0030不登校、非行、少年事件など
164国会 衆特別委 第3回(5月24日)
○保坂(展)委員 長崎事件の直後に教基法改正の必要性を説いた真意は?
○安倍国務大臣 二年前のことですから私も正確に覚えておりませんが、たまたま私は遊説で事件のあった佐世保におりました。
その際、演説をした際に、今、委員が引用されましたように、やはり子供たちにしっかりと命の大切さ、そして他人を思いやる気持ちを教えていく必要があるのではないだろうか。自分勝手に自分の欲望や欲求を追求することのみが権利だと思ってはならない、みんなで共生していくことが大切ではないか。そしてまた、さらには、みんなで形づくっていく、自分たちが住居している地域、郷土を大切にするという気持ち、そして、みんなで紡いできた歴史を尊重し、伝統を尊重し、そして国を愛していくという気持ちを教えていくことが大切ではないかという演説を恐らくして、その延長線上で、そういうことを教育基本法に書き込んでいくことが大切ではないか、このような話をしたわけでありまして、それをすればこうした事件が防げるとか解決できるという意味において使ったわけではないわけでありますが、しかし、そういう教育をしていく、それはやはり大切な一歩であって、こういう事件も一つの教訓に、どういうものが欠けているかということは常に考えていかなければならないということを述べたのではないかというふうに記憶をしております。
164国会 衆特別委 第6回(5月31日)
○西村(智)委員 …、学級崩壊ですとか高校の中途退学者の増加、学力低下などの問題を抱えているわけですけれども、これらの問題は現行の教育基本法の理念に由来するものだというふうに大臣はお考えでしょうか。
○小坂国務大臣 教育基本法は我が国の教育の根本的な理念や原則を定めたものでございますから、教育基本法の規定それ自体が直ちに現実の諸問題と直結するものではございません。
しかし一方で、教育基本法の制定以来、社会状況が大きく変化をしてまいりまして、教育全般について多くの課題が生じている。そして、これらの課題に対してはこれまでもさまざまな観点から取り組みを重ねてきたわけでございますけれども、その抜本的な解決のためには、学校だけでなく家庭、地域社会を含めて国民全体が協力して、そして教育改革に取り組む必要がある、このように認識をしているわけでございます。
このために、教育の根本を定める教育基本法を改正して、そして、我が国が未来を切り開くための、教育が目指すべき目的や理念を明示することによって、国民の共通理解を図りつつ、もって国民全体による教育改革の欠かせない第一歩となるように願うものであります。
具体的には、新しい教育基本法に明確にされた教育の目的や理念に基づいて、教育全般について見直しを行うとともに、教育施策を総合的かつ計画的に推進するための教育振興基本計画の策定に向けた検討を進めることが重要であろうと考えております。
今回の改正によりまして、今日重要とされている事柄が新しい教育基本法の中に明示されることから、学校を初めとする個別の教育現場においても、具体的な場面においてより充実した指導が行われるものと期待をするところであります。
○西村(智)委員 私がお伺いしたかったのは、そういった学校現場の中でのいろいろな問題は現行の教育基本法の理念などに由来するものかどうか、そういう御認識なのかどうかということなんですけれども、小坂大臣の最初の二行のお答え、由来しないということでよろしいんですね。直接結びつくものではないということでよろしいんですね。
164国会 衆特別委 第8回(6月2日)
○大畠委員 そこで、私が何を言おうとしているかというと、最近のこの日本のありさま、一体この社会状況を文部大臣としてどう見ておられるのか。また、少子化問題について言いましたが、ぜひ大臣にも、この問題についてどう考えているのか、両大臣にお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 大畠委員がただいま引かれて、また読まれたそれらの事件は、私も、よく胸が痛むと言いますけれども、読んでいて身のすくむ思いといいましょうか。
私は、子供が好きでありますし、子供たちが虐待をされるなどということはあってはならないと思います。また、私も、幼稚園、保育園を初めとしたいろいろな学校や、入学式、入園式、運動会、いろいろなところにお邪魔することがありますけれども、本当にみんなかわいくて、事故に遭ったお子さんの話を聞くと、その親御さんがいかに悲しんでいらっしゃるかということを考えれば、本当に読んでいて涙が出ることもある。テレビを見ていて本当につらくなる。
そういうのが現実でありまして、私ども政治家としては、やはりこれは政治の責任なんだろうと思えば、自分たちなりにやっているつもりだけれどもどうしたらいいんだろうという無力感を感じることも、多分委員もおありだと思いますし、ある意味で、我々政治家が今日直面している実感ではないかと思うこともございます。
それはどのようにして解決したらよろしいか。それは、日々、私どもいろいろな局面で、経済政策を初めとして、いろいろな政策に自分なりの努力をすることだろうと思います。しかし、その根本はやはり教育だろうということは、大方の皆さんの御指摘なされるところでありまして、そういった意味で、やはり虐待とか、学校通学路の問題、そしてまた教室の崩壊、学級崩壊といったような状況から、不登校というお子さんたちの悩み、自立心や規範意識が喪失して道徳観がなくなってきた今日の状況、本当に、そういう意味では委員も同じような気持ちでこれを御紹介いただいたと思いますので、それは委員と共有をさせていただくとともに、我々政治家がお互いに協力をしながら、こういった問題にしっかり取り組まなきゃいかぬ、そう考えるところでございます。
○猪口国務大臣 大畠先生おっしゃいますとおり、少子化担当大臣として、子供が事件に巻き込まれたり被害に遭う状況につきまして、日々、胸を痛めるだけでなく、本当に深く私としても悩んでいるところでございます。一体何がこういうことの背後にあるのだろうか。施策で解決できることと、もっと根本的にこの社会の意識を問い直していくことと、両方から必要ではないかと考えることが最近多いです。
極端な犯行事例につきましては、また個別の理由等があるかもしれませんし、これは捜査の中でいろいろとまた解明されていくと思いますが、一般的に、教育の現場に自分も長年立っておりましたので、その中で私が感じることは、子供たちは、日本において、なかなかその存在そのものを等身大で認めてもらえるという状況が少ない中で育ってきているということを感じるんですね。大学のゼミなどで、非常にすばらしいそれぞれの輝きがあるのに、そのことを伝えると、初めてそういう指摘を受けたという子が多いのを驚くことがあります。もう少し小さいときからもっと肯定感を持ってその人を受けとめて、そして発展させるというような努力が必要かとも思います。
この教育基本法の今回の政府提案の中には、公共の精神を学び、人間性等について改めて書かなければならなかった時代状況を踏まえた認識があるというふうに御理解いただければと思います。