0250子どもの権利条約総論

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。
 きょうは麻生外務大臣に、外交日程、お疲れのところでございましょうけれども、お越しいただきました。
 国連改革の柱として、国連人権委員会を廃止して、新たに国連人権理事会が生まれました。いよいよ六月中旬にはジュネーブで初会合が開かれると聞いております。日本が理事会のメンバー国になり、そして人権を柱にして国際社会で活動する、こういうことになると思いますが、今回提案の政府案に、人権や人権教育の言葉がなぜかありません。
 二〇〇四年二月二十六日の国連子どもの権利委員会の最終見解、これはたくさんの指摘があるんですが、この二十七をちょっと紹介しますと、児童の意見の尊重に関し、締結国、我が国が改善に向けて努力している点に留意しながらも、委員会は、依然として、児童に対する社会の旧来の態度によって、彼らの意見の尊重が、家庭、学校、その他の施設、そして社会全体において制限されている点について懸念をする。これは九八年の勧告でもこういったことが書かれています。
 そこで、麻生大臣にまず伺いたいんですが、麻生大臣はこの教育基本法についてはいろいろ御意見を以前からお持ちだろうと思います。今、先ほど紹介したように、国際社会の中で人権を大いに広げていくという立場に日本政府が立とうとするときに、六十年ぶりの大改正。私たちはこの基本法を変えなくていいんじゃないかという立場ですが、しかし、よしんば変えるのであれば、十二年前に我が国が批准した子どもの権利条約の精神、一言で言えば子供が権利主体であるという精神なんですが、この子どもの権利条約との兼ね合いにおいて、今私が申し上げた、今回提出の法案に人権ないし人権教育の文言がないということについて、まず所感をお述べいただきたいと思います。

○麻生国務大臣 子どもの権利条約と今回の教育基本法との関連を聞いておられるんですか。
 今回の中に基本とか子供の権利が入っていないというのをどうかと言われても、それはちょっと、提出された文部大臣に聞いていただくしかないと思いますので、私が直接担当ではありませんので、その点は質問対象者を考えていただかないかぬところだと思っております。
 それから、子どもの権利条約との関係からいきましたら、子どもの権利条約というのは児童の権利条約というものだと思いますけれども、これは少なくとも、教育基本法との関係と聞かれても、児童の権利条約の精神と合致するものなんじゃないんでしょうか、基本的にはそう思っております。全然、反すると思ったことはありません

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○保坂(展)委員 人権理事会に日本がこれだけ前向きにしっかり取り組むという姿勢は、大変貴重な一歩だと思います。
 前回のやりとりの中で、今、塩崎副大臣に述べていただいた人権教育の推進というのが日本政府の大きな役割であり、国内的にも、子どもの権利条約というのは国際的な合意点であって、締結国である日本は、条約遵守義務を負っていると同時に、国内法の整備なども本当は課題としてあるんじゃないかということを申し上げましたところ、余りそういう例はないんじゃないかというようなお答えがあったんです。
 再度、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、包括的な法制をとっている国は確かに少ないようですが、幾つかの国でしっかり国内法整備が行われているというふうに思うんですが、いかがですか。

○塩崎副大臣 先週の金曜日に麻生大臣からお答えをしたかと思うわけでありますけれども、この条約に定められている種々の権利義務の国内的実施をいかに確保するかについては、通常、各締約国の判断にゆだねられているということだと思います。
 これが原則ということで、国内法整備については、既存の国内法制によって保障する場合、一部改正する場合、新たな国内立法措置を必要とする場合、いろいろ国によって異なるわけでありますが、我が国は、児童の権利条約を締結した当時、主要先進国でこの条約の締結のために児童の権利に関する新たな包括的法制度を創設した国があったとは承知しておらないわけであります。
 なお、御指摘を踏まえて、いろいろ調査をというお話でございまして、各国の法制度が異なる点、あくまでこれは参考でございますけれども、これまでの調査では、欧州では、ベラルーシやエストニアそれからリトアニアで児童の権利に関する包括的な国内法を制定していることが判明しているところでございます。