0330前文の趣旨

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○糸川委員 …引き続き前文を置いた理由というものがなぜなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○小坂国務大臣 法律には前文を置くものと、法律といいましても基本法です、基本法には前文を置くものと置かないものがございます。今ございます基本法二十七本のうちの九本が前文を置いているわけでございます。
 前文というのは、法律の趣旨だとかあるいは目的または基本的立場を述べる文章でありまして、法律の制定の理念、理想を明らかにする必要があるとき置かれることが多い、このように認識をいたしております。
 その上で、現行教育基本法では、日本国憲法に基づく新しい教育理念を明らかにするとともに、その後に続く教育関係諸法令の制定の根拠となる教育の基本を確立する重要な法律である、このように現行法でも言っているわけでございまして、その趣旨を明らかにするために特に前文を設けられた、このように私は理解をいたしております。
 このような教育基本法の教育法全体の体系における位置づけは、今後とも私どもは維持していく必要がある、その重要性は変わらない、このように考えて、今回の改正案におきましても、教育の基本を確立し、その振興を図る観点から、新しい教育基本法の趣旨を明確にするために前文というものを設けさせていただいて、皆さんに訴えるところでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第3回(524日)

○小坂国務大臣 通常、前文というのは、その法律の理想、それから提案の趣旨について宣明をする目的で置くことが多いわけでございますけれども、本改正案におきます前文におきましては、教育基本法は日本国憲法の精神にのっとり、我が国が教育の根本理念を明らかにし、国民の育成を図ろうとするものであることを宣言しているところでございまして、具体的には、日本国民が願う理想として、民主的で文化的な国家の発展と、世界の平和と人類の福祉の向上への貢献を掲げて、そしてその理想を実現するために個人の尊厳を重んずることを現行法に引き続き規定いたしているわけでございます。
 その上で、今後、我が国においては、知徳体の調和のとれた人間、また公共の精神をたっとび、国家、社会の形成に主体的に参加する日本人、また我が国の伝統と文化を基盤として国際社会に生きるたくましい日本人の育成が重要との観点から、新たに公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性、そして伝統の継承を規定するものでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○小坂国務大臣 改正案におきましては、日本国民が願う理想として、民主的で文化的な国家の発展と、世界の平和と人類の福祉の向上、このことに貢献することを掲げまして、その理想を実現するために、個人の尊厳を重んずることを現行法に引き続き宣言させていただいたところでございます。
 その上で、今後、我が国においては、知徳体の調和のとれた人間、公共の精神をたっとび、国家、社会の形成に主体的に参画する日本人、また、我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きるたくましい日本人の育成が重要であるとの観点から、新たに、公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性、そして伝統の継承を規定するというふうにしたものでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○太田(昭) 公明党の太田でございます。

 教育基本法が今回改正ということになって、前文、そして一条の目的、二条の目標という構成になっている。現行法の目的ということと方針ということとなぜそれが変わったのかという、その前文、一条、二条の構成、そして、前文の、三つのパラグラフになっておりますが、これはどういう意味で三つに分けているのかという基本構成についてまずお聞きします。

○小坂国務大臣 御指摘の法案の前文の構成でございますが、まず第一文におきまして、日本国民が願う理想として、民主的で文化的な国家の発展と、世界の平和と人類の福祉の向上、これらに対する貢献を掲げまして、第二文におきましては、その理想を実現するために推進すべき教育のあるべき姿をうたっております。最後の第三文におきまして、そのような未来を切り開く教育の基本の確立と振興という、この法律の制定趣旨を宣言しているところでございます。
 具体に申し上げますと、個人の尊厳を重んじるとは、すべての個人が他をもってかえることのできない人間として有する人格を不可侵なものとして尊重することでありまして、憲法の基本的人権の尊重と同じ趣旨に立つものでございます。
 また、公共の精神とは、国や社会の問題を自分自身の問題として考え、そのために積極的に行動するという精神を言うわけでございます。これまで日本人は、国や社会はだれかがつくってくれるものとの意識が強かったわけでありますが、これからは、社会全体のために行動するという公共の精神をたっとぶ人間を教育によってはぐくむ必要がある旨を前文に掲げたものと理解をいたしております。
 また、前文では、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進すべき旨を掲げております。伝統の継承とは、我が国の長い歴史を通じて培われ、受け継がれてきた風俗、習慣、芸術などを大切にし、それらを次代に引き継いでいくということであります。また、新しい文化の創造とは、これまでに培われた伝統や文化を踏まえ、さらに発展させ、時には他の文化も取り入れながら新しい文化を創造することを言っております。
 日本国憲法の精神とは、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、いわゆる基本原則でございまして、今回の法案においても、「個人の尊厳を重んじ、」これは前文において規定をされ、また、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」を第一条に掲げるなど、憲法の精神を具体化する規定を設けているところでございます。
 このため、今回の改正後も、教育基本法が日本国憲法と密接に関連しているという性格は変わらないものであることから、引き続き「日本国憲法の精神にのっとり、」と規定したものであることを御理解いただきたいと存じます。