として示されたことを、私ども、学習指導要領の改訂等を通じまして、実際の現場でさらにその目標に沿った指導が行われるようにこれから努めていくことになると思っております。(発言する者あり)

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○やまぎわ委員 …せっかく改正を行うわけですから、この改正を行って現場が何も変わらないんじゃ意味がないわけでございまして、これをもとにしてこれから教育の現場というものがどう変わっていくのか。これは本当に、これが変わらなきゃ意味がないものだと思うんですね。
 また、残念なことですけれども、道徳教育というものが戦後一番最初行われるときに、やはり一部のイデオロギー団体からこの道徳教育というものが、法的な根拠がないじゃないか、こういうようなそしりを受けながら、非常に道徳教育を現場で行うことの困難性というものが今なお継続した状況であるんだろうと私は思うんです。
 そんな点も踏まえまして、今回、改正をすることによって具体的にどう変わっていくのか、これをぜひ大臣から御答弁いただきたいと思います。


○小坂国務大臣 委員が御指摘の点は、すなわち、道徳教育を徹底するには教科という形に変えて学校教育の中で取り組むべきだという御指摘だと思います。
 道徳教育につきましては、これまで、道徳の時間を中心に学校の教育活動全体を通じて取り組むこととしているわけでございまして、その際、児童生徒の実態を最もよく理解する学級担任がさまざまな指導方法で工夫しながら指導を行う、こういうふうにしてきたところではありますが、委員が御指摘のように、実際には道徳の時間が振りかえられているという実態もあることは事実でございます。
 道徳の教科化については、平成十二年十二月の教育改革国民会議報告におきましても、小学校に道徳、中学校に人間科、高校に人生科などの教科を設けて専門の教師や人生経験豊かな社会人が教えられるようにすべきではないかという提言がされているところでございまして、現在、中央教育審議会におきましても学習指導要領の見直しについて検討を行っているところでございます。

 道徳のあり方につきましては、学習指導要領の改訂を通じての論議の中で引き続き重要な課題として検討を進めてまいりたいと考えております。

 

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○保坂(展)委員 一点だけ、道徳を科目にすることを検討されるということをおっしゃっているんですが、これについては評価も伴うかもしれないと思うんですが、これについて一言だけ伺って終わります。

○小坂国務大臣 まず、道徳についての先日の本会議での答弁は、教育改革国民会議報告においても小学校に道徳の教科を設けるなどの提言がなされていることから、学習指導要領の見直しの中で、道徳のあり方は引き続き重要な課題として検討する必要があるとの認識を示したものでありまして、学校教育課程における教科の一般的な性質としては、教科書を用いて指導するということ、また、児童生徒の学習状況を評価するということ、また、中学校では専門の免許状を必要とするといったことがあって、この教科指導というのは行われるわけでございます。
 したがいまして、道徳の評価に当たっては、現在でも数値による評価は行わないこととするなど慎重に対応しているところであって、今後とも引き続き、教科化を含め道徳のあり方を検討するに当たっては、評価のあり方などの課題について十分にあわせて検討することが必要であるという認識を持っております。そういったことで御理解を賜りたいと存じます。