0310政府案における人権教育の位置

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○保坂(展)委員 …人権教育あるいは人権に関して基本的なことを言えば、人権と基本的自由の擁護と推進のためにすべての国がこの責任を負う義務があるんだ。人権教育というのは、例えば、女性、子供、高齢者、障害者の問題に留意して、少数民族や外国人、HIV感染者など、あるいは刑を終えて出所した人たちに対する差別や偏見にも考慮を果たしていかなければならない、こういう原則でよろしいでしょうか。麻生大臣、国際社会の中でどうですか。

○麻生国務大臣 通常、エイズ患者の話だかHIVの患者が突如出てきましたけれども、そういうものに関して差別なくやってきているというのは昔も今も変わらないところだと思いますので、今回この教育基本法が新たに出たからといって、それらに関する定義等々が変わるとはとても考えられぬと思っております。

○保坂(展)委員 今申し上げたのは、私の意見ではなくて、二〇〇四年十二月にニューヨークで原口さんが日本政府を代表して演説されているところから抜粋して紹介させていただいたということです。
 そこで、昨年、麻生大臣は、今大変人気が出ているという九州国立博物館の開館記念式典におきまして、一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかないという発言をされて、その後、例えばアイヌの皆さんから抗議を受けたりとかいうことがあったと聞いていますが、この発言、真意はいかばかりだったのか。そして、今私が申し上げているように、日本国民あるいはそういった概念、少数者、マイノリティー、あるいは先住民族、そういうことを全部包括するんだ、国際社会では人権の概念ではもう日本政府も明確にそういう発語をしているわけですから、大臣のこのときの発言、どういう真意だったんですか。

○麻生国務大臣 この教育基本法との関連で聞いておられるんですか。(保坂(展)委員「はい」と呼ぶ)どこが関連するんだか、ちょっともう一回教えてください。

○保坂(展)委員 人権とは何かという話から入っているんです。そして、日本は人権理事会のメンバー国となっている。議長を目指す、こういう話もあるじゃないですか。そうすると、世界じゅうの人権教育をリードする、そういう立場にあるわけですね。おわかりだと思います。
 そうすると、麻生大臣の個人的なごあいさつであっても、今のような発言、そして、日本の北海道を中心に先住していたアイヌ民族から、いや、これは違うんじゃないですかという抗議を受けた、こういうこともありますので、ここは一点、どういう立場なのか、この発言について何かフォローするものがあるのか、あるいはこのとおりなのか、発言していただきたい。

○麻生国務大臣 御質問が、何をお聞きになりたいかよくわからぬのですが、一国家、一文明、一言語等々は当然でしょうね、確かですから。今、そこまでは間違いないでしょう。
 そうすると、今、一民族のところにひっかかっておられるということですか。(保坂(展)委員「アイヌ語はどうですか」と呼ぶ)だから、一民族にこだわっておられるんですか。(保坂(展)委員「一言語です」と呼ぶ)ああ、一言語。
 私は九州におりましたので、熊襲も昔はいろいろよく言われたものだったんです。だけれども、そういった意味では、この種の話は、昔からそういった話は国ができ上がっていくまでの過程の中にいろいろあったんだと思いますが、少なくともこういった形で日本という国が主にきちんとしてまとまってできてきた背景というものを考えたときに、一般に言われていることを申し上げたのであって、ここが落ちているじゃないか、これも落ちているじゃないかと言われたら、多分もっといろいろ出てくる可能性があるんだと思っております。したがって、今申し上げた、その後の質問に関して、ああ、そういった意味でしたらと言って、たしかどこかで御質問を受けましたので、修正をしたというふうに記憶しますが。

○保坂(展)委員 私は、麻生大臣に、人権や人権教育について、日本が世界に先駆けて提案する立場、それを引っ張っていく立場であってほしいと思って聞いているわけです。世界じゅうの人権なら人権教育という中では、先住民族の文化や言語、あるいはさまざまな差別があれば、それを除去していく責任というのはやはりその国の政府が負うんだということを確認したいんですよ。そういう意味ではどうですか。

○麻生国務大臣 よろしいんじゃないでしょうか。