0430 2条の趣旨、立法事実、「方針」から「目標」への変更
164国会 衆特別委 第3回(5月24日)
○小坂国務大臣 町村委員の御指摘のように、第一条、第二条が、目的そして目標ということで、大変重要な部分でございますけれども、第一条の教育の目的を実現するために、今日重要と考えられる具体的な事柄を五つに分類して記述いたしているわけでございます。
具体的に申し上げますと、第一に教育全体を通じて基礎をなすもの、第二に個々人の自身に係るもの、第三に社会とのかかわりに係るもの、また第四に自然や環境とのかかわりに係るもの、また第五に日本人として持つべき資質及び国際社会とのかかわりに係るもの、こう五つに分類をしているわけでありますが、これらは、現行法にも規定された普遍的な理念は引き継ぎ、その中で、公共の精神や先ほど申し上げたような伝統と文化の尊重など、今日重要と考えられる事柄を明示することによりまして、国民の皆さん全体の共通理解を図って、二十一世紀の世界を切り開き、また日本を切り開いていく、心豊かでたくましい日本人の育成を図る、このようにしたものでございまして、ただいま申し上げたような公共の精神、伝統と文化の尊重、こういった点は非常に重要な点だと思っているところでございます。
164国会 衆特別委 第4回(5月26日)
○小坂国務大臣 …五十九年間、文部省そして今日の文部科学省、全く反省がないのかといえば、これは、いろいろな反省をしながら、学校現場における教育の実効が上がるために中教審にどのようなお願いをして考えていただいたらよろしいのか、また、それによって答申を受けたことをどのように学習指導要領に反映し、また、校長会や教育委員会への指示、あるいは学校長を集めた会議等での指示等をどのようにしたらいいか、そういう中で反省をしてきたと思います。
ただ、五十九年前の議論が今日までそれじゃ全く無効であったのかといえば、そうではなくて、やはり先ほど申し上げたように、今日の教育基本法が今日の繁栄を築いてきたことも事実でありまして、ただ、その間、道徳心というものは、その前に修身の教育を受けられた、教育勅語やそういったもので受けられた皆さんがまだ現役として働いていらっしゃって、そういった理念を伝えてこられたとか、あるいは、社会の中でもそういったものが社会規範となって、そして、我々もそういった社会規範の中で毎日の生活をしてきたことによって、教育基本法とかそういった法律を勉強することではなくて、日々の生活の中でそれを社会体験としてあるいは家庭教育として我々が受け継いできたということがあったわけですね。
しかし、この家庭の教育力が低下をしてきた、そして社会の教育力が低下をしてきた。それはすなわち、少子化社会ということにあらわされるように、昔は近所で子供たちが集まって、その中に年の差がありました。そこに長幼の序というものがありました。そしてその中で、親分というような近所の先輩から、おまえ、こういうことをやっちゃいかぬぞ、ちゃんと下の者は面倒見ろよ、こういうことを教えられて、そしてまた稲作というようなものを通じながら、地域の助け合いというものもちゃんと継承されてきた。そういった文化が一つ一つ喪失されてきたということが今日の状況を生んできたというふうに思うわけですね。これを強調しますと、また外的要因にかこつけて責任逃れしたと言われてしまうんですが、このことについては、委員も、確かにそういうこともあるとお認めをいただけると思います。
164国会 衆特別委 第4回(5月26日)
○糸川委員 ありがとうございます。
現行の教育基本法では、教育の目的として、教育は、人格の完成を目指して、平和的な国家及び社会の形成者として、心身ともに健康な国民の育成を期して行うこと、それから、このような平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義、個人の価値、勤労と責任、自主的精神の徳目が求められる、こういうことが規定されております。
今回の教育基本法の第二条では、現行法によって詳細に教育目標というものを規定しておるわけでございますが、どのような考えに基づいて実際に規定されているのか、また、今回の教育基本法案で新たに盛り込まれたものは、現在の教育では十分でない、こういうことなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○馳副大臣 具体的に申し上げます。
第一号では教育全体を通じて基礎をなすこと、第二号において主として個々人自身にかかわるもの、第三号として社会とのかかわりに関するもの、第四号として自然や環境とのかかわりについて、第五号として日本人としての資質及び国際社会とのかかわりに関することをそれぞれ規定しているものでございます。
それで、現行法に規定されていた普遍的な理念を引き続き規定しておりますが、新たに、公共の精神、伝統と文化の尊重、また、今日重要と考えられる事柄を明示することによって、国民全体の共通理解を図りつつ、より一層指導を充実していくべきと考えて規定をさせていただいたところであります。
164国会 衆特別委 第9回(6月5日)
○太田(昭)委員 この方針という現行法の二条が目標という形になりということ、もしあれだったらお答えください。
あわせて、中教審が、何項目か理念として盛り込みなさい、こういうことを言っております。私は基本的にすべて盛り込んだというふうに思いますが、中教審の提唱する理念との関係性について述べてください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
現行の教育基本法におきましては、第一条で教育の目的を、そして、第二条では教育の方針ということで取りまとめておるところでございますが、今回、その教育の目的を達するために必要な事柄、重要な事柄ということで新たに盛り込む理念がかなりございました。したがいまして、第一条におきましては、教育の目指します根本の目的、これを第一条に教育の目的として書かせていただいておるところでございます。そして、この目的を達成するために重要な事柄、これを、第二条の教育の目標ということでまとめさせていただいておるところでございます。
○保坂(展)委員 …現行法では、教育の目的と方針だったところが、今回、目的と目標というふうに変わっているわけですね。方針と目標。目標は目的を達成していくところの目当てなのかな、方針というと、道筋というか、その向かっていくべき道というか、そういう意味があろうかと思いますが、どうしてこのように変更されたのか、お願いします。
○小坂国務大臣 現行法は、第一条におきまして、人格の完成と、それから、国家及び社会の形成者として心身ともに健康な国民の育成といった内容を教育の根本的な目的を掲げるという形で示しておるわけでございまして、「真理と正義を愛し、」など備えるべき具体的な事柄を規定いたしております。そして、この教育の目的を達成するための筋道や心構えを、教育の方針として第二条に示しているのが現行法の体系でございます。
今回の法案につきましては、第一条を教育の根本的な目的に限定することといたしまして、この教育の目的を実現するために、より具体化した事柄を教育の目標として整理をして、第二条に掲げることにいたしました。すなわち、現行法第一条に規定されている真理、正義、個人の価値、勤労、責任、自主的精神といった具体的な事柄については、第二条の各号に整理をしたわけであります。
また、現行法の第二条に教育の方針として規定されていた事柄についても整理することといたしまして、まず、前段の「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」とする規定は、第三条の生涯学習の理念として規定をいたしました。
そして、学問の自由の尊重につきましては、第二条の柱書きに入れましたし、「実際生活に即し、」という文言は、「生活との関連を重視し、」と改めた上で第二条の第二号に移しました。また、それぞれ教育の方針と心構えとして規定をしているところでございます。
さらに、「自他の敬愛と協力」という文言につきましては、第二条の第三号に教育の目的として規定をいたしております。
また最後に、「文化の創造」という言葉につきましては前文においてこれを規定しているところでございまして、それぞれ現行法の規定を整理して、一条及び二条に掲げることとしたところでございます。