0230天皇の裁可に基づく法律の改正

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○横光委員 …現行の教育基本法、これはその冒頭で「朕は、枢密顧問の諮詢を経て、帝国議会の協賛を経た教育基本法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」とされております。これは、昭和天皇が枢密顧問と相談してつくられた教育基本法が枢密院の賛成を経たので決定して公布する、こういう意味であると考えておりますが、それでよろしいんでしょうか。

○小坂国務大臣 御指摘の「朕は、」で始まります公布文につきましては、立法手続が示されておるわけでございます。
 分解して御説明申し上げますと、諮問機関であります枢密顧問に諮詢しという、すなわち諮問するということでございますが、諮問しということ、そして、帝国議会の協賛を経て裁可、すなわち確定的に成立をさせ公布させたことが示されているところでございます。
 このような手続となっておりますのは、現行の教育基本法が、立法時には現行憲法が公布をされていたものの施行前であったわけでございまして、その立法手続は形式的に、現行憲法ではなくて大日本帝国憲法にのっとって行われたということに基づくものでございます。
 しかしながら、現行基本法は、内閣総理大臣のもとに置かれた教育刷新委員会の建議に基づいて、政府が案文を作成して、国会の衆議院、貴族院の議決を経て制定、公布されたものであります。
 そういう形で、公布文を受けて、形式的なものも踏まえて、しかしながら、立法意思としては、国会の衆議院、貴族院の議決を経て制定、公布されたものであることを御説明申し上げます。


○横光委員 公布文ということでございますが、となりますと、現行の教育基本法、これはさきの天皇陛下のもとでつくられたものである、こう考えてよろしいわけですね。
 であるならば、この教育基本法を今回全部改正するということでございますが、天皇陛下がおつくりになった教育基本法を全部改正することについて、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 

○安倍国務大臣 まず、御指摘の点でございますが、先ほど文部大臣から御答弁申し上げましたように、公布文にはその成立手順が示されておりまして、具体的には、立法権を行う天皇が諮問機関である枢密顧問に諮詢し、帝国議会の協賛、いわゆる賛成を経て裁可、すなわち確定的に成立させ公布させたことが示されているわけでありまして、このような手続となっているのは、現行教育基本法の立法時には現行憲法は公布されていたものの、施行前であったため、その立法手続は形式的に、現行憲法ではなく大日本帝国憲法にのっとって行われたためであります。
 しかしながら、現行教育基本法は、内閣総理大臣のもとに置かれた教育刷新委員会の建議に基づいて、政府が案文を作成し、国会の衆議院、貴族院の議決を経て公布されたものでございます。
 教育基本法につきましては、昭和二十二年の制定以来、一度も改定が行われておらず、今回の改正においては、前文を初め改正部分が広範囲にわたり、規定の追加等が大幅に行われることから、構成上、全面的に改めることとしたものであります。
 なお、この法律が公布される際に、公布文は何々法をここに公布するとするのが通例であり、本法案についても同様の公布文になるものと考えられるということでございます。